Mar. 2 〜 Mar. 8 2020

”Why People Are Doing These?”
コロナウィルス感染拡大で浮上した2つの素朴な疑問


今週のアメリカの報道は突如感染が拡大したコロナウィルスのニュースに最も報道時間が割かれていたけれど、 週末にはFED(連銀)がアジアから受け取った米国通貨を 旅行者同様に7〜10日間 Quarantine(検疫)してからでないと流通しないと発表。 WHOも今週に入ってからキャッシュを極力使用しないように呼び掛けており、 コロナウィルスがキャッシュレス社会に拍車をかけるという憶測を呼んでいる状況。
金曜にはテキサス州オースティンで毎年50万人近くを集めるメガイベント SXSW (サウス・バイ・サウスウェスト) が、マイアミでは今年20万人の観客を見込んでいた ウルトラ・ミュージック・フェスティバルがキャンセルとなり、それぞれの街に360億円、180億円の経済ダメージをもたらしており、 次にキャンセルの発表が見込まれるのが世界最大のミュージック・フェスティバルであるコーチェラ。
そんな中行われたスーパーチューズデーではジョー・バイデン元副大統領が勝利を収め、 今後はサンダース候補と 民主党支持者さえ ”70代後半白人男性同士の極めて退屈な対決” と表現する予備選を繰り広げることになるのだった。




ニューヨークのコロナウィルスと言えば 先週私がこのコラムを書いた直後にイランから戻った女性の感染が確認され、 それが大騒ぎになっていたけれど、その女性の感染リスク経路などは今週はすっかり忘れ去られ、 報道の中心になっていたのがウェストチェスター郡に住み、グランドセントラル駅すぐ傍のオフィスに勤める50代の弁護士男性。 この男性を通じてその家族、友人達に感染が広がったことから、ニューヨーク州のコロナウィルス・ホットスポットになったのがウェストチェスター郡。 土曜日には感染者数が前日までの44人から89人に膨れ上がったことを受けてクォモNY州知事 (写真上左、右側) が緊急事態を宣言。
ニューヨーク州だけでなく、アメリカ全体で突然感染が広がったことから ウィルスのテストキット不足が 大問題になっていたのが今週。 医療専門家は それまでアメリカで感染が少なかった理由について「87%の人々が常に何らかの風邪の症状を覚えているので 多少の症状では感染を疑わなかったため」と説明。 しかしコロナウィルスの脅威が広まってからは逆に単なる風邪の症状を感染と捉えるオーバーリアクションを起こし、 医療関係者に余分な負担を与える一方で、本当にケアが必要な人に医療行為が行き届かないことを危惧していたのだった。
週末になってからはそんな医療関係者宛てに2月28日付けでネブラスカ大学メディカル・センターから通達されたレポート内容がメディアに漏れており、 それによれば アメリカ国内だけで見込まれるコロナウィルス感染者数は960万人、そのうち半分の480万人に入院が必要となり、死者は48万人。 これは通常のインフルエンザの10倍以上に当たる深刻な予測。
そうかと思えば今週にはトランプ大統領がFOXニュースとのインタビューで、「コロナウィルスに感染しても家に居たり、仕事に出掛けたりして殆どの人が回復している。 WHOの感染致死率はフェイク・ニュースだ」と語り、CNBCのコメンテーター、リック・サンテーリは金曜に下落する株価へのフラストレーションから 「いっそ世の中全員にコロナウィルスをばら撒くべきだ。そうすれば1ヵ月もすれば大した問題じゃないのが分かって、市場が正常に戻る」と発言。 土曜にはテスラCEOのイロン・マスクも「コロナウィルスでパニックになるなんて馬鹿だ」とツイートして24万のリツイートを獲得。 感染が広まってもコロナウィルスを軽視する意見はまだまだ根強いのが実情なのだった。




