秋山曜子さま、
CUBE New Yorkのウェブサイトの長年の読者です。2001年のテロの時には既に読者でしたので、20年のお付き合い(笑)です。
私には2歳上の姉が居て、姉は結婚して子供も居ますが、夫(私の義兄)が2年ほど前に怪我をしたのがきっかけで、
スピリチャル系というか、新興宗教がかったお守りに大金を使うようになってしまいました。
兄が怪我をした時に購入したお守りが効いたそうですが、怪我ならば治療すれば時間の経過で治癒しますので、
「お守りが無くても…」と思えてしまうのですが、姉にとってはそれが信仰心を高めるきっかけとなってしまいました。
以来 高額なお守りを薦められるがままに買い、今では子供達にそれに向かってお祈りをさせているようです。
義兄はその出費に驚いて 止めさせたいと思っているようですが、姉が自分や子供達のことを思ってやっているのと、
子供達がお守りが効くと信じていたり、お守りによって姉の気持ちが安定してくれるのは助かると思うところがあるようです。
でも出費がエスカレートするのは困るので、先日母に相談があったようです。
姉はお守りに力を与えている教祖のことは尊敬はしていますが、洗脳されているという訳ではありません。
その教祖のお話は人生の教訓のようなもので、道徳的に正しいことをおっしゃっているのは私にも分かります。
だからと言って そのお守りに頼りきるようでは、姉が逆に弱い人間にされているように思えます。
私はスマホが無かった時代の秋山さんのキャッチ・オブ・ザ・ウィークのコラムをプリントアウトして通勤中に読んで、好きなものはファイルして
読み直していたことがあって、その中に秋山さんも新興宗教的なものを信じた時期があったと書いていらしたのを覚えています。
かなり前のコラムですが、当時意外に思えたので記憶に残っています。でもどうやって抜け出されたのかは 忘れてしまいました。
もしお差支えなかったら 姉のために参考にさせて頂きたいので、その時のことを教えて頂けないでしょうか。
変なお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
- A -
Aさんのメールを拝読するまで、私自身も何年もの間 当時のことは全く思い出すことなく暮らしておりました。10年以上前のコラムだと思いますが、
覚えていて下さってありがとうございます。
私が新興宗教的なものを信じたのは大学時代で、そうなったのは母が知人に紹介されて月に1度の割合で東京を訪れる教祖的人物に会いに行き始めたのがきっかけでした。
私の母は、このコーナーで何度か書いた通り プロで占いをしていましたが、私の高校時代までは 時折その世界では有名な占いの大家のところに学びに出かけていて、
その教祖に出会ったのは 丁度母がその大家からはもう学ぶものが無くなったと判断して、行くのを止めた直後でした。
母にとってショックだったのは、自分が四柱推命で運勢を調べて辿り着く内容を、その教祖が名前を見ただけで瞬時に語ってしまうことで、
以来、私も母に伴って月に1度、教祖に会いに出掛けるようになりました。
私はと言えば 幼い頃から信心深く、私が幼稚園の時に亡くなった祖父の御仏前へのお祈りはほぼ毎日欠かさずに行っていました。
とは言ってもお祈りの内容は「痩せますように」とか「テストの成績が上がりますように」というような身勝手で他愛のない内容でした。
やがて高校時代に大怪我をした私は、前述の占いの大家が母に「このお嬢さんは、信心深くなかったら ここで亡くなっていたかもしれません」と語っていたことを知らされ、
守護神や霊の力についての関心がちょうど高まっていた頃でした。
こうした新興宗教的なものに洗脳まではいかなくても、ある程度傾倒する人は 往々にして何かそのお膳立てになるような出来事が起こっているもので、
そんな人間心理を嗅ぎ分けるかのように探し当てて、その人生に巧みに入り込んでくるのがこの手の信仰です。
でも当時の私はそんな風には考えもせず、
教祖に出会えて学びの機会が持てるのは運命であり、幸運であると思い込んでいました。
とは言っても私の場合、そんな気持ちになるまでには他の人よりも時間が掛かっていて、私は第一印象では教祖に全く好印象が持てませんでした。
その教祖は普通のお爺さんをみすぼらしくしたようなルックスで、私の目にはナメクジのように見えました。そんな私の心理を察知したのか、最初のうちは
教祖から酷い扱いを受けました。教祖は出逢った人のことはまず誰でも誉めるのですが、私に対しては何の好意的な言葉もなく、2度目に会った時の15分ほどの一対一の会話の中では、
