Oct. Week 5, 2022
Ghosted by My Boyfriend
結婚すると思っていた男性が音信不通になりました


初めまして。このコーナーの比較的新しい愛読者です。
ずっと心に引っかかっていることについて、お考えを聞かせて頂けないかと思ってメールをしています。よろしくお願いします。

私は2017年に職場の友達が主宰した合コンに参加して、その後約2年間遠距離交際をした男性に逢いました。
彼は合コンの日にたまたま出張で東京に来ていて、数合わせのために参加させられたそうでしたが、 落ち着いた雰囲気なのに 口下手という訳ではなく、礼儀正しく、人懐こい笑顔が印象的でした。 一応連絡先は交換しましたが、他の女性が彼に熱心だったので 取られちゃうかなと思っていたら、後日彼からのメールを受け取って、 遠距離の交際を続けることになりました。 彼とは飛行機の距離だったので ゴールデン・ウィークや夏休み、年末の休み、それと出張の時くらいしか会えなくて、年間のデートの延べ日数は20~30日くらいだったかと思います。
遠距離交際を続けるうちに、彼の方から結婚をほのめかすようなことを言ってきたので、一度ですが 両親への紹介を兼ねて一緒にゴルフをしたこともあります。 その時は彼と父が野球やゴルフの話で盛り上がって、両親共々すっかり彼を気に入ってしまい、私が彼と結婚すると思ったようです。 その年のクリスマスには口約束での婚約をして、正式に婚約するまでの印として そんなに高価ではないですがティファニーのペンダントをプレゼントして貰い、「次にティファニーで買うのはダイヤの指輪だね」と話していました。

ところが、ある時を境に彼との連絡が突然途絶えてしまいました。 以前も一度だけ彼からの連絡が1週間くらい途絶えたことがありましたが、その時は「携帯の電波が届かない場所にキャンプに出掛けていて、出掛ける前は仕事を終わらせるために メール1通出せないほど多忙で、連絡しようと思った時には連絡不能の場所に来ていた」と平謝りで、私も彼との連絡が取れた安堵感であっさり納得してしまいました。
そんな事があったので 最初は「またキャンプかな?」と思っていたのですが、待てど暮らせど連絡が来なくて、電話もしましたが 出ないだけで着信拒否はされていませんでした。 嫌われたくないという気持ちからストーカーのような連絡は避けていましたが、 1週間に4~5回程度の連絡を1ヵ月近く続けた後は、だんだん腹が立ってきて「相手が納得の行く説明をして謝罪をしてくるまで、自分からは連絡しない」と決めました。 ですが 「彼が事故に遭っていたら…」と思うと心配でしたし、「自分が何か嫌われることをしたのかもしれない」、「両親を早く紹介し過ぎたのかもしれない」等、いろいろなことを考えているうちに こちらの神経が参ってしまって、友人に相談しても「事故に遭って記憶喪失になっているのかも…」などと言われ、意味の無いインターネット検索で時間を潰したりして、夜も眠れない日が続きました。 両親も友達も私が彼と結婚すると思っていたので、突然連絡が来なくなったことを説明するのは 私にはとても辛いことだったのですが、 「彼が戻って来てくれるのなら、予定通りに結婚したい」という気持ちも強く、自分で自分が分からない状態でした。

彼が消えてしまったのはコロナの前の事です。今は精神的に落ち着きましたが、それでも時々彼のことが頭から離れず、 「彼のことが未だ好き」というのではなく、どうして突然私の前から消えてしまったのか、どうして別れたかったのなら「別れたい」って言ってくれなかったのか、 私がどれほど心配するかを分かっていなかったのか、など会って訊いてみたいことが沢山あります。 私の中では、彼との遠距離交際を始めてからの過去の5年間が 彼のために無駄になったことが悔しくてたまりませんし、 私の前から何も言わずに消えることにした理由がはっきりしない限り、今後の恋愛に臆病になってしまうとも思っています。 でも悲しいことにその理由を知る術はありません。 彼は合コンの男性メンバーの取引先の会社勤めだったこともあり、合コンのメンバーを辿っても居所が分かりません。風の噂さえ耳に入らない状態です。 私に出来ることと言えば、彼への気持ちを自分で吹っ切るしかありません。
秋山さんの過去のアドバイスを読むうちに、秋山さんなら何か気持ちの整理の仕方を教えていただけるように思ってメールをしました。 厳しいことを言って頂いても構いませんので、よろしくお願いします。
これからもお身体に気を付けて頑張って下さい。