先週からアメリカでは感染者が出た州でパニック買いが始まったニュースが伝えられているけれど、 メディアの一部はその危機感を煽る役割を果たしており、そんなメディアが カリフォルニアからハワイまで、 どの州のパニック買いを伝える際にも必ず掲載するのがCostco/コストコの映像やスナップ。
今週のニューヨークは感染者が出たとは言え、 ホールフーズでも普通のスーパーでも 日頃と同じ量の品物が積まれていたけれど、 そのニューヨークでのパニック買いを伝えるニュースに登場していたのも今週土曜日まで感染者が出ていなかったクイーンズにあるコストコ。 しかしそのコストコは、多くの人々が 纏め買いをする場合に オンラインでオーダーしてデリバリーで受け取るのが一般的なこの時代に、 年間60ドルのフィーを払ったメンバーが ダース単位の購入をするために わざわざ車で出掛けるストア。 コロナウィルス感染前から写真上左の買い方が当たり前であるけれど、 先週末のクイーンズ(写真上右)の同じような大量買いが ”パニック買い”として報じられていたのだった。
そのコストコで完売が伝えられ、全米各地のドラッグストアでも品切れが伝えられたのがトイレットペーパー。同じ状況は コロナウィルス感染が伝えられるオーストラリア、日本など、世界各国で見られており、 今週NYポスト紙を始めとするメディアが取り上げたのが、「何故一般消費者が非常時にトイレットペーパーを買い込むか?」という疑問。 アメリカの消費者心理の専門家によれば、トイレットペーパーは「無いと困る」日用品で代替が効かないものの筆頭。 災害が起こると被災地に真っ先に届けられる生活用品でもあり、 日頃から人々が買い置きを心掛けるアイテム。 また多くのトイレットペーパーが8個、12個といったパッケージ売りで商品に体積があるので 人が買っている姿が目立ち、それを見て「自分も買わなければ」という意識に駆られるとのこと。 さらに商品の体積が大きいと 1つ売れる度に陳列棚のスペースがどんどん空いていくので、 その様子も購買欲を煽ることが指摘されているのだった。
アメリカの郊外には「トイレットペーパーは売るほどある」という家庭は少なくないものの、 そんな人々でもハリケーン前や今回のコロナウィルスのように非常事態が呼び掛けられると 十分にあるのを承知で更に購入するのがトイレットペーパー。 でもストアでは品薄でも ウォルマートやターゲット等のオンラインショップでは私がこのコラムを書いている3月8日 日曜の段階で、トイレットペーパーを含む生活用品は問題なく大量オーダーが可能。 唯一直ぐに手に入らないのはハンド・サニタイザーとN95 のマスクなのだった。




さて今週、コロナウィルス感染防止のポイントとしてアメリカ中に呼び掛けられたのが「顔を触らない」ということ。
トランプ大統領も今週 「コロナウィルス感染のニュースが拡大してから過去2週間 顔を触っていない」と記者にコメントしたことから、 多くのメディアがあっという間にその前日、2日前に大統領が顔に触れた映像や写真を探し出して公開していたのだった。 とは言ってもそのビジュアル探しがさほど難しい作業ではなかったと思われるのは、人間が顔を触る回数は1時間に平均で25回前後。 どんなに顔に触れないように心掛けても、最低10回は触れているため。 そこで今週浮上したのが「人間は何故顔に頻繁に触れるのか?」という素朴な疑問。
人が顔に触れるのはどんな場合かと言えば、まず顔の一部がむず痒い時。疲れ目などで目を擦る際や、睫毛など目の中に異物が入った時などは 必要に迫られて顔の一部に触れることになるもの。でもそれより遥かに多いのが困った時、迷った時など頭で考えている時や、 恥ずかしいと思った時、何も考えずにボッとしている時などに無意識のうちに触っているケース。 加えて誰にでも読書やインターネットの閲覧中、もしくはメールやソーシャル・メディア・ポストを読んでいる最中に 無意識のうちにする仕草があり、そのほとんどが手で顔の一部に触れるもの。
私は人が顔に触れるのは、人間の五感を掌る全てのパーツが集まるハイメンテナンスなエリアであるのに加えて、 姿勢が悪い人は 座っている時に頭を支えるために手が顔に触れているケースが少なくないと思って観察しているけれど、 顔は口、鼻、目など、ウィルスの感染窓口になるパーツが集中しているエリア。 したがって「顔に触らない」はコロナウィルス対策には適切なアドバイスと言えるけれど、それを警告するWHOの関係者、保険局の役人や、政治家が 言っている傍から顔に触れていたのが今週。その様子は以下にワシントン・ポスト紙がモンタージュ・ビデオにしているのだった。


一番最初に登場したヘルス・エクスパートの女性は、単に顔に触れるよりもずっと悪い 指を舐めるという行為を警告中に披露して 今週笑い者になっていたけれど、 結局のところ無意識のアクションは心掛けても防げないことが立証されたのが今週。
なので「ウィルス感染を防ぐには、免疫力アップが最も大切」という信条が私の中ではさらに確固たるものになったのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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