ニヤニヤした顔で「アンタはブスやから」と3回も言われました。こんな子供の悪口のようなことを 良識があるはずの教祖と呼ばれる人に言われた私は、その場では平静を装いましたが家に帰って泣いたのを覚えています。
でもそれよりも酷い侮辱を受けたのは翌月のこと。 私の母に「年頃の娘にブスと言うのは酷い」と抗議された教祖が、「前回ブスといったのは顔のことではなく心のことだ」と
言って来たのでした。今であれば こんなことを言われたら「私は時に間違いはしても、常に自分が正しいと思うことをして、精一杯生きてきた」と胸を張ることが出来ますが、
当時は未だティーンエイジャーで自己が確立がされていない段階です。加えて成長期というのは周囲も自分も 自身のことを「成長過程の至らない人間」と見なしていることもあり、
私は「心がブスな人間」のレッテルを受け入れてしまい、「心を美しく磨くために 教祖の言うことを信じて 学ぶ」というポジションが確立されてしまいました。
後に独学で心理学を学ぶうちに この教祖やそのお取り巻きの言うこと、やっていることは、マインドコントロールの典型例であったことを悟って、目から鱗の思いをしましたが
お取り巻きの殆どはマインドコントロールをしようと思っていたのではなく、本当に教祖を信じて、彼に出会えて人生が変わったと考えていたと思いますし、その恩恵を広めることが善行であると信じていたものと思います。
だからこそ厄介なのがこの手の新興宗教やカルトで、私自身は早い段階で
こうした信仰にすがる自分の弱さ、こんな物が無くても生きていける自分の強さに目覚めるチャンスを経験できたことは、ラッキーだったと思っています。
ですがその後の人生でも運気が落ちる度に 同様のカルト系の誘惑は姿形を変えて現れ続けましたし、それらに翻弄される苦い経験もしてきました。
それは時に恋愛相手であったり、高額美容であったり、お金儲けの話であったり、毒気のある交友関係や最先端のテクノロジーであったりで、
その時々の自分の一番弱い所を突いてきますが、そのプロセスは判で付いたように同じです。
最後のステップにまで達するのは完全なるカルトですが、4番目までは恋愛相手に貢いだり、カルト・インストラクターの居るヨガクラスに通い詰めるなど、
多くの人々が様々な形で、それと気づかずに人生の中で体験していることなのです。
私の経験から確実に断言できるのは、生き甲斐が見いだせない時、疲れてしまった時、自分の限界を感じている時等、自分の運気が落ちている時に
励ましやインスピレーション等、愛情や希望の光を示してくれるのではなく、楽な道や別の生き方等の逃げ道を助けとして手を差し伸べてくれる人、
自分がしてきたことを否定して叩きに掛かってくる人は、たとえ相手に悪意が無く、自分を思っているように見えたとしても、自分の人生にとっては毒であり、悪魔だということです。
そういう人達によって示される道は更なる遠回りや行き止まりにしか行きつかないものです。
では具体的にどういうプロセスで教祖信仰が終わったかと言えば、まず母は極秘にされていた教祖の誕生日を知り、それを占いで調べたところ、教祖がたまたま天界と強力な交信が出来る10年間の運の巡りにあって、
そのパワーが母が出会った時にピークであったこと、さらにはその10年の運気が終わる頃から教祖の言うことが外れて来たことから 彼への興味と関心が消え失せました。
一方私は 丁度教祖のパワーが衰えてきた時に彼の言う通りの就職活動をして失敗し、お取り巻きに「貴方のために教祖があえて就職を失敗させた」、「この経験をしてから、別の会社に勤めることで人生が大きく展開する」
と言われたことから、「どっちに転んでも”教祖が正しい”、”教祖に感謝”であるのなら、彼を信じるよりも、自分の好きな道を選びたい」と思うようになっていました。
そして母の占い結果を聞かされた時には、私が第一印象だけでなく、その後も教祖を決して人間として好きになれなかったこと、そして彼を信じるための無理な努力を自分に強いてきたことを悟りましたが、
月に1度の教祖通いは約3年近く続いたかと思います。ちなみに3年というのは人間の長期的なアテンション・スパンのサイクルでもありますが、
どんなに巧妙であっても表面の取り繕いが色褪せ始めたり、自分の気持ちを欺ける限界でもあります。
ふと思い返すと私が教祖を信じた最大の要因になっていたのは、教祖が会いに来た人達に無料で渡していたお守りの効果でした。
信者は教祖に対して”お玉串料”はお支払いしていましたが お守りは毎回無料で受け取ることが出来て、それが何かと言えば教祖の名刺で、”護身名刺”と呼ばれていました。
