Vo.7 Jan. 2015
Tomoya Suzuki

鈴木友也さん
スポーツ・コンサルタント





★ プロフィール ★
スポーツ・マーケティング会社トランスインサイト(株)代表。
東京生まれ。小中高と野球をプレーし、一橋大学法学部入学後はアメリカン・フットボール部でクォーターバックを務める。 卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社してからも、母校のフットボール部のコーチを務め、 2000年に米国マサチュセッツ大学アムハースト校大学院スポーツ経営学部入学。 在学中からスポーツマネジメント会社Athletes Dream Management, Inc.を設立し、コンサルティング事業を手がける。 2006年に現在のトランスインサイト株式会社を設立(NY法人)代表に就任。コンサルティング、リサーチ業務に加えて 視察・研修企画、出版・著述業務を展開する一方で、大学におけるスポーツ経営学の非常勤講師も勤める。
トランスインサイト株式会社 ウェブサイト::http://www.transinsight.jp/





典型的なウィークデイのスケジュールを教えてください。



仕事柄、インプット(情報収集)のフェーズなのか、アウトプット(クライアントへの報告)なのかによってガラッと変わります。
前者では、米国中を出張で飛び回って球団・リーグ経営者と面談していることが多いですが、後者ではオフィスに籠って 報告書を作成したり、 クライアントと打ち合わせをするため 夜遅くなる(日本との時差の関係で、夜遅い会議が多い)ことが多いですね。 営業や報告も兼ねて、日本出張が2〜3ヶ月に一度くらい入ります。


日本のプロ野球とJリーグを比較して、スポーツ・マーケティングの見地から
長けているのはどちらのリーグでしょうか?



難しい質問ですね。プロ野球は80年近い歴史がありますから、日本の社会に大きく溶け込んでいて、経営規模もJリーグとは桁が1つ違います。 ただし、歴史的に親会社が節税ツールとして野球を利用してきたという経緯があるので、ビジネスのガバナンスに甘さが見られます。
Jリーグはこの反対で、事業価値はまだ野球には及びませんが(ただ、20年という短期で急成長したと見ることも可能です)、 国内外のスポーツを研究して設立されたので、ガバナンスはしっかりしています。


日本のプロスポーツ チームがアメリカのプロスポーツから 学ぶべきこと、モデルにすべきこと は?



日本は「競技の軸」(競技的な魅力を伝えようとする姿勢)が強すぎると思います。
例えば、アメリカのメジャーリーグを例に挙げれば、本当に野球が好きだから観戦しに来るファンは一部で、 それ以外は、友人と食事がしたい、何となく楽しい雰囲気を味わいたい、屋外でビールが飲みたい、 デートをしたい 等、試合以外の理由、もしくは試合観戦との複合目的で来場しているファンが大多数です。 したがって、日本も競技以外の軸を 多面的に取り入れたプロモーションや 球場設計を行えば、より広範なファンにアピールできるのではないかと思います。



日本のスポーツ・フランチャイズにとって 女性と子供のファン獲得が課題となって久しいですが、
アメリカではどんな試みがなされているでしょうか?



アメリカでも半数弱のファンは女性ですが、女性をターゲットにしたマーケティングがこれまであまり積極的に行われてこなかったので、 ここ数年で目覚ましい進歩が見られる領域です。
ただ、女性ファンの声を聴くと、「私たちも男性と同じスポーツファンだから男性と同じように扱ってほしい」という意見も見られます。 トイレを増やして清潔にする、食事を美味しくする、などは女性ファン獲得には必須ですが、 どこまで女性だけに配慮するかは、それそれの市場でのファンの特性を見ながら判断すべきでしょう。
また、スポーツだけではないと思いますが、子供は非常に重要で戦略的なマーケティング対象です。 ある調査では、8歳までにスポーツ・ファンになると、観戦チケットの購入金額が、6割程増えることが分かっています。 そのため、早期の囲い込みが重要になっています。


2015年からNYヤンキーズが英マンチェスター・シティーとのパートナーシップで
メジャーリーグ・サッカー(MLS)に参入しますが、そのビジネス的勝算をどうご覧になりますか?



