Dec. Week 4, 2020
Make Children's Wishes Come True
2020年のアメリカ、X'masの美談=社会問題


今回は今年最後の同コーナーですので、2020年のクリスマスに私が思うことについて書かせて頂きます。

アメリカでは毎年クリスマス・シーズンになると、子供達がサンタクローズにプレゼントをリクエストする手紙を書くのが伝統。 そしてそれをサンタに配達する代わりに USPS(United Postal Service / 郵便局)が毎年行っているのが オペレーション・サンタ。 これは集まった手紙を公開し、一般の人々がサンタに成り代わって子供達に希望のプレゼントを贈るチャリティ。 贈った側も受け取った側もハッピーになるフィールグッド・チャリティとして毎年人気を博しているもの。
2020年はそれが初めてデジタル版になり、インターネットを通じてより多くの人々がチャリティに参加できることが歓迎されていたけれど、 時代を反映して子供達のリクエストが大きく様変わりしており、 それが人々にショックを与えていたのだった。
大金持ちの子供達がプレーステーション5の入手が遅いと親を怒鳴りつけていた一方で、 サンタに手紙を書いてプレゼントをねだるしかない子供達が何を望んでいるかと言えば、 「コロナウィルスが1日も早く世の中から無くなりますように」、「皆が1日も早く元通りの生活が出来ますように」といった パンデミックがらみのものが見られた一方で、 「ホームレスの子供や病院に入院している子供達に玩具をプレゼントして欲しい」と望む子供、 小さな家に引っ越してリヴィングのソファーで眠らなければならない両親の腰痛やストレスを心配して ソファー・ベッドを望む子供、エッセンシャル・ワーカーとして毎日働く母親のための暖かいコートと手袋をリクエストする子供、 さらには「両親が抱える請求書を支払うための100ドル札を下さい」と書く子供も居て、 私はそんな手紙を読んでいて本当に胸が苦しくなってしまったのだった。



それ以外にも、父親がUPSに務めていて パンデミック以降ずっと忙しくてなかなか会えないという少年が サンタクロースに父親と一緒に過ごす時間をリクエストする手紙も見られたけれど、 子供達がクリスマスに自分へのプレゼントの代わりに 親の請求書の支払いや、腰痛、ストレスの心配をしているというのは 美談であると同時に、明らかに社会が間違っていることを立証している状況。
パンデミック以降、ただでさえ開いていた貧富の格差が更に拡大したことは既にメディアが報じて久しいけれど、 本来中小企業が受け取るはずだったコロナウィルス支援策の返済義務が無いローン1つを取っても、その大半が支払われたのは富裕層が経営する全くお金に困っていないビジネス。 パンデミックがビジネスに影響しない社員6人のヘッジファンドが約3億円の支援金を受け取って、経営者が高級車やボートを購入していたのに対して、 15人のスタッフを抱えるレストランにはローンが下りずに閉店に追い込まれ、従業員が失業保険とフードバンクに頼るしかない状況を生み出していたのだった。
その結果、今年はクリスマスのプレゼントどころか、日ごろの十分な食糧を買うお金さえないファミリーが急増。 サンクスギヴィングの際にはターキー・ディナーの食材が買えないファミリーが夜を徹してフードバンクに行列して、 無料で配布される食糧を必死で手に入れる光景が全米で見られており、同様の行列はクリスマスにも見込まれるもの。
でもフードバンクに行列をしなければならないような弱者は数字的データに含まれないことから、ここへ来てコロナウィルス感染が急速に悪化するまで、 表向きに下がった失業率や、ホワイトカラーの給与上昇でアップした平均賃金の 数字だけを見て「景気はパンデミック前のレベルまで回復している」と平気で語っていたトーンデフ(世情音痴)な政界&ウォールストリートの人間は非常に多いのだった。

話は全く変わって2020年12月21日月曜日は 占星術で幸運を司るジュピター(木星)と権威を司るサターン(土星)のグレート・コンジャンクション(大接近)が冬至と重なるという極めてパワフルで珍しい現象が起こった日。 そもそもジュピターとサターンは20年ごとに接近するものの、今回のような水瓶座とゼロ度の角度で交わる接近は1623年以来のこと。 でも1623年は地球上から眺めることが出来なかったので、これが目撃出来たのは1226年以来、すなわち約800年ぶりのこと。 このグレート・コンジャンクションは”クリスマス・スター”、”スター・オブ・ベツレヘム”とも呼ばれ、キリスト誕生の際に輝き、東方の三賢人をベツレヘムに導いたと伝えられるもの。
私がここでグレート・コンジャンクションを突然持ち出してきたのは、これが占星学の世界では新しい時代への変化の幕開けと定義づけられているためで、 過去200年続いた土地の征服、物質と富への執着、工業化への傾倒から、 より人間的、平等博愛的、そしてテクノロジー・フレンドリーな社会に大きく転換すると言われるのがこれから。 それを考えると子供達のサンタへの手紙は、欲に駆られた政治と金融のシステマティックな搾取によって世の中がどうしようもないところまで来てしまった象徴ではなく、 これからの社会を手紙に込められた正義感や人類愛、思いやりを持つ子供達が担っていくことを占星術が予言していると解釈出来るもの。
2020年は誰にとっても忘れられない1年になると思われるだけに、今年親達の苦労を見て様々な思いを抱いた子供達が、 やがてその気持ちを公明正大な未来社会のビジョンに繋げて実現しようとする日がきっと訪れると思うのだった。
Merry Christmas & Happy New Year!

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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