Sep. Week 3, 2019
★ "Same Old Everyday Life..."
友人のリストラがきっかけで気付いた、将来に備えられない私の単調な毎日


秋山曜子さま、
いつもためになるニューヨークやアメリカの情報、そして素晴らしいアドバイスをありがとうございます。
私は大学を出て、社会人になって、特に目標や人生設計も無しに仕事を続けて来ましたが、少し前に友達がリストラされる話を聞いて 「もし自分がそうなったら、どうなるんだろう?」という不安に襲われて、深く考えてしまいました。 貯金もさることながら将来に備えて勉強をしたり、人生の計画をきちんと立てて 何かが起こった場合でも 動じないよう備えをしたいと思うのですが私にはそんな時間がありません。
朝起きて仕事に出掛けて、仕事が終われば友達に会う日もありますが、大体は夕食を買って自宅に戻り、 ネットフリックスのドラマやインターネットを観ながらそれを食べて、毎日大体同じ時間に眠るという生活です。 週末も1日は掃除洗濯など家の中のことで終わってしまったり、疲れて寝ているうちに午後になってしまうことが多く、 何かを勉強しようという気持ちにはなれません。 これではいけないと思って時間の有効な使い方の本を読んで、薦められているやり方を実践しようとしたのですが、 1週間も経たないうちに自分が本の通りに出来るような生活をしていないことに気付いて挫折しました。

その本には毎日の活力やストレス発散のために、自分が楽しいと思う時間、気持ちが落ち着く時間を大切にするようにと書いてありましたが、 私にとってはそれは仕事が終わってから友達に食事に出掛けたり、夕食を食べながらネットフリックスやインターネットを観て過ごす時間です。 自分のための時間、通勤時間、勤務時間、睡眠時間、その他仕事に出掛けるための準備等、どうしても必要な時間を差し引くと 時間が殆ど残らないので、単調な毎日に流されてしまっていて秋山さんがこのコーナーに書いていらっしゃるような前向きな人生を歩むには 「これではいけない」という気持ちで一杯です。
友達に時間の使い方を聞くと皆同じような返答をしますが、きちんとして前向きな印象の友達と そうでない友達が明らかに分かれます。 その違いは人間性なのかもしれないとさえ思っていますが、何か有効な時間の使い方について秋山さんにアドバイスをしていただけたらと思ってメールをしています。
お時間がある時に是非よろしくお願いします。 キューブ・ニューヨークのウェブサイトは、通勤中に必ずチェックしています。 これからも頑張って下さい。

- A -



タイムマネージメントに不可欠なのは決断力、理性、ルーティーンです


以前キャッチ・オブ・ザ・ウィークのコラムで、ミレニアル世代が大人になるための「アダルティング・クラス」を 取っていることを書いたことがありますが、その中で彼らが学んでいたことの1つがタイムマネージメントでした。 確かに親元で暮らしている時は、親が起きる時間、食事の時間、学校に出掛ける時間、寝る時間など、 生活全般のタイム・キーパーになっていましたが、親元を離れて大学の寮などで暮らし始めた途端に、 生活のペースが崩れてしまうミレニアル世代は少なくないことが指摘されています。
そもそもタイムマネージメントというものは時間を有効に使うことによって生活効率をアップさせるのに加えて、 時間にゆとりのある生活を目的に行うものです。 ですがAさんのように本を読んだり、レクチャーを受けてタイム・マネージメントを試みた人が先ず感じるのが、逆に「時間に追われるようになった」、 「以前より時間に捉われるようになった」という意識です。
私は個人的にお金と時間のゆとりこそが人間にとって最高のラグジュアリーだと思っていますが、そのゆとりが何処から来るかと考えればフレキシビリティなのです。 不必要なルールを導入して フレキシビリティを失えば、逆に時間に追われたり、捉われるようになるのは当然だと私は考えます。 それよりも私が自らの経験で、タイムマネージメントに最も大切だと思うのは決断力と理性、そしてルーティーンです。
人間が往々にして時間を無駄にするのは、1. 必要以上に長引かせてしまう楽しい時間、2. 何となくボッとしてしまう時間、 3. やりたくない事や気が進まないことを考えたり、それに取り組むまでの時間、4. 頭の中で決断を迷う時間です。 疲れてしまう前に楽しい時間を切り上げ、ボットする時間に早めに終止符を打ち、 やりたくない事ほどさっさと済ませる習慣をつけて、決断は頭がクリアな午前中に行い、決めたことを迷わないようにするだけでも、 1日の中でかなりの時間を捻出することが出来ますが、そのために必要なのが決断力と理性です。
やりたくない事については早めに片付けてしまうと、それに伴う精神的負担が一緒に払拭されるので、残りの時間が驚くほど自由で有効に感じられるという 心理トリックの役割も果たしてくれます。

