May Week 3, 2019
★ "Can't Make a Decision!"
決断力の無さで人生で損をしています


秋山曜子様、
初めまして。昨年『オッジ』という雑誌で このウェブサイトとコーナーについて知って以来のファンです。 私の悩みにもアドバイスをしていただけるでしょうか。よろしくお願いします。

私は決断力が無くて、人生で損をしてきたと思います。これは決して大袈裟に言っているのではありません。 決断がつかなくて転職のチャンスを逃したこともありますし、 好きだった男性が交際を申し込んでくれたのに、友達がその男性のことを気に入っていることを思って決心がつかないうちに ダメになってしまったこともあります。 買おうと思っていた物の色で悩んでいるうちに、どちらの色も売り切れて さほど好きでもない色を買うことになったり、 職場で三択、四択のチョイスが出来ないので 人格評価に「優柔不断」と書かれたたりもしました。 友達と食事に出かけるレストランも私が決めて良いと言われても決められなくて、友達の意見を聞いているうちに 予約が取れなくなってしまったこともありますし、友達が私のお祝いの食事会の候補のレストランを挙げてくれた時も、 その中から選べなくて「私は何処でも良いから」と言ったら、その友達が「私が迷惑そうにしていた」と思ったらしく、 あとで必死で言い訳をする羽目になりました。

一日の生活を考えても、友達のちょっとしたメッセージに返信するべきか?とか、 仕事の後に済ませる用事を今日にするか、明日にするか等、どうでも良いことで悩んで 時間を無駄にすることが少なくありません。 お昼のお弁当を買いに行く時も迷う時間が長いと友達に言われます。
私は人に決めて貰って その選択に合わせて行動する方が楽だと思うところがあって、 人が決めたことに文句を言うことはまずないのですが、「自分で決めろ」という状況になると 突然タジタジしてしまいます。 日常の細かいことで自分にしか影響がないことでも 時々本当に迷ってしまって、後になってから「迷わずこうしていれば良かった」と後悔することもしばしばです。

そこで秋山さんにアドバイスをお願いしたいのは決断力の無さや優柔不断という性格をどうやって直すべきかです。 詳しくは書けないのですが つい最近も「この性格を何とかしなければ」という出来事が起こってしまって、 本気で直したいと思っています。
下らない質問で恐縮ですが、アドバイスいただけたらとても助かります。

- M -



決断力の無さは性格ではありません


人間が1日に意識的、もしくは無意識のうちに下している判断の数は約1500という説から3万という説までがありますが、 コーネル大学の調べによれば、飲食関連だけでも平均的な人間は1日に226.7回の決断を下しているそうです。 実際に人間の行動の全てが無意識のうちに下した決断や判断に基づいている訳ですから、そう考えれば決断が苦手というMさんでも 1日に数多くの決断をしていることになります。
ここでMさんがご相談下さっているのは、 意識的な決断ですが、これは脳にタスクを与えることなので当然のことながら思考とエネルギーを要しますし、それが何等かのストレスももたらします。 人間が決断を面倒だと思うのはそのためで、その判断に利益やリスクが絡む場合はさらにそのタスクが重たく感じられます。

そもそも人間の決断を下すのは 1. 直観や好み、2. 多数決、委任、3. 問題や危険の回避、4. 実用性や合理性の優先、5. 公平を保つ判断、 6. 価値観や信条に基づく判断、7. 何等かの価値観に基づく優先順位、8. 決断結果が及ぼす影響&もたらす結果を考慮した判断、 9. 成り行きや偶然、10. 気まぐれ、11. 決断時の状況 といったものに基づく場合が殆どです。
なかなか決断が出来ないケースというのは、これらのうちの複数が対立している場合です。 服のショッピングであれば 自分が欲しいアイテムと実用的で着回しが効くアイテムとで迷うことは珍しくありませんし、 ランチを選ぶ際に「いつものお気に入りメニューを食べたい」という気持ちと 「いつも同じ物ばかりオーダーするのも…」という考えが対立すればその判断を迷うことになります。 自分が好きな相手との結婚を望んでいても 周囲の反対や宗教上の理由で迷うケースもあれば、 食事の場所を決める際に 料理や店の雰囲気を優先するか 価格や参加者の交通の便を優先するかで判断が難しくなるケースもあります。 優秀な生徒を選ぶべきオケージョンでも いつも同じ生徒だけが選ばれていれば 「たまには別の生徒を選ぶべき?」という選択肢が浮上します。 心の中で「コレにしよう!」と決めているものがあったとしても、自分が嫌いな人間もそれを選んだのを知って「あの人と一緒にしたくない」という気持ちが 迷いを招くこともあります。

