Feb. Week 3, 2019
★ " My Heart is Still Broken "
浮気した彼との別れに未だ傷ついています


秋山曜子様
初めまして。一年ほど前の女性誌をきっかけに、こちらのコーナーを拝読しております。 どの相談に対しても、親身に、時には厳しくも、愛のあるアドバイスをされており、私も長い間抱えている悩みをご相談させて頂きたいと思いました。

私は昨年春に約8年間お付き合いした彼から振られました。学生時代からお付き合いを始め、就職して私は東京、彼は地方になりましたが 遠距離で数ヶ月に一度しか会えない状況になっても関係を続けておりました。やがて私の海外駐在が決まりましたが、 彼からは「日本で待っている。君が海外で頑張っている間、自分も人間を磨いておく。帰国したら結婚しよう」と言ってもらい、 私も海外での慣れない生活を頑張っておりました。彼の存在があったからこそ海外駐在生活を乗り越えられたと思っています。 それほど自分の中での彼の存在は大きく、心の拠り所にしておりました。
しかしそろそろ私の帰国が見え出した2年前の夏頃から彼のメールやスカイプでの態度が冷たく よそよそしく感じ、 思い切って聞いてみると、「君に対する気持ちが薄まってきた。けれど これは自分自身の問題だから」と言われました。 私はこの言葉に不安でたまらなくなり、一ヶ月で8キロも体重が減るほどの心労を負ってしまいました。 晴れて昨年春に帰国し、ようやく彼の傍にいられると思った矢先、彼が職場の女性と浮気をしていることが判明しました。 分かった途端、彼からは「俺がこういう人間だって分かっただろう」とほぼ逆ギレの状態で突き放され、「一度会って話がしたい」と言ったものの、そのまま音信不通となりました。 この時ほど人生の中で泣き続け、どん底の悲しみを味わったことはありません。

それでもこの状況を支えてくれた両親や友達の優しさや愛情を感じ、「私はこういった素敵な人に囲まれている」というプラス面を考えるようになったと同時に、 浮気でも良いから彼と付き合いたいと寄ってきた女性を選ぶ彼のレベルの低さを思って、 「そんなレベルの低い彼と結婚しなくて良かった」、「自分にはもっと相応しい男性がいるはず」とも思うようにもなりました。 そうこうしているうちに約一年が経ちましたが、未だに彼と浮気相手の女性が夢に出てきたり、 彼や彼女のSNSを見ては落ち込んでしまいます。「付き合い続けなくて良かった」、「私はあんな低俗な人間ではない」と思う一方で、 「どうして自分がこんな目に遭わなければならないのか」、「何時になったら彼から受けた仕打ちを忘れることができるのだろう」と悩んでいます。 また私がこんなにも苦しんでいるのに、のうのうと生きている彼や彼女に対して怒りや恨みといった負の感情もどうしても抑えることができません。
秋山様より、上記の状況に対してどういった考えをしたら良いのか等アドバイスを頂きたいと思っております。よろしくお願い致します。

- E -



口約束と遠距離恋愛は ”ハウス・オブ・カード”です


Eさんのメールを最初に読んだ私のリアクションは、「私は恋愛の不毛地帯、ニューヨークに長く住み過ぎてしまったのでは?」という自問自答でした。 というのもニューヨークでは 男性でも女性でも 「遠距離恋愛の交際相手が居る」と聞けば「相手がフリー」と思うだけで、 遠くに居る交際相手のことはカウントしません。「今は誰ともシリアスに付き合っていない」と考えるのが普通です。 それほど遠距離恋愛というものは「お互いに目の前に恋愛対象が居ない時には続くものの、 誰か傍に気になる相手が出現した途端に崩れ始める」というのが一般常識としてまかり通っているのです。 どんなに遠距離恋愛の相手と一緒に過ごした時間が長くても、どんなに楽しい思い出が沢山あったとしても、 目の前に現れた相手とのケミストリーや 相手の視線を感じる刺激、その存在を肌身で感じられることは、距離が離れた愛情を無力にしてしまうパワーがあるのです。

Eさんと彼の関係は、20代という最も恋愛とキャリアに翻弄される時期の5年、もしくは6年を遠距離恋愛で繋いできたものと思われますが、 私の目からはその関係自体に無理があったように思います。 20代にそれだけ長い遠距離恋愛をしていた場合、他の誰かとの出会いや ふと抱いた恋心 を 全て ”浮気” という不道徳な裏切り行為と捉えて 恋愛を避ける体質が身につく一方で、 自由に恋愛を楽しむ周囲を時に羨ましく思いながらも 「私には心に決めた相手が居る」と言い聞かせて、自分を納得させたり 満足させていたものと思います。
それは決して悪い事ではありませんが、そんな防護壁をあっさり破って入ってくる人物が現れた場合には、前述の通りパワーを失うのが遠距離恋愛です。 往々にしてそんな防護壁を簡単に破れるのは価値観が全く異なる相手です。 すなわち「どうして遠くに居る相手に縛られるのか分からない」、「人生は一度きりなのだから、目の前の恋愛を楽しむべき」という相手が現れた場合、 更にはその相手が自分のそれまでの価値観から解き放ってくれるような 強さや自由奔放さを持っていた場合には尚のこと 強く惹かれますし、その反動で遠距離の関係を重荷に感じるようになるものです。

