June Week 1, 2019
★ "My Warning, My Fault..."
借金をせがんだ友達のことを忠告したら、私が責められる羽目に


秋山さま、
いつもこのコーナーと、キューブ・ニューヨークのサイトを愛読しており、御社サイトをチェックするのが日課になっています。 長きに渡って質の高いコンテンツと、ショッピングをご提供なさるのはとても大変なことと思います。 今日は私もご相談したいことがあり、思い切ってメールをしています。よろしくお願いします。

少し前に友達と食事に誘われて、突然お金を貸して欲しいと言われました。 その友達をAさんとすると、Aさんは去年会った時には羽振りが良さそうにしていて 40万円位かけてある資格のようなものを取ったので、それまでの仕事とその資格を使ったクラスを始めると言っていたのですが 思ったよりクラスが上手く行かず、それまでの仕事が来なくなってしまったので、お金を貸してくれないかと言ってきました。
私は貸してあげられるようなお金が無いので断りましたが、気の毒だと思ったので その時の食事代はAさんの分も払ってあげることにしました。 でも何となくAさんが最初から私に 食事を払わせようと思っていたような雰囲気を察したのと、お金を貸して欲しいと言っているのに 夜中のTVショッピングで衝動買いをした話などをしていて、ちょっと気分を害していました。
その後、別の友達に会った時に Aさんが仕事が無くなって大変だという話をしていて、 その友達も気の毒なのでAさんの食事代を払ってあげたと言っていたので、「実は私も…」と私がAさんに会った時の話をして、 「お金を貸して欲しい」と言われて気まずい思いをした話をしました。 そしてその場にいたもう1人の友達に「Aさんに食事に誘われたら、お金を貸してって言われると思うし、 食事代を2人分払う羽目になるから、気を付けてね」と言ってしまいました。
それを聞いた友達は 私のことを「人の不幸の噂話はしても、力になろうとしない冷たい人間」と思えたらしく、 そのうちの1人はAさん本人に 私が友達のグループに「Aさんがお金を貸して貰うために食事に誘って、 食事代も払わせている」と振れ回っているかのように話したらしく、 友達のグループからもAさんからも 私が悪者にされる思いをしました。 私はお金を貸して欲しいとAさんに言われた時に本当に返事に困ったので、友達に同じ思いをさせたくないと思っての 忠告だったのですが、私の言ったことはそんなに冷たく感じられることなのでしょうか。
それとAさんは外国に住んでいたことがあって、「セックス・アンド・ザ・シティ」でもキャリーがシャーロットからお金を借りていたみたいに、 「友達にお金を借りるのは外国では珍しくない」と言っていたのですが、それは本当でしょうか。 このこともニューヨークにお住まいの秋山さんに是非教えて頂きたいと思ってメールをしています。 よろしくお願いします。
今後もこのコーナー、キューブ・ニューヨークのウェブサイトをずっと続けてくださいね。 微力ながらショッピングで貢献して応援しています。

- H -



お金に対するアティテュードは世界共通です


お金に困っている友達から「お金を借りたい」と言われた場合、Hさんがおっしゃっていた通り 断るのがストレスになるのは 国やカルチャーとは無関係にユニヴァーサルに言えることだと思います。 でも断るより難しく、ストレスになるのが 友達に貸したお金の返済を催促することですので、 アメリカでも「友達にはお金を貸すべきではない」、「どうしても貸す場合は、戻ってこなくても良い金額を貸すこと」 というのが一般的な概念です。また「友達にお金を貸せばたとえそれが戻ってきても、やがては友情の終焉に繋がる」とも 言われます。
もちろん私がここで言っているのはたまたまキャッシュの持ち合わせが無い友達にお金を貸すようなケースではなく、 お金に困っている友人にある程度纏まった金額を貸すようなオケージョンです。 私が知る限り、お金に対するアティテュードには国籍はありません。 ですので「日本ではこうだけれど、アメリカでは異なる」というようなこともありません。
Aさんがお金を借りたいといった時に語っていた 「セックス・アンド・ザ・シティ(以下SATC)」のエピソードは、 サラー・ジェシカ・パーカー扮するキャリーが暮らしていたアパートを購入する頭金として、 離婚したばかりのシャーロットが元夫から貰ったティファニーのエンゲージメントリングを頭金に当てるために貸してあげるストーリーでしたが、 私はこのエピソードはSATCの中でも最もリアリティが欠落していたのでとても良く覚えています。 幾ら親しくても友人にアパートの頭金になるようなジュエリーを貸し出すのもおかしな話でしたが、 たとえティファニーでも中古のジュエリーがアパートの頭金になるというのというのは、もっとアンリアリスティックでした。 それほど買う時は高くて、売る時は安くなるのがジュエリーです。

いずれにしてもアメリカで友達にお金を貸すという行為は「相手が金策に追われているとは知らずに直ぐに戻ってくると思って貸す場合」、 もしくは「自分も金策に追われた経験がある人が友達に同情して少額を貸すケース」を除いては頻繁に起こることではありません。 それより「友達に自分の弱みを見せたくない」、「お金に困っていると思われるが恥ずかしい」 という理由で、人知れずクレジットカード・ローン等を増やしたり、401Kからお金を工面するうちに、どんどん経済的に困窮するケースが借金地獄のシナリオとして ニューヨーク・タイムズ紙にレポートされているのが実情です。
またそのように経済的に困窮している時ほど、お金だけが問題だと思い込む傾向が強く、 その場凌ぎのお金を手に入れて安心しては、夜中にTVショッピングで 「安い!、お買い得!」と 宣伝されている安物のジュエリーを自分の気晴らしのため、もしくはその価値を過大評価して 「お金に困った時は売れるだろう」と思って買ってしまい、お金を無駄にする様子は同じニューヨーク・タイムズのレポートにも描かれていました。 そうでない場合はその場凌ぎのお金をギャンブルや宝くじに費やしてしまうというのも ありがちなシナリオのようで、 「貧すれば鈍する」という状況は、世界共通のものだと思います。