これらを総合的に考えると 決断が出来ずに迷うというのは 自分の好みや意思で既に潜在的に下されている判断に対して それ以外の要素、すなわち実用性や周囲の目や心情、 世の中の既成概念や価値観に捉われる意識、リスクを恐れる気持ち等が横槍を入れている状況なのです。 見方を変えれば いろいろな事に考えを巡らせて、自己主張とのバランスを取ろうとする姿勢が迷いの根本とも言えます。 ですので自己中心型の人の方が好みや主張をはっきり打ち出す分、決断が早い一方で、 協調性のある人の方が 決断に様々なプロセスや考え、思いやり等を持ち込むので決断に時間を要する傾向にあります。
そのせいか世の中一般でも、心理学の世界でも「決断力がある」ということが 「ダイナミックで失敗を恐れない、思い切りの良い性格」として捉えられ、 「決断力が無い」というと「消極的で、人目や失敗を恐れる臆病な性格」と捉えられがちですが、 私が世の中を見ている限り、消極的な人は消極的な決断を即座に下しますし、「決断を避ける、先送りにする」というのも 決断のうちなので、簡単に人間性と結びつけるのは短絡的なように思います。
むしろ私の考えでは「決断力があるか?」という基準は 「物事を決めるストラテジーを身に着けているか?」なのです。 そのストラテジーさえ身に着けて、それに従えば よほど大切な事でない限りは 日常の決断の殆どを時間やエネルギーを無駄にせずに ストレスフリーで行うことが出来るのです。

決断のストラテジーは人生のポリシーでありルールです 


決断のストラテジーを持つためには自分を良く知ること、自分がそれまで下してきた決断とそれがもたらした結果やインパクトをしっかり分析して、 こういう時はこちらを選ぶ、こちらを優先させるというルールをしっかり確立する必要があります。 そしてそのルールに常に従うこと、ルールに基づいた決断と それがもたらす結果には常に納得し、決して後悔しない習慣をつける必要があります。 「これが自分が決めたポリシーなのだから、それに従った決断は結果がどうあれ、それは何等かの運命上の意味があってのこと」 と割り切る潔さを持つべきなのです。
加えて無駄な迷いや決断の労力を省くシステムを構築することも大切です。 フェイスブックのCEOのマーク・ザッカーバーグは、毎日オフィスに着ていく服を考えることに時間や頭を使いたくないという理由で 毎日同じTシャツ、ジーンズ&フーディーを着用しているのはあまりに有名ですが、 同様に着て行く服がなかなか決まらない人であれば、あらかじめ曜日と天候で着る物を決めてしまえば迷いや選択の必要はなくなります。 また私自身は「その日のうちに出来ることは その日のうちにやる」、「面倒でも好結果を招くと思うことは実行する」と決めていますが、 そんなポリシーは無駄な迷いを省く目的だけでなく、建設的な人生のために大切なことだと思っています。

