May. Week 1, 2020
★ " Feng Sui Wisdom "
常識&本能で取り入れる風水


秋山曜子様 いつもHPの更新を楽しみにしております。CUBE New Yorkでは、9.11の時も更新を続けてくださり、また今回のパンデミックの中でもNYの状況をお伝えくださり、ありがとうございます。
私はコロナウイルスのパンデミックにより目処が立つまで休職になりました。 そのため家でじっくり出来ることをしよう思い、再び片づけをすることにしました。 私の周囲でも家にいる時間が多くなり、片づけや断捨離している知り合いが増えてます。
以前の大規模な片づけから3〜4年が経過し、改めて1点1点自分の持ち物を確かめると、 ファッションアイテムだけで何と50点近い片づけの品がでてきました。年齢を重ねたり、生活環境・習慣が変化していくと、 今の自分には似合わなくなったもの、不要なものがまた出てくるのですね。
今回、自分の部屋を含め家族の共有スペースも模様替えして、世の中が不安な情勢だからこそ家ではみんなが気持ちよく明るく過ごせればと思っています。 その際、風水も取り入れたいと思っています。 秋山様は風水に詳しく、記事の中にも時々風水の話があるので その度に興味深く読んでいました。 風水を調べると色々な流派(?)のようなものがあるようですが、是非秋山様の取り入れている風水についてお話しいただけると幸いです。
この新型ウイルスの拡大が早く収束することを今は祈るばかりです。 今年はかなり久しぶりにNYCに行きたいと思っていたので、またいつか行けることを願っています。 秋山様もどうかお気をつけくださいませ。

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風水の基本は常識と本能に従ったセオリーです

私が最初に風水に興味を持ったのは1990年代前半で、当時は一部屋のストゥディオ・アパートメントに暮らしていました。 仕事や生活に変化をもたらしたいと考えて興味を持ったのが風水で、何冊もの本を斜め読みして 最も分かり易く、そのセオリーに共鳴する2人の風水師の本を購入して、その2冊だけを何度も読んで勉強したのを覚えています。
その結果、風水の基本原則は安全性と居心地の良さだということを悟りました、 世の中でも風水というと まずはベッドの位置、デスクの位置等が初歩的なレッスンになります。 横になった状態で無理なく部屋の入口が視野に入る場所にベッドを置くこと、ベッドの頭の位置の上に窓や棚がくるのを避け、重たい装飾品を飾らないといったことは、 睡眠中の侵入者への備え、上から物や割れた窓ガラスが落ちてくるトラブルの回避によって、潜在的に抱く不安や危惧を取り除いて快眠を得るための知恵です。
また壁にどんなアートを飾るかもさることながら、その位置を5センチ変えるだけで突然部屋の雰囲気が変わることは少なくありません。 人間は驚くほど物の配置やバランスに敏感な生き物ですから、装飾品のアンバランスな配置、組み立てを間違えて傾いた家具、落ちそうな場所に物を置くことは ストレスや危機感を抱く要因になりますし、それを察知しながらも「後で直そう」と先送りにすれば尚の事それが高まります、 同じことは掃除についても言えます。埃が溜まっている状態や物が出し放しの状態を放置すれば 「掃除をしなければ」、「片付けなければ」という気持ちが ストレスや精神的な重荷になるだけでなく、仕事が終わって疲れて帰宅した際に 疲労感や自分の無力さを助長するネガティブ要因を家の中に生み出します。
それだけでなく部屋の埃のせいで喘息気味になることもあれば、出し放しにした物に躓くいて思わぬ怪我をすることもあります。 さらにいつも置いてある場所に物を戻しておかないと、必要な時に探しても見つからず 時間を無駄にすることになります。
本来自分を充電し、英気を養うはずの自宅が、そんなリスクやストレス要因になる場所になるのを回避するのが風水の最も基本的な部分であり、 それは人間の常識と本能に従ったセオリーでもあります。
でも多くの人々はそんな常識と本能で 理解・察知していることでも それらを改めて教えられたり、学んだりして 初めて知識として身に着けるケースが多い訳で、 私はその意味で風水という学問は大切だと思っています。

