Sep. 30 〜 Oct. 6 2019

”Sksksksksk and I oop Vsco Girl!”
今や大人も知らなければならないVsco ガール
そのライフスタイル・サブカルチャーとは?



今週のアメリカでも、引き続きトランプ大統領がウクライナ政府に対して 資金援助と引き換えにジョー・バイデン元副大統領の粗探しを要求した職権乱用疑惑と 大統領に対する弾劾捜査が大きな報道になっていたけれど、 木曜に新たに浮上したのがIRS(国税局)内部のホイッスルブローワーによるトランプ氏、およびマイク・ペンス副大統領の税金申告についての不正レポート。 トランプ氏は税金申告書を公開せずに就任した歴代唯一の大統領で、再三の下院の提出要求を無視し続けているのは周知の事実。
でも熱心なトランプ支持者の間では、トランプ氏の弾劾捜査がスタートしてからその支持率が高まったとのことで、 これは元クリントン大統領の弾劾の際にも見られた現象。 木曜にはウクライナに続いて、トランプ氏が中国に対しても関税引き上げ緩和と引き換えにジョー・バイデン元副大統領とその息子、ハンター・バイデンに対する捜査を プレス・カンファレンスの場で要求しており、トランプ政権が外国政府への捜査要求が外交上ノーマルである印象を与えようとする苦肉の策が見られていたのだった。




話は替わって、ソーシャル・メディア上でこのところ大きくフォーカスされているのが ”Vscoガールズ”。 Vscoの発音は「ヴィスコ」で、その語源はジェンZ (1997年以降生まれのジェネレーションZ)が最も頻繁に使用するフォト・エディティング・アプリ VSCOcamから来ていて、Vsco自体は“Visual Supply Co.”の略称。 でもVscoガールズはVSCOcamを使うティーンエイジ・ガールズがクリエイトしたトレンドで、このアプリとは全く無関係。
当初Vscoガールズと言えば ソーシャル・メディアのポストや書き込みに過剰反応しては そのリアクションを書き込むティーンエイジャーを意味し、決して誉め言葉ではなかったけれど、 それが突如変化してきたのが初夏を前後してのこと。 ティーン・インフルエンサーのアナ・チェンバレンがVscoガール・ファッションを提議したことから、 ティーンYouTuber がこぞって発信したのが ”Vscoガール・チャレンジ” のビデオ。 これはVscoガールズのマストハブ・アイテムを買い揃えて インスタントにVscoガールになるチャレンジで、 それがソーシャル・メディア上でワイルド・ファイヤーのように広がって、大人たちからも注目を集めるようになったのがVscoガール。
Vscoガールズは チューブトップ、マム・ジーンズ、バーケンストック、プカシェル・ネックレス、スクランチーなどの 特定アイテムを身に着けることからファッション・トレンドと勘違いされがちであるけれど、 実際にはVscoガールはライフスタイル・サブカルチャー。 2000年代前半のTumblr Girls / タンブラー・ガールズの2019年ヴァージョン、もしくはジェンZヴァージョンというのが 正しい解釈なのだった。

具体的にVscoガールズがどんなキャラクター&ライフスタイルかと言えば、まずエコ・コンシャス。 プラスティック・ボトルのウォーターを購入せず、彼女らが”ハイドロ” と呼ぶ リユーザブル・ウォーターボトル、ハイドロ・フラスクを常に持ち歩く一方で、 プラスティック・ストローを使用せず、メタル・ストローを購入する徹底ぶり。 自室をフェアリー・ライト(ワイヤー電球)でデコレートして、インテリアを楽しみながら電力消費削減も心掛けているのだった。
またVscoガールズはブランド・コンシャスで、スキンケアからサンブロック、スニーカーまで特定のブランドのみを愛用する傾向が極めて顕著。 ファッション自体はスーパーカジュアルで、90年代のスケートボーダー&サーファーガール・カルチャーの影響が強く、 ヘアはナチュラルロング。それを状況に応じてブレスレット代わり手首につけているスクランチーで メッシーバン (ヘアを整え過ぎずに1つにまとめるバン・ヘア、写真上一番右)のアップドゥにするのがVscoガール。 ヘアはナチュラル&メッシーを好むものの、 リップはグロスかリップバームで常に潤いを持たせるのを好み、サンスクリーンをしっかりアプライしサングラスを常に持ち歩くのでUV対策も万全。
複数のソーシャル・メディア・アカウントを駆使しているものの、最も頻繁に使うのはTikTok / ティックトックで、 Vscoガールズと言葉が普及する前は、TikTokガールズと呼ばれていたのが現在のVscoガールズなのだった。




