Mar. Week 1 2018
★ "Does Motherhood Complete a Woman?"
"女性は子供を産まないと一人前ではないのでしょうか?"



秋山さま、 このコーナーをいつも楽しみにしている長年の読者です。 今日はどうしても秋山さんのアドバイスとご意見をお願いしたくてメールをしています。

私は40歳に差し掛かって、結婚はしていますが子供は居ません。 夫も私も 無理に子供を作らなくても良いという考えで、それは結婚前からお互いに話していたことでした。 夫も私もそれぞれに起業して、お互いに仕事に忙しい身なので 子供を作るということは全く考えずにやってきました。 夫婦の仲は円満で、結婚生活はとても幸せです。こんなに仕事や、私生活など様々な面で私を理解してくれる夫は居ないと思いますし、 お互いにお互いを最高のパートナーだと思っています。
私達の両親は最初は子供を作るように遠回しに圧力を掛けてきましたが、私達夫婦が何を言っても聞かないので 今では何も言いません。主人と私の姉弟がそれぞれ結婚して子供を産んでいるので、既に孫が出来たからかもしれません。

ですが 子供の居る友人には、私達夫婦のような生き方は身勝手で、親になる権利を放棄した半人前のように見えるらしく、 「人生の本当の意義を知らない」、「女性が女性として完成するのは子供を産んで育てるからこそ」などと 言われます。そういう意見には既に慣れたと思っていたのですが、 つい先日、夫婦で久々の海外旅行をしてきてその話をしていた時に、 子育てに追われる知り合いに、蔑むようなことを言われました。
内容は、女性で一番が格が上なのは 自分で産んだ子供を立派に育てながら、仕事もして、母としてキャリア・ウーマンとして 社会に貢献している人で、その次が専業主婦で自分が生んだ子供を育てる母親、 その次が養子や連れ子を育てながら仕事をする母親、4番目が養子や連れ子を育てる専業主婦で、 一番下が子供を産みも育てもしないキャリア・ウーマンで、優れた仕事なら男性でも出来るから、女性としての役割という点では何もしていないというものでした。 そんな階級意識を一方的に押し付けられた私は、その席では黙ってというか、驚いて聞いていましたが、 後から無性に腹が立ってきました。
それ以外にも、「子供を産んでいない人間は年を取ってから、若い世代に支えてもらう権利はない」と言われたこともあります。 ですが私は税金 という点では専業主婦よりずっと世の中に貢献しているつもりです。それに自分の親の世代を支えて来たのですから、 そんなことを言われる筋合いはありません。

私がいつも思うのは、子供を産むっていうのがそんなに偉いことなのか、それで女性として完結するほど凄いことなのかという疑問です。 中には人殺しをしたり、虐めで同級生を自殺に追い込むような子供も居ますから、 子供を産むことが必ずしも社会に貢献することなど無いと思いますし、 子供が居る人が 居ない人を蔑むのもおかしいと思います。
それに、「子供が居なくて幸せ」と思っている私達のような夫婦がそれを言うと、 子供が居る人に 単なる 負け惜しみや、コンプレックスだと 勝手に決めつけられるのもおかしいと思います。 私でさえこんな風に感じるのですから、子供が欲しくて出来ない人には 子供の居る人のそんな態度はとても残酷ように思います。 ですが子供を欲しがっていて出来ない人は、同じ蔑まれる立場でも、同情される立場で、 子供を欲しがりもしない私のようなタイプは 攻撃されることが少なくありません。

秋山さんは、以前のコラムで シングルでお子さんがいらっしゃらないと書いていらしたのを憶えていますが、 ニューヨークでこんな会話に巻き込まれたことはあるでしょうか。 また、子供が居ない女性は女性として完結しないという意見についてどう思われるでしょうか。 今後、こんな会話に巻き込まれたら私はどう対処したら良いでしょうか。
アドバイスを頂けると嬉しいです。 これからも頑張って下さい。

- C -





Cさんがご指摘の通り、私はシングルで 子供も居ない身ですが、 子供を産んで育てている女性というのは 私には出来ないと思うことをやってのけているだけに やはり凄いと思いますし、 私がどんなに強くなろうとしても、”母親の強さ” には敵わないとも思っています。
でも それと ”女性として完結、完成する” というのが どう関連するのかは 正直なところ分かりません。 もし女性が子供を産んで育てるだけで完成、完結するというのであれば、それは「女性が 出産と子育てのために世の中に存在している」と言っていることになるので、 女性に対する侮辱であり、蔑視だと思います。
アメリカでは 人工中絶に反対するキリスト教保守派の人々が、「命の尊さ」と共に 主張するのが そんな ”出産&子育てマシーン” としての女性像です。 「たとえレイプによる妊娠でも、母体に危険がある妊娠でも、中絶は全て違法であるべき」という中絶反対派の主張には、 そうした女性の人権や尊厳 を認めない様子がはっきりと表れていると思います。

