Dec. 17 〜 Dec. 23 2018

”Prestage Jobs Nobody Wants Take”
埋まらないと大変!それでも誰もやりたがらないプレステージ・ジョブ


今週のアメリカで最も大きく報じられていたのは、水曜のFed(連銀)による公定歩合引き上げを受けて 数十年来最悪の1週間の下げを見せた 株価のニュースに加えて、遂に金曜夜中から突入した政府の一部シャットダウンのニュース。
政府のシャットダウンについては、纏まりかけた暫定案を覆してメキシコとの国境の壁の建設費5億ドルを政府予算に盛り込むことを トランプ大統領が頑なに主張し、議会がこれを拒んだためのもの。選挙公約では壁の建設費を支払うのはメキシコであったはずが、 何故か国民の税金から支払うことになっている理由について、トランプ氏は「メキシコは既に貿易を通じて建設費を支払った」と主張。 でもそれには民主、共和の両党が納得しておらず、世論も90%以上が国境警備の強化に賛成しているものの、54%が壁の建設に反対の意見。 野党民主党は、壁よりもずっと有効で安価なドローンによるパトロールやレーダーによる警備であれば予算に盛り込む可能性が高いと言われるものの、 トランプ氏は週末に改めて「国境警備には壁が不可欠」とツイート。
この政府シャットダウンのせいで航空管理局等、日常業務が不可欠な政府職員は無給で働くこととなり、国立公園など国が運営する観光スポットが ホリデイ休暇中にクローズするけれど、ニューヨークの自由の女神については州の予算で運営が続けられるのでシャットダウンの影響は無し。 またニューヨーク市で働く政府職員については、市政府のプール金で給与の立て替えが行われるとのこと。 でもシャットダウンが長引けば、どちらも長くは続けられないことが警告されているのだった。




一方、ワシントンにおけるショック・ヴァリューという点で今週最大のニュースと言えたのは ジェームス・マティス国防長官(写真上左) 辞任のニュース。 マティス長官の辞任はトランプ大統領が独断で決断したシリアからのアメリカ軍撤退宣言の翌日の出来事。
トランプ氏の決定はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との20分に渡る電話で「ISISは既に滅びて、 シリアの秩序が取り戻された」と言われたのを鵜呑みにしたものと言われ、 これは「シリアには未だ1万3000人のISISのメンバーが残留している」という国防省のレポートとは相反するもの。 マティス長官の辞任は彼の説得を押し切って 撤退を決断したトランプ氏に抗議してのもので、 長官はその辞任レターを50部コピーしてペンタゴンに配布するよう部下に指示したとのこと。 2ページのレターの中では 遠回しながらも 明らかな事実を否定し、NATOの諸国との連携を軽んじるトランプ氏の姿勢が批判されており、 シリア撤退がマティス長官辞任の「原因」ではなく 「引き金」であったことが指摘されているのだった。

マティス長官の木曜の辞任発表を受けて、土曜日には対IS国際有志連合の調整役を務めるブレット・マガーク米大統領特使(写真上右)が 予定されていた辞任を2カ月早めることを宣言。国防省からさらに辞任が出る可能性が懸念される中 トランプ氏はマティス長官の後任を2019年1月1日に発表すると宣言。 しかしながらワシントン関係者からは、 トランプ政権の要であり、 トランプ氏に意見が出来る存在を失うことで、「政権内には もはや”イエスマン”しか残っていない」ことを危惧する声が聞かれているのだった 。
マティス長官の辞任を受けてさらに難航すると見込まれているのが 同じく年末で辞任するジョン・ケリー大統領補佐官の後任人事。 当初トランプ氏がケリー補佐官辞任をツイートした翌週には決定するとしていた後任人事は 難航を極めており、 そのことはペンス副大統領の補佐官ニック・エイヤーや、大統領選の最中からトランプ氏を支持した元ニュージャージー州知事、クリス・クリスティらが このポジションを辞退していることからも明らかなこと。 2019年には、大統領選挙をめぐるトランプ氏のロシア癒着疑惑の捜査が大統領に及ぶことが見込まれ、 その大切な時期を迎えるに当たって政権内がガタガタになりつつあるだけに、代行人事さえ続かないことが懸念されるのが大統領補佐官のポストなのだった。
ちなみに現在トランプ政権では7つの主要ポストが空席、もしくは代行によって務められているという異例の事態となっているけれど、 にも関わらず トランプ大統領は 今週株価が下落する中で公定歩合を引き上げ、2019年にも2回の引き上げを宣言した 連銀のジェローム・パウエル理事もクビにしようとしたとのこと。でもこれについては 「今彼をクビにしたら、株価がさらに下落する」という周囲の必死のアドバイスを聞き入れて 思い止まったことが伝えられているのだった。




