Oct. Week 5, 2019
★ "Single Woman's Burden?"
育児ノイローゼの妹と比べて卑下される独身の私


秋山曜子さま、
いつもサイトの更新と新しい商品の登場をとても楽しみにしています。私もご相談にのって頂きたく、メールをしています。よろしくお願いします。

私には2歳下の妹がいます。年齢が近いこともあって幼い頃から私と妹は両親から親類にまで比較され続けてきて、姉の私の方がのんびりしていて、 妹の方が何事にも要領が良く、積極的な様子が好対照に映ってきた感じでした。 大人になってからもそのイメージが強く、特に妹が先に結婚して子供を2人設けたことで、親戚からは私が売れ残りの負け組、妹は自分の人生を切り開く勝ち組という 見方をされることが多く、親類が集まる度に必ずと言ってよいほど嫌な思いをしてきました。
ですが実際は親戚が思っているような状況とは程遠い有り様です。 妹の夫は失業して浮気をして、養育費を払いたくないので離婚をしないような酷い人で、妹の長男は精神的なハンディキャップがあります。 妹は2人目の子供を出産してから育児ノイローゼになっていて、母は孫の面倒を見る毎日で疲れ果てています。 私も週末を返上して実家に手伝いに行くことが多く、正直なところ妹一家が私たち家族の重荷になっているのです。

にも関わらず親類が集まる席では、母は妹がちゃんと結婚して、孫も生んでくれて、その孫が可愛くて… というような妹の自慢話をしては、 私のことは なかなか結婚しない今時のキャリア志向の厄介者として扱います。 そのため親戚も妹が家庭を持って一人前になっていて、 私が親のすねをかじりながら 成果の上がらない婚活をしているようなイメージで私達姉妹を捉えています。
私には何故母が親戚に事実とは違う様子を話してまで妹を良く見せたいのかが理解できません。 また妹がパジャマのような恰好でメークもしないで現れても、きちんとした服装でその場に居る私よりも ちゃんとした人生を歩んでいるように捉える親戚のことも理解が出来ません。 独身で仕事をしているのがそんなに悪いことなのかと思ってしまいますが、私は年上の従兄よりも高給取りなので、 そんな風に蔑まれる言われは無いように思っています。

どういう態度を取ったら母や親戚にもっとまともに見てもらえるのでしょうか。 別に褒めてもらう必要はありませんが、事実と異なる形で蔑まれるのはもう沢山だと思っています。
これから年明けまで法事やお正月など親族が集まる席がいくつかあるので、何かそれを乗り切るためのアドバイスをしていただけると嬉しいです。
キューブさんは大好きなサイトなので、このコーナーとウェブサイトをずっと続けてください。

- E -



親戚とはお互いを良く知っているかのように思い込む人間関係です


親戚が姉妹や従兄妹を比較するというというのは日本だけでなく、アメリカ社会でも親族が集まる度に行われていることです。 また親戚同士が 勝手なイメージや思い込みを何時までも引きずるという状況も世界共通のように思います。
私自身日本に住んでいた頃には もう何年も肌を日に焼いていないにも関わらず、 久々に親戚に会う度に 「前回会った時はあんなに日に焼けていたのに…」と、 突如色白派に切り替えたかのようなコメントを言われ続け、いちいち訂正するのが面倒なので話だけ合わせていたのを覚えています。
要するに人間というのは たまに会う親戚の事など深い関心を払っていないので、一度ついたイメージを会う度に掘り起こしては、 それで適当に会話をしようとする生き物なのです。 それでいて親戚という血の繋がりのせいか、もしくは嫌でも定期的に会う機会があるせいか、何故か相手のことを良く知っているかのように思い込むところがありますし、 時に歪んだ競争意識を持つ場合もあります。
近況報告くらいしか話すことがない間柄の親族にとって、年齢が近い兄弟、姉妹、従兄妹同士の比較対象は 時間が潰せる恰好の話題の1つです。 そして一度ついた優劣のイメージは、時間が経過して状況が変わったところでアップデートされることはありません。

