Oct Week 1, 2021
Unreliable Friends…
上辺の友達付き合いばかりで、いざと言う時に頼れる友達が居ません


秋山曜子さま、
何年か前に女性誌でこのコーナーを知って以来のCUBE New Yorkの熱心な読者です。
その女性誌の中に「学生時代からの友達との話が合わなくなった」という相談があって、 秋山さんが「学生時代の友達に固執しないで、自分の人生の局面に応じた新しい交友関係を広げるべき」という アドバイスをされていたのをよく覚えています。 丁度私もその頃、学生時代からの友達が結婚組とキャリア組に分かれ始めて、 結婚して子供が出来た友達からは自慢話と義理の家族の悪口、キャリア組の友達からは職場の上司や先輩、後輩の愚痴を聞かされるようになって、 以前ほど一緒にいるのが楽しくなくなってきたところでした。
その後 新しい交友関係を広げようと、習い事をしてみたり、勉強会に参加してみましたが、時々会う程度の友達は出来ても、 友情と呼べるような間柄にはならず、親しくなろうと努力をして 逆に利用される思いもしてきました。

学生時代の友達とも それぞれが忙しくてすっかり疎遠になっていた時にコロナウィルスの問題に見舞われて、私にはいざという時に頼れる友達が居ない孤独を実感しました。 私の両親はどちらも短命で既に他界し、姉が居ますが義兄の仕事の関係で北海道に住んでおり、 もともと姉とはあまり仲が良くありません。親戚とも付き合いは全くと言って良いほど無くて、もし私がコロナに感染して入院なんて羽目になったら、 一体誰に頼って良のか分かりません。 そのため人一倍感染を恐れながら生活をしていますが、コロナが去ったとしても今のような上辺の友達付き合いをしていたら、 いざという時に誰にも頼れなくて不安になります。

どうしたら自分を助けてくれるような頼りになる友達関係が築けるでしょうか。 社会に出て大人になってからの友達関係では、そういう間柄になるのは難しいように思えます。
何かアドバイスしていただけたら助かります。 よろしくお願いします。

- M -


友達は人生の財産であって、緊急時の対策ではありません


世の中には 「知り合い」や「顔見知り」の程度の間柄を「友達」と呼ぶ人は少なくありませんが、 「知り合い」であれば 社交の場に顔を出して行動半径を広げることによって増やすことは可能です。 でもそれが お互いに友情を認識する「友達」と呼べる存在になるには 時間や経験のシェア、共通点の多さ、 性格的な相性といった要素に加えて、運命が絡んでいると私は考えます。
何回会っても好きになれない人は好きになれないものですし、自分の感性に訴えるオーラを出している人とは 会った回数は少なくても不思議な信頼感で結ばれていたりします。 要するに友達というのは、一緒にお茶や食事をした回数では決まりませんし、努力をして作れるものでもありません。 一度強い友情で結ばれた場合には、たとえ何年会えなくても 再会した瞬間に以前と同じ友情がそのまま続いていることを認識できるものです。

私は友達に関してはMさんとは異なる考えを持っていて、私にとって友達とは楽しい時間をシェアしたり、情報交換をしたり、自分の知らない世界のことを教えてくれる人、 人格的に尊敬できる存在で、友達は人生の大切な財産です。 だからこそ頼ったり、迷惑を掛けたりせずに、常にイーブンで心置きなく、気持ちよく付き合える関係でありたいと思っています。 もちろん友達に悩み事があったら相談に乗ってあげたい、困っていることがあったら出来る範囲でサポートしてあげたいとも考えています。 そもそもこのコーナーがスタートしたのも 友達に相談事を持ちかけられる度にアドバイスをしては感謝されてきたためで、 表面的な慰めが言えない私の性格が時に役に立つことを教えてくれたのが友達でした。
それとは別に私は「人を助けている限りは、助けを求める側にはならない」という信条の持ち主です。 NYで長く1人暮らしをしてきたせいか、私は「誰かに頼りたい」という気持ちは非常に危険だと考えていて、「本当に頼れるのは自分だけ」と思って生きてきました。 これまで人一倍食事に気を遣って、エクササイズを続けてきたのも、自分を強く健康に保たなければ 「誰かに頼って、その助けがないと生きられない不自由な人間になってしまう」と考えたためです。
私がこれまでのNY生活で観てきた限り、人を助ける側というのは常に健康で、金銭的にも恵まれ、幸せな人ばかりです。 助けられる側はたとえ一時的であってもその逆になっています。 また人を助けている人物というのは 心にもゆとりがあって、人間的な深みや優しさに溢れているので 人に好かれますし、 放っているオーラにも不幸を跳ね返すようなエネルギーや明るさがあります。