でも重要なポストが埋まらないのは政治の世界に限ったことでは無く、スーパーボールを数週間後に控えて 未だに決まらないのが そのハーフタイム・ショーを担当するパフォーマー。
一時はマルーン5が担当すると発表されたものの、リーダーのアダム・レヴィーンがそのコンファームを拒んでおり、 週末にはラッパーのトラヴィス・スコットがマルーン5とのジョイントで出演する説が浮上したものの、カーディーBが依頼を断ったニュースが伝えられ、 昨年のハーフタイム・ショーを担当したジャスティン・ティンバーレイクのキャスティングが10月の時点で決定していたのとは大きな違い。
何故ミュージシャンが世界中で10億人が視聴し、楽曲の売り上げに大きく貢献するスーパーボールのハーフタイム・ショーにこぞって出演したがらないかと言えば、 彼らが NFLでの選手生命を犠牲にして 警察の黒人層に対する過剰暴力への抗議活動を行ってきたコリン・カパーニックをサポートしているためで、 ハーフタイム・ショーを担当することによって NFL側に加担していると思われることを避けたいため。 実際にマルーン5の前にNFLからハーフタイム・ショーの出演依頼を受けたリアーナは 「コリン・カパーニックに対するNFLの不当な扱いに抗議して その出演を断った」とコメント。 そのリアーナのコメントや、ナイキが「Just Do It」のスローガンの30周年キャンペーン にコリン・カパーニックを 所属チーム無しで起用し、多大なパブリシティとサポートを得たこと等が重なって、ソーシャル・メディア上では ハーフタイム・ショーを引き受けた マルーン5が「出演を取り消すべき」という声がファンの間から上がっていたのだった。
かつてサンフランシスコ・フォーティーナイナーズのクォーターバックとして、スーパーボールにも出場したコリン・カパーニックは、 国歌斉唱中に跪く 抗議ジェスチャーを広めたことから、NFLのオーナー達がフリーエージェントとなった彼と契約しない取り決めを交わしたと言われ、 事実上NFLから抹殺されたプレーヤー。 今後も彼と契約するチームが無いと思われるのは、その社会的な物議よりも むしろ、新世代の優秀なクォーターバックが 今シーズンのNFLを大きく盛り上げたためで、 カンサスシティ・チーフのパトリック・マホームス、シカゴ・ベアーズのミッチ・トリビュースキー、ロサンジェルス・ラムズのジャレット・ゴフなど、 20代前半の若々しく、ルックスも良いクォーターバックの大活躍が 過去数年下降線を辿っていたNFLの視聴率をピーク時にまで盛り立てたのは周知の事実。 したがって2シーズンのブランクがある31歳のカパーニックと契約するというのは、抗議活動の物議が無かったとしても、バックアップのクォーターバック以外では 通常はあり得ないと言えるもの。
カパーニックの追放状態が改善される見込みが無いだけに、難航が予測されるのがハーフタイム・ショーのパフォーマー探しで、 「マルーン5は単独では決してパフォーマンスを行わないだろう」と音楽業界関係者は予測しているのだった。 ナイキに関してはコリン・カパーニックを起用した広告戦略のメガサクセスのお陰で、今週木曜に発表された第2四半期の売り上げが ウォールストリートの予測を大きく上回り、 その株価が8%の上昇を見せていたのだった。




ハリウッドにおける埋まらないプレステージ・ジョブとして 誰もが避けているのは 2019年2月24日に行われる アカデミー賞授賞式のホスト。 これまではオスカーのホストに選ばれることはハリウッドでは名誉と見なされてきたけれど、オスカーの視聴率の低下が顕著になってからは その責任が長過ぎて退屈な授賞式の構成よりも ホストに対して問われる傾向が高まっており、 加えてオスカーのホストはジョークを含めた全てのモノローグを脚本通り読んでいるだけにも関わらず、 それが「つまらない」、「笑えない」場合、 ジョークを書いたライターの責任まで押し付けられる立場。
昨年ホストを担当したトークショー・ホスト、ジミー・キンメル(写真上左)も、その日ごろとは打って変わってキレが悪いジョークが批判されていたけれど、 2019年のホストとして まず白羽の矢が立ったのは、俳優兼コメディアンで ミレニアル世代に大人気を誇るケヴィン・ハート(写真上中央)。 ところが彼のキャスティングが発表された直後に浮上したのが、彼が何年も前にそのコメディスケッチで語ったジョークや ツイートの中でゲイ差別用語を使っていたという指摘。アカデミー側がそれに対する謝罪を求めたことから 謝罪の代わりに降板を発表したのがケヴィン・ハート。後にケヴィン・ハートはLGBTQコミュニティに対しては謝罪をしているけれど、 問題になったゲイ差別用語は コメディアンの多くがそのパフォーマンスやツイートの中で用いてきただけでなく、 エミネムの歌詞や90年代の映画の中ではジャック・ニコルソンのセリフでも使われていたもの。 このためハリウッドのリアクションは彼の降板を惜しみ、同情する声が圧倒的で、 特にソーシャル・メディアにおけるフォロワーが多く、ミレニアル世代を笑わせるジョークが語れるケヴィン・ハートが 久々にオスカーの視聴率を盛り上げることを期待していた人々の間では失望のリアクションが見られていたのだった。

そして現在アカデミーが直面しているのが そのキャスティング難。 ケヴィン・ハート降板直後にはエディ・マーフィーが最有力候補と伝えられたものの進展が無く その後も 以前ホストを務めたウーピー・ゴールドバーグ、アジア人俳優のケン・チョン等の名前が挙がっているものの、 一向に決まらない状況。 一部のハリウッド関係者の間では、「一度はケヴィン・ハートがキャスティングされていたことが この人選をさらに難しくしている」と言われており、 それというのは 毎年オスカーのホストと言えば そのパフォーマンスが歴代のホストと比較される傾向にあったけれど、 2019年に関しては 「これがケヴィン・ハートだったら…」と 現在最高の人気を誇るコメディアンと比較されるのが目に見えているため。
ファンの間でリクエストが多いと言われるのは、EGOTのステータス(エミー、グラミー、オスカー、トニーの全てを受賞すること)を持つ シンガーのジョン・レジェンド(写真上一番右)であるけれど、その彼も「オスカーのホストは誰が担当しても 決して評価されない仕事」と ハリウッドの本音を明かしているような状況。
2019年のオスカーの放映時間は例によって4時間30分と長丁場で、毎年ホストは2カ月以上を掛けて周到な準備をして臨むだけに、 ホスト選びが難航すればするほど、益々準備期間が短くなるので さらに引き受けるセレブが居なくなることが見込まれているのだった。


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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