Oct. Week 1, 2019
★ "When Talk About Money, Things Gets Ugly"
何故お金の口論は他の言い合いより見苦しいのでしょう?


秋山さま、
いつもこのコーナーだけでなく、CUBE New Yorkのサイトの更新を心待ちにしている愛読者です。
半年ほど前から生活費の節約を兼ねて、お付き合いしてた男性と一緒に住み始めたのですが 事前にいろいろな取り決めをせずにいきなり生活を始めてしまったこともあり、 生活費、その他のお金の問題で口論になることが増えてきました。
お金のことで口論するのは彼も私も気分が悪いので極力避けているのですが、 一度始まると感情的で、歯止めがかからない口論になります。 他の事でも口論をする私たちですがお金については平行線で、何故こんな風になるのかがいつも不思議に思えています。
ふと考えると私の両親も「お金のことでは夫婦喧嘩はしたくない」と言っていましたし、 彼も「お金のことで両親が喧嘩をしているのが子供心に一番嫌だった」と言っています。 どうして口論はお金のことになると、他の言い合いよりも見苦しくなるのでしょう。 お時間がある時に秋山さんなりのお考えを聞かせて頂けたら嬉しい限りです。
これからもウェブサイト、頑張って下さい。 時々ですが、購読料代わりにお買い物をさせて頂いています(笑)。

- M -



人は多かれ少なかれ、お金に支配されています


私は「人間は多かれ少なかれ、お金に支配されて生きている」という考えの持ち主です。
どの程度の財産があるかというファイナンシャル・ステータスはそのまま人格や人間性に反映されますし、 世の中では経済レベルをその人物の頭脳のレベル、人間としての信頼度、幸福や成功の度合い、人生の充実ぶりと結びつけてジャッジする傾向が顕著です。 大金持ちだと聞いただけでその人物の外観の評価まで変わるケースも全く珍しくありません。
経済的に困窮している人ほど自分より裕福な相手との恋愛や不倫に走って、愛情と金銭面の区別がつかなくなる一方で、 「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉がある通り、相手の財力が衰えた途端に愛情を感じなくなるのもありがちなシナリオです。 すなわち他人に対する評価だけでなく、自分の感情までもが相手の財力や経済レベルに影響されている訳です。
私の友人は金策に追われて母親に借金を頼んだ途端に連絡を絶たれて、 母の日の家族の集まりにさえ声が掛からなかったという経験をしていますので、家族関係さえ変えてしまうのがお金の問題です。 また「お金を貸して欲しい」と言われた友達を避ける一方で、経済的に豊かな人とは積極的に仲良くなろうとするのが一般的な人間心理です。

人間はお金のためならばあっさりモラルを曲げることは珍しくありませんし、中には賄賂を受け取ったり、詐欺行為を働くなどの犯罪を犯すケースもあります。 お金は多くの人間にとってライフラインですので、自分で稼げないと判断した場合には人から得ようとします。 それはお金の入手手段の模索というより、サバイバル本能に掻き立てられたデスパレーションなのです。
そうかと思えばお金の価値感というものは自分のお金と他人のお金では異なります。 私は以前、会社のイベントをホストした際の会場のダメージに70ドルのペナルティを支払う羽目になりましたが、 その時に「70ドルくらいで済むなら仕方ないでしょ」とあっさり言い放った人が、自分が開催したイベントの50ドルの損失については烈火のごとく腹を立てていた様子を良く覚えています。 要するに誰もが自分の損失や経済状態への影響を敏感に捉えるということで、もしお金の扱いに何等かのごまかしが絡んでいると判断された場合には 信頼が永遠に失われることになります。

社会においては金銭的に豊な人間は何等かの特権階級意識を持ちますし、財力が劣ればそれが何等かの劣等感を生み出すことになります。 経済状態の変化が人間性の変化をもたらすのは言うまでもないことで、儲かり出した途端に態度が大きくなって自分より経済力が劣る人を蔑む態度を取る人も居れば、 逆に金銭面の問題やストレスを抱えて短期間に大幅に老け込む人、性格が卑屈になったり、無口で内向的になるケースもあります。
要するに人間は財力によってランク付けされ、財力で他人をジャッジし、自分自身の人間性や愛情レベルまで財力の影響で変わってしまう訳で、 どんなにキレイごとを並べたところで世の中の価値観はお金が中心で、人間が少なからずお金に支配されているという事実は否定できないのです。

