Mar. Week 2, 2020
★ "Managing the Impact of Coronavirus"
コロナウィルスのビジネス影響で焦る夫のために…


秋山曜子さま、
いつもサイトを愛読しております。 ご承知の通り、日本は今コロナウィルスの問題でいろいろなイベントが中止になり、 中国に生産を頼っていたメーカーなどが打撃を被っているところです。 私と夫も自営業を営んでおり、コロナウィルスの影響が徐々に商売に現れてきました。 夫は最初は「中国とは関りの無い仕事で良かった」などと、のんびり構えていたのですが あっという間に状況の深刻さが変わってきたことから 突然危機感をつのらせていて、 「こういう時にも儲ける方法を見つけないと」と焦ったかと思えば、 「こんな状況じゃ何もできない」と落ち込んだりして、 「やはり男性の方が弱いのかな」と感じてしまいます。
そんな夫に秋山さんがよくこのコーナーに書いてくださるような、発想の転換や 焦りを抱かない気持ちの切り替えをしてほしいと思っています。 何かアドバイスを頂けないでしょうか。 よろしくお願いいたします。

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人間にはどんな状況にも順応する生命力が備わっています


いつもこのコーナーはご質問をいただいた順番でお答えするようにしているのですが、今週はタイムリーなご質問なのでSさんからのご質問を 先に取り上げさせて頂きました。
アメリカでは先週末、国内感染の初めての死者が出たのをきっかけに、 感染の脅威が一気に高まって来たところです。 それでも中国の感染拡大が沈静化してきたのを受けて コロナウィルスを、「終わってみれば”60日現象” になる」という楽観的な見解を語る人も居れば、 向こう1年分の食糧を買い込んだ人がメディアで報じられるなど、人のリアクションも様々です。
私がCUBE New Yorkを設立して以来、ビジネスへの大きなインパクトになった出来事というと、すぐに頭に浮かぶのは やはり2001年の9・11のテロ、そして2008年のファイナンシャル・クライシス、日本で言うリーマン・ショックです。 テロの直後の自粛ムードは「3000人以上の人々が命を落とした後に XXXをするのは不謹慎」というもので、 ストアはガラガラでしたし、多くのイベントがキャンセルされ、女性達の服装が地味になりました。 私自身、ニューヨークに来て初めてジーンズを購入したのが9・11直後でした。 それ以外にもラジオ局がジョン・レノンの「イマジン」の歌詞が不適切といってプレイリストから外したり、 テロの犠牲者に黙とうを捧げてからでないとMLBの試合も、ブロードウェイのパフォーマンスも始められないような状況でした。
それが2008年のファイナンシャル・クライシスになると、経済の先行きを危惧したり、 レイオフを心配して人々がお金を遣わなくなり、外出や旅行も控えるようになり、 休みは取っても何処へも行かない「ステイケーション」という言葉が生まれたのがこの時です。
コロナウィルスはそれらに比べると健康、引いては命に 直接に関わる初のクライシスです。 もちろん歴史を遡れば1957年に6万6000人のアメリカ人が命を落としたインフルエンザや、 世界各国でのコレラ感染など、伝染病が経済や人々の生活を脅かした例はいくらでもありますが、 コロナウィルスは国境を越えてグローバルに人や物が行き来する時代に起こった初のパンデミックで、 感染だけでなく、経済的インパクトが世界各国に急速に広がっているという点で 現代人が過去に経験したことが無かった類のクライシスと言えると思います。

ですが人間はどんな状況や局面においても、それがある一定期間続いて 予測可能な状況になると、 それに急速に順応する生き物です。 今回のパンデミックを受けて、専門家の間からは「現在のCOVID-19の脅威が去ってからも、新しいコロナウィルスが頻繁に 流行するのが ”ニュー・ノーマル” になる」という予測が聞かれていましたが、 それは9・11の直後に 「これからの世の中ではテロの脅威がニュー・ノーマルになる」と言われて人々がゾッとした状況に通じるものがあります。
事実、9・11以降の世の中では何が起こっても、地下鉄の駅に不審物が置かれているだけでも、まずテロを疑うようになりましたし、 テロを防ぐセキュリティのために一般市民のプライバシーや人権に手かせ足かせが加わってきたのは明らかな事実です。 でもそれがニュー・ノーマルになると 人間はその中でそれなりに生きていくのはテロから戦争に至るまで、様々な歴史が証明する通りなのです。
現在アメリカ各州ではコロナウィルスが原因の自宅隔離や、外出自粛に備えて食糧や生活必需品をパニック買いする人々が増えていますが、 それを受けてある大手スーパーのマネージャーが 「みんなコロナウィルスで世の中が滅びると思ってパニックになっているけれど、うちのビジネスにとっては有難いことだ」と 不謹慎とも取れるコメントをしていました、でもこのマネージャーが示唆する通り 世の中はコロナウィルスでは滅びる訳ではありませんし、 そういう事態で恩恵を受けるビジネスもあれば、損害や打撃を被るビジネスもあるということなのだと思います。
頭を冷やせばそうしたビジネスの明暗、浮き沈みは天候やトレンド、景気などを反映して常に小さいスケールでは起こり続けていることです。 ですから私はこういう状況下においては、どんな形でも、たとえ頭の中で考えるだけでも 過剰反応が一番いけないと思う一方で、 健康という人間にとって最も大切なものを軽視したリスクはコロナウィルスに限らず、どんな状況でも冒すべきでないという考えです。 たとえ身体が丈夫な人でも、自分が発病しないだけで保菌者となって高齢者など免疫力が劣る人々にウィルスを撒き散らすケースがあるだけに、 自分の健康を過信した行動は感染病においては控えるべきだと思います。

