Michelin Guide New York 2007

2007年度ミシュラン NYレストラン & ホテル・ガイド を
ザガット、NYタイムズとの徹底比較





今年で2版目になる2007年版ニューヨーク・レストラン&ホテル・ガイドの発売は、ミシュランのアメリカ・デビューとなった昨年に比べると、 遥かに話題性に乏しく、メディアからのフォーカスも極めて少ない、ひっそりとした発売になっていた。
それよりも、話題を集めていたのは、今年2007年度版がデビューとなるサンフランシスコのミシュラン・ガイドであったけれど、 やはりサンフランシスコの人々にとってのミシュランへの反応も、昨年のニューヨーク版に対するニューヨーカーのリアクション同様、 「どういう基準で選んでいるのかが今ひとつ分からない」というものになっていた。
これに対して、さほど話題に上らなかったニューヨーク版のミシュランについては、一部のレストラン関係者からは、 「一部納得が行かないレーティングはあるものの、昨年よりも遥かにマシ」との声が聞かれる一方で、 「昨年と殆ど変わっていない」という声が圧倒的に多く、 実際に星の数に大きな入れ替わり見られていないのが実情である。







さて、そのミシュランの2007年度のレビューによれば、最高の評価にあたる3つ星レストランは、ニューヨークには今年3軒。 これは昨年の4軒より1軒減っていることになるけれど、その3つ星から抜けたレストランはアラン・デュカスで、 2つ星などに降格されたのではなく、「2007年1月に店舗移転を控えているため評価対象に加えなかった」というのが 星が付かない理由として説明されている。
でもこのことは、昨今「料理の質が落ちている」と指摘されるアラン・デュカスにとってはラッキーと言える計らい。
2006年に入ってからオープンしたル・サーク、ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブションといったレストランについても、 今回は新しすぎてリサーチの時間が取れていないことを理由に対象外となっている。

そのミシュランが2版目のニューヨーク・ガイドで、星を与えたレストランは昨年同様 39店舗。 これは、ミシュランが出版されている都市では、パリに次ぐものであるけれど、今年のミシュラン・ニューヨーク版で着目すべき点は、 イタリアン・シェフ、マリオ・バターリのメガ・レストラン、デル・ポストがオープン後、いきなり2つ星でデビューしていること。 逆に星が剥奪されたレストランとしては デヴィッド・ブーレイがシェフを務めるオーストリアン・レストラン、ダヌーブが2つ星から1つ星に降格になっているのに加えて、日本食のノブ 、 ジャン・ジョルジュで3つ星を獲得しているフレンチ・シェフ、ジャン・ジョルジュ・ヴォングリヒテンの フレンチ・ビストロ、ジョ・ジョ等、6軒が昨年の1つ星を剥奪されて、ノー・スターになっている。

今回のミシュラン・ニューヨーク版でも、 そのリサーチ&編集に当たり、何回レストランを訪問したか、ミシュランを名乗らずに覆面で訪れているか? といった正当な評価基準を測る指針は同ガイドブックには示されていないけれど、 今年もCUBE New Yorkでは昨年同様、ミシュランのガイドブックで星が付いたレストランを ニューヨーカーが最も信頼するニューヨーク・タイムズのレストラン・レビュー、そしてニューヨークのレストランガイドとしては28年の歴史を持つ ザガットのフード得点と比較してご紹介します。
ちなみに、ミシュラン、ニューヨーク・タイムズ、ザガットの評価基準は以下の通りになっています。


・ ミシュラン
シュランの採点は、先述の通り、3つ星が最高で、各星のレイティングが意味する評価は以下の通り。
レビューアーは、各レストランを最高で10回以上訪れているとしているものの、実際には何度レストランで食事をしているか?、最低何回以上の 訪問で採点しているのか?といった評価の規定については、説明されていない。

★★★ : Exceptional Cuisine, worth a special journey(極めて優秀な料理、このために出掛ける価値がある。)
★★ :Excellent Cuisine, worth a detour(優秀な料理、回り道してまで訪ねるに値する)
★:A Very Good Restaurant in its category(そのカテゴリーの中では非常に良いレストラン)


・ニューヨーク・タイムズ
ニューヨーク・タイムズは最高が4つ星で、これはフード、インテリア、サービスを総合評価し、価格と照らし合わせた上で、★の数で評価するもの。 ニューヨーク・タイムズのフード・クリティック (評論家)は、ランチ、ディナー、ブランチ、朝食を出すところは朝食の全てを、身分を明かさず覆面で 食することが義務付けられ、最低4回以上の訪問後にレビューを書くことになっている。その評価内容は以下の通り。

★★★★ : Extraordinary(極めて優秀)
★★★ : Excellent(優秀)
★★ : Very good(非常に良い)
★:Good (良い)
Satisfactry:サティスファクトリー (満足は出来る)

タイムズはこの下に「Poor (お粗末)」といったレイティングも設けてあり、昨年にはオープンして間もない日本食レストラン「ニンジャ」 がNYタイムズによって、「Poor」のレイティングがされ、閉店に追い込まれている。それほどに店の将来を左右するパワーを持つのがニューヨーク・タイムズのレビューである。