MLSは米国で急成長中のリーグですが、まだMLBなどのメジャー・スポーツに比べると事業規模も小さいスポーツです。 実際、ヤンキースとしてNYCFCに出資したのは 2000万ドル(約20億円)に過ぎません。 ヤンキースは、球団単体でも500億円前後の収入があると見られており、グループ全体からみれば極めて小さな投資です(ヤンキースには、年俸20億以上を払っている選手が田中選手を含めて4人もいます)。
加えて、MLSの選手年俸は低いですし、しばらくはヤンキー・スタジアムでプレーするようですから、金銭的は負担は僅かです(球場のリース料などが掛からない)。 聞くところによると、既にシーズン席が1万席以上売れているので、初年度は成功するのではないかと思います。
ただ、2年目以降にファンがヤンキー・スタジアムでのサッカーに見慣れてきた時が本当の勝負でしょう。仮に失敗してもリスクの小さい投資と言えるでしょう。





鈴木さんの好きなスポーツ・フランチャイズと、歴代、現役を問わず好きなプロ・スポーツ選手、
これまで観た中で最も印象に残っているプロ・スポーツの試合を教えてください。



僕はマサチューセッツ州にある大学院に通っていたので、自動的にボストン・レッドソックス・ファンになりました(笑)。
2013年にレッドソックスがワールドシリーズで優勝した試合を 運よく観に行っていたのですが、球場全体が 試合開始時点から爆発するような雰囲気があり、忘れられません。
好きとは違う感覚かもしれませんが、やはりジータは凄い選手でした。


自らフットボールをプレーされる鈴木さんですが、そのトレーニングのルーティーンと、
日頃の食生活、試合前の食事などで気をつけていること があれば教えてください。



もういい歳ですので、体を鍛える、というよりは 怪我をしないためのメンテナンスをしている感じです。 具体的には、週に1〜2回会社の近くのジムに行って、ストレッチしたり、体幹や肩のインナー・マッスルを鍛えています。
食事は、基礎代謝が落ちてきたので、食べ過ぎないようにしています(笑)。


ビジネス、もしくはプライベートで よく足を運ぶNYのレストランは?



クライアントがいらした際は、たいがい「美味しいステーキが食べたい」と言われるので、ミッドタウンにある Del Frisco's / デル・フリスコスに良く行きます。 ピーター・ルーガーなどの有名店より日本人の舌にあっていると思います。 ここのフィレミニョンをレア・ワームで食べると絶品です。
あとは、Shake Shack / シェイク・シャックのハンバーガーでしょうか。シーフードならDocks / ドックスに良くお連れします。


2020年東京オリンピックのスポンサー企業のコンサルタントをされている鈴木さんですが、
スポーツ・イベントのスポンサーシップにおける日本企業とアメリカ企業の取り組みの違いは?



一言で言えば、「メディア・ドリブン」の日本と「イシュー・ドリブン」のアメリカと言えると思います。 日本企業は基本的に露出機会を買う感覚でスポンサーになりますが、米国企業は自身の抱える経営課題を解決するツールとしてスポーツを露出以外の様々な用途でも活用します。


将来、鈴木さんのようなスポーツ・マーケティング/コンサルタントの世界に
進もうと考えている方たちへのアドバイスをお願いします



スポーツ・ビジネスは一見華やかに見える業界ですので、多くの人が「一刻も早く業界に入る」ことを考えているように思います。 ただし、タダでもいいから働きたいという人が多い分、未熟な産業でもあるので、「業界に入ってどのように活躍するか」を考えた方が良いと思います。 スポーツ以外の業界でビジネスパーソンとしての基礎を固め、武器を作ってから業界に入って来ることをお勧めします。


編集後記
鈴木さんには、このコーナーの第3回目に登場して下さった堀古英司さんのご紹介で、 お会いしました。 私はかなりのスポーツ好きを自負していますが、そんなスポーツ・ファンにとっては 鈴木さんほどお話していて楽しい方は居ないという感じで、 この記事のために1時間予定していたミーティングが大幅に時間オーバーになってしまいました。
このコーナーは10の質問に対するお答えを、Eメールで ご本人の言葉で頂いているのですが、鈴木さんの場合、 質問をお送りしてから、回答が戻ってくるまでの時間は何と30分。 出張の直前でいらしたので、早めにご回答下さったとのことでしたが、このスピードには本当にビックリ! 同コーナーを何回続けても、この記録が破られることは無いと思いますが、 同時に、非常に頭脳明晰な方でいらっしゃることも 改めて良く分かりました。

Yoko Akiyama, Cube New York, Inc.

Will New York 宿泊施設滞在



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