親戚の持っている自分に対する先入観を払拭して 今の自分を正当に評価してもらおうとするのは、 言ってみればテクノロジー音痴にソフトウェアのアップデートをさせようとするようなものです。 でもテクノロジー音痴はたとえアップデートをしたところで、そのソフトウェアが使いこなせないケースが少なくありません。
世の中には不便や不都合、好ましくないことは沢山ありますが、改善した方が良い場合と放っておいても大勢に影響がないケース、 むしろ放っておいた方が時間と労力の節約になるケースというものがあります。 親戚が自分をどう思っているかは まさにその放っておいた方が時間と労力の節約になるケースです。 親戚がどう思ったところで、それがEさんのキャリアや人間関係に影響を及ぼすことが無い限りは そんなことに時間や精神力を使う必要はありません。 それより 自分のことを良く知りもしない割に好き勝手なことを言う親族と過ごす時間をいかに短く済ませるかを考える方が合理的だと思います。

親族への体裁を気にするのは後ろめたさがあるためです


妹さんを実際より良く見せて、Eさんを卑下するようなお母さまの発言については、それがお母さまが 妹さんの問題でストレスを感じて、その体裁を気にしている表れだと思います。
お母さまや親族の価値観では「娘は結婚して、可愛い孫を生んでくれるのが一番」と思われますので、 娘の1人がそれを実践していると親族が思ってくれることがお母さまのプライドを支えているのかもしれません。 私だけでなく世の中の多くの人の目から見れば 酷い男性に引っかかることなく、キャリアで自立出来るEさんの方が頼もしい存在ですが、 人間の価値観というのは宗教のようなもので一度根付くとそれだけを信じて生きるようになるものです。 ですので実態はどうあれ、妹さんが親族が理想とする人生を送っているという体裁を保つのが 今のお母さまにとって大切なのだと思います。 それはEさんに対する愛情やEさんへの評価とは全く無関係で、理屈がまかり通らない人間の本能のようなものです。
妹さんが本当に幸せで、順調に子育てをしていれば お母さまはそんな妹さんの実生活のエピソードを親戚に語って聞かせて自慢していたことと思いますが、 そのエピソードがないだけに Eさんという比較対象を持ち出してきて「妹は結婚して子供を産んでいるのに、姉の方は…」と言うしかないのです。 そして結婚はしていなくても立派にキャリアを築いているEさんが問題であるかのように語ることによって、 それ以上の問題を抱えていないかのように振舞いたいのです。
人間にとって体裁というのは、それに構わない強さや自分の価値観を身につけるまでは 苦しい状態を我慢するためのモチベーションになり得るものです。 ですので私は辛い思いをしている後ろめたさから 体裁を保とうとする姿勢を真っ向から否定しようとは思いません。 人間には使えるものを全て使って苦しい局面を乗り越えなければならない時期というのがあるのです。 ですからEさんには お母さまが妹さんの問題でその時期を迎えているのだと考えて、寛容に対処して頂きたいと思います。

最後に妹さんは大変な時期を迎えていらっしゃいますが、私は同様の苦境を姉妹のサポートで乗り切った例を幾つか知っているだけに、 こういう時こそEさんには 妹さんを重荷ではなく 家族の一員と捉えて、 たとえ小さなことでも愛情やサポートを示して頂きたいと思います。 今のEさんは 妹さんと比較される不満に関心が行ってしまっていますが、 私が何度か過去のコラムに書いている通り、苦境に直面している人に対しては自分が出来る範囲で助けてあげるべきなのです。 それが妹さんならば尚のことです。
そしてEさんにはこれを機会に自分の考えを鈍らせるような余計な雑音には耳を貸さず、問題の本質を見極めて、それに取り組む姿勢を身につけて頂きたいと思います。

Yoko Akiyama


★ 書籍出版のお知らせ ★


アマゾン・ドットコムのサイトからの予約注文
楽天ブックスからの予約注文


このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください

プライベート・セッションはこちらからお申し込みください

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。




Shopping
home
jewelry beauty ヘルス Fショップ 購入代行

Q&ADV プライベート・セッション

当社に頂戴した商品のレビュー、コーナーへのご感想、Q&ADVへのご相談を含む 全てのEメールは、 匿名にて当社のコンテンツ(コラムや 当社が関わる雑誌記事等の出版物)として使用される場合がございます。 掲載をご希望でない場合は、メールにその旨ご記入をお願いいたします。 Q&ADVのご相談については掲載を前提に頂いたものと自動的に判断されます。 掲載されない形でのご相談はプライベート・セッションへのお申込みをお勧めいたします。 一度掲載されたコンテンツは、当社の編集作業を経た当社がコピーライトを所有するコンテンツと見なされますので、 その使用に関するクレームへの対応はご遠慮させて頂きます。
Copyright © Yoko Akiyama & Cube New York Inc. 2018.

PAGE TOP