Eさんとて海外赴任中に Eさんに夢中になるハンサムでサクセスフルな男性が現れて、彼に毎日のようにチヤホヤされていた場合には、 最初は遠距離の彼に義理立てして取り合わなくても、徐々に目の前の相手が好きになっていくのは当然のシナリオです。 そうなっていた場合には、Eさんの方が彼への気持ちが冷めたことを告白して「これは私の問題だから」とスカイプで言い放っていたと思いますし、 おそらく帰国など待たずして その心変わりが理解できない彼と スッパリ別れるために 逆切れを装っていたかと思います。 すなわち恋愛というのはそういうものなのです。
加害者と被害者が居る訳ではなく、自分の目の前に現れた人物に対して自分の気持ちに忠実に振舞った結果、人を傷つけたり、 人に傷つけられたりするのです。もちろん自分の気持ちに忠実になれなくて、人を傷つけたり、自分を傷つけることもあります。 さらに恋愛は先着順ではありません。数を重ねることによって知恵もついてきます。 相手が好きなだけでは一緒にやっていけないのを悟るのもこの段階です。 その結果、女性も男性も自分をより幸せに導く相手を探します。 経済力やルックスで新しい相手に乗り換えるケースもあれば、相手の存在が新鮮で 自分を変えてくれることを期待して一緒になろうとするケースもあります。 そうかと思えば恋愛自体が面倒になったり、そんな時間や精神力を恋愛に使いたくないという人も居ます。 現代社会では恋愛よりもキャリアや人生設計を優先させて、恋愛や結婚に重きを置かない人が増えていますが、 自分の人生における恋愛のポジションを理解した上で それに従った生き方をするのも また恋愛への取り組みなのです。

その一方で口約束、特に「XXXXしたら」という条件設定が伴う「結婚しよう」というフレーズほど 女性が真に受けてはいけないものはありません。 「仕事が軌道に乗ったら結婚しよう」、「今の状況が一段落したら結婚しよう」というセンテンスは、世の中の多くの女性が聞いてきたものだと思います。 しかしながらこのセンテンスは「今は結婚できない」、「今は結婚には早い」という意味であって婚約ではありません。 言っている側は特に年齢が若いうちは本当に相手を好きで、将来を一緒に考えて言っていることと思いますが、 「結婚するまでに未だ時間がある」と思っているからこそ言うのがこの台詞です。 結婚に限らず「XXXXしたらXXXしよう!」という台詞は、心の準備が出来ていない状況を意味するもので、 深く状況を考えていない人が言うものです。
この時に言われた側が「だったらこの時点で婚約しましょう!」と言えば、一時的に婚約が成立することはあっても必ずその関係は崩れます。 というのは婚約に伴うエンゲージメント・リングの出費や相手の家族への挨拶と報告、その際に尋ねられると思しき将来設計や仕事の展望、 その後に控えている結婚とその費用、新居の準備といった出費やリスクを実際に突き付けられて、初めて自分にそんな準備が出来ていないことを悟るからです。 そこまで真剣に考えている人ならば、条件設定など無しに「結婚は先でも、今婚約しよう」と言うものです。
人間というのはコミットするリスクが無い場合には、簡単に口約束をする生き物ですし、それを守る努力をしないケースも珍しくありません。 要するに口約束というのは たとえ深い付き合いの間で交わされたものでも その程度のものなのです。 遠距離恋愛と同様 ”ハウス・オブ・カード”、すなわち本来崩れてしかるべきものと考えるべきなのです。

