
Coronavirus Fatigue
人に会うのが億劫になり、仕事にも生き甲斐を感じません
秋山様、
長年愛読している読者です。もう10年以上御社のサイトにほぼ毎日アクセスしています。
私にもアドバイスをお願いします。
コロナウィルスのせいでテレワークが続くようになり、外出や友達に会う機会が激減しました。
それまでは週末も含め週に3~4日は出掛けていましたが、ずっと自宅にこもる生活になったせいで
メークやおしゃれをする必要もなくなり、鏡を見ては容色の衰えを実感する毎日です。
先日久々に友達グループと食事をしましたが、レストランの食事が今一つで、
友達との会話も「あの人のご主人の仕事はコロナウィルスのせいで大変みたい」というような話ばかりで、
「これだったら家で好きな物を食べてネットフリックスを観ていた方が良かった」と真剣に思いながら帰ってきました。
その日はドップリ疲れてしまい、すっかり人に会うのが億劫な体質になったことを実感しました。
それとテレワークを続けるうちに「私はこの仕事をずっと続けていくのだろうか」という疑問や生き甲斐の無さを感じるようになりました。
でも転職を考えようとしても自分が何をしたいのかが分からず、そんな自分が情けなくてたまりません。
どうしたら自宅に居ても活力やメリハリがある前向きな生活が出来るようになるか、アドバイスしていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
- K -
パンデミック中には全ての人のライフスタイルや価値観がリセットされています

Kさんのような状況は、現在多くの人々が味わっているように思います。
私はパンデミックに突入してからというもの、今の世の中のリセットをどう捉えて、どう生きるかが、たとえ何歳でも、何処に住んでいても今後の人生の明暗を分けると考えています。
ですので今までとは違う考えや価値観を持ったり、それまで普通に行ってきたことに身体が暗黙の拒否症状を起こしていることは、むしろ人生を考え直す好機であるとポジティブに捉えるべきだと思う次第です。
Kさんは週に3~4日お友達に会う社交的な生活から、自宅勤務の外に出ない生活に変わり、
久々に出掛けたお友達との食事でドップリ疲れてしまわれたとのことですが、
実際には人と会うのは楽しい反面、時間もエネルギーも、そしてお金も費やすイベントです。
それを習慣的に行っている時には、身体もそれを続けるための省エネモードに入っていますので、いかに自分の時間やエネルギーが食い潰されているかを自覚せずにいたかと思います。
ですがそんな省エネモードで人に会っていると その時々は楽しくても、その時間から何かを学んだり、アイデアやモチベーションを得ることは殆どありません。
たとえあったとしても次の外出の予定で忙しくて、「いつも頭に引っかかっているけれど、実践できないこと」で終わってしまうのが常です。
そんな状況から得たアイデアで実践できるものと言えば、新しいスキンケアや科学的根拠は無いものの 簡単に出来るダイエット法など、
人生を長い目で見ればどうでも良いことばかりです。
私はこれを機に Kさんが今まで自分の貴重な時間やエネルギーの大半を刹那的な楽しみに費してきたことを認識すべきだと考えます。
社交のためにはお友達と予定を立てたり、着て行く服を考えるなど、実際に出掛けて人に会う以上の時間が割かれていたはずです。
パンデミック前まではお友達に会って、自分が取り残されていないことを実感することがとても大切だったかと思いますが、
その価値観がリセットされた今は、人生という限られた時間を本当に自分のために役立てようという気持になってきたはずです。
そもそも私は社交上手というのは、常に予定が埋まっている人ではなく、効率良く自分に有益なコミュニケーションをして、それを人生の展開に活用している人だと思っています。
社交から得た情報、アイデア、インスピレーション、人脈を自分の生活に生かし、学んだり、行動に移す習慣を持っている人は、
パンデミック中も自分の興味や目的を追求し続けているので 話題が豊富で、生活も前向きで、会話をしていて楽しい存在なのです。
”同じ毎日を過ごすうちに歳をとっていた人生”にしないために
Kさんが仕事に対して疑問や生き甲斐の無さを感じるようになったことについては、Kさんの価値観や考えが変わったというよりも、
それまで週3~4回の社交に忙し過ぎて、仕事や将来について真剣に考える暇がないまま
時が過ぎてしまったものと私は判断します。
楽しい思いが出来て 普通に暮らしていければ、人間は誰でもその生活を何の疑問も抱かずに続けるものです。
そして今までの世の中であれば、そんな「同じ毎日を過ごすうちに歳をとっていた」という生き方でも良いという人は多かったように思います。
ですが「コロナウィルスの問題が一段落したところで、世の中がパンデミック前の状態や価値観に戻ることはない」と多くの人々が語る通り、
変化の時代を迎えたこれからは そんな生き方を穏やかに遂行出来るとは限りません。
1月3週目のフェイバリットのコーナーで 現在アンチエイジング分野の第一人者でハーバード大学教授のデヴィッド・シンクレアのセオリーについて触れましたが、
ミトコンドリアが若さと生命の源と考える彼は、空腹や低温度などによって身体が生存の危機を覚えてミトコンドリアを増やそうとするプロセスが
若さの維持と長寿に不可欠という理論を科学的に立証しています。
私はそれと同様に 人間がいつまでも脳をシャープ保って、若々しく生きるには ある程度危機感を持って、それによって自分を駆り立てて生きることがとても大切だと思っています。
Kさんは「転職を考えようとしても自分が何をしたいのかが分からず」と書いていらしたのですが、それは今までの変化の無い平穏な社会の思考です。
2021年は未だ1月が終わったばかりだというのに、既に世界中で様々な出来事が起こっています。
「まさか」が起こり得るこれからの時代では 「もし今の仕事、今の会社が無くなったら、自分はどうやって生計を立てて行くのだろう?」といった
サバイバルを軸に物事を考えて、実践を先送りせず、何が起こっても備えがある自分を構築すべきなのです。
日本は他国に比べれば安全ですし、経済や通貨に対して抱く危機感も低いので、そんな思考が大袈裟に思えるかもしれませんが、
私はたとえどんな状況でも 「今日と同じ明日がやってくる」的な無防備な思い込みは、特にこれからの時代においてはリスキーだと考えます。
そもそも人間を動かすのに危機感ほど有効なカンフル剤はありませんので、
「こんな食生活をしていたら、やがて病気になる」、「こんな風に時間を過ごしていたら、人生は展開が無いまま終わってしまう」
といった危機感で自分を戒めながら、何が起こっても健康面、経済面で揺ぎの無い状態を目標に 毎日を有効に過ごして頂きたいと思います。
そうした姿勢は たとえ危機的状況が起こらなかったとしても、確実に生活の中身とKさん自身を向上させるはずですし、先が見えない時代の不安やストレスを軽減するはずです。
その手始めとして私が有効だと思うのは朝30分でも1時間でも早起きして、生活全体を少し前倒しにすることです。
時計を見る度に「まだこんな時間」と思う気持ちが心のゆとりになって、新しいものに取り組む意欲が沸いてきます。
是非トライしてみてください。
Yoko Akiyama
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |


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