
★ "Career Matchmaking, Not Love"
知り合いを仕事で外国人男性に紹介したら…
秋山曜子様、
このコーナーの大ファンで、ウェブサイトもニューヨークに少しだけ住んでいた時代からずっと愛読しています。
ニューヨーク時代の友達の中には、以前キューブさんが主宰していた日本人女性のネットワーク・パーティーに参加した人も居て、
「良い友達が出来た」と とても感謝していました。今、私が頭を痛めていることをご相談させて下さい。
少し前のことですが、知り合いの外国人男性に仕事に必要な人材を紹介して欲しいと言われました。
ちょうど同じ業種をフリーでやっている女性を知っていたので紹介したところ、
かなりややこしいプロジェクトを抱えていたようなのですが予定通りそれを終えたようで、すごく感謝されました。
私は良いことをした気分になっていたのですが、暫くして男性から その女性が仕事が終わってからも
ストーカーのように付き纏うようになったので「何とかしてほしい」と言われました。
私は紹介した女性とさほど親しい訳ではありませんが、仕事をしているうちに恋愛と勘違いをしたのかと思い、
女性と電話で話したところ、女性からは男性がまるで彼女をガールフレンドのように扱って、彼女が殆どタダで仕事をしていたことを知りました。
仕事の最中に何度も「これが終わったら結婚しよう!」とか、まるで彼女を家族に会わせる準備をしているかのように
詳しく家族のことを話したりして、恋愛関係と言えるような間柄までいっていたようです。
ところがプロジェクトが終わってから、突然態度が冷たくなって距離を置くようになったそうで、
女性は「彼が仕事が終わる直前まで、私がずっと行ってみたいと思っていたレストランにお礼に連れて行くと言っていたので、
それが何時になるのかが知りたかったのでメッセージを送っただけ」、
「その後仕事で困っていることは無いか?と 尋ねたことはあるけれど、付き纏ってはいない」と言っていて、
「あれだけの仕事を殆どタダでやらせておいて、1回くらい良いレストランに連れて行ってくれても良いはず」、
「それもしないのなら、私は利用されていただけということですよね?」と逆に抗議されてしまいました。
男性は話が面白く、人を引き寄せる魅力があるので私も協力してあげようと思ったのですが、紹介してくれた友人によれば
確かに彼はその魅力を使って 自分に好意を持つ人から無料の好待遇を受けるところはあるようです。でもそれは女性からに限ったことではなく、
友人のご主人も彼には良くしてあげたそうです。男性はケチと言えばケチですが、あまり裕福ではないことや、
ヨーロッパ系は大判振舞いをするカルチャーではないことを思うと仕方ないと思いますが、まさか女性が大変な仕事を殆ど
無料でやってあげたとは思わなかったので、彼女と話すうちに 「確かに男性は少なくとも感謝のディナーくらいはするべきだった」と思えています。
でも男性は彼女とはもう会いたくない感じですし、女性は彼のことが好きだった反動で 今は彼に腹を立てているようで、
紹介した私としてはどうしたものかと責任を感じています。
何か双方にとって良い解決策は無いでしょうか?アドバイスをしていただけると非常に嬉しいです。
よろしくお願いします。
- M -

マッチメーキングはたとえ仕事でも軽率に行うべきではありません
私は恋愛でも、仕事でもマッチメーキングは軽率に行うべきではないと思っています。
人を紹介するというのは一般に親切な行為と思われがちですし、感謝されることも多いのですが、
何等かの利害が絡む紹介の場合は、紹介された側が迷惑を被るケースが実は非常に多いのです。
私のかつての知り合いに 誰彼かまわず人を紹介する女性が居たのですが、
最初は彼女を通じて新しい人に出会えることに感謝していた人でも、
時間が経過すると「もっと相性や人柄を考えてから紹介するべき」、「不用意に人を紹介するのは失礼」
とコンプレインするようになっていました。
私がこのコーナーに何度も書いてきた通り、交友関係というのは毒にも薬にもなりますので、知り合いは多ければ良いという訳ではありません。
毒になる交友関係は、自分ためにならない人間やその人が持ち込むトラブルに時間やエネルギー、時にお金を無駄にさせられる人生のトラップです。
なので人を紹介するという行為は、紹介する側が思っているほど当事者に良い結果のみをもたらす訳ではありません。
短期的に上手く行ったとしても、やがて自体が悪化するケースもあります。
例えば恋愛のマッチメーキングであれば、出会って間もない時は上手く行っても、お互いに遠慮が無くなってきた時点で
どちらかの態度が豹変するというケースは決して珍しくありません。ですが紹介する側はそんな人柄の側面を知る由もありません。
あくまで交友関係という見地から自分の友達を別の友達に紹介するのとは異なり、仕事や恋愛、その他 何等かの利害が絡む
マッチメーキングはMさんが経験されているように、当事者同士の問題が紹介した側に降りかかってくるケースも少なくありません。
そうなれば親切で行ったはずの紹介が原因で 「非常識」、「お節介」、「無責任」といったレッテルを貼られかねませんので、
