Sep 17 〜 Sep 23 2018

”Do You Really Understand What “Money” Is ?”
ただの紙になってから気付くのでは遅い! お金の本当の意味と価値


今週のアメリカで最大の報道になっていたのが、トランプ大統領が最高裁判事に指名した ブレット・キャバナーに対して浮上した 高校時代の性的虐待の容疑とその被害者を巡るニュース。 2週間前からワシントンで行われていたのがキャバナーの承認投票前の喚問であったけれど、 それに横槍を入れたのがこの容疑。アメリカでは1991年にも、現在唯一の黒人最高裁判事となっている クラレンス・トーマスの承認の際に酷似したセクハラ容疑が浮上しており、 この時被害者として証言をしたアニタ・ヒル教授が 全員男性の上院議員のパネルからウソつき呼ばわりを含む 惨憺たる扱いを受けた様子は、#MeToo ムーブメントが起こってからも話題になるほどの ”苦い歴史”と言える出来事。
今回被害者として名乗り出たクリスティン・フォードは、9月27日木曜に議会で証言をすることになっているけれど、 これだけ#MeToo ムーブメントがが大きくなり、11月に選挙を控えた現在は キャバナーを承認しなければならない共和党議員でさえクリスティン・フォードに対しては慎重にならざるを得ないのは紛れもない事実。
その一方で、トランプ大統領はずっとクリスティン・フォードに対する直接的なコメントを避けてきたものの、 金曜日になって「もし本当にそんな酷いことが起こったのなら、本人か家族が警察に被害届を出しているはずだ。 その被害届を持ってくれば、事件が起こった日付、時間、場所が分る」とツイート。 しかしながら性的虐待と言えば、少なくとも これまでは被害者が泣き寝入りを強いられる犯罪の筆頭であっただけに、 大炎上したのがソーシャル・メディア。あっという間に#Why I didn't report がトップ・トレンディングになり、その日のうちにセレブリティを含む1万人以上が 「何故自分が性的虐待を警察にレポートしなかったか」をツイートするメガ・リアクションを生み出していたのだった。




さて2008年9月15日にリーマン・ブラザースが崩壊して丸10年が経過した今週、9月20日にニューヨークのダウ平均株価が記録したのが 26,732ポイントという新高値。しかしながらそれを大きくレポートするメディアは少なく、逆にインターネット上で見られていたのが 次なる金融クライシスが迫っているというニュース。
ドットコム・バブルがはじけた2001年の際も、そして日本でいうリーマン・ショックが起こった2008年の際にも、 その間際までは好景気で、株価がどんどん上昇していったのは たとえ覚えていなくても、 上の株価チャートをチェックすれば分ること。 もちろん金融クライシスというのは、何かが破たんして そこからドミノ倒し現象が起こるからこそ 大きくなっていく訳で、これからやって来る金融クライシスで 前回の時のサブプライム・ローンの役割を果たすと言われるのが アメリカを始めとする世界中が抱える膨大な借金。
アメリカが国として抱える負債額は今月中には21.5兆ドル(2408兆円)に達しようとしているのは、USデット・クロック でもチェックすることが出来るけれど、これに米国企業、地方自治体、国民の借金等を加えるとその総額は71兆ドル(7952兆円)にも膨れ上がるのだった。 そのアメリカ国民の借金は1人当たりの平均金額が5万8000ドル(約650万円)で、この金額はリーマン・ショックを迎える直前のレベルを上回るもの。 USデット・クロックのデータを見れば分るように その借金のトップ3を占めるのが、 住宅ローン、学費ローン、クレジットカード・ローン。またトップ3には入っていないものの、自動車ローンもリーマン・ショック直前のレベルを上回る数値。 中でも最も懸念されているのは10年前に比べて2.5倍に当たる1兆5500ドル(約174兆円)に膨れ上がった学費ローン。 学費ローンは個人倒産を申請しても逃れられない反面、担保が無いローン。そのため「学費ローンの焦げ付きが次の金融クライシスのトリガーになる」と予言する 経済学者も居るほどなのだった。

