Feb. Week 2 2018
★ "I Don't Want to be Your Valentine"
"ヴァレンタイン・デイの失敗、そんな致命的な事とは…"



秋山様
このコーナーのファンの男性で、アメリカ在住です。
渡米したのは2年くらい前のことです。直ぐにアジア系アメリカ人の彼女が出来たんですが、 こっちのバレンタインの習慣を知らなかったんで、付き合い始めて初めてのバレンタイン・デーも 「相手からチョコレートがもらえる日」くらいにしか思ってませんでした。
それで、バレンタイン・デーに彼女とデートした時に「あれ、チョコレートくれないの?」と、冗談で言ってしまったんですが、 それが凄く頭に来たみたいでした。 でもその時は、彼女が自分にどれだけ腹を立てているかなんて分かりませんでした。
その後しばらく連絡が来なくなって、どうしたのかと思ったら、次に会った時に泣きながら 「こんな酷い扱いをしたボーイフレンドは未だかつていなかった」と抗議されました。
せっかくオシャレしてバレンタインのデートにやってきたのに、予約もしていないベトナム・レストランに連れて行って、 何かサプライズがあるのかと思って我慢していたけれど、最後にチョコレートをくれないって文句を言った」と怒られて、 前のボーイフレンドはバラの花束をくれたとか、 友達のボーイフレンドは高いレストランに連れて行ったりしてるとか、そんな話をさんざん聞かされました。 日本と習慣が違うことは説明したんですが、全然ダメでした。
それがよほど嫌だったみたいで、彼女とはそれっきりになっちゃいました。 こっちがショックだったのは、そんな事で別れたいと思うほど  どうでも良い相手だったのかってことでしたが、 それが何となく引っかかってしまって、そのせいで奥手になったような気がしています。

秋山さんにお尋ねしたいのは、アメリカの女性にとってバレンタインがそんなに大切なものなのか?ということと、 もししくじった時に、どうするべきなのかという事です。 さすがに、失敗のお陰で アメリカのバレンタイン・デーに男が何をしなきゃならないかは学びましたが、 相手の期待に沿えなかった場合とか、友達の彼氏と比較されて見劣りした時とかに、 どうやって言い訳するべきなんでしょうか?
こういう事はやはり女性に訊かないとダメだと思うので、是非教えて下さい。 よろしくお願いします。

-T -





欧米のヴァレンタインは、Tさんが学んだ通り 日本とは全く逆で 男性側が女性に対して張り切ってプレゼントをする日であると同時に、 一年中で最もプロポーズする男性が多い日でもあります。
ですので、Tさんがアメリカに来て初めて迎えたヴァレンタインで、それを理解していなくて失敗をしてしまったのは理解が出来るのですが、 私の意見では それ以外にもTさんが幾つかミスを犯しているように思われました。

まず1つ目は、Tさんがヴァレンタイン・デイに 日頃よりもオシャレをしてやってきた彼女 と 自分との温度の違いに気付かなかったという事です。 彼女がファッションに気遣って現れたのに、Tさんは褒めてあげなかったのでしょうか? 彼女が腹を立てて抗議するほど オシャレをして現れたのに、そんな彼女を連れて何故ヴェトナミーズ・レストランに行ったのでしょう? もちろんヴェトナミーズ・レストランにもスタイリッシュなお店はあるかと思いますが、もしTさんが彼女をそんなお店に連れて行っていたら 彼女は文句を言わなかったはずです。 レストランを予約していた訳ではないのですから、ファッショナブルに現われた彼女を連れて、 あえて 彼女を失望させるようなレストランに連れて行ってしまったのは、Tさんが彼女の様子にさほど気を配っていなかったものと見受けられてしまいます。

またいくらアメリカのヴァレンタインの習慣を知らなかったと言っても、アメリカ社会においてヴァレンタインは商業的なマーケティングが絡む日なので、 普通に街中を歩いているだけで 嫌でもどんな日かを悟らされるのが実情です。 そんな街中の様子や、広告などから 彼女にプレゼントをしたり、特別なディナー等に連れて行ってあげるべき ということに気付かなかったでしょうか?