- F -


私が知るゴースティング、2例


アメリカでは突然相手との連絡を絶って消えてしまうことを、”Ghosting / ゴースティング” と言いますが、 デート・アプリで知り合った程度の相手だと、デートの待ち合わせ場所に現れずに それっきりというようなゴースティングも決して珍しくありません。
私の知り合いには Fさんと逆の立場、すなわち ある日突然交際相手との連絡を絶って 別れた人が2人居ます。 1人は女性、1人は男性です。どちらのケースも長距離恋愛で、別れた理由は別に好きな人が出来たためでした。 どちらも連絡を絶つことが「相手にとっては心の痛みを引きずる 残酷な仕打ち」とは考えず、 逆に 別れる理由を説明するプロセスで 新しく出逢った相手に惹かれた理由を含む 自分の心変りについて話す方が 相手を傷つけると考えていました。 さらに言えば、どちらも 「相手の方が自分に夢中」という状況で、 私は女友達がゴースティングをしたボーイフレンドには何度か会ったことがありましたが、それは紛れもない事実でした。

もう20年ほど前のことですが 女友達のケースを詳しく説明すると、相手の男性は誰もが知る欧州の大手銀行の社員研修のような形でNYに数ヵ月滞在している時に、 私の女友達とラウンジのような場所で知り合って デートを始めました。一緒に研修に来ていた別の男性も別の女友達と仲良くなったこともあり、 最初は複数の友達を誘ってボーリングに出掛けたり、ホームパーティーをしたりと、グループ交際の中のカップルという感じでした。 当時20代だった女友達に夢中だった男性も同じ20代で、ルックスは悪く無かったと記憶していますが、女性経験に乏しいことは会話の内容から明らかでした。 女友達は小柄でキュートなタイプなので、彼は女友達のことも自分同様に恋愛経験に乏しいヴァージンのような存在と思い込んでいるようでした。 ですが実際には 私の女友達は離婚したばかりのバツイチで、恋愛マーケットにカムバックしたばかり。当時はアメリカでも20代の女性の離婚はあまり良い印象を与えなかった後ろめたさもあって 彼女はリバウンド男性を探すために 活発にナイトアウトをしていた時期でした。
男性は女友達と2ヵ月ほど交際した後 研修を終えて帰国することになりましたが 彼女とは結婚する気満々で、 NY滞在中には彼女を連れて友人のウェディングにも出席しましたし、高額レストランでの2人きりのディナーの席で 帰国後も結婚前提の交際を続けたいと彼女に伝えていました。 一方の女友達は、彼が初心で 自分に対する思い込みが激しいことを危惧していて、ある時離婚経験があることを告白しましたが、冗談だと思って取り合って貰えなかったことをボヤいていました。 それでも大手銀行勤めで 自分に夢中という点にはメリットを見出していたようで、彼の帰国後も遠距離交際を続け、その年のクリスマスには彼が 家族全員からの彼女へのプレゼントを持ってNYにやってくるなど、すっかりフィアンセ状態でした。
ですが程なくして彼女は別の男性に出逢い、そちらの男性には最初から自分に離婚歴があること、遠距離交際をしているボーイフレンドが居ることを包み隠さず話して、 ボーイフレンドの自分に対する思い込みに困惑していることなども相談していました。 男性でも女性でも 自分の恋愛を阻む人間が存在する状況は 競争心を煽られるとあって、新しく出逢った男性の女友達へのアプローチはかなりのもので、 2人は程なく一緒に住むようになり、後に結婚しました。
そのプロセスで本来ならば遠距離の彼に状況をはっきり説明するべきでしたが、彼女は 自分が離婚したことも信じず、遠距離交際中も自分が一途に彼のことだけを思っていると信じ切っているような相手とは、そのままフェイドアウトした方がお互いのためと判断。 一切の連絡を絶ってしまいました。 何故彼女からの連絡が突然途絶えたかが分からない彼からは、国際電話で残した留守番メッセージ、エアメール、ファックス等、時代を反映した手段のコンタクトが続きましたが、 女友達はそれらを受け取る度に気分が悪くなったようで、そのことが新しい相手のアパートで一緒に住み始めるきっかけになってしまいました。