あまり良く知らない人同士をマッチメーキングするのは、出来る限り避ける方が賢明だと思います。
外国人に対して過度に親切にする必要はありません
とは言ってもこのケースにおいては、紹介された当事者同士がこじれた段階で 男性側がMさんを巻き込むのは全く筋違いです。
仕事を目的に紹介された大人同士なのですから、事前にフィーの交渉はしていて当然のはずです。
女性が殆どタダで仕事をしていたことにしても、それは強制労働などではなく 合意の上であるはずですから
Mさんは何の責任も感じる必要はありません。
ですがもしMさんが外国人男性に「女性が ”フリー”で仕事をしている」と説明していた場合には
それが誤解を招いていたかもしれません。英語においては”フリー”はフリーランスの略語ではなく、無料を意味しますから
女性がタダの労力を提供すると誤解されても不思議ではありません。
特に日本に暮らして周囲からの好意に甘え続けてきた外国人男性であれば、勝手にそう思い込む傾向にあるように思います。
また女性側にしても、日本人相手なら 「タダの仕事なんて冗談じゃない」と思ったはずですが、相手が
チャーミングで話術に長けた外国人男性、それも自分の魅力をフル活用して周囲から好待遇を獲得する世渡りの上手い男性であれば、
相手が無料奉仕を望んでいることを悟ったとしても、「ちょっとくらい無料で助けてあげよう」と考えたかと思います。
そうするうちに相手のペースにはまって、ややこしいプロジェクトに巻き込まれるのは 外人に甘い日本人女性には珍しくないことです。
その一方で、男性側は女性からの好意や恋愛感情を感じて、それを利用していたからこそ
「これが終わったら結婚しよう!」と言ったり、女性をガールフレンドのように扱ったのだと思います。
彼はそうすることによって女性の仕事へのモチベーションを高めていたことと思いますし、
女性に恋愛の夢を与えることが その仕事に報いる彼のサービスだと考えていたかもしれません。
いずれにしてもMさんのメールから察する限り、この状況は 極めて世渡りの上手い人間に
不器用なほど一途な相手を 一方的に利用されるだけのために紹介してしまった 悲劇的なマッチメーキングです。
だからこそ不用意なマッチメーキングはするべきではないのですが、無料で仕事を手伝った女性が
たとえストーカーになったとしても それはMさんの責任ではありませんし、その解決をMさんに求めてくる外国人男性は
日本人の親切に甘える習性がついているとしか思えません。
私自身は 個人の魅力を世渡りに使うのは決して悪い事とは思いませんし、むしろ使えるものは全て使って幸せを掴むべきという考えの持ち主ですが、
それはチャンスを得るなど自分の道を切り開くためにするべきことで、他人に問題を押し付けたり、好意に甘えて利用するために行うべきではありません。
日本社会は世界的なレベルで見ても善良で親切な人が多いことは、私が日本人として非常に誇りに思うことですが、
外国人に対しては時に親切が行き過ぎと思われることが少なくありません。
外国人は日本人よりずっと大袈裟に喜んだり、感謝したりしますし、お世辞も上手く、特に日本に暮らす外国人は、
日本や日本人を賞賛すると 日本人が大喜びして益々良くしてくれることも熟知しています。
ですのでそれに乗せられて外国人に「親切にする」うちに「いいように利用される」事態になってしまうケースがあるようです。
日本で暮らした時期に特別扱いを受けていた ごくごく普通のアメリカ人が、 帰国してからも自分が特別だと振舞う様子は 一部で
”ロックスター症候群” と呼ばれていますが、そんな人間性が変ってしまうほどの好待遇も違った意味での人種差別と言えると思います。
私がニューヨークに住み始めたばかりの1990年代には、日本人という人種やカルチャーが全く理解されていなくて、特に90年代前半は
ジャパン・バッシングの真っ最中。「日本が嫌い」、「日本人は信用出来ない」とはっきり言うアメリカ人も居たほどだったので、
ニューヨークに暮らす日本人は日常生活の中で 常に国民性の善良さをアピールする努力をしていましたが、
それは恐らく諸外国で暮らす日本人にとっても同様だったかと思います。
でも時代が変わって、食の文化から国民性まで日本に対する理解が高まった今は、もっと肩の力を抜いて外国人に普通に接するべきというのが私の考えですし、
それで世界に十分アピール出来るのが日本人です。
私がMさんであれば このケースにはこれ以上関わらず、 万一外国人男性が再びコンタクトしてきた場合には、
女性を利用、もしくは女性の好意に甘え過ぎた後始末を自分でするようにはっきり言うだけです。
Mさんが出て行ったところで、事態を悪化させることはあっても状況の解決や改善には繋がりません。
「今後は良く知らない人間同士のマッチメーキングは控える」という教訓をご自分に言い聞かせるだけで十分です。
Yoko Akiyama
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |



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