Dec. 16 〜 Dec. 22 2019

”The Year of Vegan Controversy”
2019年のアメリカはヴィーガン論争の年!
続出したヴィーガンをめぐる様々な物議



今週のアメリカでは遂にトランプ大統領が米国下院議会投票で正式に弾劾されており、これはアンドリュー・ジャクソン、 リチャード・ニクソン、ビル・クリントンに次いで米国史上4人目のこと。 アンチトランプ派の中でも特にこれを歓迎したと言われたのが、瀕死の親や家族に「トランプが弾劾された」とウソをついて、 安らかに天国に送り出した人々。それを聞いて満面の笑顔や安堵の表情で息を引き取った人々の家族が 「これでウソをついた訳ではなくなった」と喜ぶ様子が伝えられていたのだった。
今後は上院裁判が行われた後、共和党が多数を占める上院が弾劾を否決する見込みで、 共和党の上院議長、ミッチ・マコーネルは証人を1人も喚問せずに投票に踏み切ると発表。 年内に弾劾を否決する意向を示していたのに対して、民主党のナンシー・ペロッシ下院議長は下院決議書の提出を遅らせ、 上院裁判で証人喚問を含めるなどの民主党の意向を取り入れさせる取引に出る模様。 既に米国議会がホリデイ休暇に入 ったことから 弾劾の行方は2020年に持ち越しとなっているのだった。




さて、ニューヨークのような米国都市部に住んでいると ヴィーガンやヴェジタリアンが年々増えている印象を持つけれど、 世論調査の最大手、ギャロップ・ポールによれば2018年の段階でアメリカ国内のヴィーガン、ヴェジタリアン人口は 何と過去20年間で横這い状態。
でも確実に増えているのがプラントベースの食料品の売り上げで、 従来の牛乳やヨーグルトの代わりにアーモンド・ミルクやココナッツ・ミルクを使用したアルタナティブ乳製品の売り上げが大きな伸びを見せている一方で、 2019年に最もサクセスフルだったIPOはアルト・ミート(アルタナティブ・ミート、ヴィーガン・ミート)のメーカー、ビヨンド・バーガー。 バーガーキングはそのライバル会社であるインポッシブル・バーガーと提携し、同チェーンのシグニチャー・バーガーのヴェジタリアン・バージョン ”インポッシブル・ワッパー” を発売。それが大ヒットになっており、マクドナルドもビヨンド・バーガーと提携したヴェジー・バーガーの発売を発表したばかり。
にも関わらずヴィーガン、ヴェジタリアンが増えている訳ではないのは、これらの売り上げを支えているのがノン・ヴェジタリアン層であるため。 すなわちこれまで肉や動物性乳製品を食べ過ぎていた人々が、 その摂取量を減らすためにアルト・ミートやヴィーガン・チーズ、アーモンドミルク・ヨーグルト等を購入するようになったのが現在。