その名刺をポケットに入れて、交渉事やスピーチの時、スポーツの試合、試験の時など 自分をアピールしたり、勝負の時は教祖の名前が書いてある名刺の表を相手に向けるようにして、
周囲に放っておいて欲しい時や、目立つべきではない時には裏側を外に向けて持つというのがそのルール。
緊張した時や不安な時は名刺を手で触れながら教祖に祈ることによって 心の安定が得られるというもので、その抜群の効果が多くの信者を増やしていました。
もちろんこれも一度心理学を学ぶと、「不安定な心理に”軸”になる対象を与えることにより、安定がもたらされてパフォーマンス力がアップする」典型例に過ぎません。
その副作用は護身名刺を忘れたり、失くしたりすると心理状態もパフォーマンスもガタガタになってしまうことで、Aさんもメールに書いて下さったように
お守りを持つことで人間が強くなるというよりは、逆にその依存症にさせられていたのが実情でした。
今から思うと、このお守りパワーを感じる人が非常に多かったということは、それだけ多くの人が自分に自信が無く、精神心的なグラつきが原因で実力が発揮出来ずにいたということで、
たとえ一枚の名刺でも教祖と呼ばれる人のパワーが宿っていると思い込んだだけで、それを支えにパフォーマンスが向上し、ポジティブになれる効果は本当に驚くべきものがありました。
私自身、当時はその効果を実感していた1人でしたが、お守りというのは「これがあるから大丈夫」と思っているからこそ効果が望めるもので、
その”支え”が「これが無いとダメ」という ”頼り” になってしまった段階では、強さよりも弱さが引き出されるので 効果は落ちています。
そして「これが無くても大丈夫」、もしくは「これがあったところで ダメなものはダメ」という気持ちになった時がお役御免なのだと思います。
私自身は縁起を担ぐタイプですし、自分を励ましながら弱さを克服して生きて来たので、自分を支えるもの、幸福にすると思えるものはこれまで何でも取り入れてきました。
ですのでお守りやラッキー・チャームを持つことは決して否定しない立場ですし、そのための無駄な出費もしてきました。
そのせいで何が本当のお守りやラッキーチャームに成り得るのかについてリサーチと勉強をした過去もあります。
その結果、本当の意味でのお守りやラッキー・チャームになり得るものには以下の条件があり、これらが満たされていればいるほど 強力なパワーを持つお守りやラッキー・チャームになります。
前述の私が月に1度通った教祖の護身名刺は、誰もが自分を思ってくれる人から貰い受けて お守りにしていたことを思うと、
これらの条件をかなり満たしていたことに驚きましたが、何の代償もなくポジティブなパワーを得たり、与えたりできるというのは
私は素晴らしいことだと思っています。
さて ここからは予告兼、お知らせになります。
スピリチャル系に詳しい方はご存知かと思いますが、7月26日~8月12日まではLion’s gate portal/ライオンズ・ゲート・ポータルといって、
太陽がしし座に入っている時期に、地球、オリオン・ベルト、シリウスが一直線に並ぶ特別な天体配置を迎えます。
特に毎年8月8日はそのエネルギーがピークを迎え、1年で最も宇宙のエネルギーが地球に注がれる日とされています。
そこで この特別なエネルギーを利用して、2021年にちなんで221本取り寄せたビーズ・ブレスレットに 霊気マスターによって “life force energy” を注ぎ込んで頂き、
それを8月9日以降に商品をお送りするCUBE New Yorkのお客様、221名に無料でお贈りさせて頂くことにいたしました。
CUBE New Yorkは お客さま、特に長年当社を支えて下さるお客様を何より大切に思っていますし、
ニューヨークの地磁気と年に1度のライオンズ・ゲートに込められた霊気のパワーをブレスレットに込めて無料でお贈りさせて頂くことで、上記の
”お守り/ラッキーチャーム” の条件をかなり満たせると思っています。
皆さまとご家族のご健康、ご繁栄、そして人生の充実に微力ながらお役に立てれば嬉しい限りです。
詳細は来週のフェイバリット・オブ・ザ・ウィークのコーナーでご説明させて頂きます。
Yoko Akiyama
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執筆者プロフィール 秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。 |
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