Sep Week 3, 2020
★ " COVID-19 Loser? "
”コロナウィルス負け組”の屈辱


秋山曜子様
いつもサイトの更新を楽しみにして、毎日チェックしています。
私もご相談したいことがあってメールをしています。

少し前に暫くぶりに友人グループが集まりました。その時に職業でコロナウィルス時代の明暗が分かれるという話題になって、 飲食業や旅館等のコロナで不利な業種が苦戦している様子や、自宅でお料理を教えるようなお教室で収入を得ていた人達の収入が途絶えた話題になりました。
実は私も自宅であるお教室を開いていて、確かにその収入が入らなくなってしまいました。 また夫もあるサービス業を営んでいて、正直なところコロナウィルス以降はとても経営が苦しくなっています。
今は貯金がありますが、毎月少しずつその額が目減りしているのはあまり気分が良くありません。 本当だったら気分を転換になるはずだったお友達との集まりでしたが、 見下し目線で「こんな仕事をしていたら大変だった」、「うちは夫が銀行だから良いけれど」などと言われて、 まるでコロナウィルスの負け組と言われたような気持ちになり、気が滅入る思いをして帰ってきました。 以来、悔しさや虚しさが定期的に襲ってきて気持ちが晴れません。

このコーナーでは過去に何度も秋山さんの発想の転換術というか、「こういう考えもあるのか」的なアドバイスを読んできて、 その都度力づけられたり、アイデアをいただいたりしたので、私のためにも何かアドバイスをしていただけるでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、是非よろしくお願いします。
お身体に気を付けて頑張ってください。いつも応援しております。

- M -




パンデミックはこれからの時代変化の過渡期に過ぎません

パンデミックの影響で以前だったら誰もが予期しなかったロックダウンに見舞われたことで、職業別に明暗が分かれたのは世界的に言えることだと思います。 今後についても「また今まで通りに人々が外食を楽しみ、旅行をする時代がやって来る」と楽観的な予測をする人も居ますが、 私は以前と同じ世の中には戻らないという考えの持ち主です。
ですが私は人間が本能的に効率やクォリティ、向上心に価値を見出す限りは、飲食業を始めとする様々なサービス業やレクチャー業は存続すると思います。 すなわち自分でやるよりも効率やクォリティが上がるものには人々がお金を払うと思いますし、お金を生み出す能力やお金を節約する能力、人生を改善出来る能力を身に着けたいという気持ちはパンデミックを経験したからこそ 益々高まっていることと思います。 しかしながら、従来のやり方ではこれらが最もパンデミックで打撃を被るセクターであったことから、資金がある大手ほど再びパンデミックが起こった場合を想定したビジネス・モデルへの転換を急ピッチで進めています。 それは感染予防のための空調システム、AIの導入など多岐に渡っています。

その一方で人間というのは、一度楽観的になると自分が痛い目にあったことを忘れて同じ過ちを繰り返す生き物でもあります。 ですからコロナウィルス問題が一旦収まった時点で、パンデミックに弱い体制を野放しにしたまま強気のビジネスをする 中小企業が増えても不思議ではないと思いますし、そこで取り返して先に備えようという気持ちがあればあるほど、 中小企業のオーナーがリスクマネージメントよりも利益追求に走るのは典型的な人間心理だと思います。 しかしそれをやってしまったら時代に淘汰される側に回ってしまうというのが私の予測です。
これまでの近代史を振り返っても、一時はあって当たり前、必要と思われたものがどんどん時代によって抹消されてきているのです。 LPなどのレコードはここ数年ノスタルジーからカムバックして来ましたが、以前のマーケットシェアに比べれば微々たるものですし、ビデオ&ミュージックのカセットテープも然りです。 また今ではビジネス・カードにファックス番号が書いてあると「未だファックスなんてオフィスにあるの?」と不思議がられる時代です。 ビデオを観たり、音楽を聴いたり、書類を送付するといった人々のアクティビティには変わりはなくても、それらを行うフォームはどんどん変わってきているのです。 人間生活に深く関わるものほど早さ、クォリティ、効率などが追求される結果、どんどん進化するのです。 ですから私はパンデミックのリスクを常に想定する時代を迎えた今、飲食、サービス業、レクチャー業にも これまでになかった進化やフォーマット調整が望まれているのだと思います。

今の時代で一番してはいけないことが油断です

その意味で私は、この転換期の波に上手く乗れた場合には大企業にお勤めするよりも自分の経済活動がコントロールできる可能性があるのが自営業だとさえ思っています。 というのはどんなに儲かっていても大企業が大勢の社員を抱えて、大きなオフィスを構える時代が終わりつつあるからです。 「パンデミックが起こっても自宅勤務になっただけ」と自分の仕事の安定を信じて疑わない人は特に大企業務めの中に少なくありませんが、 自分以外の人でも出来る仕事をしている場合や、自分の仕事がAIに取って代わられる可能性がある人は長期の雇用安定が保証されていると思い込むのは間違いだと思います。
また安定高収入のビジネスの代表と言える銀行にしても、アメリカではパンデミック以降、10%以上の年利を得るためにノンバンクに預金を移す人が徐々に増えています。 それを実践した人は、「トラディショナルな銀行は10年後にはブロックバスター・ビデオのような存在になる」とまで予言しますが、 実際に世の中が一定の方向に向かい始めると、一時は無敵と思われたビジネスでも崩れていくのです。

Mさんは お友達との会話でコロナウィルスの負け組扱いをされた気分を味わったかもしれませんが、 世の中がこれから変わろうとする段階で 勝ち負けを決めるのは時期尚早です。 私は今の時代で一番してはいけないことが油断だと思っています。 ですから 自分の下に他人を位置付けて優越感を感じたい人にはやらせておけば良いのです。
「ウサギと亀」、「アリとキリギリス」のストーリーを思い出して、ただ地道に取り組むだけでなく 時代をマクロ的に捉えて、 その中に生じるニーズを自分のビジネスで狙っていくことを考えてみてください。 またパンデミック中に苦い経験をした中小規模のビジネスほど 「自分のような思いをしている人を助けたい」というような気持ちが 新しい方向性の糸口になります。 私はこういう時代だからこそ、ビジネスを通じて思いやりや正義、愛情を示すべきだと考えていますし、それは大企業にはできないことです。
ここで上手く新しい方向性を見出せば、数年後にはMさんが今を振り返って お友達との会話で悔しい思いをしたことが 忘れられない人生のターニングポイントになる日が来ると思います。 そのためには視野を広くして、思考を前向きにしなければなりませんが、焦りは禁物です。 世の中の動きをしっかり見据えるためには、自分自身が不動の心を持つことが不可欠です。 メディテーションなど、自分をリセットする時間を1日の中に取り込んで、健康に留意しながら是非頑張ってください。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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