その一方で、2019年はヴィーガン、ヴェジタリアンをめぐる様々な論争が起こった年。 妊娠中にヴィーガン、ヴェジタリアンの食生活をしていると胎児の脳の発達や血管を含む身体の組成に悪影響を及ぼす懸念が聞かれたかと思えば、 ヴィーガン・ライフスタイルのインフルエンサーが「実はヴィーガンではなかった」、「ヴィーガン・ライフスタイルを止めた」と、 ドロップアウト宣言をしては猛烈なバッシングを受けていたのが2019年。 2017年から2019年8月までの間にYouTube、もしくはインスタグラムで100万人以上のフォロワーを持つヴィーガン・インフルエンサーが 「ヴィーガン・ライフスタイルを改め、肉や魚を含む動物性たんぱく質を食生活に取り入れる」と”カミングアウト” をしたケースは少なくとも20件。 その理由は健康問題が圧倒的で、中にはカリフォルニア在住のフード&ウェルネス・ヴロガー、アンバー・セントピーターのように、 「ハネムーンでヨーロッパに行ったら、ヴィーガン&ロウフードを貫こうとすると食べられる料理がなく、 自分が人生を楽しんでいないことに気づいた」と、そのライフスタイルに疑問を感じた例もあるようなのだった。
前述のようにカミングアウトしたインフルエンサーに通常寄せられるのがヴィーガン・フォロワーからの「嘘つき」、「裏切者」といった猛烈なバックラッシュで、 特にダイエット本や デトックス・クレンズ・グッズなどのプロダクトを販売していたインフルエンサーが詐欺呼ばわりされるのは珍しくないこと。 もちろんフォロワーも激減するので、それに伴ってインフルエンサーの収入が激減するのは避けられないこと。 それを恐れてヴィーガン・ライフスタイルのポストを続けながらも、実は密かに魚や卵を食べている インフルエンサーは少なくないと言われるけれど、 フォロワーにレストランで魚料理を食べているところをスナップされて猛バッシングされたことから、カミングアウトせざるをえなくなったのが写真上右から2番目の イヴォアナ・アイレス(29歳)。過去6年間に渡ってヴィーガン&ロウ・フードのライフスタイルをプロモートして大人気であった彼女が、 それを改めたのは生理が来なくなり 30歳を待たずして更年期障害がスタートしたため。
写真上右のボニー・レベッカは、ヴェジタリアンになった途端にそれまで抱えていた肌荒れ、便秘が解消されたとして、 ヴィーガン&ロウフードのインフルエンサーとして100万人以上のフォロワーを擁していたものの、 実際には同じ食生活をするボーイフレンドと共に肌荒れ、便秘、精神的落ち込みに悩まされ続けていたとのこと。 でもやり方が悪いだけと思い込んでヴィーガン専門家や、ヴィーガン・ダイエットのドクターに大金を支払い、 ありとあらゆることをトライした挙句、遂にギブアップした様子を38分間に渡って説明するビデオを2019年1月にポスト。 消化器官が強くない人にはヴィーガン&ロウフードで繊維質が入り過ぎると、逆に消化不良による便秘、肌荒れ、リーキーガット・シンドローム(腸壁に穴が開いて、 腸内バクテリアが血流に流れ込み 頭痛、うつ病、肌荒れ、慢性的な疲労等の問題を引き起こすこと)の原因になることを悟り、 「食生活は自分の体質に応じて決めるもので、ヴィーガン&ロウが誰にでも適しているとプロモートした自分の考えが間違っていた」と認めているのだった。




メジャーなインフルエンサーがカミングアウト宣言をする度に、 ヴィーガンのマイクロ・インフルエンサー達がポストするのが それを批判するレスポンス・ビデオ。 その中には、「ヴィーガンを止めるインフルエンサーの多くが健康問題以外にうつ病等の精神障害を抱えており、 その解決策を食生活に求めることからカルト的にヴィーガンに固執して、フォロワーにもそのカルト・カルチャーを押し付けている」 といった指摘も見られるけれど、 実際にヴィーガンの問題と言われるのがその難しい食生活を完璧に実践しようとする結果、カルト化してしまうこと。 でも そんなレスポンス・ビデオをポストしてカルト化したヴィーガンを批判するマイクロ・インフルエンサー達が カルトではないかと言えば、その言い分からは決してそうとは言えないのもまた事実なのだった。

