Aug 20 〜 Aug 26 2018

”New York, Now...”
ニューヨークは過去5年でどう変わったか?


今週末のアメリカではジョン・マケイン上院議員(81歳)の死去のニュースが大きな報道になっていたけれど、 1週間を通じて最大の報道になっていたのが、トランプ大統領のかつての3人の側近が こぞってFBI捜査に協力するという寝返りを見せたニュース。
そのうちの1人はトランプ氏の元弁護士で、かつては「トランプ氏のためなら喜んで銃弾を受ける」とまで語ったマイケル・コーヘン。 先ず彼が訴追された8つの罪で有罪を認めたのに始まり、 トランプ・オーガニゼーションで長年CFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)を務めたアレン・ウェイセルバーグが、 不起訴と引き換えに捜査への協力を約束。同様の条件で寝返ったのが トランプ氏と個人的に親しい 有力ゴシップ誌「ナショナル・エンクワイアー」の発行人デヴィッド・ペッカーで、 彼はトランプ氏のスキャンダルを同誌へのエクスクルーシブとして買い取っては そのネタを握りつぶしており、 その中にはトランプ氏とメイドの間に生まれた隠し子のスキャンダルも含まれているとのこと。
果たして このまま大統領弾劾に発展するかは現時点では定かではないものの、 トランプ氏支持者の多くは「たとえ何が起こっても大統領をサポートする」と その盲目的な支持が変わらない様子を打ち出しているのだった。




話は替わって、つい最近5年間ニューヨークを離れていたアメリカ人の友人が 再びニューヨーク・オフィスに転勤になって戻ってきたけれど、 彼が5年前のニューヨークと最も変わった点として挙げたのが イエロー・キャブの数が大きく減って、シティ・バイクの数が増えて、 以前よりも街中の渋滞が激しくなっていること。
それはニューヨーカーも実感していることで、イエロー・キャブの減少はUberやLyftに代表されるカーシェアリング・サービスに 乗客を奪われているため。2010年には年間1億7220万回だったニューヨーカーのタクシー利用回数が、 2016年には1億2850万回と25%もダウンしている反面、 2010年には年間16万9137回だったカーシェアリングの利用回数が 2016年には何と63%もアップして27万4977回となっているのだった。 その状況を受けて約1千万円を投じてイエロー・キャブのメダル(いわゆるライセンス)を取得したドライバーが、 今年に入ってから生活の苦しさを理由に 5人も自殺をする事態が起こっているのだった。
また過去数年の間に UberやLyftのドライバーを副業にして 収入を得る人々が全米で増えたことが伝えられるけれど、 そのせいかニューヨーク市でも2010年から2016年の間に8%アップしたのが自家用車の所有率。 その結果、悪化の一途を辿るのがニューヨークの渋滞で、昨年2017年のビジネス・アワーに ミッドタウンを走る車の平均速度は 私がジョギングするスピードよりも遅い時速5マイル(8キロ)。
この渋滞緩和のためにニューヨーク市が新たに取り組んだのがUberやLyftの数量の制限。 それと同時に車に替わる交通手段を市民に提供するために 現在新たなライドシェアのパイロット・プログラムがニューヨークで行われているのだった。
その1つが この夏、ブルックリンのブッシュウィックでスタートしたエレクトリック・スクーターのシェアリング、Revel / レヴェル。 これは25ドルのサインナップ・フィーを支払って、20分のトレーニングを受けて利用する スクーターのレンタルで、利用者は運転免許が必要。最初の20分が4ドル、 それ以降は1分25セント。1時間利用すると大体14ドルという手ごろなお値段で、最高スピードは47キロ。 現時点ではブルックリンとクイーンズのみ走行が可能で、 シティ・バイクのように専用デッキがある訳ではないので、使用が終わったら 合法的に駐車できる場所に乗り捨てるシステム。目的地から戻る際にも同じスクーターを利用したい場合は、 ロックをしておくことが可能で、駐車中は1分毎に5セントのチャージ。 1時間停めて置いた場合で3ドルが掛かる計算になるのだった。