男友達の方は、テキサスから出張に来ていたブロンド美女と知り合い、以来彼女が頻繁に出張機会を作っては会いに来るという遠距離交際でした。 当時彼は 常識的な頻度でデートが出来ないほど多忙だったので、たまにやって来る彼女が便利だったようでした。 しかも女性は 彼の忙しさを察して 何でも彼の都合を優先してくれたようですが、恋愛の見地からはそれが逆効果で「相手が自分に夢中過ぎるので疲れる」と言っていたことがありました。 結局彼は、別に好きな女性が出て来てしまい 「別れると言ったら 彼女が益々自分に執着すると思うから、泥沼を避けたい」という理由で、 新しい彼女と一緒に住むアパートに引っ越すのをきっかけに、テキサスの女性との連絡を一切絶ってしまいました。
ちなみにこの男友達とテキサスの女性の関係は 「相手の言う事ばかり聞いていたら、犬でも人間を馬鹿にするようになる」という私の持論の裏付け例の1つで、 やがて彼の妻になった新しい彼女は、テキサスの女性とは正反対の 今で言う”ツンデレ・タイプ”。 初対面の時にはニコリともしませんでしたが、打ち解けると女性の私が見ても「可愛い」と感じさせる魅力がある女性でした。

遠距離交際というのは偶像崇拝のようなものです

私の個人的な意見では、遠距離恋愛がダメになるのは ほぼ確実に相手に誰か別の好きな人が現れたことが原因です。 そもそも遠距離恋愛が上手く続くのは、お互いの目の前に恋愛対象が存在していないからで、もし目の前に自分の気を引く人が現れれば そちらに心を奪われるのは人間である限りごく自然の成り行きです。
また遠距離恋愛は もし結婚まで辿り着くことがあっても、離婚率が極めて高いのが実情です。 それは遠距離交際中の会えない時間に、相手に対して勝手な思い込みを膨らませてしまうからで、 その理想像と現実のギャップを 実生活を続けながら乗り越えるのは多くの人々にとって ほぼ不可能なのです。

Fさんはメールに「どうして突然私の前から消えてしまったのか、どうして別れたかったのなら”別れたい”って言ってくれなかったのか、 私がどれほど心配するかを分かっていなかったのか、など会って訊いてみたいことが沢山あります」と書いていらしたのですが、 突然 連絡を絶ってしまうような身勝手な人間は、Fさんが何を尋ねたところで 正直に答えるような誠実さは持ち合わせていません。 私は独学とは言え心理学を少しばかり勉強しましたので、人間が未完結、未達成のものに執着する心理は良く理解しているつもりですが、 例え偶然出会って 話をするチャンスがあったとしても、彼から聞くことが出来るのは保身の言い訳だけです。 その内容によっては、何年が経過していたところで再び傷付くのはFさんの方です。
本当の事を知っているのが彼だけで、その彼が真実を話すことは無いのですから まずは「真実を知りたい」という無理な願望を払拭するべきなのです。 それよりも「好きになった男性が悪かった」と考える方が遥かに理に叶っていますし、恐らくFさんも遠距離交際の過程で、彼が実際よりもずっと誠実で 信頼できる男性だと勝手に思い込んでいたものとお察しします。 もし振り返って反省し、今後に生かすべき点があるとすれば それだけです。
遠距離交際というのは偶像崇拝のようなもので、相手の写真やメッセージを眺めながら、自分の中に築かれていく偶像との恋愛関係と言っても過言ではないのです。

最後にFさんは「私の中では、彼との遠距離交際を始めてからの過去の5年間が 彼のために無駄になったことが悔しくてたまりません」と書いて下さったのですが、 占い師を母に持ち、自分でも運勢の流れを勉強している私から言わせて頂くと、過去の5年間はそもそも恋愛に適した時期では無かったのだと割り切るべきです。 たまたまそんな時期に出逢ったのが彼で、運気が停滞する期間中 彼への思いを引きずっていただけの話で、別の男性が現れても違うシナリオで同じような結果になっていたはずなのです。
人間の運は適齢期と言われる時期に 自分にとってベストの伴侶に巡り合えるようには出来ていません。 むしろ逆のケースの方が多いのです。 運気が下がっている時には ギャンブル癖と借金があるDV男性に夢中になって金銭を貢いだ挙句、手切れ金を払って別れて貰うような事態に見舞われることもあれば、 後から「私はこの人の何処に惹かれていたんだろう?」と思うような男性と結婚して、浮気や義実家との不仲に悩まされて 老け込んでしまうケースも珍しくありません。 それを思ったら 「戸籍にも、金銭面にもダメージが無い 遠距離恋愛相手のゴースティング程度で済んで良かった」と解釈するべきなのです。
人間の運勢はバイオリズムですので、悪かった運の後には幸運が訪れます。 Fさんには「過去5年間を無駄にした」というような被害者意識を 「不運な時期を無事に乗り切った」という達成感に変えて、未来の幸運を呼び込むような はつらつとした生き方をして頂きたいと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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