Dec. Week 2, 2020
How I Get Ideas & Inspirations?
アイデア不足でいつもミーティングで吊し上げを食っています


秋山曜子様、初めまして。
つい2~3ヵ月前からこちらのサイトにお邪魔するようになり、特にこのコーナーにはまってしまいました。(笑) 私も職場での悩みがあるので、アドバイスを頂けたら嬉しいです。

私の職場では週に1回ペースでミーティングがあり、その都度新しいアイデアを出さなければなりません。 ミーティングは上司を入れて8人やっているのですが、私を含む3人が毎週のように「アイデア不足」、「怠けている」と吊し上げを食っていて、 「毎日生きていて何もアイデアが生まれてこないのか?」「脳細胞が死んでいるのか?」、「感覚が鈍化している」と 上司のストレスのはけ口にされているのでは?と思いたくなるほど罵倒されます。
でも私は決して怠けている訳ではなくて、毎週新しいアイデアを出すために雑誌を読みまくったり、インターネットでいろいろなサイトをチェックするのが日課になっていて、こちらのサイトもその最中に見つけました。 リサーチには他のスタッフよりも時間使って真面目に取り組んでいると思います。 でもアイデアを出すと「そんなのつまらない」とか、「それで何をしようというのか?」とあっさり却下されてしまうので、 自分のアイデアに自信が持てなくなってきています。ここ2回のミーティングでは 私が提案しようと一度は考えたものの、 また「つまらない」と却下されるのがオチだと思って 止めたアイデアが上司に褒められているのを見て情けなくなってしまいました。

上司に気に入られているスタッフは、そんなに一生懸命リサーチをしなくても 何となく毎週上司が興味を持つようなアイデアを出していて、他のスタッフにも リサーチ力を信頼されていたりします。 私はその人よりずっと努力をしていると思うのに、その努力が実を結んでいません。
秋山様にアドバイスをお願いしたいのは、こういう状況で何をどう変えたらアイデアが沸いたり、他から拾えたりするのかということです。 でもこんなことを人に訊かなければならない私は、アイデア勝負の仕事には向いていないと考えるべきなのでしょうか。
このところミーティングが近づくと 不安になることが多く、ミーティングのネタのことを考えて眠れなくなる夜も増えてきました。 どんなことでも助言して頂けたら嬉しいです。 よろしくお願いします。

- F -



真面目に取り組みすぎるとアイデアは沸いてきません

Fさんがお尋ねの本題に入る前に、私が中小企業の経営者として最も雇いたい人材についてご説明したいと思います。
世の中では仕事に真面目に取り組んで、努力するのは素晴らしいことと考えられますが、 真面目にやり過ぎてそれだけで手一杯になってしまったら、そこから先に進むことはありません。 大企業でしたら 大勢のスタッフの中にそういう人材が混じっていて当然なのですが、 限られた人件費で経営を強いられる中小企業では、そんな人材よりも上手く怠けて帳尻が合わせられるような人の方が歓迎されるのです。 同じ結果に辿り着いている限りは、上手く怠けようという気持ちが労力や時間を省く効率アップに繋がるだけなく、 他のことに目を向ける余裕が生まれるので、仕事の疲れやストレスに潰されることもありません。

それとは別に世の中にはレシピ通りに料理をしていて、遠くの店でしか売っていない大切な食材を買い忘れたことに気付いた時に、面倒でも買いに出かける人も居れば、 面倒なので買いに行かずにそのまま味気ない料理を作る人も居ます。でも世の中を最も上手く渡って行くのは、その時の手持ちの材料を代用して 別の美味しい料理に替えてしまうようなアイデアや機転、フレキシビリティがある人なのです。
今のFさんは面倒でも食材を買いに出掛ける真面目なタイプとお見受けしますが、このタイプはいざ料理という段階で疲れてしまったり、 時間の遅れを取り戻そうとして料理を焦がしてしまったり、買いに出掛けた食材に気を取られて 気付いたら別の材料を入れ忘れれていたという 真面目さがもたらすマイナス面に足を引っ張られる傾向にあります。