でもレヴェルのスクーターの問題は車体が90キロもあって、20分程度のトレーニングでは 乗りこなせない人が多いこと。そのためトライアルを行ったメディアの女性記者は 「絶対に利用しない!」と宣言する有様。 車体が重たいというのは 既に普及しているシティ・バイクにも共通する問題であるけれど、 そのせいかシティ・バイクの女性利用者は25%にも満たないことがレポートされているのだった。
また現在クイーンズではデッキレスの自転車シェアリングのパイロット・プログラムが行われているけれど、 これは道に停めてある自転車を自由にピックアップして、何処にでも乗り捨てて良いというシステム。 しかしながら「停めてある自転車が邪魔になる」という苦情に加えて、その邪魔な自転車に八つ当たりするニューヨーカーが少なく無いようで、 メディアの調べによれば、20台中にまともに乗れる自転車が4台程度しかなかったことが伝えられているのだった。
これから年末に向けてニューヨークの交通事情は益々悪くなっていくけれど、2019年4月から 15カ月間に渡って行われるのが マンハッタンとブルックリンのウィリアムスバーグを繋ぐ地下鉄Lトレインの工事と全線運行停止。 ニューヨーク市政府はその影響を受ける22万5000人の代替の交通手段の確保に躍起になっているのだった。

前述の私の友人がそれ以外で昨今のニューヨークで変わったこととして指摘したのは、 キャッシュレスとチップレスのレストランが増えていること。 日本のようにチップが要らないチップレスのレストランをニューヨークで普及させようとしているのは、 シェイクシャックやユニオン・スクエア・カフェ等の経営で知られるレストランター、ダニー・メイヤーで、 彼の傘下のレストランやベーカリー、カフェは全てチップレス。 その波がどんどん広がっているけれど、 アメリカ人の中には「良いサービスに対しては チップでお礼をしたい」という律儀な来店客が少なく無いのも事実なのだった。
一方のキャッシュレスは便利な時と不便な時があって、日ごろからアップルペイ等を利用して徹底的に キャッシュレス・ライフを送っている人には歓迎されるもの。でもキャッシュで払いたがる旅行者等にはあまり評判が良くないようで、 不慣れな人はコーヒー1杯、ウォーターボトル1本を買うだけでもチップを加算して払ってしまい、出費が嵩む思いを強いられているのだった。




更に友達が指摘していたのはニューヨークのスカイスクレーパー(摩天楼)がどんどん変化していることで、 実際にここ数年のニューヨークの写真はビルの本数で何年頃に撮影されたかが分るほど。 それほどの再開発ブームであるけれど、需要に対して供給が増えすぎたために 完全な買い手市場になっているのがニューヨークの不動産。 それを受けて どんどんレベルアップしているのがアパートメント・ビルディングのアメニティで、 今やムービー・シアターがアイマックスになっていたり、ドバイのホテルかと思うようなプールやラウンジ等を アパート探しの最中に見せつけられた彼はすっかり驚いていたのだった。
私はてっきり現在のサンフランシスコの方がレントが高いものと思っていたけれど、1スクエア・フィート当たりの価格は 今もニューヨークが世界でNo.1 。 それを象徴するかのように、今週のメディアでは写真上右側の僅か13平方メートルのベッドとトイレとシャワーしかないようなアパートのレントが 1か月1375ドルもすることがニュースになっていたのだった。
その高額レントは商業スペースも同様なので、以前のこのコーナーにも書いた通り リセッション時代と変わらないほど テナントが入っていない空店舗が多いのも今のニューヨーク。 でも5年ぶりにニューヨーク生活に戻った友人が実感していたのは、さすがに眠らない街ニューヨークとあって 夜遅くまでニューヨーカーが出歩いていることと、街中が夜中でも活気があって明るいこと。
なので「ニューヨークが今世界で一番安全な街」と言うのが彼の意見なのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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