Oct. 1 〜 Oct. 7 2018

”What a Waste of Money...”
16年ぶりの引っ越しで学んだ、愚かなお金の使い方


今週もアメリカの話題は、トランプ大統領が最高裁判事に指名したブレット・キャバナーの就任をめぐる報道で占められていたけれど、 先週の承認投票を延期してまで提出が待たれたFBIによるキャバナーのレイプ未遂容疑についての捜査報告は、 「ホワイトハウスの圧力がかかった、まったくの手抜きレポート」というのが彼の就任に猛反対する民主党の言い分。 これに対してトランプ大統領を始めとする共和党側は、「もうこれで十分」との意見で、 結局のところ上院で数に勝る共和党が僅少差で押し切って承認したのが、今後の連邦最高裁で 向こう何十年にも渡って保守票を投じ続けると見込まれるキャナバー判事。 これによってゲイの婚姻から、人工中絶、移民問題まで、アメリカが保守化の一途を辿ることが見込まれるけれど、 民主党側は支持者に向かって「この状況を覆すには選挙に勝利するしかない」と、11月の中間選挙での投票を呼び掛けている状況。
すべてのメディアが指摘していたのは、トランプ氏の大統領当選以来、既に真二つに割れていたアメリカの亀裂が、 今回の最高裁判事の承認でさらに深くなったということ。 トランプ氏当選以降のサンクスギヴィングのホリデイは、集まった家族が政治をめぐって感情的な口論となることが全米でレポートされ、 多くの人々が政治観が異なる友人と絶交状態であることが伝えられるアメリカであるだけに、 もはや国として1つに纏まることなど 考えられない状況になりつつあるのだった。




さて、今週私が16年ぶりに行ったのが引っ越し。 それも引っ越しの僅か5日前にリース契約を交わすという急なスケジュールで、どうしてそんな無理なことを試みたのかといえば、 引っ越し先が同じビルの中であるため。 「フロアを移るくらいなら5日で出来るはず」とタカを括っていたけれど、同じビル内でも引っ越しは引っ越し。 しかも過去16年間暮らしたアパートは収納が抜群であったので、それが仇になってクローゼットや収納棚には 16年間の私の愚かなショッピング歴がぎっしり詰まっているという情けなさ。 でも新しいアパートにそれを引きずって行くのでは引っ越す意味がないので、これを機に要らない物、使わない物を全て処分することにしたのだった。
家にいても座ることもないリヴィングのソファー、椅子のセット、テーブル(写真上)を引き取ってもらい、 メディア用の棚、ロールワゴン2つ、鏡7枚、ごみ箱2つ、壁時計1つ、コンピューター・デスク&チェア、オフィス用チェア2つ、ダイニング用チェア1つ、 ウォール・アート4つ、ランプ2つ、大型花瓶、キャンドル・スタンド3組、メタル・オブジェ等、普通の1人暮らしの家1軒分以上と言われる量を処分し、 バスタオルだけで10枚以上を捨てたけれど、それでもまだまだ山のようにあるのが家の中のもの。
処分したものに支払った金額を頭で思い浮かべて ゾッとすると同時に、どうしてそれらを買うに至ったのかを思い出していたけれど、 私は自分が住む空間に対しては不思議なオブセッションがあって、 気に入らない部分があると それを放置しては生活できないタイプ。 そのため足りない物があると直ぐに購入してしまう傾向があり、 しかも以前はシンプルよりデコラティブを好んだこともあって、2ベッドルームのアパートの壁に合計33のウォール・デコ、アート&ミラーが掛かっていたような有様。 なので「これだけ荷物が増えた今は引っ越しなど不可能」と思っていた反面、 引っ越し願望は強く、 その下準備のために、この夏には衣類、バッグ、シューズを大々的に処分。 その結果、どんな高額なシューズやバッグでもクローゼットに置いておくだけで使っていなくても 年月が経過するにしたがって 変色などで価値が低下することを思い知ったばかりなのだった。
特にリザード(トカゲ)素材は、たとえエルメスでもバッグのストラップにヒビが入り、以前には無かったシミが浮き出て再販不可能なコンディション。 フェンディのバゲットはリザード素材のバックルの内側から糊がにじんだシミが出来てしまい(写真下)、 どちらも殆ど使っていなかったバッグだけに「こんな物にお金を使ってはいけない」と 自分に言い聞かせたばかり。 にもかかわらず、またしても同じレッスンを家具やホームグッズで自分に言い聞かせる羽目になってしまったのだった。






