Mar. Week 1, 2021
How to Stop Obsessive thinking
心配事や不安が頭から離れなくなりました


秋山曜子さま、
毎日のようにウェブサイトにアクセスしています。 日本のメディアとは違う切り口のアメリカの生の情報を楽しみにしています。今日は私もご相談があってメールをしています。

私は子供の頃から心配性な性格だったのですが、コロナウィルスでテレワークになってから さらに心配性になってきたのを実感しています。 友達とZOOMで話していて、ちょっと気になることを言われただけで そのことが気になって眠れなくなったり、 少し前には仕事で間違えをしたような気がして心配になり、翌日に間違っていなかったことが確認されるまで 何も手につかず、ずっと不安な思いで過ごしました。
今は殆ど人に会えないせいで 以前よりも人が自分をどう思っているかが気になりますし、 心配事を忘れるために別の事をしようとしても それをやる気にさえなれないことが多いです。 そのせいで いけないと思いながらもワインを飲んだり、甘いデザートを食べる習慣がついてしまい、 最近では太ってきたことも悩みに加わってしまう悪循環です。
どうしたら心配事や不安ばかりを考えてしまう精神状態から抜け出せるでしょうか。 何かお知恵を授けて頂けたら有難いです。 宜しくお願いします。

- Y -


自宅勤務が脳のエイジングを早める!?


Yさんのような不安や心配事に対する強迫観念はアメリカでもパンデミック中に問題視されていましたが、 今の時期に限らず精神的に落ち込む殆どの人が経験するのが Anxiety Disorder(アングザエティ・ディスオーダー/不安障害)です。
そもそも人間というのは、通常は自分に害があるものを避けようとする生き物です。 触ったら火傷するほど熱いものには触れませんし、不快な匂いがすれば鼻と口を覆うなどして匂いを避けようとします。 評判の悪いお店や一度出掛けて不愉快な思いをした場所には行きませんし、評判の悪い人との関わりも避けるのが常です。
ところが強迫観念においては、それについて考えるのが自分に悪いと知りつつも 自分の思考回路が悩みや不安、心配事にマグネットのように引き付けられて、 一時的に忘れる時間があったとしても、直ぐに逆戻りをしては自分自身を苦しめます。 脳を独占している悩み、不安、心配事は 考えてもどうにもならないケースが殆どですが、 一度強迫観念を抱くと、それが心理や思考をコントロールするだけでなく、人間の機能面にも大きな影響を及ぼします。 注意散漫になって間違いや勘違いが増えたり、集中力が削がれるので学習能力や仕事効率も低下します。 他のことを考える余裕が無くなるので 物事に無関心になり、家族や交際相手に冷たくなったり、友人と疎遠になる場合もあれば、周囲に同じ事を何度もボヤいたり、不平や文句を繰り返すケースもあります。

多くの人々にとって強迫観念からの最も簡単な逃避手段と思われるのが Yさんも実践されたような甘い物やファストフードを食べること、そしてアルコールの摂取です。 でもこれはその場凌ぎにはなっても、人間にとって”第二の脳”と言われる腸の中の悪玉バクテリアを増やす行為ですので、 そんな腸内コンディションが 脳に更なる食欲や精神的不安のシグナルをフィードバックする結果、問題を悪化させるだけで 全く解決策にはなりません。 また食べ物やアルコールに依存する罪悪感、自分の弱さに対する自己嫌悪が高まるので、精神的に更に落ち込むのがありがちな傾向です。
加えて体重が増え始めると 身体が重たく感じられて 動くことが億劫になるので運動意欲を大きく低下させます。 身体を動かすという行為は、驚くほど脳にポジティブなシグナルを発信しますが 簡単なストレッチや、反射神経を伴う動き、物を持ち上げるための筋肉の使用など、日常の多種多様な身体の動きが それと連動した脳細胞を刺激するので、人は身体を動かすことによって脳の総合的な機能を維持することが出来るのです。 逆に身体を動かさなければ、脳の中で使われない細胞が劣化して縮んで行くので、年齢に関わらず脳のエイジングが早まることを意味します。 すなわち脳の若さは年齢よりも、身体の若さと深く関わっているのです。
‌人間はエイジングと共に 身体にも 考えにも柔軟性が無くなり、頑固で保守的になり、物事に固執するようになりますが、 パンデミック以降、自宅勤務になって 高齢者の隠居生活のようなライフスタイルをしている場合、 知らず知らずのうちに脳のエイジングが進んで、不安や心配に固執するようになるのは決して珍しいケースではありません。

過度の心配は取り越し苦労に過ぎません

一般的に心理学の世界で、強迫観念と向き合うために最も有効と言われるのは、心配事や不安を 考えないようにする、忘れようとするのではなく、そればかりに思考が偏るのは脳の仕組みであることを受け入れることだと言われます。
言い方を変えれば、自分が繰り返し同じ不安に苦しめられても 問題自体が悪化している訳ではないこと、 不安や心配の高まりは それを繰り返し考える自分の中でだけ起こっているという認識を持つことが大切で、 早い話が「自分の心配が取り越し苦労に過ぎない」ことを自覚すべきなのです。

そもそも世の中では多かれ少なかれ誰もが不安を感じ、心配事を抱えて生きていますが、 人生で直面する問題は頭で描く不安や心配よりも遥かに小さなものです。 そんな自分の中の不安や恐れと向き合うには、マントラのようにシンプルなセンテンスを繰り返しを自分に言い聞かせることが驚くほど有効です。 「自分は大丈夫、これまでもずっと大丈夫だったのだから、今のことも乗り切れる」等、自分を落ち着かせるセンテンスを持つと、不安や心配事への対処だけでなく パニックに陥った時にも 自分を取り戻すきっかけとして有効に活用することが出来ます。

また自分を責めるタイプの人に効果的なのは、自分よりもずっと恵まれない境遇の人が立派に生きているストーリーに触れて、 「こんな事で くじけている自分が恥ずかしい」という気持ちを抱くことですが、 過食やアルコールの影響で思考回路がスローになっている時には、たとえ何をしようと全く効果はありません。 どんなにポジティブに前向きに生きようとしても 糖分や炭水化物、加工食品、アルコールが多い食生活をしていては、それらが体内で健康を害する以前に、 消化吸収にエネルギーを取られ過ぎて、意欲や判断力を含む思考力全般が衰えるので、自分にとって楽でマイナスな選択を繰り返すようになります。
世の中では、「健康のために糖分、炭水化物、アルコールを控え、野菜中心の健康的な食生活をして、できるだけ身体を動かす」こと奨励していますが、 これらは不安な気持ちに自分が押し潰されないためにも行うべきことなのです。 結局のところ身体と心は連動していますので、心の問題に取り組むためには まずは身体の健康を追求すべきなのです。

身体を動かすことについては、エクササイズをしなくても日常で身体を動かす機会が多い人が脳の若さを維持できることからも分かる通り、 ランニングやウェイト・トレーニングを始めるというような高いハードルを設定する必要は全くありません。 脳の活性化のために必要なのは 少しでも関節や筋肉に力がかかったり、筋を伸ばしたり、日ごろとは違う身体の捻りやバランスの維持といったアクティビティです。 座って長時間仕事をしている合間にストレッチや片足立ち、椅子に座ったまま足を持ち上げる腹筋運動等をしてみると、それで脳がリフレッシュされて仕事の効率もアップしますので そうした簡単なところから是非トライしてみてください。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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