・ ザガット
ザガットは、サーヴェイ(調査)に参加するのは一般の人々。フード、デコ(インテリア)、サービスの3つのカテゴリーをそれぞれ30点満点で採点するけれど、下表に掲載しているのはフード部門の得点となっています。



Restaurant 2007
Michelin
ミシュラン
2006
Michelin
ミシュラン
NY Times
NY タイムズ
Zagat Food
ザガット フード得点
Cuisine
Jean Georges / ジャン・ジョルジュ ★★★ ★★★ ★★★★ 27 フレンチ
Le Bernardin / ル・ベルナダン ★★★ ★★★ ★★★★ 28 フレンチ
Per Se / パー・セ ★★★ ★★★ ★★★★ 28 ニュー・アメリカン
Bouley / ブーレー ★★ ★★ ★★★ 28 フレンチ
Daniel / ダニエル ★★ ★★ ★★★★ 28 フレンチ
Del Posto / デル・ポスト ★★ 未オープン ★★★ 27 イタリアン
Masa / マサ ★★ ★★ ★★★★ 27 ジャパニーズ
Annisa / アニッサ ★★ 27 ニュー・アメリカン
Aureole / オリオール ★★ 27 ニュー・アメリカン
A Voce / ア・ヴォーチェ 未オープン ★★ 27 イタリアン
Babbo / バッポ ★★★ 27 イタリアン
Cafe Boulud / カフェ・ブリュー ★★★ 27 フレンチ
Cafe Gray / カフェ・グレイ ★★ 25 ニュー・アメリカン
Country Restaurant / カントリー・レストラン 未オープン ★★★ 27 アメリカン
Craft / クラフト ★★★ 27 ニュー・アメリカン
Cru / クルー ★★★ 25 地中海料理
Danube / ダヌーブ ★★ ★★★ 27 オーストリアン
Devi / デヴィ 未オープン 27
Etats-Unis / エタジュニ ★★ 25 フレンチ
Fiamma Osteria / フィアマ・オステリア ★★★ 24 イタリアン
Fleur de Sel / フルール・デュ・セル ★★ 25 フレンチ
Gotham Bar & Grill / ゴサム・バー&グリル ★★★ 27 ニュー・アメリカン
Gramercy Tavern / グラマシー・タバーン ★★★ 28 ニュー・アメリカン
Jewel Bako / ジュエル・バコ ノー・レビュー 26 ジャパニーズ
Kurumazushi / クルマズシ Zero Star / 星無し ノー・レビュー 27 日本料理
La Goulue / ラ・グールー サティスファクトリー
ゼロ・スター
20 フレンチ・ビストロ
Lever House / リーバー・ハウス ★★ 25 ニュー・アメリカン
The Modern / ザ・モダン ★★ 25 ニュー・アメリカン
Oceana / オシアーナ ★★★ 26 シーフード
Perry Street / ペリー・ストリート 未オープン ★★★ 27 フレンチ
Peter Luger / ピーター・ルーガー ★★★ 28 ステーキ・ハウス
Picholine / ピショリーン ★★★ 27 フレンチ
Saul / ソール ノー・レビュー 26 フレンチ
Spotted Pig / スポッテッド・ピッグ ノー・レビュー 21 ガストロパブ
Sushi of Gari / スシ・オブ・ガリ 21 日本料理
Veritas / ヴェリタス ★★★ 27 ニュー・アメリカン
Vong / ヴォング ★★★ 23 タイ・フュージョン
Wallse / ワラス ★★ 26 オーストラリアン
WD-50 / WD フィフティ ★★ 24 ニュー・アメリカン
No Star に 降 格 した レ ス ト ラ ン
Alain Ducasse / アラン・デュカス
* 近く店舗移転を予定しているため対象外
ノー・エントリー ★★★ ★★★ 27 フレンチ
Jo Jo / ジョ・ジョ No Star / 星無し ★★★ 25 ニュー・アメリカン
Lo Scalco / ロ・スカルコ No Star / 星無し ノー・レビュー 26 イタリアン
March / マーチ No Star / 星無し ★★★ 26 ニュー・アメリカンn
Nobu / ノブ No Star / 星無し ★★★ 28 ジャパニーズ
BLT Fish / ビーエルティ・フィッシュ No Star / 星無し ★★★ 22 シーフード
Scalini Fedeli / スカリーニ・フェデーリ No Star / 星無し 26 イタリアン



一部の関係者の間では、今年のザガットで評価されるべき点は、「ロケーションの間違いなど、基本的なミスが殆ど無くなったこと」 などと指摘されているけれど、これはミシュランがガイド・ブックを名乗っていることを思えば皮肉にも取れる褒め言葉。
それほどに、ニューヨーカーにとって のミシュランとは ”よそ者による評価 ” というイメージが強いものであるけれど、 逆にメディアがレストランについて記事を書く際、ミシュランの星の数を引用することがあるのは、 ニューヨーカーではない ヨーロッパのメディアの評価基準した情報として活用する際。
ニューヨーカーにとっては 2年目を迎えた今年もミシュランの星の数がレストランを選ぶ基準になるとは考え難いけれど、 「星を取れば、ミシュラン信仰の厚いヨーロッパや日本からの旅行者の来店が望める」 というのは、 ニューヨークのレストランターやシェフの間では共通した認識になっているのは、紛れもない事実である。