お金には人間感情の全てが絡みます


でも人間は決して自分の財力に見合った暮らしぶりをしているとは限りません。 ウォーレン・バフェットは世界第三位の富豪でありながら毎朝マクドナルドで朝食を買い、 他のCEOに比べて見劣りするスーツを着用する節約家であることは有名です。 反面、一般庶民の中には自分の財力以上の高級車や家を無理なローンを組んで購入する人は少なくありませんし、 カードローンを増やしてまでブランド物を身につけようとする人も居ます。 そうした人々が収入に見合わない出費によって得ようとしているのは財力のステータスシンボルで、 それを所有することによって得られる自尊心や、世の中からのリアクションに対してお金を支払っているケースが殆どです。
世の中では自分の金銭面の内情を明かすことなく人付き合いをしますので、 借金で購入したステータスシンボルでも自分の財力を実際より大きく見せることは可能です。 また借金の支払を終えていないステータス・シンボルを自分の財産と捉えて、それでプライドを膨らませる人も少なくありません。

収入や投資について尋ねることは親しい関係でもマナー違反と見なされることもあり、 アメリカではカップルの約40%が実際に結婚するまでお互いの年収やクレジット・スコアを含む経済状態について「殆ど知らない」、 「話し合ったことが無い」というアンケート結果が出ています。 ですが結婚すれば避けられないのがお金の問題で、アメリカでは夫婦喧嘩、離婚の原因の第1位が金銭問題です。 一般的に人間がお金や収入について語らない理由は「お金に左右されたくない」、「お金は汚いもの」、「お金は人間を破滅させる」 といったお金に対するネガティブな考えを潜在的に持っているためで、お金について口論することについても否定的な考えを持っています。
ですが前述の通りお金は人間にとってライフラインであり、自分の財産へのインパクトは敏感に受け止めますので、 多くの人々にとってお金についての自分の考えや都合は決して譲れないものなのです。 そしてそこには損得の意識が深く絡んでいます。
早い話がお金というものにはプライド、欲望、コンプレックス、価値観、善悪、損得、世間体など、 人間の感情を掌る全てが深く関わっているのです。 加えて人は金銭的な損失やごまかしは、他のことより遥かに深く記憶に刻み付ける傾向がありますので、 金銭問題で口論をすれば感情的になるだけでなく、過去の出来事を持ち出してきてはその怒りを再燃させるケースは少なくありません。

更に言えばお金の遣い方、扱いには人間性が如実に現れますので、 家計簿をつけるなどしてきちんと出費をコントロールしながら貯蓄に営む人にとっては、家計をシェアする人間が持ち込む不意の出費、それも計画性の無さや 楽観的な展望に基づく不必要な出費は、自分のしてきた努力を踏みにじる行為に受け取れます。
アメリカ社会では何でも特大のファミリー・サイズを購入しては食べ切らず、使い切らずに捨てる人は珍しくありませんが、 そんな無駄遣いが耐えられない日本人妻が離婚したケースなどもありますので、カップルにとってお金や消費についての考えが一致していることはとても大切と言えます。
また私のアメリカ人の友人には、レイオフされてしばらく仕事が無かったボーイフレンドが自分のアパートの冷蔵庫の食材を無断で バッグに詰め込んで持ち帰ろうとしている様子を目撃してしまい、「自分は仕事が忙しくて食材デリバリーをオーダーする時間さえないから、 お金をあげるから食材を持って行かないで欲しい」と言ったところ、そんな「チャリティみたいな金は要らない」と彼に逆切れされて口論となり、 その場で絶縁を言い渡したというエピソードがありました。 食材をガールフレンドのアパートから持ち出そうとするくらいに経済的に困っていても、「お金をあげるから」と言われると意地やプライドが出てくるのは 女性に対する男性特有のリアクションかと思いますが、そんな男女の優劣意識が介在した場合には、 お金に関する口論が更に感情的になります。

「お金やそのトラブルと無関係に生きるためには やはりお金が必要」というのは現代社会の皮肉なパラドックスですが、 生きるということが経済活動である限りは、人間は誰もがお金とその問題に関わり続けることになります。 ですのでお金に関する口論がアグリーになるのも避けられないのだと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




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