後日彼女が抗議をしてきた時に、日本と習慣が違うことは説明されたようでしたが、その時に彼女を失望させてしまったことについて謝ったでしょうか? もし ただ説明しただけなのであれば、彼女にとっては 単なる言い訳にしか聞こえなかったように私は判断します。
そんな明らかに気分を害していた彼女に対して、Tさんは何等かのダメージ・コントロール、例えばバラの花束やチョコレートを贈る等、 反省しているジェスチャーを見せたでしょうか? 見せていない場合は、どうしてそれをしようとしなかったのでしょうか?
私の目からは、Tさんのヴァレンタインの失敗談は、欧米のヴァレンタインについて知識が無かったというよりも、 彼女に対する気遣い不足、彼女とのコミュニケ―ション不足が原因だったようにしか映らないのが正直なところです。

女性というのは、どんなに腹を立てても 好きな男性が思いやりや誠意を見せるだけで、あっさり気を取り直すくらいに ある意味では短絡的な生き物なのです。 ですから どんな不器用な男性でも 定期的に心遣いや誠意を見せていれば、自分を本当に思ってくれている女性の気持ちを繋ぎ留めることが出来るのです。 でも、男性がそれさえもしない、出来ない場合には、女性がやがて去って行っても自業自得としか言いようがありません。 自分の気持ちや、愛情が報われなければ、女性が見切りをつけるのは当然の事です。
私の個人的な意見では、男性に対して報われない愛情を注ぎ続けることほど 女性にとって惨めなものはありません。 どんなに気持ちを切り替えたり、自分を励ましたりしながら男性に愛情を注いで、男性に良かれと思って尽くしても、 それが報われない場合、すなわち常に簡単な感謝の言葉で片づけられたり、男性がそれさえも言わずに当たり前と思っている場合は、 その不満や不服が どんどん積み重なって、ある日突然爆発して、元の鞘に戻れなくなることは珍しくありません。

特にヴァレンタイン・デイのようなオケージョンは、欧米では世の中の男性の殆どが 妻や恋人、愛人のために ギフトを送ったり、特別なディナーやシアター・パフォーマンスに連れて行ったりと愛情を示す日ですので、 自分の境遇を 周囲の女性と比較してしまうのは当然の成り行きですし、 自分の過去を振り返って「元彼の方がずっとマシだった」と考えて 虚しくなったとしても不思議ではありません。

仕事が非常に忙しい男性の中には、そうした伴侶やガールフレンドへの配慮出来ない人、クリスマスやバースデー、ヴァレンタイン、アニヴァーサリー(記念日)といった日に、 世の中の他の男性がどうしているかについて、全く無関心に生きている人は少なくありません。 そういう男性に対しては、女性側はたとえ事情を理解していたとしても やはり何等かの不満や寂しい気持ちを抱いているものですし、 たとえ表面的だけでも愛情表現をしてくれる男性の方が、本当に愛情を注いでいても全くそれを示そうとしない男性よりも 心を満たしてくれる場合は多いのです。

ですから女性に愛情を注いで欲しい思う場合は、「こんな事をしたところで 相手の気持ちがどうこうなるはずがない」と 思うような些細な事でも、相手に誠意や心遣いが少しでも示せるのであれば 何でもするべきですし、 自分が寂しい思いをしたくなかったら、彼女に対しても寂しい思いをさせるべきではないのです。

このことは恋愛関係だけでなく、人付き合い全般にも言えることです。 友達でいたければ、友達として相手を大切にするべきですし、師弟関係を含む上下関係においても、それぞれの立場から相手を尊重するべきなのです。
ですから Tさんのヴァレンタインの失敗を繰り返さないようにするには、まずはTさんの人に対する接し方の全般を 今一度見直してみることをお薦めする次第です。 加えて周囲をよく観察することも大切です。そうすれば女性に愛される男性というのは、 それなりの努力、気遣い、思いやりを示していることに気付くことと思います。それが出来るか 出来ないかで、 男性の人生は大きく変わるというのが私の意見です。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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