守りを固めるというのは決して後ろ向きなことではありません


私自身はコロナウィルスの感染拡大に伴って、自分の免疫力がそのまま 自分の会社の免疫力であると考えるようになりました。 なのでコロナウィルスの感染が広まってからはきちんと睡眠をとって、以前よりもしっかり健康管理をするようになりました。
先週発表になった最新の調査によれば、アメリカでは肥満(Fat) を通り越した超肥満(Obese) が国民の42%となり、 それをさらに上回る深刻な超肥満(Severely Obese)人口は9%となっています。 これらの人々は心臓病や糖尿病を患っているケースが殆どで、 インフルエンザに感染すれば肺炎を併発する可能性が極めて高く、コロナウィルスに感染した場合にもシビアな症状で命が脅かされるリスクが高まることが指摘されています。 インターネット上には、 コロナウィルスがそんな健康保険の負担になる高齢者や超肥満層、心臓病等の病を持つ人々を 世の中から一掃するためにばら撒かれたといった陰謀説も見られますが、 私はコロナウィルスの問題を機に 世の中全般が人生のインフラストラクチャーである健康の重要さをもっと深刻に捉えて、ヘルシーなライフスタイルを確立すべきだと考えています。 日頃から健康的な食生活やエクササイズの必要性を軽視して、喫煙やアルコール摂取が多い人でも、 こういうご時世ならば自分の健康に真剣に取り組めるものと思っています。

また私はスポーツにおけるディフェンスとオフェンス同様、人生でもビジネスでも守りを固めるべき時と、行動を起こすべき時があるという考えで、 特に1ヵ月先の状態さえ定かでないような段階では まずは健康管理、これまでやってきたことの継続、新たに起こりうる問題への備え、 利益が増えないならエクスペンスを見直すといったディフェンスを強化する時だと思います。 スポーツでもディフェンス・プレーヤーがオフェンスに転じてポイントをゲットするように、 守りさえしっかり固めていれば、そこからビジネス・チャンスが生まれるケースは全く珍しくありません。
そのためには世の中の状況をしっかり見極めながら、チャンスや可能性を模索する嗅覚を高めておく必要がありますし、 一度チャンスを見い出したら、それに向けて直ぐに行動を起こすためのスタミナや精神力は不可欠です。 スーパーボウルの歴代チャンピオンの80%近くがディフェンスが優れたチームであることを思えば、 勝ち抜くためにディフェンスが如何に重要であるかが理解できるかと思います。 日本語では「守りに入る」という言葉は消極的で後ろ向きなイメージがありますが、 守りを固めることは何事においても極めて重要なことなのです。

それとは別に、私が問題に直面した友人に頻繁に話すのが、雪崩の際のサバイバル法です。 雪崩に巻き込まれた時に、先ずすべきことは着用している衣類や腕を使ってエアポケットを作ること。すなわち酸素の確保です。 その次に行うべきことは唾液を口から垂らすことで、何故これを行うかと言えば それによって天地の方向をしっかり把握するためです。 雪崩で死亡する人の多くは自分の頭がある方が天だと思い込んで、間違った方向に雪を掘ってしまうそうで、 唾液を垂らすことは正しい情報の収集であり、状況見極めのステップです。 そうして正しい方向に雪を掘っていくからこそ、体力があるうちに脱出が果たせるのです。
このことは人生にもそのまま当てはまる訳で、災難やトラブルに巻き込まれた際に焦ったり、パニックに陥って 無闇に行動を起こすのはとても危険です。 ですが状況を維持しながら きちんと情報収集や事態の見極めをしてから動けば、確実に自分を救うことが出来るのです。
言い方を変えれば、焦りに駆り立てられるのは遭難死する人、状況を見極めてから行動を起こすのが再び陽の目を見ることが出来る人です。 人は焦ると思考回路がきちんと働かなくなりますので判断を誤ったり、勘違いをしますし、 それが身体の動きにも影響して、日頃簡単に出来ていたことさえ出来なくなる場合もあります。 ですから自分が焦っていると感じた時には、まず立ち止まって自分を取り戻すことが何よりも大切だと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。

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