恋愛に勝つのは自立した女性です


私の率直な意見では、Eさんの状況は 彼が悪いとか裏切ったというよりも 人生において、特に20代の恋愛において ありがちな事態が起こるべくして起こったというものです。 ですので彼についてどうこう考えたり、相手の女性との関係を蔑むよりも、 Eさんに取り組んで頂きたいのは、もっと自分を本当の意味で評価して、自分が持っている資質を理解して それを武器に生きる姿勢を身につけることです。
Eさんが海外赴任の大変な時期を乗り越えたのは彼の存在があったからではありません。 Eさんに実力や精神力があったからです。 もしEさんが遠距離恋愛の相手など居ない状態で海外赴任をしていた場合でも同じように仕事をして、同じように頑張ったはずです。 彼の存在は言わば ポケットに入れているラッキー・チャームのようなものだったのです。もちろんそれを失くした途端に 不安でたまらなくなる人、自分が自分ではなくなってしまう人は少なくありません。 何かに頼る気落ちが強い人ほど 「実は自分にそれが無くても同じパフォーマンスが出来た」 と悟るまでに時間が掛かりますし、 それに気づくまで別の人物やお守りを見つけてはそれに頼ろうとします。 ですが「頼る」、「すがる」という姿勢は男性に捨てられるフォーミュラと思ってください。

Eさんが海外赴任に限らず、これまで受験や就職を含む全てのチャレンジを乗り越えてきた要因はご自身の実力や 辛抱強さ、人間的な魅力なのです。 もちろん周囲からの愛情やサポートに感謝する気持ちは大切ですが、 自分が一人で頑張れる人間であると考えようとしないのは自立心の欠落を意味します。 そんな状態では、失恋や挫折の度にボロボロになって 恋愛やチャレンジにも臆病になっていくだけです。 Eさんには自分に備わった力や資質をしっかり自覚して頂いて、前回のこのコーナーに書いた”本当の自信”、 すなわち「折れても立ち上がれる強さ、自分自身に負けない信念」をこの機会に身につけて頂きたいと思います。
そんな自分への自信を持って初めて備わるのが人に愛情やサポートを注ぐ姿勢です。 「誰かに支えて欲しい」、「誰かの愛情が必要」と思って自分がグラグラしているうちは 本当の意味で相手に愛情を注いだり、相手を支えることはできません。 男性も 賢く、現実的であればあるほど 20代半ばを前後して 「自分が一方的にリードする、支える、守る」関係が 辛いことや、実は女性が強い生き物であることを理解してきますので、 人生のパートナーとして自分を励ましてくれる活き活きした女性を求めるようになります。 女性がその役割を果たすには、「男性の愛情に頼りたい、甘えたい」という状態では務まらないのです。

長続きする男女関係においては、必ずと言って良いほど男性側が「相手が居ないと自分は生きられない」と考えているだけでなく、 女性側も「この人は自分が居ないと生きられない」と考えているものです。 逆に女性が「相手が居ないと自分は生きられない」と考えて、男性側も「相手は自分が居ないと生きられない」と思っている関係は、 女性がよほどの富豪で、男性がお金目当てでもない限りは必ず終焉します。
女性には母性本能というものが備わっているので、子供を愛して守るような愛情とサポートを相手に注ぐことは苦になりませんし、 それこそが男性が求めている愛情です。 ですがその逆は 男性にとって女性が重荷に感じられるだけで、束縛感を覚えるようになります。 ココ・シャネルの語録に「男性が子供だと分かったら、(男性の)全てを理解したということ」というものがありますが、 まさにその通りなのです。 男性と上手くやっていこうと思ったら、男性を子供だと思って付き合うべきなのです。
子供は褒められたり おだてられるのが好き、構ってもらうのが好き、活き活きした面白い人やカラフルなビジュアルが好き、 退屈が嫌い、複雑で面倒なことが嫌い、ガミガミ怒られるのが嫌い、自分の興味があることを学ぶのは好き、楽しい時に邪魔をされるのが嫌い、 正しいことをして評価されるのが好き、それを人前で言ってもらうのが好き、勝つことや賞品&トロフィーが好き、 そして自分に対して常に変わらない愛情が注がれていると感じることが精神基盤として必要なのです。
私は女性というものは子供を産んでも、産まなくても母性本能によって何等かの形で母のように生きるのがバイオロジカル・デスティニーだと考えています。 ですから女性が男性に対して母のように守ったり、支えたり、愛情を注ぐ関係は自然だと思いますし、 女性がその見返りを男性から受け取ることによってバランスが取れるのが男女間なのです。

シニカルで現実的な事を沢山書いてしまいましたが、それが世の中というもので、 そんな中で生きているからこそ 本当のロマンスに価値があるのです。 本当のロマンスとは絵に描いたようなロマンスではなく、無理をせずに愛情やサポートが注ぎ合える関係、お互いに自由で 一緒に居るのが自然な関係、 相手のために自分をもっと良くしたいという気持ちになれる関係で、 多くを望まずに幸せになれる関係です。
もしEさんがそれを望むのであれば 彼との別れについても、今後恋愛でどんな思いをしても 被害者意識を持つべきではありません。 全てが自分のレッスンと思って それを踏み台にして 強く、賢く、魅力的な女性になることだけを目指して頂きたいと思います。 それに伴うプロセスこそが人生の展開であることが やがて分かる日が来ると思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




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