Spring & Summer 2008 New York Collection
2008年春夏NY コレクション・レビュー!!



On The Runway, What's New For The Season?


今回は9月5日〜12日のスケジュールで行われたニューヨークのファッション・ウィーク。
前回のファッション・ウィークでは、劇痩せモデル排除の動きやモデル達にヘルシーなランチを提供するムーブメントが顕著であったけれど、 それが一段落した今回のコレクションで目立っていたのは、グローバル・ウォーミングに代表される環境問題を意識したグリーン化。 多くのデザイナーがノン・ケミカル・ダイを使った素材やオーガニック・コットンを用い、サファリ・ジャケットやバティック・プリントを用いたドレスなど ナチュラル志向をイメージさせるアイテムがトレンドとなっているのが今シーズン。
それ以外には、ハイ・ウエストでワイドなセーラー・パンツを多くのデザイナーが手掛けている他、Aライン・スカートなど、 ボトムにボリュームを持たせたスタイルがメイン・ストリーム。でもウエストは引き続きベルトでマークし、ボトムのボリュームとの コントラストを見せている。したがってエンパイア・ラインや2007年夏に大流行したベイビードール・ドレスは完全に オールド・シルエットになってしまう気配である。 その一方で、殆どのデザイナーが手掛けていたといっても過言ではないのが、シルク・ムスリンやシフォン、ジョーゼットなど 柔らかい素材を用いたロマンティックでフェミニンなドレス。
カラー・パレットは2007年の秋冬シーズンのグレー、ブラックといったダーク・カラー・トレンドの反動で、 ブライト・カラーのオンパレード。ことに流行色といわれているのはレッド。 ブラックよりはネイビー、そして春夏の定番色ホワイトも数多く登場していて、オリンピック・イヤーを意識した ブライト・カラー&トリコロールのパレットが多くのデザイナーに用いられている。
アクセサリーとしては欠かせないのがベルト。そして帽子、それもセレブリティが愛用しているようなハバナ・ハットは頻繁に登場していたもの。 またヘア・スカーフも引き続き数多く用いられているアクセサリー。またバッグは大きめのものを 服とコーディネートして持つのが引き続きのトレンドとなっている。

以下、ニューヨーク・コレクションを代表する10人の主要デザイナーの作品を5点ずつに加え、 その他 主だったデザイナーの各コレクションをご紹介します。




Marc Jacobs / マーク・ジェイコブス


今回のニューヨーク・コレクションでも最も入手困難なチケットだったのがマーク・ジェイコブス。 予定時間を大幅に遅れてスタートしたショーであるけれど、プレスやバイヤーの評価は真っ二つに分かれており、 賞賛の声がある反面、コスチューム・パーティーの衣装のようといった批判や「コム・デ・ギャルソンの真似」との 声が聞かれたのも事実だった。



Zac Posen / ザック・ポーゼン


今やセレブリティがレッド・カーペット上で彼のドレスを着用するようになって久しいけれど、 今シーズンの彼のインスピレーションは、映画「Days of Heaven/天国の日々」というカントリー・タッチのもの。 実際作品にも、麦をイメージしたオーナメントやデコレーションがあしらわれたり、ストロー・ハットがアクセサリーに用いられており、 それが彼のダイナミックなカットのファッションと不思議な調和やミスマッチを見せていたコレクション。



Vera Wang / ヴィラ・ウォン


過去のコレクションの中で、最もフォーマルなイヴニング・ガウンの割合が低かったのが今回。 古代ローマをテーマに、シルク・サテン素材を沢山用いたコレクションは、カジュアルなりつつある夜のドレスアップ・シーンを 象徴するようなドレスや単品のコーディネートが多く、特にバイヤーに好評だったコレクション。



Marchesa / マルケーザ


ジェニファー・ロペス、シエナ・ミラー、ミーシャ・バートンなど、セレブリティに数多くドレスを提供しているマルケーザ。 今回もイヴニング・ドレスをメインに展開したコレクションであったけれど、以前のシーズンよりもドラマティックで、シアトリカルな作品が増える一方で、 これまでとは異なるイブニング・スーツやカクテル・ドレスも披露し、クリエーションに幅を持たせていた。



