Sep Week 3 2018
★ " My Mother Has a Temper "
同居の実母の怒りに振り回される生活をサバイブするには


秋山曜子様。はじめまして。
いつもとても楽しみに拝見させて頂いており、特にこのコーナーは人生の指針になるアドバイスが盛沢山で、何度助けて頂いたか分かりません。 心に残った秋山様のお言葉を手帳に書き記したりと私には本当になくてはならないものとなっています。今後共どうぞ宜しくお願い致します。
今回は実の母の事でどうぞお知恵をお貸し頂けたらと思いメールさせて頂きました。

私は結婚し2人の子供がおります。長女は中学生、次女は小学生です。夫と家族4人で私の実家(父母健在です)に同居しております。 二世帯住宅ではありませんが使っていない部屋が幾つかあり 余裕があったのと、夫の実家も子供達の学校も近く、 夫の会社への便も良い場所だったので私達にとっても恵まれた環境です。 どちらの両親も仕事をしておりますし、私は専業主婦なので家事全般を任されております。 むしろ、中学生の頃から母に代わって洗濯から食事、掃除をずっとして参りましたので当然の事と思っています。
しかし問題は母の性格で、母は昔から絶対に自分の意見を曲げませんし、他人の言う事にはその都度流され家族を振り回しますが、 家族の意見は全くといっていい程聞きません。自分が思った事は全部正しく、それに従わない人は怒りもしくは悪口の対象になります。 後先考えずその日の気分で色々な人に悪口を言いふらします。勿論身内の悪口もです。 ここ最近では反抗期の真っ只中にいる長女のことが 事あるごとに気にいらなく、ちょっとした事で(お風呂に入りなさいと言ったのに直ぐ入らないなど)直ぐに怒り、 包丁や線香を持って追っかけ回します。 家族も止めに入りますが先日は逆ギレして「私が死ねばいいんでしょう!」と自分自身にに包丁を向けたので、思わず警察に電話をしました。

警察の方が駆けつけた際にはニコニコし「申し訳ありません、ちょっと親子喧嘩で興奮してしまいました」と取り繕い、 家族も母が包丁を手にした事は言わないで通してしまいました。 また、子供が口答えするのは親である私と夫がいけないと周囲に言いふらします。しかし私達もきちんと子供の教育はしておりますし、 生意気盛りの長女にもきちんと話をしております。ただ今は年齢的にも母の様に言う事を聞くまで脅したり、押さえつけたりはやり過ぎと思っているので、 その事を言うとまた何倍にも怒りが返ってきます。 おかげさまで長女は素直でタフな子に育っているので、祖母に何言われようと気にせずにいますが、母にとってはそれがまた面白くないようです。 また母は私の義理の両親の事も気にいらないらしく、時には直接怒りをぶつけたり義理の両親の周囲に悪口を言って、 自分の悪口に賛同してくれない人達の事はまた悪口になります。 義理の両親はとても優しく、そんな母ともきちんとお付き合いして下さいますし気を遣ってくれて、その気遣いに私は申し訳なく思っています。

母の性格は直らないだろうなぁと思いますし、このまま我慢して同居は辛いなぁと思う事もありますが、 父は私達家族と同居を望んでいてくれてますし、私達が家を出たら母は怒って縁を切るとまで言うと思います。
私はやはり出来るだけ穏便に乗り切っていきたいとも思ってしまいますが、やはりこのままでは母との同居は害を及ぼすだけでしょうか。

-Y-



親子関係にも戦略を!


私は基本的には成人した親子は 離れて暮らすべきという考えの持ち主ですが、同居が比較的少ない犠牲で成り立つとすれば、それは 娘夫婦が両親と暮らすケースだと思っています。 Yさんの場合、条件的にはご両親との同居が望ましいのはメールでご説明の通りですが、 お母様のことは Yさんだけでなく、ご家族全体にとってストレスになっているとお察しします。
メールに「母の性格は直らないだろうなぁと思いますし」と書いていらした通り、 お母様の性格、人間性についてはYさんは既に諦めモードに入っていらして、 それを不動の前提として 今後のことを考えなければ と思っていらっしゃる様子をお見受けしたのですが、 私はそう考えるのは時期尚早と判断します。 「諦める」という行為は成す術が無くなった時にすべきもので、「何もしていない」、「我慢しているだけ」の場合は、 「解決を放棄した」と見なされるのです。

