Jan. Week 3 2018
★ "My Husband Said..."
"二言目には「主人が」と言って 自己主張や脅しを掛けてくる友達"



秋山さま
毎日ウェブサイトをチェックさせて頂いています。 以前からこのコーナーにご相談してみたいと思っていたのですが、ついに私も 秋山さまにメールを出す決心をいたしました。よろしくお願いします。

私の友達のグループに、二言目には「主人が」と言って自己主張する人が居ます。 その人をAさんとすると、決め事をする時には「主人がこうした方が良いって言うから」とか、 「こうすると主人に反対されるから」などと言ってきますし、物事を断る時にも「主人にダメって言われた」と断わります。 一度、Aさんと ちょっとしたことで こじれた事があったのですが、その時のAさんの 私と友達への 捨て台詞が「主人に話してから お返事させて頂きます」というもので、 まるで子供が「学校の先生に言いつけてやる!」と言っているような勢いでした。 その時は一緒に居た友達と唖然とした後、笑い出してしまいましたが、Aさんはそれが私たちへの脅しのように思っていたみたいで、 まるで後からAさんのご主人が怒鳴り込んで来るか、訴えてくるかのような言い分でした。

一体どんなご主人なのかと興味津々でいたところ、少し前にある集まりにAさんがご主人と同伴で来ていて、 初めてご挨拶をしました。Aさんのご主人は口煩い人かと思ったら、無口で 細かいことなど気にしないような感じの人でした。 あまり社交的ではなくて、Aさんが席を外している時に1人で退屈そうだったので、気を遣って声を掛けましたが、 その時に Aさんが「主人が嫌いだから」と断ったものについて「XXX、お嫌いなんですよね」と言ったところ、 変な顔をされて、「いや、そんなことないです。むしろ好きなくらいです」と言われました。
それで別のことで「主人がこう言っている」とAさんが言っていたことについてもさり気なく訊いてみたところ、 何を言われているか分からないという感じの返事が返ってきて、Aさんが「主人が」と二言目に言っては、言い訳に利用しているだけということが判明しました。

知り合いにこの話をしたら、その人の友達にも Aさんのように 都合が悪い時の言い訳に すぐに 「主人が、主人が」と言う人が居ると言っていて、 その知り合いとは 「そういうことを言う人は、人のせいにして責任を取りたくない人」という意見で一致しましたし、 知り合いの友達も Aさんのように  友達グループの中で あまりよく言われていない人でした。
そういう人達は、自分に自信が無いからそういう態度になるのでしょうか。 秋山さんはこういう人達をどう思われますか? 私の知り合いは、 「主人が」を連発する友達に 執念深い意地悪をされたことがあると言っていましたが、 私もそういう被害に注意するべきなのでしょうか?

男性でも、「うちの奥さんに怒られる」っていう人も時々いますが、そういう時は本当にそんなことをしたら怒られるだろうなと思うようなことなので、 これは妻だけが使う言い訳のような気がします。 下らない質問のように聞こえたら失礼なのですが、実は私たちのグループの中では、 Aさんのことが かなりのストレスになり始めているので、何か精神面での解決策になるようなお知恵や、アドバイスがいただけたらと思います。
これからもキューブさんのウェブサイトのご繁栄と、秋山さまのご活躍をお祈りしています。

- F -





Fさんがメールに書いていらした通り、本当は自分の意思や考え、もしくは都合であっても 「主人が」と、 まるで第三者の意思に従わざるを得ないような言い訳をする人というのは、 人のせいにして責任を取りたくない人ですし、自分に自信が無い人 というのも正しい分析だと思います。
そして私の目からは、その背景にAさんの男性観の影響が強く感じられます。

例えば、私はニューヨーク生活が長いですが、精神的にも経済的にも自立した女性が多いニューヨークでは、 日本人以外で 「主人が」という台詞を言い訳や、主張に使う例に遭遇したことはありません。 その理由は、アメリカにおいて 男女平等の意識が 日本よりずっと浸透しているからだと私は見ています。 もちろん、同じアメリカでも南部や中西部は 日本よりずっと保守的なので、そういったキリスト教保守派系の人々間では今も男性上位の意識が健在ですが、 一般的にはアメリカ人女性は、相手が夫だから、もしくは 男性だからという理由では オーソリティを与えることはありません。
もちろん これが上司やクライアント、もしくはキャリア面で 自分より地位が高く、自分に力を及ぼす立場の男性であれば、 また話は別ですが、それは上司やクライアントが女性の場合も然りなので、男性だからではありません。