Donna Karan / ドナ・キャラン


ハバナでのバカンスをインスピレーションにした今回はベルトでマークしたウエストとAライン・スカートが目立っていたコレクション。 中央のホワイトのドレスはコレクションの翌日に業界紙WWDの表紙を飾ったもの。 フロント・ローにデミー・ムーアを迎えてのショーであったけれど、ランウェイ上で最も不評だったのはエンディングにノーブラで登場した デザイナー自身だったというオチがついていました。



Michael Kors / マイケル・コース


グリーン&ピンクのカラー・コーディネートが目立った今シーズン。いつものシーズンよりもレトロな仕上がりで、 リゾートから街着、イブニングが展開されていたけれど、いかにもジェットセットという感じの ゴージャスさが控えめになっていたのは残念な限り。



Proenza Schooler / プロエンザ・スクーラー


「2シーズン前のバレンシアガのよう・・・」と言われた今回のコレクションは、ミリタリー調で ジャケット、ベスト、コートやカーディガン、ドレスの上から ウエストをベルトでマークし、ボトムはショート丈のAライン・スカート、バルーン・スカート、ストレート・スカートというスタイル。 全体的にいつものシーズンよりも 若々しく仕上がっていたコレクション。



Oscar de la Renta / オスカー・デ・ラ・レンタ


プロ・テニス・プレーヤーのロジャー・フェデラーやヴィクトリア・ベッカムがフロント・ローに姿を見せたコレクション。 今シーズンのトレンドである、ブライト・カラーやサファリ・ルック、バティック・プリントがクラシックなテイストで展開されていた。



Ralph Lauren / ラルフ・ローレン


今回はブランド創業40周年を記念してセントラル・パークでショーを行ったラルフ・ローレン。 仲間のニューヨーク・デザイナーやサラー・ジェシカ・パーカー&マシュー・ブロデリック夫妻、ロバート・デニーロ、 ブルームバーグNY市長などのセレブリティもお祝いに駆けつけた今回は、いかにもラルフ・ローレンらしい作品に溢れていたコレクション。 ブラック&ホワイトのイブニング・ガウンやカクテルドレス、ライディング(乗馬)・ファッション、フラワー・プリントのドレスなどが次々と登場し、 ホース・レースを楽しむ貴族のファッションのファッション・ショーといった印象になっていた。



Roderte / ロダート


新しいブランドでありながら、ニューヨークの新しいクリエイティブな側面を感じさせるのがロダート。 アヴェダをスポンサーにつけた今回のコレクションは、ケミカルの染料を使わないカラープロセスを行った素材を用い、 ファッションという観点からだけでなく、環境フレンドリーなモードを展開したという点でも話題となっていました。





Elsewhere on Runway / その他のコレクション


写真上左より
DKNY
ブラックをカラー・パレットの基調にオレンジ、グレー、ピンクと上手くミックスさせた若々しいコレクションを展開。 着易そうなアイテムで構成された 無駄の無かったコレクション。

キャロリーナ・ヘレラ
インテリア・イラストレーターのジェレマイア・グッドマンにインスピレーションを得たという今回のコレクション。 フラワー・モチーフがプリントやビーズ刺繍に沢山盛り込まれていたコレクション。

マーク・バイ・マーク・ジェイコブス
以前よりレイヤー・コーディネーションが減って、着易いファッションが増えてきたマーク・バイ・マーク・ジェイコブス。 レトロ調のドレスや、シャツ&パンツといったスタイルがレッド、ネイビー、イエローといったカラー・パレットで表現された アップテンポなコレクション。

ピーター・ソム
コレクションの大半がシルバー・グレー、残りがレッド、ホワイトで展開されていたコレクション。 リアリティの感じられるファッションで定評がある彼であるけれど、今シーズンはインパクトに欠けていた印象。

BCBG マックス・アズリア
ドレスのレイヤーや、レイヤーに見えるようなドレスが目立っていたコレクション。 殆どのドレスがベルトでウエストをマークした着こなしになっていた。




写真上左より
3.1 フィリップ・リム
今年のCFDA(アメリカ・ファッション・デザイナー評議会)で新人賞にあたるペリー・エリス・アワードを受賞したのがフィリップ・リム。 今回もメンズ&ウーマンズをミックスしたコレクションで、シンプルで若々しく、コーディネートし易い作品でコレクションが構成されていた。

