May Week 1, 2019
★ "Anonymous claimer Headache"
インターネットの匿名経営指南、無視を決め込んでも…


秋山 曜子様、
もう10年以上CUBE New Yorkのウェブサイトを読んでいる大ファンで、お買い物もさせていただいております。
今日はインターネット・ビジネスの先輩として秋山さんにアドバイスをお願いしたくて、メールを差し上げることにしました。 お忙しいかもしれませんが、何かお言葉を頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。

私は家業を引き継いでおり、少し前からインターネット上にも販売を広げることにしました。 その際にはとても大変でしたので、秋山さんもさぞや大変な思いをしてビジネスを立ち上げられたものとお察しして感心いたしました。 インターネット部門は少しずつ軌道に乗り始め、全国のお客様からご注文を頂くようになり、好意的なご意見も頂戴して とても励みになりました。 ですがその中に2名ほど まるでうちの経営コンサルタントのようなクレームやお節介な助言を言う方がいらっしゃいます。
どちらも匿名なので どんな方かは存じませんが、新しい商品を紹介した途端に「こんな商品はネット通販には不向きだ」とか、 商品の記述について 「この表現はネット上で反感を買う」などと言われてしまいます。 最初はこちらも事情が分からなかったので丁寧にお返事のメールをして「善処します」などと書いてしまったのですが、 そうしたら「善処すると言っておきながら、直っていない」などと怒られてしまい、以来 メールを頂いても無視を貫くことにしましたが、それがお気に召さないのか 時々攻撃的なメールが届きます。

もう1人の方は褒め言葉を下さるのですが、「販売しているものの全原料を提示するべき」などと無理難題を押し付けてきて、 「そうするのが正統派のビジネスだ」などとおっしゃるのですが、そのようなことをしている同業の他社さんは居りませんので、 なぜうちだけにそのようなことを言ってくるのかと不思議でなりません。 スタッフの中には「同業者の嫌がらせでは?」という意見もありますが、こういうメールが来ると しばらくそのことばかりを考えてしまって、 頭に来たり、「とりあえず説明の返事をするべきか?」と考えて、精神的に疲れてしまいます。 気にするべきではないのは承知ですが、頻繁にクレームのことを考えて、時間と労力を無駄にしているのが自分でも分かります。

秋山さんも長年インターネットでビジネスをしていらして、このようなお節介な口出しメールを受け取られることがあったかと思いますが、 どうやって気にならないようにするのが一番なのでしょうか。 ご自身のご経験から有効な方法があったら、アドバイスをしていただけると嬉しいです。
どうかよろしくお願いいたします。これからも秋山さんとキューブさんの益々のご繁栄とご活躍をお祈りしています。

- N -



匿名の意見、クレームはビジネスが栄えるには不可欠です


Nさんがご相談下さった問題は、インターネットのビジネスをする人間であれば、誰もが経験するものと思います。 私の知人には匿名の正論を装ったクレーマーの執拗なメールが原因でビジネスを辞めてしまった人がいますが、 真面目で一生懸命な人が そうした嫌がらせや攻撃でせっかく始めたビジネスの芽を摘まれてしまったことをとても残念に思ったのを覚えています。

私の考えでは意見、クレームというのは自分のIDを明らかにして訴えるべきものです。 大人気ない悪口程度であれば匿名で然りと思いますが、何らかの対応を求めるクレームや自分が正しいと思う意見を述べる場合、 たとえ苗字だけでも明記するのは 人として最低限のマナーだと思います。 ですから私は匿名で頂いたメールは ざっと斜め読みして ”匿名フォルダー”に入れてしまうのが通常です。
私もCUBE New Yorkのビジネスを始めた当初は 匿名メールに対応して 時間とエネルギーを無駄にした経験がありますが、 「人が何故 匿名で意見やクレームを言うのか?」と考えれば、「それが自分と悟られたくないため」という答えに行きつきます。 自分だと悟られたくないクレームや意見というのは たとえ正当な主張を装っていても、実際には単なる嫌がらせや憂さ晴らし、 自分の主張とは異なる方針や記述への反発や怒りといったものなのです。 そもそも意見や主張というものは それを抱く人間のIDがあって 初めてそれと見なされるべきものです。 なので発信する主体を明記しない匿名の意見やクレームに取り合うべきではありませんし、Nさんのスタッフのご指摘通り 「同業者の嫌がらせ」であっても不思議ではないと思います。