Mさんはお友達の作り方についてのご相談を下さったのですが、私は今のMさんが真っ先に取り組むべきなのは 「頼れる人が欲しい」、「何かあったら誰かに助けて欲しい」という気持ちを払拭することだと思います。 そんなお気持ちで過ごしていたら、どんどん人の助けがないと生きられない人間になって行く反面、助けてくれようとする人が現れることなどありません。 寄ってくるのは同じように人に頼ることを考える不安や不幸を抱えた人ばかりですし、 「いざという時の助け」をちらつかせて利用しようとする狡猾な人、心の拠り所になってお金をむしり取る恋愛詐欺のターゲットにもなりかねません。
現れない相手を不安な気持ちで待ち侘びるよりも、自分を鍛えて自分を頼りに生きる方が遥かに楽で確実で、精神も安定するのです。 頼れる自分を確立して、「人を助けてあげたい、幸せにしてあげたい」という気持ちで生きることが出来れば、 そんな優しいオーラに惹かれて幸せな人、幸せになれる人が寄ってくるものです。 そうすれば様々な形で人間関係が育って、やがてその中から深い友情に発展するケースがでてくるはずです。

自分以外に自分を本当に助けてくれるのは  

Mさんのメールを拝読していて、3つほど気になる点がありました。 1つは前述の「いざという時に頼れる友達」の存在が美化されていることで、 私が認識する限り、自分が困った時に一方的に頼って 思い通りに助けてもらえる交友関係など存在しません。 結婚や交友関係を自分のサポート・システムとして捉える人は少なくありませんが、人間関係が保険と異なるのは 何の保証も無いという点です。特に打算に基づいて構築した関係からは、たとえ自分がどんなに尽くしたところで見返りは得られないものなのです。

もう1つ感じたのは「助けてくれる友達」というコンセプトについてで、Mさんは「近しい友達ほど助けが求め易い」とお考えのようですが、 実際の人生において本当に困っている時に助けてくれるのは親しい友達よりも、距離と遠慮がある知り合いや、見ず知らずの他人です。 親しいからこそ様々な理由で話せない事、相手の事情を知っているからこそ頼めない事は沢山ありますし、 自分の弱さを見せたくない気持ちから助けを求められないケース、迷惑を掛けたくなくて助けを断るケースも少なくありません。 また親しい間柄だからこそ、助けを求められた側が様々な理由でそれを断わるケースも少なくありません。
私が「神様は凄い」と考える理由の1つが、人間という生き物を 全く知らない他人であっても献身的に助けるようにデザインしている点で、 私自身、見ず知らずの人達に何回助けられてきたか分かりません。 そんなケースでは差し伸べられた助けを有難く受け取って、心からお礼を言うことしか出来ませんが、 その分、他の困っている人を助けたいという気持ちが強くなるので、私は人から助けられたお陰で 進んで人を助けようとする人間になることが出来ました。 そもそも人間というのは一部の例外を除いては善良な心を持って生まれて来るので、人を助けるヘルパーズ・ハイは誰にとっても心の栄養なのです。 助けが必要な人に対しては、余計な個人的しがらみが無い方がピュアな気持ちで、見返りも期待せずに助けてあげることが出来るものなのです。
生きていれば、誰もが「天の助け」と思うような見ず知らずの人からの親切を受けているものですが、 本当に困った時にそれに恵まれるためには、やはり日頃から自分が人に対して優しく、親切にすることが大切なのです。

Mさんのメールで3つ目に気になったのは、人生を受動的に生きていらっしゃるように感じられたことです。
例えば学生時代のお友達との会話がつまらなくなった場合でも、 Mさんが楽しい話題を持ち込むことは出来たはずです。 会ったことも無い人間の愚痴や悪口を聞かされながら食事をしていれば、その場の誰もが内心はウンザリしているのです。 でもそれを楽しいムードに切り替えて、ストレスが発散できるような時間にしていれば、どんなに忙しくてもお友達は集まりを続けようとしたはずです。
「自分を助けてくれる頼りになる友達関係」の模索についても、私には Mさんがこの先 何等かの悪い事、辛い事がご自身に起こることを前提にしていらっしゃるように 見受けられてしまいます。 実際にそうした考えこそが 悪運や災難を引き寄せてしまうのです。 それを避けるためにMさんには、人生の主導権を握る勇気を持って 「どんなことがあっても 頑張って自分で乗り越えて行こう」という決意をして頂きたいのです。 同じ事態が起こった場合でも、自分で解決策に取り組む生き方をしているのと、「誰かの助けが無いと…」と思い込んで 自分を成す術がない状態に追い込むのとでは、 立ち直りのスピードやその後の展開が大きく異なります。 それだけでなく頑張っている姿の方が、助けを待っている姿よりも遥かに多くのサポートが得られるものなのです。

全ての人間にはさまざまな可能性と強い生命力が備わっているのですから、自分でそれを閉じ込めたり、過小評価をして生かさないのは間違っています。 特に生きていく上で一番やってはいけないことは、起こってもいない不運や不幸を恐れることです。
パンデミックのような事態に見舞われた今だからこそ、活き活きと頑張る人がサポートを得られる時期を迎えていますので、 暗い方向にばかり目を向けずに、幸せ、健康、充実といった自分を高める方向を目指して焦らずに歩んで行って下さい。 何処から手を付けて良いか分からない場合には、とにかく1日中、誰も見ていない場所でも笑顔を心掛けて生活するところから始めてみて下さい。 きっと道が開けます。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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