ショッピングの場合には 買うか?買わないか?で迷った場合には 私は 買わない主義で、どちらにするかで迷った場合は 自分が本能的に好む色、自分の目を最初に捉えた方、自分が本当に欲しいと思うものを選びます。 私の場合、見ているうちに良く思えてきたものは購入しても一度も着ない、使わないケースが殆どで、 特に実用を優先させた選択は ショッピングに限らず、必ずと言って良いほど失敗しています。 さらに言えば私は「見た目で愛情や愛着が沸かないものとは縁が無い」ということがこれまでの人生ではっきりしているので、物でも人間関係でも 見た目で好きになれない場合は選ばない、近寄らない主義です。
人生においての大切な決断についても 自分の本能が欲する道、自分が運命を感じる方を選ぶのがベストと思っていますが、 その基準で決断が出来ない場合には、以前もこのコーナーに書いたことがありますが 「失敗しても得るものや学ぶことがある方」を選びます。

簡単で 大きな影響がない選択の場合は、例えば3択なら2番目、4択なら3番目に提示されたものを選ぶのが私のルールです。 というのは人間は往々にして3つの選択肢を与える場合にその2番目、4つの選択肢を与える場合はその3番目に その中でベストと思われる候補を挙げるケースが多いためです。 世の中では、例えばオリンピックの表彰台でゴールド・メダリストが中央に立ったり、 3人グループのタレントが居た場合、必ず一番ルックスが良いメンバーや重要なメンバーを真ん中にして写真が撮影されるなど、 3つの中でベストのものを中央=2番目に据えるのが当然としてまかり通っています。 なので選択肢を3つ与える場合にも、人間は無意識のうちにそれに従う傾向が強いのです。
同じく人間心理においては 1〜4の中から数字を1つ選ぶ場合、 その中にラッキーナンバーでもない限りは往々にして選ぶのが「3」です。 これは両端を避ける意識から1と4を排除し、残された2と3の間であれば大きな数字を選ぶ傾向が強いためです。 加えてストーリーでも「起承転結」という言葉がある通り、話が佳境に入るのが三番目の「転」の部分ですから、4つの選択肢を与える人が 目玉となるアイテムやベストのものを3番目に持ってくるのは人間に潜在的に備わった意識なのです。 ですから3択なら2番目、4択なら3番目を選ぶというのは 決してブラインド・チョイスでは無かったりします。
もちろん口頭で適当に列挙した中から選ぶケースであれば このルールは通用しませんが、その程度のカジュアルな決断ならば 予め決めたルールに従って判断してしまっても構わないのです。

予め決めたルールで対応できないような決断を下す場合に 私が使うのはスマートフォンの”デシジョン・メーカー”のアプリです。 このアプリを使うのは どうでも良いことで迷った場合や、本当に物事を決めかねている場合ですが、 常にデシジョン・メーカーが決めた判断に従う訳ではありません。 デシジョン・メーカーの決断に抵抗を感じた場合には、それによって自分が潜在的にその逆を望んでいることが分かりますので、 その場合は自分の潜在意識を優先させるようにしています。
このようにストラテジーを持ってそれに従えば、自分のエネルギーを決断を下すことよりも、下した決断への対応に使うことが出来るようになるのです。 アメリカで マリエ・コンドーの ”コンマリ・メソッド” がウケたのも、家の中の物が処分できなかった人々に 「ときめきを感じるか?」という 物を捨てる基準を 片付けのストラテジーとして提示したためで、 それによって「処分するべき物の決心が着いた」ということが、実際の片づけテクニックよりも遥かにセンセーショナルに受け取られていたのです。

ストラテジーを持つということは決断においてだけでなく、人間関係や仕事のプロジェクト等、人生の様々なことにおいてとても大切なことです。 戦略さえしっかり持っていれば、失敗した場合にもそのストラテジーの見直しとその問題点の改善という前向きな取り組みを直ぐに行うことが可能ですが、 戦略無しに闇雲に取り組んでいただけであれば 「どうしてこんな事になってしまったのか分からない」と途方に暮れることになります。
逆にストラテジーで成功例を作れば、それを違う局面で応用して自分のサクセス・フォーミュラを確立することも可能になってきます。 そうなれば迷いを最小限に、効率良く人生を切り開いていくことが出来るのです。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




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