以前のコラムにも書いたことがありますが、人間には本能的なセンスや嗅覚が備わっているので 引っ越しの際に 何も置かれていないアパートに足を踏み入れると、 「ここにソファーを置こう」、「ここに鏡を吊ろう」といったインスピレーションが沸いてくるもので、それは風水の知識がゼロの人のアイデアでも 驚くほど風水のセオリーに適ったものになっています。 ですがそれを狂わせるのが 怠惰や実用を優先させる思考で、「ここにこれがあった方が便利」、「ここまで電源コードが届かない」といった理由から 部屋の景観やバランスを損ねるデコレーションや配置をすることによって風水のハーモニーが崩れます。 単に部屋の中を余分に1.5メートル歩くだけの手間やエクステンション・コードを買う手間を省く姿勢が 居住空間、引いては生活全般に影響を及ぼすのです。
またトイレの蓋を日頃から閉めること、特に流す前に蓋を閉めることは風水で奨励されていますが、 日本のようにトイレが個室になっていないアメリカのバスルームでは、このことは風水以前に衛生の問題です。 コロナウィルスの感染が広がってからは、「トイレのフラッシュでも感染症が広がる原因になる」ということで蓋を閉め始める人が増えているとのことですが、 欧米のバスルームのレイアウトでは トイレの中に物を落とすケースも非常に多いので、常に蓋を占めて置くことは風水以外の見地からも 利点が多いと私は考えています。

風水の勉強が仇になるケース

私が風水の2冊の本で特に興味深く学んだのはカラー、エレメント、空間のバランスについてです。 どんなに見た目に調和がとれた印象でもベージュ1色、グレー1色の部屋は、ホテルの客室ならまだしも そこで生活していれば気持ちもベージュやグレー1色の面白みもエキサイトメントもない、落ち着いただけの退屈な心理状態になっていきます。 特に私はキレイな色を見て気分が高揚するなど、視覚的な美しさが精神面に好影響をもたらすので、自分の好きなカラーを部屋のアクセントに用いていますが、 リヴィングはレッド、バスルームはパープル、寝室はカラフルなアクセントよりも控えめなトーンが望ましいので、かつては淡いグリーン、二年前に引っ越してからはモノトーンになっています。 複数の家族と共有するスペースの場合、誰もが好感を持つカラーが選べれば一番良いのですが、レッド、グリーンというような カラーの種類より大切なのはトーン、すなわち色の明るさで 部屋の用途に合わせて精神状態を高揚させるトーン、鎮静させるトーンを選ぶことが大切です。

エレメントとは水、金、土、火、木という5つの要素をそれぞれが意味するパワーを高めるためにバランス良く用いるのが風水ですが、 私の友人夫婦は1990年代半ばに130万円近いコンサルテーション・フィーを風水師に支払って、理想的なエレメントのバランスを実現するために自宅アパートを改装しました。 ですがそれは 私が学んだセオリーとは全く異なるものでしたので その時は「いろいろなやり方があるものだ」と思ったと同時に、改装後の方がインテリアの質が落ちたのは友人の間で評判でした。 その約2年後に友人夫婦は離婚したので 「やはり風水が間違っていたのでは?」とも考えられますが、 深いリサーチもせずに雇った風水師に大金を支払って、言われるままに模様替えをしたことを思えば、お互いに結婚に際しての相手選びも早まっていたのかもしれません。
前述のように 居心地良い空間というのは、風水のセオリーなど取り入れていなくても 風水の理念に適っているケースが殆どです。 逆に風水のセオリーを下手に取り入れたせいで、そのせっかくのバランスが崩れてしまうケースもあるので やり方によっては勉強が仇になることもあるのが風水です。