それとは別に今年8月にReddit上で大論争を巻き起こしたのがやはりヴィーガンに関するポスト。 その投稿をしたのはノン・ヴィーガンの母親で、息子の親友のヴィーガンの少年が家に遊びに来たものの、 母親が夕食の時間になっても少年を迎えに来ることが出来なかったとのこと。そこで 少年が家族と一緒にディナーを食べて良いかをヴィーガンの母親に打診したところ、 「ヴィーガンの食事ならばOK」とのことだったので、ノン・ヴィーガンの母親は既に用意していた ミートローフ、バターを使ったマッシュポテトの他に、ヴィーガンの少年のために人参のソテーを作ったという。 ところがヴィーガンの少年はそれより ミートローフとマッシュポテトを食べてみたいと希望。 少年にそれを食べさせたところ、烈火のごとく腹を立てたのがヴィーガンの母親。 まるで自分の息子に毒を盛ったかのようになじっただけでなく、以来息子達同士を仲良くさせないようにしてしまい、 親友を失って悲しむ息子の様子に耐えかねたノン・ヴィーガンの母親が「自分のしたことがそんなに悪かったのか?」と尋ねたのがその投稿。
これに対しては「子供が望んだ食事を与えて何が悪い」、「親がどんなにヴィーガンを押し付けても、 子供がショッピング・モールでピザを買い食いするのは時間の問題」と、自分の意思でヴィーガンになった訳ではない息子が 「食べたい」と言った意志を尊重したのは正しいという意見と、「子供の食生活を親が決めるのは当然、 それを他人が勝手に台無しにするのは間違い」という意見で真二つに分かれており、 その論争はメインストリート・メディアも着目したほど。
この問題でもノン・ヴィーガンの人々は 息子の食生活だけでなく、交友関係までコントロールするヴィーガンの母親の カルト化を指摘していたけれど、そんなヴィーガンのエクストリームな思想やライフスタイルのプロモートや実践には 偽りや過剰広告が かなり含まれているのが実情。このページのトップの写真の中にある著書「Vegan Betrayal(ヴィーガンの裏切り)」には そんなヴィーガン・ライフスタイルをプロモートする側の嘘で固めた実態が暴かれているのだった。




子供にヴィーガン・ライフスタイルを押し付けたケースで初めて殺人罪が問われたのが写真上、今週逮捕された シェイラ・オリーリー(35歳)と夫のライアン・オリーリー(30歳)。 フロリダ州に住むこのヴィーガン・カップルには4人の子供が居り、死亡したのは生後18カ月の赤ん坊。 自宅で医師の立会い無しに出産して以来、新生児に生野菜と果物のピューレしか与えていなかったために、 子供の体重は7.7キロしかなく、これは生後7カ月の体重。死因は栄養失調というよりむしろ飢餓。 カップルは子供が明らかに体調不良でも病院に連れて行くことなど考えてもいなかったのだった。
夫妻の他の2人の子供達も栄養失調で肌が黄色くなっており、 唯一長女は妻のシェイラの連れ子であることから 定期的に父親の家に滞在しており、 その時に栄養補給をしているお陰で 痩せているものの 健康体であることが伝えられているのだった。
カップルに対しては第一級殺人罪、過失致死、児童虐待等の罪が問われており、 二人の弁護人は「子供が生まれた時から小さく、身体が弱かった」、 「ヴィーガンの食事はカップルが子供のためを思って与えていたもので殺意は無かった」として無罪を主張。 今後が見守られるけれど、このカップルを含めてヴィーガンにありがちなのが医師を信頼していない傾向。 というのも医学部のカリキュラムには健康的な食生活について学ぶ機会が全く含まれいないためで、 ヴィーガンの多くは「医者は正しい食事の知識がなく、病気になってから薬で治せばよいと思っている」という見解であるけれど、これは当たらずとも遠からず。 そうなってしまうのは理性的で健康的な食生活が行き渡れば 利益が激減する製薬業界と食品業界のロビー活動の影響で、 日本の諺にある「腹八分に医者要らず」は、人々が加工食品を沢山食べて、病気になることで利益が増える これらの業界にとっては ビジネスへのアンチ・スローガン意外の何物でもないのだった。

今週にはコーネル大学、ハーバード大学が 2030年までにアメリカの人口の50%が超肥満になる見込みを発表しているけれど、 英語で Obese/オビース と表現される超肥満はBMI(ボディ・マス・インデックス)が30以上。それだけでなく2030年までには成人の25%が BMIが40以上の”極めて超肥満”になることも同時に予測しているのだった。
これに対して究極の健康を手に入れようとする人々、動物性プロダクトの危険性や生産過程の残酷さを批判する思想の エクストリーム状態がヴィーガン&ロウ・ダイエットのカルトと言えるけれど、 アメリカで超肥満問題が深刻なのは 共和党支持母体であるキリスト教極右派が多い中西部。 一方ビーガン&ロウ・ダイエットのカルトはリベラル派、それもファーレフト(極左)の思想に通じると言われるもの。
結局のところ現在のアメリカ社会では政治思想だけでなく、食生活についても歩み寄りや バランスの良い中道路線を 多くの人々に望むことは難しいと言えるのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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