前述のようにVscoガールズは、特定ブランドの特定アイテムで身を固めるブランド・コンシャスなので、 ソーシャル・メディア上に溢れているのが そのマストハブ・アイテムのリスト。中にはそれを集めた ”Vscoガールズ・スターター・キット” を販売するオンラインショップも存在するほど。
ではそのマストハブ・アイテムがどんなものかと言えば、簡単に纏めたのが上のビジュアル。 さすがにスクランチーにはブランドは無いものの、ブレスレット代わりに手首につけてて見場が良いカラフルなパステル・トーンが人気。 基本的にVscoガールズはウエスト・コースト・スタイルの影響が大きいのでパステル・トーンがメイン・カラー・パレットになっているのだった。
バックパックはフェールラーベンのカンケンで、これはスウェーデンの小学生のために1970年にクリエイトされたスタイル。 使い易いハンドルが付いているのと、独特の四角いシェイプがVscoガールにアピールする要因と言われるもの。 リップバームはバーツ・ビーズ、リップグロスはグロッシエー、フェイシャル・スプレーはカイリー・ジェナが一躍有名にしたマリオ・バデスクのローズ・ウォーター、 アクセサリーは前述のようにプカシェル・ネックレスやシェル・チョーカー、フレンドシップ・ブレスレット、 アルファベットビーズ・ブレスレットなどのクラフト系。これらはYouTubeのハウトゥー・ビデオを見ながら自分達で作るケースも多いのだった。
シューズはオリジナルのバーケンストック、VANのスウェードスニーカーかチェッカー・スリッポン、コンバースのチャックテーラー、クロッグス、そうでない場合はホワイトスニーカーが圧倒的で、 サンスクリーンのブランドは”SUNBUM / サンバン”がマスト。
服装はオーバーサイズTシャツや、オーバーサイズ・セーター、オーバーサイズ・パーカをリーバイスの501のカットオフ・ショーツに合わせる、 もしくはチューブトップにマムジーンズ(ハイウエストでシルエットにゆとりがあるジーンズ)に合わせるのが最も一般的なスタイル。 ブランドとしては圧倒的に支持を得ているのが日本未進出のブランディ・メルビル(写真下)。 このブランドはアーバン・アウトフィッターズ、先週会社更生法を申請したフォーエヴァー21やPacSunと競合するポジショニングのティーン・アパレルであるけれど、 一部のスタイルのジーンズを除いて、製品はワンサイズ・フィッツ・オール。 すなわち1サイズのみの製作で、多くのブランドがプラスサイズまで展開を広げる中、 時代に逆行するコンセプトで「ティーンエイジャーに誤ったボディ・イメージを植え付けている」と批判を浴びている存在。 それでもケンドール&カイリー・ジェナ、ヘイリー・ビーバーといったセレブやティーン・インフルエンサーを巧みに使ったソーシャル・メディア戦略が功を奏して、 ティーンの間では大人気のブランドとなっており、私は個人的には着用するターゲット層を絞るブランディ・メルビルのコンセプトは サイズ展開を広げるブランドよりも確実に利益が上がるビジネス・モデルと思って注目しているのだった。






前述のようにVscoはライフスタイルなので ”Vscoスリープオーバー”なるものも存在していて、スリープオーバーとは友達の家に泊まりに行くこと。 それが”Vscoスリープオーバー”になるとプールの中やトランポリンの上などベッド以外の場所で眠ったり、 庭に張ったテントをフェアリーライトでデコレートして そこでネール・パーティーをしたり、フレンドシップ・ブレスレットやシェル・ネックレスを作ったりで、 インターネット上に溢れているのが”Vscoスリープオーバー”のアイデア。
いつの時代にも特定のサブカルチャーが生まれた場合には、その中からトレンディな隠語やスラングが生まれるけれど、 Vscoガールズが最も頻繁に使うのが、”Sksksksksksk” と ”And I oop”。 前者は「スクスクスクスクスクスク」と素早く言う音で、言葉ではないけれど 語源はソーシャル・メディアのポストを見て驚いたり、 エキサイトして、そのリアクションをスマホで打っている様子を表現したもの。したがってその意味も驚いたり、喜んだり、時に腹を立てるリアクションのこと。
”And I oop / アンド・アイ・ウープ”は英語の”Oh My God!” に置き換えられる言葉で、とにかくこの2つを連発するのがVscoガールズ。 以下はVscoガールズがTikTokにアップしたビデオを6分間に渡って編集したもので、 これがVscoガールズがソーシャル・メディアで展開するトークであり、ティーン・カルチャーなのだった。


”Sksksksksksk” と ”And I oop”のオリジナルは、LGBTQコミュニティのアフリカ系アメリカ人のドラッグ・クイーン達が使っていた言葉。 これが何故ティーンエイジャーの間でブレークしたかは不明であるものの、 Vscoガールズが使うようになってから、初めて陽の目を見たのがこの2つのフレーズ。
言葉遣いやソーシャル・メディア・ポストの内容が「如何にもティーンエイジャー」というのはさておき、 Vscoガールズのマストハブのラインナップはエコ・コンシャスのポリシーを反映させているだけでなく、 VANやコンバースのスニーカー、リーバイスの501といった永遠のクラシックと 秀でたプロダクトがしっかりセレクトされたもの。 ハイドロ・フラスクはリユーザブル・ボトルの中で極めて優秀なプロダクトであるし、 SUNBUMのウォータープルーフ・サンブロックはスポーツをする人にはマスト。 ミレニアルズが好んだビーツのヘッドフォンよりエア・ポッドを選ぶのもプラクティカルでリーズナブル。 スクランチーはVscoガールズだけでなく、大人の女性の間でも20年ぶりにカムバックしているのが現在。 なので歴代のティーンのトレンディ・グッズの中では”最も意味を成しているリスト”というのが私の見解。
ビデオのポストに登場したティーンたちの様子に現れていた通り、ジェンZは何でもかんでも買う世代ではないものの、 気に入ったものや、環境保全に繋がると思しきプロダクトは複数買い込んで、それを「You can have it! I have a tons of those!」と言いながら友達とシェアするジェネレーション。 なのでこの世代を相手にヒット商品が生まれた場合には、たとえ単価が安くても多大なセールスに繋がることを意味するのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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