でも匿名の意見やクレームというのは、見方を変えればビジネス成功のバロメータでもあります。 それを受け取らずして栄えるビジネスはありませんので、そうした類のメールが寄せられるというのは実はビジネスの見地からは歓迎される事なのです。 ビジネスが上手く行くということは、そのウェブサイトや商品を好んでくれる人が増えることを意味しますが、 好いてくれる人が増えるということは、逆に嫌いだと思う人も増えるという事なのです。 それは人気がある俳優ほど、「嫌い」という人も多いのと同様です。 どんなに努力しても全ての人々にアピールしたり、好かれることは不可能ですから 人気や売り上げが高まるということは 同時に反感を抱いたり、悪口を言う人も増えるという事なのです。
世の中には完璧なサービスに対しても「完璧過ぎて疲れる」という人が居るように、どんなに一生懸命頑張っても ネガティブ・リアクションが出て来るのは宿命です。 でもビジネスでも個人でも、大切なのは人々に何らかのインパクトやエモーションをもたらすことなのです。たとえそれがネガティブなものであってもです。 それがない場合は素通りされたり、忘れ去られるだけの存在なのです。
したがって匿名の意見&クレームが寄せられるというのは、 たとえ内容が不愉快であっても、それを「自分のビジネスが上手く行っているサイン」と 肯定的に受け取るべきなのです。

本当に耳を傾けるべきアドバイスとは… 


前述のようにビジネスというのはどんなに努力しても、批判的な意見や単に「嫌い」という人が出てきますし、 それは人間の好みが千差万別である限りはどうしようも無い事です。 ですがビジネス・オーナーというのは 特に自分のターゲットとする客層がしっかり絞れる前の段階では、いろいろな人の意見を聞き過ぎて せっかくのオリジナル・コンセプトを台無しにしてしまうケースが少なくありません。 そういうオーナーに限って 既に抱えているお客様の声よりも未だ取り込んでいない人々、すなわち 自分のビジネスを一度も利用したことが無い人、利用するかも定かではない人達の意見に耳を傾ける傾向があるように思います。
でも一番大切にすべきは、既に自分のビジネスを支えて下さっているクライアントやお客様で、 私は中小企業には 大企業には出来ないお客様とのお付き合いの仕方があると信じています。 私は匿名のメールは”匿名フォルダー”に入れてしまう反面、CUBE New Yorkのお得意様はほぼ100%フルネームで覚えていますし、 特定のオーダーの指示をスタッフに与える時もオーダー番号では無く、お客様名で連絡します。 長いお付き合いのお客様ほど、その間に結婚や離婚で苗字が変わられたり、お引越しや転勤、転職で送付先が変わったり、妊娠&出産がきっかけで オーガニックのスキンケアのみをオーダーされるようになるなど、通販というビジネスの性格上、 時にお客様の人生の様々な局面をフォローすることになりますので、お名前を見ただけでも特別な親近感を抱くことになります。 なのでお名前ベースでオーダーを管理する方が 商品を送付する際にも、単に品物をパッキングする以上の思い入れがこもるというのが私の考えです。
Nさんも家業を継がれて ご家族がそれまで貫いてきたポリシーや大切にしてきたお客様層がいらっしゃるはずですので、 誰に何を言われてもそれを曲げたり、相容れない方針を受け入れる必要はありません。

もしビジネス・オーナーが常に真摯に受け止めるべきアドバイスがあるとすれば、 それは数字によるデータに基づいたアドバイスです。 今や国政の行方までもがデータを駆使した操作で左右出来る時代ですし、 グーグルやフェイスブックがそんなデータを高額で企業に売っては大きな利益が上げられることが立証する通り、 数字で表れるデータは最も信頼できる情報です。 商品についてのクレームにしても、その売り上げを数字で把握していれば 何を言われても 「自分のビジネスを知らない人の言い分」として払拭することが出来ます。 その意味では、クレームや嫌がらせの対処法として最も効果的なのは 自分のビジネスを数字やデーターでしっかり把握することかもしれません。 どんなに毎日ビジネスと向き合っていても、個人の印象と実際のデータは異なりますし、自分が信じるポリシーも数字によって裏付けられると さらに確固たるビジネスの柱として揺ぎ無いものになります。

それとは別に中小企業においては、お得意様へのサービスでやっていたことが新しい可能性に繋がるケースが少なくありません。 私の知り合いの元フェイシャリストは、フェイシャルの後にお客様の首の疲れを簡単なストレッチで直してあげるうちに、 数年後にはストレッチの方が本業になってしまいました。 フレグランスのジョー・マローンにしても 最初はフェイシャリストで、趣味で作ったフレグランスをお客様にプレゼントしていたのがきっかけで やがてはエスティ・ローダーに買収されるようなビジネスにまで成長しました。 私とて、Q&ADV. はCUBE New Yorkのお客様により幸せになって頂くためのサポート・プロジェクトでしたが、 「このコーナーのお礼」ということでお買い物をして下さる方、海外のウェブサイトでも信頼して下さる方、新たにサイトにアクセスして下さる方が増えたので、 何がどう幸いするかは分かりません。
個人経営のビジネスが大変でも面白いのは そんなひょんな展開があることですので、 Nさんも既成概念に捉われずに 「お客様のため」ということには積極的にトライして、今後のビジネスを切り開いて頂きたいと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




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