私がFさんのようなタイプにあえて勧めるのは、どうしたら良いアイデアを得られるかというアプローチを止めて、どうやったらミーティングで良いアイデアを出しているように見えるか、 どうしたら自分をアイデアに溢れる人間だと演出できるかにフォーカスすることです。 それを実践するにはもちろんアイデアやクリエイティビティが必要です。 例を挙げればミーティングと全く関係ないものでも資料のように持ち込んだり、誰かが上司の気に入るアイデアを提出した際には 自分もそのネタについて調べていて、もっと具体的な情報を持っているように振舞って、その資料が手元に見当たらないことをボヤキながら話に参加してみるべきなのです。 アイデアを出した人は、自分の意見に賛同者が出ればもっと詳しくそれについて語るはずですので、益々話が合わせ易くなるはずです。
悪知恵を授けているように聞こえるかもしれませんが、悪知恵は知恵であり、その知恵こそがアイデアなのです。 アイデアを生み出す力はどんな人間にも備わっています。 4歳児でさえ悪戯をして親に怒られないようにするために嘘をつきますが、それも立派なアイデアです。 Fさんがそれを引き出すには、今の間違った時間、労力、頭の使い方を180度切り替える必要があります。

大切なのは話術と、ミーティングにおけるプレゼンスです

Fさんの上司はミーティングでかなり厳しいことをおっしゃるようですが、「そんなアイデアはつまらない」と言われた場合でも、 黙ってしまうよりも 「私もそう思うのですが、それなのに話題になっているので 何がアピールしているのかを検証すると別のアイデアに繋がるかと考えました」と説明すれば、 つまらないと言われた案に検討の価値をもたらすことができます。 「それで何をしようというのか?」と言わた場合は、「今はどうにもならないと思うのですが、発想は悪くないのでこれを何かに上手く生かせないかと思って提案してみました」 と言えば少なくともビジョンを持ってアイデアを出したと印象付けることができます。
上司に褒められるようなネタが無い時でも「未だアイデアとしては固まっていないのですが…」と前置きしながら何かを提案するだけで、 それを聞く側の態度は軟化しますので、そこから別のディスカッションがスタートするケースは少なくありません。 ミーティングというのは完成されたアイデアを出すための場ではなく、アイデアや情報を持ち寄って、そこから新しいプランや改善策を生み出すためのものです。 そのためには建設的なブレーンストーミングに発展するようなコミュニケーションが非常に大切なのです。

その意味で、ミーティングにおいて最も無益な人材は 意見を求められてもただ押し黙って、 他のスタッフの表情を窺っているタイプで、そういう人に限って意見を求められることを恐れて 上司や発言者の顔を見ないようにしながら、熱心にメモを取る傾向にあります。 でもミーティングにおいては話している人に関心を集中させるのはマナーですし、 誰も何も言わない時ほど 何かを発言したり、質問するなどして その場の死んだ空気を生き返らせるべきなのです。
そして発言の際には「XXXと思うんですけれど…」などと尻つぼみのセンテンスではなく、 「XXXと思います。」と語尾がある文章をポジティブな態度とポジティブな声のトーンで語ることがとても大切です。 同じ内容を発言していても、これらを実践するだけで印象や発言内容の浸透力が全く異なります。

そもそも今の世の中においては 全く新しいアイデアが生まれてくることはそうそうありません。 特に週に1度の頻度でミーティングを行っている場合、必ずしも毎回プロダクティブな結果が生み出される訳では無いのは織り込み済なはずです。 だからこそ大したアイデアが出て来なかったとしても、聞いていて面白い発言をするメンバー、会話のピッチを上げて発言がし易い雰囲気を作るメンバーの存在がとても貴重なのです。
私が社会に出た友人の子供世代によくアドバイスするのは、「Just working hard get you nowhere」ということで、 真面目にカリカリ働くだけでは誰にも見込んでもらえることはありません。 大切なのは職場で人を魅了することで、人間性の有益さをアピールしなければ 能力や努力だけで勝負しても道は開けないのです。 ムードメイキングでも、信頼性でも、要領の良さでも、仕事とは別にキャラクターとして有益な存在であることは キャリアにおいて非常に重要です。 ミーティングはそれが有効にアピール出来る場ですので、これからは良いアイデアを出すことよりも 自分の有益性のアピールにフォーカスして頑張ってみてください。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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