でもそれよりも危惧されているのは国民の家計を圧迫する要因の蓄積。トランプ政権が進めるTariffs(関税政策)によって 9月24日月曜から中国からの輸入品に10%が課税されることを受けて、今週末にはウォルマートがシャンプーから食料品、 家電製品までもが 軒並み値上がりすることを消費者に警告したけれど、 それと同時に危惧されるのが中国がその制裁措置として、農作物やバーボンを始めとするアメリカからの輸入品を減らしていることがアメリカ国内経済に及ぼす打撃。
加えて庶民の生活において 追い打ちをかけるのが ”FED”の通称で呼ばれる米国中央銀行による公定歩合の引き上げ。 ちなみに日本のメディアにおいてはFED(連邦準備制度)とFRB(連邦準備制度理事会/連邦準備制度銀行)を 分けて報じる傾向があるけれど、アメリカ国民にとってはこれらは一括りで ”FED(フェッド)”と呼ばれるもの。 FEDは景気が悪化すれば、企業が雇用と設備投資を増やせるように公定歩合を下げて景気を刺激する一方で、 失業率が下がり、株価が上昇してくるとインフレ対策として公定歩合を上げるのは誰もが理解するところ。
そのFEDが米国の一般庶民の生活に最も大きく影響を及ぼすのが公定歩合で、 これによって住宅ローン、クレジットカード・ローン、自動車ローン、学費ローンなど、全ての借金の月々の返済額が変わってくるのは 言うまでもないこと。 そのアメリカの公定歩合は、今年6月までの過去3年間に7回アップしており、現在は3.8パーセント。 年内にあと2回の上昇が見込まれているのだった。




上のグラフはアメリカの公定歩合の推移であるけれど、 2001年の9.11のテロとドットコム・バブルがはじけた際に金利が大幅に下がり、 当時の最低金利、0.98%をつけたのは2003年12月のこと。誰もがローンを組んで住宅を購入し始めたのがこの前後で、 担保が無い人でも、自己申告の収入で簡単にローンが組めたのもこの時期。 ところが2004年6月を境に突如金利が上昇。2006年7月から、サブプライム・ローンの破たんが 問題視され始めるまでの1年間は5.25%となっていたのだった。
これが何を意味するかと言えば、金利が1%だった時には月々1000ドルで済んでいた返済額が、 5.25%になれば5250ドルになる訳で、一般庶民ならば ここまで金利が上がる前にローンが焦げ付いて、住宅の差し押さえになるのは当然のこと。 そんな低所得者層のローンの不渡りが、やがて2008年3月のベア・スターンズの破たん、 次いで同年9月のリーマン・ブラザースの破たんに発展するまでには 約2年の月日が掛かっているのだった。
そのシナリオを頭に入れて、上の公定歩合のグラフを見れば 2015年11月には0.12%だった金利が既に3.8%になっている訳で、 次の金融危機のシナリオが始まっていると言われる理由は容易に理解が出来るところ。 実際にアメリカではトップ100行に入らない小規模な銀行で、既に返済の遅れが 数字に表れるほどに表面化していることが伝えられるのが現状。 そのために「次の金融恐慌が2年以内に起こる」というのは、経済専門家の多くが指摘するところなのだった。

そこで経済の素人ならば 誰もが考えるのが 「これだけダウが上がって、アメリカの失業率が下がっているのに、どうして金融危機に向かっているのか?」ということ。 まず失業率についていえば、この数字が経済指標になったのは 給与というものが まともな生活が出来る金額であった時代の話。 アップルに次いで史上二番目に1兆ドル企業となったアマゾン・ドットコムのCEO、ジェフ・ベゾスが世界一の富豪であっても、その従業員が生活保護を受けていることを思えば、 今のアメリカで低所得の就業者と失業者の違いが紙一重であるのは容易に想像がつくところ。
その一方で 今のダウの記録的な上昇については、これは企業の業績とは全く無関係で、大手企業が自社株を買い戻すことによって株価を吊り上げている自作自演のブーム。 2008年の金融危機を受けて0%、時にマイナスにまで下がった金利を利用して 多くの企業が借入金を大幅に増やしたけれど、 以前であればそれを利用して企業が行ったのは設備投資や雇用の拡大、新規事業への参入など業績拡大の努力。 ところが今回の超低金利を利用して行われたのは自社株の買戻しで、 特にトランプ政権が企業に対する大幅減税を打ち出した2018年以降は、毎日48億ドルのペースで自社株の買戻しが行われているのだった。 その結果、2018年に株主が得る配当と利益の見積もりは S&P500社の合計だけでも1.2兆ドル(約135兆円)。
要するに大企業が行っているのは、会社の名義で借金をして株価を吊り上げて、それによって自社株の大株主である エグゼクティブ の私腹を肥やすこと。 これは言ってみれば 株価操作にも当るけれど、実際に1982年までは自社株の買戻しはアメリカでは違法行為であったもの。 上のダウ平均工業株価のグラフを見れば、1980年代以降に上昇トレンドに大きく勢いがついているけれど、それはこのような規制緩和とは決して無縁ではないのだった。
もちろん「持っていれば株が上がる状況なのだから、投資をした一般国民も儲かっているはず」とも考えられるけれど、 それは高額な大企業の株式を買う経済力がある人の話。アメリカ国民で株式に投資をしているのは現時点では50%以下で、その殆どが 401K、すなわちリタイアメント基金を通じての投資。低所得者が銀行口座さえ持てない今のアメリカでは、 確実に上がる大手企業の株式は、庶民にとっては手が届かない投資対象になってしまっているのだった。
いずれにしても現在のダウの高値は、企業業績とは全く無関係な実態を伴わないバブル。 バブルというのは、歴史的にも常識的にもはじけることを意味するのだった。




