Real Real-Estate Story in Brooklyn, NY
by Keiko Matsumura


ブルックリンを舞台にした不動産の実話コラム by 松村 京子

Vo.7 May. 2015




今回は、もしニューヨークで暮らすとしたら、たとえそれが3~4年程度かもしれなくても、レントをするのと物件を購入するのとでは、どちらがお得?というお話。

まずは、ニューヨークにおけるレンタル事情についてちょっとご説明をしておくと、 ニューヨークでは賃貸契約を結ぶ際に、家賃の40倍の収入があることを証明しなければならない。すなわち3,000ドル(約36万円)の家賃のアパートに入居しようと思ったら、12万ドル(約1440万円)の年収があることを証明しなければならないということ。
どうして月々3000ドルのレントを支払うために、月収にして1万ドルの証明が必要なのかは分からないけれど、12万ドルの年収がある人であれば、大手を振ってレンタル・オフィスに行ってアプリケーションを出すだけの話。 しかしながらそうは行かない人も居る訳で、そんな人たちは 不動産のエージェントを通じで「そこを何とかできませんかね?」と交渉してもらうことになる。私は「この部分は何とかできるけど、これは駄目」というそれぞれのアパートメント・ビルディングのガイドラインを心得ているので、何らかの工作が必要な人でも それなりの賃貸を案内することができるのだった。



では3,000ドルでアパートをレンタルするとして、2015年5月現在、どの程度の物件借りられるかと言えば、4月初旬のマンハッタン賃貸レポートによれば、マンハッタンのレントの平均は3,395ドル。 すなわち、3,000ドルの家賃を払っていても、平均以下のアパートでしか生活できなということ。
ではマンハッタンの平均的なアパートとはどのような物件を指すかと言えば、ワンベッドルーム、 エレベーター付き、ランドリールーム有り、ドアマン付きのビルディング。 その平均以下ということは、毎月3000ドルを支払っても、ストゥディオ(ワンルーム)の狭い物件や、エレベーターの無いウォークアップ・ビルディングであったり、ドアマンが24時間ではなくパートタイムである、もしくはドアマンが居ないビルディングかもしれないということ。
これがブルックリンになると、平均的なレントが2,957ドルなので、3000ドルの家賃で平均的なアパートに入居が可能になっているのだった。



さて、ここからは不動産購入の話。
ニューヨークの不動産はタウンハウスなどの例外を除けば、コープかコンドミニアム。その割合は3対1で、100軒の物件のうち75軒がコープ、25軒がコンドミニアムということになる。
コープとコンドミニアムの違いは何かと言えば、コープを購入するのはコーポレーション(会社)の株式を購入するようなもの。 すなわちビルディングの株主になることなので、株主が会社の経営や運営に目を光らせて、株価を保つ、もしくは吊り上げる努力をしようとするのと同様に、ビルディングの価値を下げないための細かなルールが設けられているし、 入居前に住人との面接があったりと、購入のための審査が厳しいケースも多い。 要するに、いかにまめにビルディングを経営するか、株主(住人)をコントールするかによって、自分の物件の価格が変動する可能性があるという訳だ。



これに対して、コンドミニアムはリアルプロパティー、すなわち購入すれば、正に 不動産の所有者になるということ。
なので、不動産税をオーナー自身で収めることになるけれど、もちろんコンドミニアムにもルールはある。例えば、「何キロ以上の犬を飼ってはいけません」とか、滞在者の名前をマネジメント・カンパニーに報告する義務等はあるものの、コープと比較すると決まりごとが少ない。 したがって「決まりごとに縛られるのは嫌!」という人は断然、コンドミニアムを購入したいところだが、そうは問屋が卸さない。 というのも、この世の人の大半がそう考えるためで、ただでさえマーケットに25%しか存在しないコンドミニアムを、多くの人々が買いたがる結果、コンドミニアムとコープの価格を比較するとすると、同等の物件価格で コンドミニアム方が10%も割高になるのだった。 すなわち、同等の物件でもコンドミニアムを購入すれば50万ドル、コープを購入すれば45万ドルと、5万ドル(600万円)の差が出てくるのだった。
このため、多くのニューヨークの不動産バイヤーは絶対数が多く、割安なコープの中から購入物件を選ぶことになるけれど、コープを購入する際に、ハードルになり得るのが25%ルール。 コープにおいては、住宅ローンとメンテナンス・フィー(日本でいう公益費)の合計が、月収の25%以下でなければならないというルールがあるのだった。