以前このコーナーにも書いた通り、親子関係というのはどんな人間にとってもアイデンティティの一部であり、 親子関係を諦めるというのは 自分のアデンティティの一部を諦めることだと私は考えています。 たとえ見返りや成果が無くても、親との関係については、親が生きている間に最善を尽くすべきというのが私が一貫して貫く主張です。 でも何をするにもストラテジー、すなわち戦略というものが必要です。たとえ親子関係においてもです。 自分を産んで育ててくれた母親とでも、上手くやって行こうと思ったらストラテジーが必要です。 むしろ身内で遠慮が無い関係であるからこそ必要なのです。
親子のように生まれた時からずっと一緒に居た人間同士というのは、意外にその人間関係が ”自然放置” されているケースが多いのです。 「何を言われても、慣れたので何も感じなくなった」、「あの性格は一生直らない」等、他人を突き放すのと同じような態度を 親子関係に持ち込むケースは少なくありませんが、親子愛、家族愛を自覚する限りは、 少なくとも もうひと頑張り、他人には出来ない歩み寄りや攻略法を試みるべきというのが私の考えです。
「我慢して乗り切るか」、「別居するか」というのは選択ではあって 戦略ではありません。 どうしたらお母様の怒りや態度がトーンダウンするか、せざるを得ないかを考えて、それに向けてアクションを起こすのが戦略的な攻略法です。 それに失敗して 成す術が無くなった時には選択に迫られるかもしれませんが、まず今は現状の改善に取り組むべきなのです。


お母様のような性格は、全く珍しくありません


お母様は「昔から絶対に自分の意見を曲げませんし、他人の言う事にはその都度流され家族を振り回しますが、 家族の意見は全くといっていい程聞きません」とのことでしたが、そう振る舞うのはYさんのお母様だけではありません。 世の中には同じような性格の人は沢山居るので、心理学者がそのタイプを分析しているほどなのです。
私が知る限り このタイプはプランや戦略を持たない目先の思考タイプで、強気の態度とは裏腹に 常に不安を抱えて生きています。 なので1人きりになるよりは、悪口を言っている相手とでもいっしょに居るのを好みます。知り合って間もない遠慮がある関係の人には気を遣って、時に過度に親切にしますが、 遠慮がない関係には容赦ない態度を取ります。 基本的に頭が良いので、 自分の価値観にそぐわない物や人を徹底的に馬鹿にすることは珍しくありませんし、 自分が一目置かない人物の話をしっかり聞かないので、その内容を早とちりして 無意味に腹を立てることも少なくありません。 自分に必要だと思われる未知の知識や学問は謙虚に学びますが、そんな知識や学問の大家を必要以上に尊敬したり、それにからむ詐欺等に遭い易い問題もあります。 社交を好んで エネルギーもあるのでセールスに向く性格ですが、エネルギーの行き場がなく、それが滞ると爆発するというよりも、 爆発したくなって 自分をあえて刺激するケースさえあります。

したがって義理のご両親のように傷つけたくない方達は、お母様と極力距離を置くように仕向けなければなりませんし、 それは今後の新たに発生する人間関係についてもしかりです。 お母様が相手を見つけては悪口を言うのは 有り余ったエネルギーやストレスの発散法であって、 若い世代が匿名でソーシャル・メディア上にネガティブな書き込みをしては 怒りやフラストレーションのはけ口にしている様子と大差はありません。 でも 度合いに差はあっても お母様のような人間性は世の中に珍しい訳ではなく、皆が普通に生きているのですから、関わり方や共存の仕方を工夫すべきであることは ご理解いただけると思います。
一緒に暮らしている家族の場合、本人への多方面からの毎日のアプローチが大切ですが、 その基軸になるのは お母様が日頃忘れている、もしくは当たり前だと思っている 家族の有難みや家族の絆です。 それらが如何に自分にとって大切で、自分はそれらが無いと不安で生きられないことを お母様に自覚して頂くことです。 そのためには、Yさんが 「自分の家庭を持って立派にやっていけるまでに育ててもらったことを お母様に感謝する」というのが意外に効果的なアプローチです。 こうしたアプローチに対して「持ち上げると調子に乗って、かえって恩を着せてくるのでは?」と反論を唱える人は少なくないのですが、 お母様のような振る舞いは 日頃から感謝をされていない人がするものです。
Yさんは 「中学生の頃から母に代わって洗濯から食事、掃除をずっとして参りましたので」とメールに書いていらしたのですが、 もしYさんが お母様との関係において「自分が母の面倒を見てきた」という気持ちを少しでも抱いていた場合には 尚のこと、過去を振り返ってお母様に感謝してみるべきですし、「Yさんがお子さんに愛情を注げるのは 子供の頃にお母様がこうしてくれたから」と、どんな小さなことでも良いので何かを例に挙げて、 家族の愛情や絆が如何に大切かを 日頃からさり気なく会話に盛り込むようにして頂きたいと思います。
これは言わばイソップ物語の”風と太陽”的なアプローチです。これは風と太陽が旅人の上着を脱がせる競争をするというストーリーで、 風が上着を吹き飛ばそうと荒々しく当った時は旅人が上着のボタンをしっかり留めてガードを固くしただけでしたが、 太陽が温かく照らし始めると 旅人は自らボタンを外して 上着を脱いだというのがその結末です。 今のお母様にはそんな太陽の日差しのようなアプローチが必要だと私は考えます。

