May Week 2 2018
★ "I Was Arrested By Misunderstanding"
元彼の彼女の誤解のせいで 逮捕歴!



初めまして。このコーナーをずっと読んでいます。 アメリカの状況に詳しい秋山さんにご相談したいと思ってメールをしています。よろしくお願いします。

日本で外国人男性と昨年夏まで付き合っていたのですが、彼がアメリカに帰国することになった時にお互いに合意の上で別れました。 ところがひょんなことから、今年から私がアメリカ生活をすることになり、知り合いが居ないので彼にコンタクトしたところ、 いろいろ相談に乗ってくれて、助けになってもくれました。 アメリカに到着してから、彼と1度会ったのですが その時に日本から彼に頼まれて買ってきた物を渡し損ねたので、 彼の家に届けに行ったところ、彼のガールフレンドが居て、彼女に荷物を預けようとしたら いきなりバケツ一杯分くらいの水を掛けられて怒鳴られました。 ビックリした私は その場で泣き出して取り乱してしまったのですが、程なく警察が来て、何故か何も悪い事をしていない私が逮捕されました。
私は未だ英語が堪能でなくて、どうしたら良いのか分からず、警察に連行されて指紋を取られて、持ち物の検査をされて、手続きを待っている間は、 片手に手錠、反対側の手錠が座っている椅子に掛けられているような完全な犯罪者扱いでした。 逮捕されたのが夕方で、裁判所のようなところで罪状認否みたいなことがあって、結局釈放されたのが翌朝で、あんな酷い目に遭ったのは生まれて初めてでした。

後から分かったのが、元彼が日本で付き合っていた別の日本人女性が 彼を追いかけてアメリカにやってきて ストーカーになっていたということで、 そのせいでガールフレンドがパラノイアのようになっていたようでした。
その日本人女性に対して、レストリクション・オーダーを申請しようとしたところ、証拠不足と言われたので、 ストーキングされている記録を残すためにも、女性が現れたら警察にすぐに電話するようにしていたのだそうで、 彼のガールフレンドは、私が日本人なので ストーカー女性だと決めつけたというか・・・、アジア人で外観が似ているので見分けが付かなかったと言い訳していたらしいです。
元彼も、一言私が荷物を届けに行くことを彼女に言っておいてくれたらこんなことにはならなかった思うのですが、 UPSのデリバリーみたいに、私が家の扉の前に置いて行くだけだと思っていたみたいで、全てが私にとって運悪く作用したという感じでした。

そのせいで私には逮捕歴が出来てしまい、就職や結婚でバックグラウンド・チェックをされたら、「その逮捕歴が問題になるのでは?」と友達に言われました。 私は何もしていないのに、逮捕されて、それが逮捕歴になってしまうなんて酷いと思うんですが、 別の友達には、起訴処分になった訳では無いので、逮捕歴を訊かれたら 「I have no criminal record(犯罪歴はありません)」と答えれば良いだけとアドバイスされました。 それでも「Have you ever been arested(逮捕されたことがありますか?)」 と訊かれた場合は、「No」と答えたら ウソ、偽証になるかも・・・と言われてしまい、 つい最近VISAを書き換えた知り合いも、「Have you ever been arested」という項目がVISAの更新の申請書にあったと言われました。

友達には逮捕歴が出来たことで彼のガールフレンドを訴えるように言われていますが、訴えても逮捕歴は消えないので困っています。 こんな場合にどういう風にしたら良いのでしょうか。 何かお知恵があったら、アドバイスをして下さい。 よろしくお願いします。これからも応援しています。

- C -



アメリカにいらして日が浅いのに、大変なことに巻き込まれてしまった状況をお察しします。
アメリカという国では、逮捕という行為は 犯罪の容疑者に対して行われるのはもちろんなのですが、それと共に 事態を収拾するために、それに関わっている人間を警察に連行する手段としても行われます。 例えば、何等かの抗議デモで暴力沙汰になったような場合、直接その暴力行為に関わっていなくても、 その場に居ただけで逮捕されてしまうこともありますし、警察側の誤解や、Cさんのケースのように警察に通報した人間の誤解によって逮捕されてしまう場合もあります。
またメトロ・カードの使い方が分からない旅行者が、地下鉄の改札を通る際に後ろから割り込んで来たことから、 その場に居た警官に無賃乗車の疑いを掛けられ、改札に割り込んで来た旅行者はIDを所持していたのでお咎め無しだったものの、 きちんと自分のメトロカードを使って改札を通っただけ人間がIDを所持していなかった理由で逮捕されて連行されたというエピソードもあります。
数年前には、ジョージ・クルーニーがアフリカの国家に抗議するデモにジャーナリストである父親と共に参加して、逮捕される様子がニュースで大々的に報じられたことがありますが、 逮捕というのは起訴処分ににならない限りは 記録から抹消される出来事ですので、心配する必要はありませんし、犯罪歴が残るようなこともありません。

