Oct Week 1 2018
★ " I Lost My Job, Now What? "
解雇後のパニック・アタックを克服するには


秋山曜子さま、
いつも、もう何年も続けてサイトを拝見しています。いつも皆さんからのご相談に親身なだけでなく、 明確に、そして本当に解決になるアドバイスをされている曜子さんをとても尊敬しています。
実は、恥ずかしながら10日程前に解雇されました。 私だけでなく私の部署は全員解雇で、業績が良くないのは承知でしたが、少なくとも年内は大丈夫だと思っていました。 以来、この先のことを思うと動悸がして、夜も眠れず、子供の教育費でまだまだお金が掛かることや、 夫が日頃から体調が優れないとボヤいていることなどを考えると、頭がパンクしそうになって考えが纏まらなくなってしまいました。
そのため何をする際にも自分に言い聞かせようとするせいで、過去数日の間に何度も自分がやるべき事を御経のように反復して言い続けるようになってしまいました。 例えば「明日までに〇〇〇をしなければ」と考えると、「〇〇〇をしなければ」を20回くらい言い続けながら違うことをやっています。 子供や主人がその様子に気付いて凄く心配して、「お医者様のところに行った方が良いのでは?」とまで言われましたが、 自分ではお医者様にかかるような深刻なレベルとは思えません。 ですがこの心労は大変なもので、食欲が無く、料理をする気力も無く、眠るためにお酒は飲んでしまうのは、とても良くないと思っています。 無気力でボッとしている時間が長くなっていて、周囲にそれをとても心配されるので、そのせいで益々こちらがおかしくなってしまいそうな気がしています。 周囲の心配が疎ましく思えて、ついイライラしてしまいますが、私を思ってくれているのが分るだけに そんな態度を取る自分が情けなくて、 そんな感情のアップダウンでさらに周囲を心配させてしまっています。
秋山さんにご相談しても状況が改善されないのは分かっていますが、それでも何か今の状態を乗り切るための アドバイスがあったら是非お願いします。 訳が分からないメールで申し訳ないです。よろしくお願いします。

-K-



これはある種のパニック・アタックです


私も、ニューヨークで最初に勤めた雑誌の編集部が、雑誌が休刊になったために解雇されたことがあります。 もちろん私の場合はKさんのようにお子さんやご主人が居る訳ではないので、家族の心配はありませんでしたが、 その代わりにVISAの心配があったので、お気持ちは少なからず分かります。

私はこのコーナーに 人生の中の難しい時期 の乗り切り方についてご相談下さる方には 2つの傾向があると思っていて、1つ目は ご相談者が 難しい局面や危機的な状況であっても精神が錯乱してしまうことがない本質的に強い方であるということ。 もう1つは、私にメールを書いてくださった時が その局面のワーストだという事です。
会ったことも無い私に対して、何時アドバイスがもらえるかの保証も無い状況で メールを書いて悩みを訴えるというのは、傍で考えるほど簡単なことではありませんし、ある程度の精神的な強さがなければ出来ない事です。 また多くのご相談者がお礼のメールで書いて下さるのが、私に相談メールを書いた時がどん底の状態で、藁(わら)をも掴むような気持であったこと、 その後 時間が経過して 私のアドバイスを少し落ち着いた状態で受け取ることが出来たという事でした。 ですのでKさんの場合も、解雇から少し時間が経過したので このアドバイスを読んで下さる時には精神状態のワーストからは 少しでも抜け出しているのでは?と願っている次第です。

私は精神医療の専門家ではありませんが、独学の心理学的な見地から言わせて頂くと、同じことを何度も言い続けてしまう というKさんの状態は 異常なことではありません。 人間は誰もが何かを覚えようとした場合、忘れないようにしようと思った場合に、必ずと言って良いほど その名前や番号、やるべき事などを頭の中で反復したり、 口頭で何度も自分に言って聞かせます。これは人間が本能的に行う行為です。 Kさんの場合、解雇を通達されて以来、ショックで自分の集中力が鈍っていることを自覚しているだけに、 日頃だったら 自分に言い聞かせる必要が無いことまで自分に言い聞かせなければという気持ちから、何度も同じことを言っているだけです。 そうやって同じ言葉を反復するうちに、「これから自分と家族はどうなるんだろう」といった不安が襲ってきて、頭ではその不安を強く感じて、 口だけが言葉の反復を続けているというのは、病気でもなければ、異常でもありません。 こうしたことは”無意識”と称して 誰もが多かれ少なかれ、日常生活の中で様々な形で行っていることです。
精神的に弱い人であれば、先のことを考えて 胸が苦しくなって、呼吸が出来なくなって、パニック・アタックに陥っているかもしれない状況で、 Kさんの場合はもっと精神的にしっかりしているので、その代わりに ”心ここにあらずの言葉の反復” という反応になってしまったと 私は理解します。 周囲はKさんが解雇によって精神的に打ちのめされているという先入観があるので、「精神的におかしくなった」とは思っていなくても、 「ストレスと疲れで、精神的に参っている」という印象を強くしているようですが、 私はむしろ何の理由も原因も無しに、ある日突然Kさんが同じ事を御経のように反復するようになる方がよほど心配です。
深く落ち込む理由や、不安でたまらない要因があるときは、日ごろと同じように身体と精神が機能しなくても当然なのです。 誰でも風邪を引いたり、頭痛がすれば、集中力や体力が衰えるのと同じです。
不安や心配は誰もが抱くものですし、どんなに幸せな時期にも何らかの形で襲って来るものです。 それは病気でもなければ、何等かの症状でもありません。