おそらく、Aさんのように二言目には「主人が」と言う女性は、亭主関白な家庭で育ち、 母親が同じように 二言目には「主人が」と言う姿を見ながら育っているものと思いますし、 子供心にも、母親がそれを体裁の良い言い訳に使っていた様子を認識していたはずです。
そういう女性は 男性上位の潜在意識を持っていますので、女性の店員にはガミガミ文句を言っても、 男性スタッフが対応した途端に態度を軟化させたり、落ち着いたりするケースは少なくありません。 女性に言われると腹が立つことでも、男性に言われると素直に聞いたりするのもこのタイプです。
こうした女性は 自分では意識していなくても、男性の権限を認める一方で、 子供が怖い父親にビクビクするような 恐れも同時に抱いているケースも少なくありません。 だからこそ 問題が起こった際に、女性には食って掛かって怒りをぶつけても、男性が出てきた途端に 状況は全く変わっていないにも関わらず、 態度を軟化させて、争いを回避しようとするものなのです。
そして自分が男性に対して感じる権限や 恐れを 他の女性も同じように抱いていると 勘違いしがちですので、「主人に話してから お返事させて頂きます」というのは、  Aさんにとっては 脅しのつもりで言っている捨て台詞なのです。

Fさんがご指摘のように、Aさんのようなタイプは 自分にあまり自信が無いので、 自分より上の人間のパワーを使って自己主張をしようとします。 Aさんにとっては 自分と友達は同等であっても、ご主人は自分達よりも 一段上に位置する存在ですので、 そのご主人の言うことは、自分だけでなく 自分の交友関係も受け入れざるを得ないはずという意識を持っています。 こうした様子は裕福な権力者を父親に持つ御曹司の態度にも通じるものですが、 このケースではFさんを始めとするグループのお友達にとって、Aさんのご主人が全く影響力を持たないということを Aさんが理解していないことが、Fさんとお友達のストレスになっているものと思われます。

Aさんが「主人が」と言って言い訳や 主張 をする場合、それが取りあえず通るケースが多いのは、 周囲が それをAさんとご主人の間の問題と 解釈して、自分達の価値観と切り離すためです。 決断が面倒であったり、何に決まっても誰も文句を言わないようなことでは、「主人が…」という主張が通りますし、 ドタキャンをする場合でも「主人が…」と言えば、内心はどうあれ とりあえず受け入れるのが交友関係というものです。
でもそれを続けることによって お友達グループの中におけるAさんは、 第三者の都合や意見を持ち出してくる扱いにくい存在、自分達と同じルールで行動が出来ない人間と見なされるようになります。 ですので、このタイプの女性がグループで好ましくない存在になるのは当然のシナリオです。

また、このように第三者の存在を使って主張をする人というのは、 匿名で嫌がらせをするような陰湿さを持ち合わせているケースさえあります。 それが自分だとバレない状況においては 本音や本性を見せる人は、 インターネット上で匿名の中傷的な書き込みをしたり、サイバー虐めをしたり、 税務署に密告をする等の嫌がらせ行為をすることは珍しくないのです。

私の考えでは、自分の主張として自分の意見を言わない人というのは 信頼に値しませんし、 信頼に値しない人と 良い交友関係を築くのは不可能と言えます。 ですので、Aさんのような女性と 関わってしまった場合は、徐々に相手に悟られないようにフェイドアウトしていって、 距離を置くのが一番です。 このタイプは詮索好きが多いので、急に距離を置くと Fさんが自分の悪口を言っているとか、 別のお友達と疎遠になった理由もFさんにあるなどと、勝手な疑いを掛けられるケースがありますし、 詮索好きな人ほど 思い込みも激しいので、それが事実無根であっても そうと決めつけて嫌悪感を露わにすることさえあるものです。

我慢したり、文句を言いながら 付き合わなければならない交友関係というのは、ストレスになるだけでなく それを断ち切る努力をしなかったツケが 必ず巡ってくるものです。 これがティーンエイジャーなど若い時代であれば、誰もが経験不足の成長段階なので、 お互いの不完全さを許し合ったり、相手の態度や言動に抗議をしたり、時に仲たがいをしたりしながらも、 交友関係を続けていくうちにお互いが人間として向上しますが、一度大人になってからは人間はそう簡単に変わったり、成長することはありません。 人間関係のストレスが多い人ほど、大人になってからも 成長段階と同じような人付き合い続けているものですが、 大人になったらば 大人の人付き合いをしていかなければ、大人としての義務やタスクをこなしていくことは出来ません。
多くの人々にとって 学生時代の友達が特別な場合が多いのは、そうした自分達の不完全さを許し合ったり、問題を克服して 一緒に育った時期があること、そして大人になってからは そういう人間関係に巡り合うことが もう無いと悟っているからです。

大人の人付き合いにおいて、自分にストレスをもたらす人と知り合ってしまうのは仕方がないことですが、 その問題を自覚しつつ放置するのは、体調が悪いのに 病院に行って検査や治療をしない事と同じです。 「多少ストレスになっても、こんな事が自分の人生には影響することはない」と、問題を軽視していたら、 知らず知らずのうちに それが悪化したり、同じような問題を幾つも抱えるようになりますので、やがてはそれらに押し潰されてしまうこともなりかねません。
Fさんは既に的確な分析力をお持ちでいらっしゃるので、 これを機会に今回のお友達のことだけでなく、 ご自身の生活全般を改めて こうした見地から見直して頂けたらと思う次第です。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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