幸い決断力と理性は、多かれ少なかれ誰にでも備わっている能力ですが、 そんなエネルギーを要する能力を使わなくても、人間にやるべきことをやらせてしまうのがルーティーンです。
誰にでも朝起きて、歯を磨いて、シャワーを浴びて、コーヒーを飲んでというルーティーンがあるものですが、 こうした決断が絡まない習慣を確立することは驚くほど時間を節約するのに役立っています。 その一方で朝のランニングをルーティーンに加えたいという人は、前日の夜にエクササイズウェアとスニーカーを揃えておくだけで 「走ろうか、どうしようか?」という迷いや決断のストレスを排除して、それを身に着けて走りに出掛けるルーティーンを確立することが出来たりもします。 ですので毎日やらなければならないことをルーティーン化すること、 そのルーティーンを出来るだけ簡単にこなすための準備や体制作りも併せてルーティーンにすると、1日の中で知らず知らずのうちに無駄にしている 5分、10分という時間をどんどん節約することが可能になります。
同じ生活内容でも決断力と理性、ルーティーンを活用することによって、1日の中で1時間、2時間といったゆとりを生み出すことが出来れば、 それが何かを始めたり、何かに取り組む心のゆとりを生み出してくれることは非常に多いのです。

タイムマネージメントは自分自身のマネージメントです


決断力、理性、ルーティーンをしっかり機能させるために私が大切だと思うのは、自分自身のマネージメントです。 要するにタイムマネージメントは自分自身のマネージメントなのです。 したがって、Aさんがメールで書いてくださったタイムマネージメントの違いは「人間性なのかもしれない」というのは 言い得て妙だと思います。
人間にはどう頑張っても1日に24時間という限られた時間しかない訳ですから、それを有効に使うためには 効率を上げるより他に解決策はありません。 私の意見では効率を上げるために大切なのは集中力、生活の中のメリハリ、十分な睡眠、 そしてエネルギーレベルを保つための食生活であり、それらは自分自身のマネージメントなのです。

集中力に関しては、”ながら状態”すなわち「TVを観ながら」という状況を排除するだけ高まりますし、 音楽を含む周囲の騒音をカットするだけでも集中力とそれに伴う生産性は各段にアップします。
生活の中のメリハリは、何等かの変化によって脳を刺激し、活性化するということで、 例えば同じ仕事を長時間ずっと続けるよりも別の作業や気分転換になることを間に挟む方が効率がアップしますし、 着る物、食べ物、インテリア等の変化で気持ちをリフレッシュさせることが効率アップや新しいアイデアに繋がるのは言うまでもないことです。

食事と睡眠について言えば、そもそも人間の生活の中で最も大切であり、殆どの人々が厭わないのがこの2つのアクティビティです。 それでいて現代人の多くがどちらにも十分な時間を割かず、質を重んじない傾向にあるようです。 睡眠については一晩に3〜4回のREM睡眠を含む8時間前後が身体と精神の健康のために必要とされますが、 そんな質の高い眠りのため、そして日常生活に必要なエネルギーを保つために大切なのが食事です。
そもそも人間は1日のエネルギーの70%を食べた物の消化、吸収、身体の組成に使っています。 沢山食べると眠くなるのは消化、吸収、身体の組成にエネルギーを奪われるためです。 したがって1日を効率良く過ごすためには、食事にもエネルギー効率を求める必要が出てくるのです。
具体的にはカロリー当たりの栄養価が高い食材を選んで、それを栄養価を失わない調理法で味わうことが大切です。 そうすることによって身体にもたらされるエネルギーの方が、消化や吸収、身体の組成に費やされるエネルギーに対して大きくなりますので、 脳にも身体にも十分な活力が行き渡ります。
逆にカロリーの割に栄養価が低く、消化&吸収に過度な時間とエネルギーを奪われる加工食品や揚げ物は、 消化吸収力のある若い頃ならばある程度の許容範囲がありますが、 どんなにラッキーな人でも30歳を過ぎたら 確実に身体のエネルギーを奪われますので 疲れ易く、無気力になったり、 忍耐力が失われて、生活全般の効率が落ちて行く要因になります。 またアルコールは確実に眠りの質を低下させるので、疲れている時ほどアルコールを摂取するべきではありません。
人間は食事というものを単に味覚や健康の見地から捉えがちですが、実際には生活のペースから、睡眠、 体力、精神力に至るまで、全てに影響を及ぼしているのが食べ物なのです。 したがってたとえ調理の時間や手間が省けても、テイクアウトで出来合いのものばかりを食べていると、 エネルギーレベルや生活効率のスローダウンを招くだけでなく、やがてはエイジングが早まるので、省いた時間や手間以上のダメージを被ることになります。

これらを総合的に理解した上で自分と時間のマネージメントに取り組む場合、有効な手段の1つが20分早く起きるという事です。 その20分を週末にやっている掃除を少しずつ行う時間に当てたり、簡単なストレッチやメディテーション等に使う、 そうでなければ単に仕事に行く前にゆったりコーヒーを飲みながら1日の予定を考える時間にしても構いません。 20分のゆとりをもって仕事に出掛けるだけでも生活に変化が出ますし、その時間を有効に使うことによって 「たった20分でもこんなに生活が変わる」という意識を持てば、残りの23時間40分の過ごし方が変わって行くはずです。 もし何かに時間を無駄にしてしまった場合には、その後二度と同じような時間の無駄をしないように気を付けることによって、 それが無駄ではなく教訓を得た時間に変わります。
小さな節約の積み重ねでゆとりを生み出すのは時間もお金も同じです。 時間が節約できれば、以前よりお金も節約できるはずですし、そこから生まれたゆとりが 将来に備えるための活力をAさんに与えてくれます。 これを機会に是非頑張って取り組んでみて下さい。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




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