家の中のもので無駄になる物の筆頭と私が痛感したのは食器類。 以前は自宅でパーティーをしていた時期があるので、その時に増えた食器は処分してもまだまだ重なっている状態。 食器類は重たい上に、タダでも引き取り手もなく、私だけでなく 誰もが「引っ越す際に処分する」というものの筆頭。
しかもトレンドが無いようでいて、あるのが食器。白を買っていれば間違いないと思いきや、その白にもいろいろなトーンがあって、 お皿や器に凹凸の装飾があると、とたんに古臭く見えるのが白い食器。
逆に意外に引き取り手があるのがワイングラスなどのグラスウェアで、ラルフローレンのグラス・セット、 リーデルのワイングラスや、ティファニーの花瓶、ウォーターフォードのマティーニ・グラスなどは、 オンラインの委託販売サイトやEベイで簡単に買い手がつくのだった。 それと同時に引き取り手があるのがウォール・ミラー。安い物でもアプリを通じて販売すると、売値の半額くらいで買い取ってくれる人が現れるのだった。
でも家具については たとえ無料でも、引き取りのアポを無断でドタキャンする人が何人も居て、「無料だからありがたい」のではなく、 「無料だからこそ 簡単にドタキャンする」という心理を学ばされたのだった。 そのためドタキャンのために無駄にした時間や引き渡しのストレスを思うと、お金を支払って家具の処分をした方が効率が良かったと 若干後悔していて、食器とともに 「決して増やさない!」と心に誓ったのが家具。
ところで私が運び出すのが大変なほど大きなソファーを買ってしまったのは、ニューヨークに家族や友人が来た時に眠れる場所があるようにと思ったため。 同様の理由で 日ごろは不必要なソファーベッドを買う人は少なくないけれど、その多くが語るのが いかにそれが無駄な買い物であったか。 パーティーのために 私の使わない食器が増えてしまったのと同様、「住んでいる人間以外のことを考えて買った物は ことごとく無駄になる」というのは私が経験しただけでなく、2年前にLAに引っ越した親友も語っていたこと。 さらに頭で覚えきれる以上のものを持っていても、結局はどこにしまったかが思い出せず、ただでさえ少ない出番を逃すことになるというのもまた事実。 これまでは収納スペースが沢山あるので、それらをことごとく収納してとっておいたけれど、 結局は無駄以外の何物でもないことを悟らされたのだった。




逆にお金をかけて意義があると思ったのはピクチャー・フレーム。 私は親友や家族と離れて暮らしていることもあって、その写真を入れたピクチャー・フレームがコンソール・テーブルやキャビネットの上に所狭しと並んでいるけれど、 やはり大切な家族や友達なので、安っぽいフレームに写真を入れるのには抵抗があって、 少しずつアップグレードして買い足していったのが私のピクチャー・フレーム・コレクション。 少し前に友人が私の家に初めてやってきた時も、他のデコレーションには目もくれずに、写真を見入って そのフレームを褒めてくれたけれど、 それはうちにやってくる多くのゲストが示すリアクション。
それ以外のデコレーションは 自分がよほど好きでない限りは、お金をかけても仕方がないことを悟ったので、 部屋のデコレーションも 今回の引っ越しで大々的に処分したカテゴリーの1つ。 加えて人からの貰い物で捨て難かったものも 今回大幅に処分したけれど、中には10年以上持っていたものもあって、 それらはくれた本人さえ忘れていると思しきもの。
私は近年では「ギフトは食べてなくなるもの(食べ物)か、飲んでなくなるもの(ワイン)、枯れて捨てられるもの(フラワー)、封筒に入るもの(チケットかギフトカード) しか受け取らない」と宣言しているけれど、自分でも同様のギフトしか贈らない主義。 物を捨てるというのは本当にストレスになるので、余計なギフト交換はしない方が環境のためにも、当人同士のためにも良いと思っているのだった。

前述のように私は、家の中のことがちゃんとしないと 仕事も手がつかない性格なので、 週末を迎えるまでに全ての段ボールを除去して、ノーマルな生活に戻ることが出来たけれど、 やはり引っ越しというのは体力と気力の双方を消耗するもの。 青あざや、小さな切り傷がいくつも出来てしまったけれど、 沢山の物を処分して情けなく思う一方で、 Eメールが普及する前に日本の家族から送られてきた手紙が入った箱を開いたときは、 思わず読みふけって涙が出てきてしまったのだった。
そんなことからも物が財産ではないことを本当に心から痛感したのが今回の引っ越しで、 私自身、環境の変化を望んでいたこともあり、時間的には無理があったものの、 正しい決断をしたと思っているのだった。



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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