経済専門家の一部が次の金融恐慌が起こった際にその存続を危ぶむのは、大企業でも大手銀行でもなく、 米国ドルに代表される通貨、すなわちフィアット・カレンシーそのもの。 というのは前回の金融危機の際にベイルアウトと称して、大手銀行を救済するために 既に何兆ドルもの紙幣が印刷されているためで、ダウの株価がこれだけ上がるのも、8月にフェラーリのGTOが4800万ドルで 落札されるのも、経済の実態とは無関係に印刷された紙幣が高きに流れた結果のインフレーション。
でも次の金融危機でもう1回それをやったら、ヴェネズエラ同様のハイパー・インフレが起こるというのが多くの専門家の警告。
そのヴェネズエラの2018年のインフレーションは100万%に達すると見積もられているけれど、 現地では今年4月に最低月額賃金が100万ボリバーに引き上げられたところ。 しかしながらトイレット・ペーパーのお値段が260万ボリバー、 トマト1キロ分が500万ボリバー、1キロのお米の値段が250万ボリバー、 赤ん坊のおむつ1パックが800万ボリバー、豚肉1キロが950万ボリバーで、最低賃金ではトイレット・ペーパーさえ買えない状況になっているのだった。

とは言ってもUSドルにしても過去約100年の間に96%の価値を失っているのは周知の事実。それはFEDが毎年2%を目途にしたインフレ政策を行っているためで、 現代人は誰もが「物価は上がるもの」と考えているけれど、実際にはそれは中央銀行による人為的な操作。インフレが毎年2%ずつ進行した場合、 ゼロ金利で銀行にお金を預けておくと 5年間に10%のバリューを失う計算。例えば銀行に100万円のキャッシュがあった場合、1年後にインフレが2%進めば 額面は100万円であっても その価値は98万円になっているわけで、これが5回続けば その価値は90万円相当まで減ってしまうのだった。
これが普通のインフレの状態なので、ハイパー・インフレが訪れた場合、最も当てにならないのがお金という財産。 どうしてそうなってしまうかと言えば、紙幣本体には価値が無いためで、通貨がゴールドやシルバーのコインだった時代や金本位制度が導入されていた時代には 決して起こらなかったのがハイパー・インフレ。 そもそもお金というのは財産ではなくて「貴方にはこの金額の価値のものを受け取る権利があります」という借用書のようなもので、 それを保証してくれる存在があるからこそ 初めて価値を成すもの。米ドルにおいてはその存在がアメリカ国家。 しかしながらそのアメリカ国家が 税金の向こう6.5年分に匹敵する借金を抱えているだけでなく、 その負債が過去10年で2倍以上に膨れ上がっているスピード、 海外諸国の貿易でドル離れ現象が起こっていることを思えば、 何らかのトリガーによって ある日突然、保証された価値が激減し始めても不思議ではない訳で、それがハイパー・インフレ。
ちなみに これはアメリカに限った問題ではなく、全世界の負債総額は今や325兆ドルで、これは世界経済全体の3倍に当たる金額。 もしこれを紙幣の印刷で解決しようとした場合、紙幣の価値が3分の1になる程度で済むというのは素人の考えに過ぎないのだった。

いずれにしても、次に訪れる金融危機への対策として奨励されているのは貯金ではなく、 お金を別の取引可能な財産に替えておくこと。というのも少なくとも中流以下の収入ではハイパー・インフレを乗り切るだけの貯金をするのはあと2年では不可能であるためで、 だからこそ投資対象として見直されているのがゴールド&シルバー、そしてビットコインに代表されるクリプトカレンシー(仮想通貨)。 ビットコインについては まだまだ信頼しない人は多いけれど、ビットコインが誕生したのは2009年で、1ドルという価格が付いたのは2010年のこと。 それが今日現在6,710ドル前後で取引されている訳で、短期間にこれだけ価値を伸ばしたものは他に存在していないのだった。
例えばゼロ金利の銀行、もしくはタンス貯金で10万円を過去8年間持ち続けていた場合、前述のように額面は10万円でもインフレのせいで その価値は 毎年2%減り続けて約8万5000円。 でもその10万円をビットコインに投資していた場合、過去8年でその価格が6,710倍にアップしているので、 現在は6億7100万円。インフレ分をここから差し引いても、十分過ぎる財産になっているのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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