これはお母様の健康の問題でもあります


それとは別に、現代の親達は子供が頻繁にかんしゃくを起こして手が付けられないと、自分の子供でも、他人の子供でも すぐにADHDだと思い込んで、 医師に薬を処方してもらう傾向にある一方で、 エイジングをしている親が 「キレる」というような短気を起こして、時にヴァイオレントな行動に出ると 認知症の兆候と決めてかかる傾向が 顕著ですが、どちらも50年前の世の中では 名前さえ存在しなかった症状です。
私は サイトで匿名のご相談にアドバイスをする以外に、プライベート・セッションもお受けしていますが、昨年、 Yさんのお母様と非常に類似したケースのご相談を頂戴しました。そのケースではお母様がお医者様に 認知症になりかかっていると診断されたケースでした。

実際 Yさんのお母様のように、包丁やお線香を持って娘さんを追いかけるという状況は 怒りによるフラストレーションが抑えられなくなっている状況を意味しますし、 その時点で血圧をチェックしたら かなり高い数値だと思います。また心拍数も大きくアップしていることと思います。 そんな状況を頻繁に経験することは、お母様がやがて心筋梗塞や脳卒中になるシナリオを演じているのと同じです。 認知症の大半を占めるアルツハイマー病についても、現時点では治療薬は開発されていないものの、 血圧を120代で保つことによって、記憶が失われる症状は防ぐことが出来ると医学界のレポートで指摘されています。
ですので「健康に長生きして欲しいので、血圧をコントロールしなくては」という健康問題という視点からも、 一度 お母様と 「腹を立てること」が身体にどんな悪影響を及ぼすかを お話して頂きたいと思います。
同時に娘さんたちにも、お母様の健康問題を挙げて 協力を仰いで頂きたいと思います。 今までお母様の態度によるストレスをYさんと一緒にシェアしてきたお嬢さん達なので、 普通にぼんやり暮らす家族よりも 遥かに家族の結束が固く、思いやりを持って生きているはずです。 ですから、これまでのようにお母様を「問題」と見なすのではなく、 「サポートする存在」として捉えて、 ”血圧の安定=お母様の感情を荒立てないこと” に協力して頂きたいと思います。 家族の健康は何物にも代えられない財産なのです。

ここでYさんがお母様に対して示す愛情と思いやりは、例えお母様に受け入れられなかったとしても、 お嬢さん2人はそこから 親子、家族が何であるかを学んでくれるはずです。 そういう愛情が注げる女性は、将来きっと幸せな家庭を築きます。 Yさんの努力は決して無駄になることはありません。
それと同時に、どんなに良好な関係の親子でも お互いの文句を言い合ったり、 腹を立てたりは当たり前のことです。 なのでそれが起こる度に「またか!」と その怒りの度合いにフォーカスするのではなく、 これからは「お母様と家族の関係を良好にする」という幸福のためのプロジェクトとして お母様と向き合って頂きたいと思います。
人間は生きている限り必ず変わります。少しずつでも変わります。 変わらないとしたら、それは周囲が諦めて放置するからです。 Yさんは辛抱強く、意思もしっかりした方ですので 普通の人ならば 諦めるような長期のプロジェクトでも達成できる力を持っています。 加えて愛情深いお人柄なので、是非この状況で頑張って頂きたいと思います。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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