ですので 「子供を産んで育てなければ人生の本当の意義が分からない」、「女性が女性として完成するのは子供を産んで育てるからこそ」 という意見は女性の社会地位を低下させる、時代に逆行したプロパガンダのように聞こえますし、 そうした意見を持つ女性が 「自分個人で人生の意義が見い出せない」、「自分という女性像が子供の存在無しには確立できない」様子を表現しているようにも受け取れます。 私は女性というものは、もっとずっと自立した 素晴らしい存在だと思っているので、こういう考え方には賛同出来ません。
もし、子供を産んで育てている母親が こうした偏った意見や考えの持ち主である場合、 その背景には 子供を持たない女性への優越感や階級意識、競争意識がある訳ですが、それらの意識をさらに掘り下げて行くと、 そこにあるのは 常に 不安や不満、ストレスです。 本当に子育ての幸せや充実感を味わっている女性であれば、 自分が不幸だと思う他人と比較しなくても、自分の幸せを自覚している筈です。 また 自分の思い込みではなく、本当に幸せな人であれば、他人を蔑んで 自分の優位をひけらかすような発言は決してしないものです。

今後Cさんが同様の 批判や侮辱を受けた場合は、「その女性が 自分が幸せだと思いたい努力をしているだけ」と思って 同情してあげるべきなのです。 Cさんは お互いに最高のパートナーと言い合えるご主人がいらして、幸せな結婚生活をしているのですから、無理をしなくてもそれが出来るはずです。 またそうした批判や侮辱は、Cさんに「他人の物差しで幸せになる必要の無さ」を実感させてくれますので、 それを反面教師にして、自分らしい生き方や 自分にとっての幸せを追求して頂きたいと思います。

私自身は、ニューヨークという特殊な社会環境の街に暮らしているのに加えて、シングルなので、 子供が居ないということでとやかく言われたことは全くありません。結婚している女性の方が、 家族や親戚から 子供云々の圧力を掛けられることがあるようです。
私は 周囲からは子供嫌いに見えるらしいのですが、実際には その逆で 子供好きなのでこれまで何度驚かれたことか分かりません。 私にしてみると子供の存在は、育てる必要が無いせいか、 人間の本質を学ぶインスピレーションを与えてくれる存在です。実際に子供と一緒に居る時間から様々なことを学びますし、 子供達の頭の良さ、特にティーンエイジャーのシャープさは羨ましいとさえ思っています。

私の周囲には、Cさんの知り合いのように 子供の有無による女性のヒエラルキー論などを語って聞かせてくれるような人は居ませんが、 一度、海外に暮らして育児に追われる女友達に「私がニューヨークに行くよりも、子供が居ないんだから貴方が会いに来て」と言われたことがあって、 自営業者ほど多忙なものは無いと思っている私としては、「子供が居ないというだけで、そんなに時間が自由になると思われるのかな?」と思ったことがあります。
その時に私が友達に言ったのは、「私は人間の子供は産んでいないけれど、法人を産んだから、その子育てで忙しい」という事でした。 事実、私は自分の会社が子供と思って仕事を続けてきました。夜泣きはしなくても、夜中まで ”子供” のために働らかなければなりませんし、 ちょっと手を抜いたり、目を離すと直ぐに業績に響く様子は、子供が非行に走るのと変わりないと思っています。 先進諸国であれば、どの国でも法人は立派に人権を擁していますし、 人間の子供とは違って 生まれた時から立派に税金を支払って来たのですから、”法人の子供” が軽視される理由は何処にもないというのが私の考えです。
Cさんも起業されて、忙しく働いていらっしゃるので、おそらく私と同じような状況では?とお察しする次第です。 女性は誰もが母性本能を持って生まれていますが、その本能を活かす対象は 自分の子供でなくても、会社でも、弟子や生徒でも、ボランティアで面倒を見ている老人や子供達でも、 自分の趣味やライフワークでも構わないのです。 何等かの形で 母性が満たされ、活かされる対象があることが大切だというのが私の意見です。

その私の”子供”である会社は、先週のこのコーナーでお伝えした通り、18歳を迎えて 人間だったら大学に進学する年齢になりました。 それを機にデジタル書籍化したのが、このコーナーで 本日無事に3冊目である「Q&ADV. from New York Vol.3」を出版いたしました。
実はVol.1 と Vol.2 は10日間で編集を行ったので、発売直後にダウンロードされた方は 誤字脱字がありましたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。
既にアップされている改定バージョンで、そのミスが訂正されています。 キンドルは自動のアップデート機能がありますので、新しいバージョンにアップデートされた段階でそれが訂正されます。
またご感想やお祝いのメールやメッセージもありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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