J.メンデル
シルク・ムスリン、シフォンなど柔らかい素材を用いたドレスで持ち味を発揮していたコレクション。 春夏コレクションとあって、同ブランドのメインであるファーはかなり控えめに登場していたのみ。

バッジリー・ミシュカ
2007年秋冬シーズンの広告に ”デス妻” のテリー・ハッチャーを起用したバッジリー・ミシュカ。そのテリーをフロント・ローに迎えてのコレクションは、 マイケル・コースのようなニューヨーク・ソーシャライトのライフ・スタイルを意識したものに仕上がっているけれど、 モダンさと洗練度でマイケル・コースより劣る印象。

カルバン・クライン
カルバン自身がデザインしていた時代よりも、さらにシンプルになりつつあるフランシスコ・コスタ のデザイン。 素材をのっぺり見せるアイテムが多いだけに、スリムでストレートなボディでないと着こなせないコレクションになっている。

モニーク・ルーリエ
新しさは無いものの、今シーズンもフェミニンなイブニング・ガウンやカクテルドレスを中心に、安定したコレクションを展開。




写真上左より
アナ・スイ
モデルが皆、ロックシンガー、ピンクを思わせるようなピンクやブルーのメッシュを入れたヘアで登場したショー。 それに代表されるように、従来のシーズンより若向きで、カラー・コントラストの強いプリント物が目立っていたシーズン。

シンシア・ローリー
フィナーレでデザイナー自身も自転車に乗って登場したほど、何故か自転車がステージに置かれたコレクション。 70年代のフレンチ・ファッションがテーマという指摘と、ここシャネルがパンツ・ルックを流行らせた50年代のフレンチ・モードが インスピレーションという2説が飛び交っていた。

ドゥーリ
このところ毎シーズン、確実に実力を伸ばしていることを感じさせるコレクションを展開しているのがドゥーリ。 洗練された都会的なファッションに磨きが掛かり、いかにもニューヨーク的なコレクションに仕上がっている。

べラルディ
これまでパリでコレクションを見せていたデザイナーのニューヨーク・デビュー。アメリカ市場向きのアパレルを日本のファブリックで、 しかも東京に滞在してクリエイトしたというコレクション。 以前のセクシーさを売りにするようなコレクションとは全く異なるラインよりもモダンな仕上がり。

ダイアン・フォン・ファーステンバーグ
ラップ・ドレスの女王と言われるダイアン・フォン・ファーステンバーグであるけれど、今回のコレクションはそんな彼女のトレードマークからは 一線を画したもの。エキゾティック・アイランドでバカンスをテーマにしたラインは、ビッグ・シルエットのドレスやサファリ・スーツが目立っていた。




写真上左より
トゥーレ
華やかなカラーが多く見られた今回のニューヨーク・コレクションでも、最もカラフルと言えたコレクション。 ソーシャライトのライフ・スタイルを意識したスーツ、ドレス、コート、ビーチウェア、イヴニングで構成されたコレクション。

ビーナズ・サラフォー
オーガニック・コットンやナチュラル・ダイを用いたエコ・コレクションとなった今回。 それだけに、パシフィック・リーフのプリントや手芸タッチのディテールが目立っていたけれど、 あまりファッショナブルとは言えないアイテムも同時に目立っていたのは事実。

ジェイソン・ウー
グレース・ケリーのようなフェミニンかつクラシックなスタイルを、 彼なりの素材の解釈で具現化したコレクション。 昨今、ニューヨークのソーシャライトの間でカストマーを増やし続けているデザイナー。

L.A.M.B.
シンガー兼 ファッション・アイコンでもある グウェン・ステファニがデザインするライン。 彼女自身のスタイルを彷彿させる アニマル・プリントやレース、スクール・ユニフォーム・ファッションが展開され、 予想通りであると同時に、期待を裏切らなかったコレクション。

デレク・ラム
毎シーズン、確実に実力を伸ばしてきた若手デザイナーであるけれど、その冴えがあまり感じられなかったのが今シーズン。 フレンチ・フォトグラファー、ギー・ボーダンをインスピレーションにしたコレクションは、新しさが感じられず、シックでスタイリッシュさにも 乏しいものだった。






Photo: Style.com