空間については、多くの人が部屋を広く使うために家具を壁や窓際にピッタリくっつける傾向がありますが、カップルがダブルベッドを壁にくっつけると 壁側で眠っている人物が、 通路側で眠る人物より弱い立場になって、カップルのパワーバランスが崩れて不仲になるケースは少なくありません。片側にだけサイドテーブルを置けば、テーブルを置いた側の人間の パワーが高まり、テーブルが無い側がその不便をカップルの関係に持ち込むようになるのでやはり不仲の原因になります。風水でカップルの寝室の左右対称が奨励されているのはそのためで、 これは驚くほどカップルの関係に影響します。
またデスクを窓に向かって置いたり、入り口に背中を向けるのは、気が散ったり、背後の様子が分からないという点で風水上悪いとされますが、 壁沿いに家具が並んで中央がガランと空いた部屋は 子供部屋ならば構いませんが、女性の1人暮らしでしたら 団欒の場が無いのが当たり前の状態、 すなわち縁遠い状態を意味します。

さらに風水の見地からは 要らない物を捨てるのは良いことですが、物は少なければ良いという訳ではありません。 私は知り合いの家を訪ねて「空間のバランスを保つために ここに何かを置いた方が良い」という光景を何度も目にしています。 欧米では家具やデコレーションが少々ガチャガチャした印象の部屋は珍しくありませんが、それが不思議にバランスが取れて、何とも言えない味わいを出しているケースは 風水の見地からは良いことと見なされます。 逆にガランとして天井が高く、広すぎる家は風水の見地からはさほど奨励されません。もちろんその空間を上手く処理するのも風水の役割です。
人間には心地好い広さというものがあって、ものに囲まれた狭い空間が息苦しい一方で、広すぎても落ち着かないのです。 ガランとした殺風景な部屋は、空虚感や退屈な気持ちを高めます。 私のウエストコーストの知人の家にはしょっちゅう息子の親友が泊まりに来ているそうですが、その親友は大金持ちの息子で8ベッドルーム、10バスルームの家に住んでいながら、 知人宅の方が落ち着けて、リラックス出来るとのこと。知人はその理由を「ソファーでビデオゲームをしている最中にキッチンに食べ物を取りに行くのに、ウチだったらすぐ傍だけれど、 彼の家だと50メートル歩くことになる」と笑っていましたが、人間に適した生活空間というのは財力に関係なくほぼ同じということなのだと思います。

風水というのは 人間が心地好く生きていくための学問ですので、人間が千差万別であると同様、フレキシビリティがとても大切です。 セオリーに適っていなくても 素晴らしいパワーを発揮しているオブジェは動かすべきではありませんし、住んでいる本人の心地好さを優先させるべきなのです。 その意味で私は風水の勉強が仇になる可能性が高いと思うのは、「1からきちんと勉強して、本の通りに全て実践する」という性格の人です。 人間でも世の中でも理屈が通用しないことが沢山あるのは 風水においても然りです。本当にパワーを宿しているものほど ルールとは無関係に存在していることは多いのです。
大切なのは自宅という空間で心地好い時間を過ごして、そこで培ったエネルギーを仕事やライフワークなどに生かすことです。 風水のインテリアに精神力やエネルギーを費やすのでは本末転倒です。 それを心得て自分の心地好い空間を常識と本能でクリエイトすれば、私はそれで十分だと思う次第です。


最後に 以前のこのコーナーでお知らせした通り、Q&ADVの電子書籍の第四弾目 Q&ADV from NY 4 キャリア&マネー を リリースいたしました。
今回は 過去約3年間に寄せられた キャリアとお金に関する 18のQ&ADV を集めて編集していますが、全て内容をアップデートしたものになっています。 CUBE New Yorkの20周年を記念する意味も込めて、先が見えない時代の経済活動の指針にしていただきたいという願いを込めての一冊です。
現在ならアマゾンの キンドル・アンリミテッドのトライアルにご登録頂けば無料で読んで頂くことが可能です。 またキンドルを持たない方でも、アプリをダウンロードすることにより コンピューターやスマートフォンで読むことも出来ますので、 ぜひ多くの方々にご一読いただけたらと思っています。 ここをクリックするとアマゾンのページにジャンプします。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。

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