Oct Week 1, 2020
★ " Why I Still Live in NYC? "
NYに住み続ける意味が分からなくなりました


Yokoさま、
NYに住んでいます。NYに来る前からCUBEさんのサイトを読み続けてきましたので、10年以上愛読していると思います。 私にもご相談させて下さい。

コロナウィルスのロックダウン以来、私のNY生活が大きく変わってしまいました。 友達がどんどん日本に帰国したり、州外の親の家に戻ってしまい、住んでいるアパートからもどんどん住人が引っ越して行って、 交友関係が激減してしまいました。そして私1人が取り残されたような気持ちを味わっているうちに NYに住み続ける意味がだんだん分からなくなってしまいました。
私は独身で一人暮らしです。今はボーイフレンドも居ません。 ロックダウンと自宅勤務になって1人で過ごす時間が増えてから、NY生活が色褪せてしまったように思います。 私がNYに来たのはNYが大好きだったためで、子供の頃から「変わっている」、「自我が強すぎる」と言われてきた私は NYに住んで、いろいろな国から来たいろいろな価値観の人達を見て 初めて「自分が特殊で社会性が無い人間ではないんだ」という気持ちになれて、自信がつきました。 人がどう思うかなどを気にせずに自分の意見が言えるニューヨークで、日本に居た時には決して味わえなかった本当の意味での言論や思想の自由を感じました。
ですが今はそんな気持ちが揺らいでしまい「私はここでずっと暮らして良いのだろうか?」、「世の中に取り残されて、本当に1人ぼっちになってしまったらどうしよう」という不安に襲われます。 だからと言って日本に帰りたい訳ではありません。

秋山さんは今の私のような心境をどう分析されますか? こんな状態ならば、英語力を生かして仕事が見つかる年齢のうちに日本に帰国した方が良いのでしょうか?
何かアドバイスを頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。

- S -




Glass Half Full, Half Empty

私がSさんのメールを拝読した限りでは、現在のSさんは自分の本当の気持ちよりもFOMO(Fear of Missing Out)に駆り立てられているという印象を受けました。 FOMOは自分だけが取り残されるという強迫観念のことで、人間の判断を狂わせる大きな要因の1つです。

パンデミック以降のNYCでは、州外に出ていくニューヨーカーのことを「Fair weather New Yorker / フェアウェザー・ニューヨーカー」と呼ぶようになりました。 これは「Fair weather friend (直訳すれば晴天の友。日本語では日和見主義者:形勢を見て有利な側に加担する人) から来た言葉で、 NYが潤って活気がある時にはニューヨーカーになって、パンデミックで沈滞ムードになった途端に外に出ていくという意味です。
過去数ヵ月のメディアでは そんなフェアウェザー・ニューヨーカーが「何故ニューヨークを離れるか?」を語る様子が何度となく見られましたが、 実際にはパンデミック以降にNYを離れた多くは、以前から「物価とレントが高額で、アパートが狭いニューヨークの生活に見切りをつけなければ」と思っていた人々で、 パンデミックはそのトリガーに過ぎません。 またロックダウンで友達に会えず、その友達もNYを離れているという状況も脱NYに拍車を掛けていました。

ですがSさんの状況は私の目から見ると、特にNYを離れる必要が無いように見受けられるだけに 気持ちの問題のように思えます。 すなわち「Glass Half Full, Half Empty」の状況です。 NYにお住まいのSさんであればこの表現を聞いたことがあるかと思いますが、半分水が入っているグラスを 「半分満たされている」と考えるか、「半分しか入っていない」と考えるかで 同じ状況でも違う意味を帯びてくるのです。
以前はNYというグラスが「半分満たされている」とポジティブに捉えて、そこからエネルギーや生きがいを感じていたSさんが 今は「半分しか満たされていない」と考えるようになってしまい不安や焦りを覚えているに過ぎないのです。

If You Love NY, NY Loves You Back

つい先日、友人が私を含む数人のグループにメールで送付してきたのが、メディアが約100人のニューヨーカーを対象に行った ”何故NYCに住み続けるのか?” の調査結果。 そのメールにはニューヨーカ―がそれぞれに語ったNYCに住み続ける理由が全てリストされていて、「その中から自分が最も共鳴するものを3つ選んで返信して欲しい」というのが友人からのリクエストでした。
どんな理由がリストにあったかと言えば、以下がその一部です。

このメールを受け取ったグループのリアクションは「読んでいるうちに涙が出てきた」、「ニューヨークへの愛をポエムにしたよう…」というものでした。

NYという街は愛情を注がなければ、注ぎ返してくれることはありません。NYに批判的な住人は NYにただ暮らしているだけで、NYを生きていないので ろくな経験をしていません。 ですが愛情を注いでいる限りはNYは生きる幸せを毎日の生活の中で与えてくれる街です。それは美しい夕日や 見知らぬニューヨーカーからの親切、 短い会話の中のニューヨーカーならではのユーモアのセンスであったり、ストリート・パフォーマーの歌声だったりしますが、そんな毎日の小さな感動をエネルギーに変えて生きているニューヨーカーは、 私が知る限りとても純粋ですし、人生にも真剣に取り組んでいます。 それと同時にNY生活にはチャレンジが付き物ですが、私はNYほど人間を成長させてくれる街は無いと考えています。
SさんもNYが大好きで住み始めたのですから 気持ちをその原点に戻してみるべきだと思いますし、交友関係を含むNY生活全般をリセットして、 今を新しいステップアップ段階へのスタート地点にするべきなのです。

最後に友人が送付してくれたリストから私が選んだNYに住み続ける3つの理由は以下の通りです。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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