賃貸であれば3000ドルの物件を堂々と住むことが出来た年収12万ドルの人の場合、月々のローンとメンテナンスの支払を 1ヶ月収入である1万ドルの25%、すなわち、2500ドル(約30万円)に抑えなければならないということになるのだった。
この人が50万ドル(約6000万円)の物件を購入しようと思ったら、通常は10万ドル(約1200万円)の頭金を支払って(購入価格の20%)を支払って、残りの40万ドルを30年の住宅ローンで支払うことになるけれど、現在の住宅金利3.5%で借り入れたとすると月々の支払いは約2,317ドル。 もしコープを購入して、25%ルールをクリアしようとすると、メンテナンス・フィーが$183の物件を探さなければならないのだった。
ではメンテナンス・フィーの相場は?というと、 コープの場合、1スクエア・フィートに対するメンテナンスの支払いは1~1.25ドル。フィーが1ドルで、アパートの広さが725スクエア・フィートだとすると、 メンテナンス・フィーは725ドルということになるのだった。



そうすると、$2,317の住宅ローンの支払いプラス、$725のメンテナンスの支払いということで、合計は$3,012。 頭金を支払うことになるものの、月々の支払はマンハッタンで平均以下のアパートを借りるレントとほぼ同額。
でもその支払が月収の30%になってしまうので、「25%ルールがクリアできない!これじゃあ、コープの審査にパスしないじゃないの!」 と不安になるものだけれど、そんなときに役立つのが不動産エージェント。 月収の30%の支出でも購入が可能な物件をご紹介するとか、月収の25%に抑えるためにの手法、例えば 1.30年ローンの代わりに、金利が更に低い5年の流動性ローンを当座の間利用する、2.単に頭金の額を増やす、 3.購入価格を下げる等、いずれかのファクターを変えれば購入可能になるのだった。
中には10万ドルの頭金を支払って、家賃と同額を月々支払って「何が夢のマイホームなんだか?」と考える人も居るかもしれないけれど、 3000ドルの家賃も3年間支払い続けると、頭金を超える10万8,000ドル。そしてその家賃が一銭も手元に残らないのは言うまでもないこと。

これに対して10万ドルを頭金に購入した50万ドルの物件は、これまでのように毎年7%価格が上昇したとすると、3年後に61万2,521になっている可能性が高い訳で、その場合11万2521ドルの利益が上がる計算。 すなわち、毎月同じ3,000ドルを3年間支払い続けた場合、レントであれば家賃全額が消えるだけ。でも不動産を購入すれば、支払ったレントと同等の利益として手元に残る訳で、仕事の収入以外にこれだけの利益が得られることを考えれば、とりあえず購入を考えるのはニューヨーカーとして賢い選択。

ここでは、あえて分かり易い数字でご説明をしたけれど、ニューヨークの物件のお値段は本当にピンからキリまで。日本円にして3000万円の物件であれば、頭金600万円で購入できることを思えば、決してニューヨークにおける不動産購入は非現実的な話ではないのだった。 そもそも不動産は株とは異なり、買ってもゼロになることは無いけれど、ここニューヨークの物件については 不動産バブルがはじけても下がることが無かったことを考えれば、極めて手堅い投資。なので、特に金利が低い現在は、キャッシュを銀行に置いておくよりも、それを頭金にして、逆に低金利を利用して住宅ローンを組むのがスマートな資産運用と言えるのだった。


Open House Tour By Keiko のお知らせ

来る5月17日、日曜日に 次回のオープンハウス・ツアーが行われます。
今回は、ミッドタウン・ウエストサイドの物件を見て回った後、カフェで物件についての説明や、 不動産購入のポイントなどを京子さんにお話ししていただき、簡単なQ&Aセッションも行います。
時間は午後1時より。待ち合わせ場所等の詳細はお申込みいただいた方に事前にご連絡しています。 将来ニューヨークの不動産を買ってみたいとお考えの方や、NYの不動産相場を知っておきたいという方、 単にオープンハウスに行ってみたいという方でも大歓迎です。お気軽にご参加ください。
参加ご希望の方は、ここをクリックして詳細をご覧ください。


★執筆者 プロフィール ★
松村京子 不動産ブローカー。
千葉県出身、1988年渡米。コネチカット州立大学のビジネス専攻、卒業後、ニューヨークにある日系証券会社に9年間勤務。 ニューヨークの不動産賃貸マーケットの値上がりを察知し、1993年に居住目的の不動産を購入。 その自身の不動産購入がきっかけで、ニューヨークの不動産マーケットに興味を持つようになる。
9・11のテロをきっかけに、オフィスと自宅の行き来だけでニューヨークに住むのではなく、もっとニューヨークらしさが満喫できる仕事がしたいと考え、 大手不動産会社、Corcoran Group / コーコラン・グループに入社。以来、日本人だけでなく、 諸外国のクライアントを抱え、不動産ブローカーとして活躍。
現在ブルックリンでセラピー犬と暮らし、動物保護のボランティアにも熱心な毎日を送っている。

松村京子さんへのお問い合わせ先: kei@corcoran.com


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