 苦境に居る人を助けるのはお金ではありません


私も「友達にはお金を貸すべきではない」という考えの持ち主ですが、 その理由は友情を守るためだけでなく、その場凌ぎのお金を貸したところで本人の助けになるとは思えないためです。 以前 私の友達の1人が会社をレイオフされてしまい、レントが払えないことから それまで住んでいたアパートを出て ルームメイトと暮らし始めたことがありました。ところがそのルームメイトに神経を逆なでされることから 友人はすっかりネガティブになってしまい、いつも時間に遅れて、持っていたブランド品を委託販売のウェブサイトで売ったお金で、 セール品の安物を買う悪循環で、見た目も著しく衰えてしまいました。 私はその友達に「お金を貸して欲しい」と言われたことはありませんでしたが、「ルームメイトのせいで頭がおかしくなる」という愚痴は頻繁に聞いていたので、当時 CUBE New Yorkが留学ビジネスのために借りていたアパートに20日間ほど無料で滞在させてあげることにしました。 この時は違法のエアB'n'Bを取り締まるために規制が厳しくなったのを受けて アパートの解約を決めた直後で、 新しいテナントを入れる時間も無かったので ちょうどアパートが空いていたのです。なので私にとっては金銭的には全く負担にならない事でしたが、 この時のことは今でもその友達に感謝されています。結局彼女はその滞在中に、住む場所をきちんと確保して自分をしっかりさせなければ どうにもならないことを悟って 家族の家に同居を始め、直ぐに仕事を見つけて生活を建て直しました。
またニューヨークのある職場では、レントが払えずホームレスになったことを隠していた女性が 遅刻が増えたと上司に注意されたことから、車の中やシェルターで子供達と生活をしていることを告白したところ、 職場の人々が低所得者住宅への入居の手助けをしてくれて、ホームレス生活から抜け出すことが出来たという美談があったそうですが、 要するにお金を貸さなくても困っている人の力になることは出来るのです。 むしろお金よりも生活を建て直すきっかけの方が大切だと私は考えます。 システマティックにお金が無くなっていく状況を放置したまま、お金だけ投入しても何も変化はありません。 でも状況の改善に繋がる方向性さえ見出せば、そこから事態が好転することは全く珍しく無いのです。

その意味ではHさんの忠告は、「お金を貸して欲しいとAさんに言われた時に本当に返事に困ったので、友達に同じ思いをさせたくないと思っての 忠告…」とおっしゃる気持ちは良く分かるのですが、お友達の中にAさんの何等かの力になってあげられる人が居たかもしれないので、 その芽を摘んでしまったように思えるのが正直なところです。 またお金を借りたいという目的で呼び出されて、食事代を支払うことになってしまったことで Hさんが気分を害した状況は理解できるのですが、それでも友達が経済的に困っている状況をスティグマ(負の烙印)のように取れる、 もしくはそう伝わってしまうような 発言をしてしまったのは残念ながら事実だと思います。

私は母がプロで占いをしていたことは以前にこのコーナーで何度か書いてきましたが、 その母から学んだのが人間の運勢というものが人生の局面に如何に大きな影響を与えるかという事でした。 誰一人として平穏な人生を送ることなど出来ませんので、お金の問題が無くても精神を含む健康の問題、 家族や人間関係の地獄など、様々な苦境が誰にでも訪れます。その度合いが大きくなる局面においては、どんなにきちんとした人でも方向性を見失ったり、 成す術がない状況に追い込まれることは珍しくないのです。
その局面さえ乗り越えると、追い風が吹いてくることもまた珍しくありませんが、 そんな自分ではどうにもならない運勢の局面を乗り越えるきっかけになるのは、何等かの周囲からのサポートやアイデア、インスピレーションなのです。 ほんの些細なことが人を助けるケースは多いので、私は困っている友達が居た場合は、 お金を貸すよりもむしろ、話を聞いて 自分に出来ることは無いか、知り合いで助けられる人が居ないか等を考えてあげるべきだと思いますし、それが友情だと思います。 誰にとっても 辛い思いをしている時ほどありがたいのが愛情や友情ですので、 今からでもHさんにはAさんに対して友情を示して頂きたいというのが私からのアドバイスです。

最後に私は人から相談事をされることが多い一方で、記憶力が良いこともあって 様々な苦境に陥ったストーリーや、 そこから脱却した前例については人よりも情報量が多いと思っていますが、 相談を持ち掛けた人と類似した苦境や その打開の前例を語って聞かせるのは、 その人を励ましてインスピレーションや前向きな思考をもたらすのに最も有効な手段だと考えています。 ですので友達でも、良く知らない人でも何等かの状況で困っている人が居た場合には、 自分が同じような思いを経験していればその話を、知り合いの経験でも似たようなケースを知っていたらその話をしてあげることは とても大切だと思います。 というのはそれが打開策として役に立つことが無くても、同じ状況に他人に置き換えて考えるだけで 凝り固まった思考をほぐすのに役立つためです。
見方を変えれば、人間を苦境に陥れるのは往々にしてそんな凝り固まった思考とそれが生み出す連鎖なのだと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




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