苦境を乗り越えるためのインフラ整備


私がこの状況で Kさんに最優先で取り組んで頂きたいのは、まずご自身の健康管理です。 健康はかけがえのない財産です。 その財産を守るためには、規則正しい生活と、健康的な食事、適度な運動は不可欠です。 Kさんが食欲がない、料理をする気力がない、夜も眠れない、眠るためにお酒を飲んでしまう という状況をご説明下さいましたが、 これは自覚されていると思いますが、続けていれば身体を壊すライフスタイルですし、ストレスと不安を助長させることにもなります。

人間は食べ物によって精神や頭脳が大きな影響を受けますので、ストレスが溜まっている時、 不安で打ちのめされそうな時ほど、オーガニックの野菜&果物が中心の消化に良く、ヘルシーな食事を心掛けるべきです。 逆にKさんが心ここにあらずの状態でスナック菓子などを食べてしまえば、口に入れた瞬間の味覚のセンセーションを味わうために、 どの段階が満腹かも分からないまま食べ続けることになってしまいますので、それが原因で体重が増えてしまうこともあります。
人間は精神的に落ち込むと、本能的に炭水化物が多い食品を求める傾向にありますが、 炭水化物を過剰に摂取すれば身体も脳もキレが悪くなるだけでなく、「不安に襲われては食べる」という習慣をデベロップしてしまう可能性もあります。
またお酒に関しても、飲んだ直後に眠たくなることはあっても、アルコールは眠りを浅くするので 夜中に目が覚めて眠りに戻れないなど、快眠が取れない原因となります。 加えてお酒は入眠剤代わりに飲み続けていると、どんどんその量が増えていきますので、翌朝すっきり目覚めることができず、1日のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
夜眠れない場合に、私がお勧めするのはエクササイズです。 ストレスなどで精神が疲れると人間は眠れませんが、エクササイズで身体が疲れた場合には 人間は自然に眠たくなるのです。 私は個人的に精神のためにはランニングをお勧めする立場ですが、 早歩きでもヨガでも、とにかく身体を動かすというのは精神に大きな好影響を与えますし、 ストレス発散に これほど効果的なものはありません。
人間の身体と精神は連動しているので、身体が凝り固まると 精神も凝り固まって「解決策が見いだせず同じことばかり考えている」、 もしくは「頭の切り替えができずに同じことばかりにこだわってしまう」という状況に陥ってしまいます。 でも身体を動かして、脳に血液と酸素を送り込むと 滞っていた思考が流れはじめて、 細かいことが気にならなくなったり、新しいアイデアが沸いたり、当座の解決策が見いだせたりと、 身体が鍛えられる以外に何等かの精神的プラス・アルファが得られるのです。
不安やストレスは頭で考えていても決して払拭されないどころか、悪化の一途をたどりますが、 身体を動かすと驚くほどそれらが改善されます。 私はその生き証人の一人なので、健康的な食生活とエクササイズは是非 この状況でトライしていただきたいと思います。

健康というのは人間が幸せに暮らすためのインフラストラクチャーですので、この土台無くしては何も実現しません。 多くの人々は医者に行ったり、寝込んだりする必要がない状態を健康だと思い込んでいますが、 実際には病気や老化が進行しているのに気づいていないだけであったりします。 そういう状態で、ストレスや不安に見舞われると 人間の体調は驚くほど悪化します。 しかしながら、日ごろからエクササイズと健康的な食事を心掛けて、規則正しい生活をしている人は、 驚くほどストレスに強いことが立証されています。

Kさんの解雇は 部署全体とのことでしたので、決してKさんのジョブ・パフォーマンスが悪かった訳ではありません。 長い人生の中には自分は悪くなく、精一杯やっていても、 不遇に見舞われることは何度も訪れますし、それは防ぐことはできません。 その対策は、何が起こっても生きていける強い自分の構築しかありえません。
Kさんがここから 次のステップに進むためには、まずご自分を本来のパフォーマンスができる状況にリセットしなければなりませんが、 そのプロセスで 苦境やストレスに強い自分作りをすることは今後の人生で必ずプラスになります。 今は考えても始まらない先のことを心配するよりも、自分を管理、改善することに力を注いで頂きたいと思います。

それとは別に、Kさんが今こんな苦しい思いをしているのは、何等かの人生のターニング・ポイントを迎えていると解するべきだと思います。 私が雑誌の編集部を解雇された時も、自分の中ではキャリアの次のステップに進みたいと思いながら、 仕事が忙し過ぎて自分の人生設計に取り組めないような状態でした。 今から振り返れば、その解雇は私にとって自分の運命に導かれるターニング・ポイントの1つでした。
ですので、Kさんも今回の解雇を悲観する必要はないと思います。 まずはしっかり健康管理をして、自分がこの出来事で何に導かれようとしているのか?という長期展望を頭に描きながら、 意義のある毎日を心掛けてください。
「自分は絶対に幸せになれる」と信じて努力する人は、必ず幸せになれます。 この時期が乗り切れるよう、心から応援しています。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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