弁護士の中には、「Have you ever been arested?(逮捕されたことがありますか?)」という質問そのものが違法であるという考えを持つ人は多く、 確かに「Have you ever convicted any crimes?(これまで犯罪で起訴されたことがありますか?)」というのが適切な質問です。 でも、一般の人々はそこまで深く考えずに「Have you ever been arested?」と尋ねることが多い訳ですが、 その場合に 不起訴処分でったものの、逮捕はされているから「Yes」と答えるべきかと言えば実はそうではないのです。
不起訴処分になるというのは、法律上では 逮捕自体が無効になることを意味しますので、 「逮捕されたことはありません」と答えてウソや偽証と見なされることはありません。これはニューヨーク州の法律ではセクション160.5の第二区分で明記されいて、 全米の他の州の法律でも表現は異なっても記載されている事項です。 不起訴処分になった逮捕の情報は、裁判官など特定の公的職業に就く場合を除いては、 自ら提示、申告する必要屋義務は生じません。 ニューヨークについては、不起訴処分となった逮捕の記録は全て消去されるので、バックグラウンド・チェックで 不起訴処分の逮捕歴が問題になることは通常はありません。

ただ気を付けなければならないのは、 例え身に覚えが無い逮捕であっても、その時に過激な言動や抵抗をした場合は、 Resisting Arrest(レジスティング・アレスト/逮捕拒否), Disorderly Conduct(ディスオーダリー・コンダクト/無秩序な行動) という容疑が パッケージで加わるのが常です。 これらの容疑は警官の判断、すなわち気分次第であったりしますし、警官の仕事はその場の事態の収拾であって、 善悪や、状況の真偽の判断ではありませんので、説明や抗議をしても無駄です。 ですからたとえ不適切な逮捕でも、その場では大人しく警官に従う方が賢明です。
特にVISAを更新する必要がある場合、誤った容疑は取り下げられたとしても レジスティング・アレストやディスオーダリー・コンダクトのせいで、 軽犯罪歴が残ってしまうケースが稀にですがあるようです。 そのため、スピード違反のような本来VISAの更新には影響しないような、単なる違反チケットと罰金で済むような事態でも、 警官に反発してしてしまった場合、クリミナル・レコードになる可能性は十分あります。 ニューヨークでは女性が逮捕時に泣いたくらいでは レジスティング・アレストやディスオーダリー・コンダクトにはなりませんが、 地方都市ですと、マイノリティ人種に厳しい警察もありますので注意が必要です。 もちろん、こうした警官の歪んだ判断による容疑は通常は不起訴処分となりますが、こじれると弁護士を雇う必要が出てくるのは事実です。

最後に、Cさんは 何も悪いことをしていないのに、誤解で逮捕されてしまった訳ですが、 だからと言ってそれによる確実な金銭的ダメージを受けた訳ではありませんし、誤解であったとしても 警察への通報自体は違法行為ではありませんので、 Cさんが元彼の彼女を訴えることは出来ません。 もしCさんが逮捕が原因による怪我や病気を患って、それに治療費が掛かった場合はそれを請求する訴えを起こすことは出来ますし、 逮捕のせいで確実に入ってくるはずの収入を逃したという状況であれば、それも訴訟は可能かと思いますが、 よほどの証拠が無い限りは勝算が高い訴訟ではありません。
また訴えを起こす場合、相手に確実に賠償金の支払い能力がない場合は、勝訴を勝ち取っても被告側が個人破産や 他州への移住等で、支払いを逃れた場合、裁判費用の出費が嵩むだけになります。 アメリカで市政府や州政府、大企業、警察を相手取った訴訟が多いのは、これらが賠償金の支払い能力がある上に、支払いを逃れることが出来ないためです。 ですがこれらは多額の裁判費用を持っているので、敏腕弁護士を擁していますし、例え敗訴しても すぐに控訴するので、 そう簡単に賠償金が取れる訳ではありません。
アメリカは訴訟社会ですが、それだけに 誰彼構わず訴えているのではなく、確実に法廷で争う価値がある訴えだけが弁護士に取り合ってもらえる社会です。 弁護士は、訴えが起こせるかのコンサルテーションだけでも1時間500ドルは確実にチャージしますので、 よほどの事が起こらない限りは、人を訴えるというオプションはそうそう簡単に考えるべきではありません。

今回のことは運が悪かったと諦めることも大切ですが、それと同時に逮捕というのはやはり尋常な出来事ではないので、 記録には残らないのですから 心の中の教訓にはしても、お友達に話したり、相談したりは適切ではないように思います。 不運な出来事や、納得が出来ない事は 人に聞いてもらった方が良いもありますが、 こうしたことは、人に話したところで 解決策が得られる訳ではありませんし、かえって逮捕時の屈辱的な思いがぶり返してくるだけになります。 ですので少なくとも 時間が経過して、気持ちが落ち着くまでは、頭で思い出すのは仕方がないとしても、 人に話すのは控えるのが賢明です。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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