May 11 〜 May 17 2020

”My NYC Lockdown Life 8 & WFH4EVA?”
NYC ロックダウン・ライフ 8 & WFH4EVA? (ウォーク・フロム・ホーム・フォーエヴァー)


今週のアメリカでは 新たに298万人が失業保険申請を行ったことが発表され、過去8週間の申請者総数は3648万人。 また今週発表されたアメリカの4月のコンシューマー・スペンディング(消費者支出)は前年比16.4%ダウンで、 月半ばから複数の州でロックダウンがスタートした3月の8.3%ダウンに比べると約2倍の数字。 コンシューマー・スペンディングはアメリカの21.5兆ドルの経済規模の68%を担うもので、 3月までの2020年第1四半期には前年比7.6%減を記録。 最も売り上げが下がっているのは衣類で、次いで電気製品、家具、スポーツグッズ、フードサービス(外食費)が売り上げを落としたトップ5カテゴリーとなっているのだった。

一方 ニューヨークでは小売店を含むコマーシャル・リアルエステート(商業不動産)のテナントの約70%が 5月の家賃全額、もしくは一部を滞納しているとのことで、 今週には6番街のギャップ店舗のランドロード(家主)が 同社に対して未払いの家賃を求める訴訟を起こしたばかり。 これが飲食業界になると、NYCホスピタリティ・アライアンスが行ったアンケート調査によれば、 対象となった483軒のレストランのうち5月のレントの滞納、もしくは全額を支払っていない店舗は87%。 ニューヨークでは家賃を滞納しても 8月まではランドロードがテナントを追い出せないことになっていることから、 7月に固定資産税の支払いを控えているランドロードは 家賃滞納のせいで 税金が払えない状況に陥っていることが伝えられるのだった。




今週金曜にはニューヨーク市のロックダウンが6月13日まで延長され 市民はウンザリしているけれど、 同じく今週にはカリフォルニア州立大学が 9月から始まる新学年のセミスターの授業をオンラインで行うことを発表。 次いでハーバード大学メディカル&デンタル・スクールも9月からのセミスターがバーチャル・クラスになることを明らかにしており、 現時点で秋からのセミスターを通常通りキャンパス内のインパーソン・クラスで行う予定にしている大学は70%程度。
アンケート調査によれば、コロナウィルスの感染リスクがあっても65%の学生がインパーソン・クラスを望んでおり、 ウィルス感染問題中はオンライン・クラスの方が好ましいと回答した学生は31%。 高額な学費を払ってもオンライン授業になる可能性を嫌ってか、次年度の大学進学のためのファイナンシャル・エイド(助成金)の申請は大きく減っているそうで、 これはすなわち大学進学志願者が減っているということ。
アメリカでは2019年に ハーバード大学が409億ドル、イエール大学が303億ドルの寄付金を集める一方で、 フットボールの名門トップ25校が同じく2019年ドにフットボール・チームだけで平均15億ドルを稼ぎ出すなど、一部の大学は莫大な収入を得ているけれど、 それ以外の345のプライベート・カレッジ&ユニヴァーシティは向こう数年中に資金不足のための閉鎖、 もしくは他校との合併による生き残りに追い込まれる見込み。 大学志願者減少はそれに追い打ちを掛けるもので、コロナウィルスによる経営難はレストランや小売店だけでなく大学とて同様と言えるのだった。
NYU(ニューヨーク大学)、コロンビア大学などでは、学生達がクォリティが低いオンライン・クラスの内容を不服として 授業料の払い戻しを求める訴訟を起こしているけれど、カリフォルニア州立大学によれば オンライン授業になっても テクノロジーへの投資や授業内容の見直し等で 大学側のコストが嵩んでいるとのこと。 なのでオンライン・セミスターの授業料が安くなることは無いようで、学生側が節約できるのはドミトリーの費用程度なのだった。




アメリカでは先週 グーグルとフェイスブックが共に 従業員のWFH(自宅勤務)を年内一杯継続することを発表。 今週にはツイッターのCEO ジャック・ドーシーが従業員に対して 何処に住んでいようと永久に自宅勤務を認める 方針を明らかにしたばかり。
その一方でニューヨーク最大のオフィススペース・レンターであるバークレー、J.P.モーガン・チェイス、モルガン・スタンレーも 「ロックダウン解除後も従業員全員がオフィス・スペースに戻って働くことは無い」 と何らかの形でWFHを継続する意向を示しており、 リサーチ会社ニールセンも「3000人のNYオフィスの従業員が毎日出勤する必要性は無い」として、業務の大半をWFHで行う方針への転換を発表。 テキサス州オースティンを中心に16万人の従業員を抱えるコンピューターのデル社も、今後はその半分をWFHにすることを明らかにしているのだった。
WFH継続の波が押し寄せる前には、元グーグルCEOのエリック・シュミットが「今後はオフィスでもガラス張りのパーテーションを設けるなどして ソーシャル・ディスタンシングが求められることから、 更に広いオフィス・スペースが必要になるだろう」とコメントしていたけれど、現在の世の中は全く逆の方向に向かう兆し。 しかしニューヨークのコマーシャル・リアルエステート(商業不動産)の大手エージェントは、9・11のテロ後のニューヨークでも 多くの企業がニュージャージー州のジャージーシティ、ユタ州のソルトレイクシティ等、レントや人件費が安いエリアに オフィス機能の一部を移した例を挙げて、「コロナウィルス問題でも やがてはNYのオフィススペース・ニーズが戻る」という強気の姿勢。 その理由として「WFHが続く中でも オフィスワーカーがフェイス・トゥ・フェイスのミーティングや、他のスタッフとのソーシャライズや コラボレート、プライベートと仕事をしっかり分けるライフスタイルを好んでいる」と説明しているのだった。
とは言っても 従業員のWFHの決断を下すのは経営側。その経営側はコロナウィルスというアクシデントでもたらされたWFHに週休3日制より遥かに大きなメリットを見出しているのが現在。 特にマンハッタンのように不動産価格が上がり過ぎたエリアでは、まずオフィスレントを節約出来るだけで巨額なメリット。 加えてセキュリティや清掃スタッフの人件費、エグゼクティブのための配車やパーキング費用、オフィス機器や備品、 受付やミーティング・エリアのフラワー・アレンジメント、ミーティングやイベントのケータリング費用、社内の保育所、ヨガクラス、カフェテリアを含む社員のための様々なアメニティ費用など、 企業の規模が大きければ大きいほどWFHによって節約できるバジェットの額が増えていくのは当然のシナリオ。 またWFHがニューノーマルになれば、有能な人材のヘッドハントに伴うリロケート(移住)の費用も負担する必要は無く、ビジネス・トリップも激減することが見込まれるのだった。




WFHが増えた場合、不動産業以外で大きなダメージを受けると言われるのはやはり飲食業界。 特にオフィス街の飲食店は朝のコーヒーを含む朝食テイクアウトやブレックファスト・ミーティングのケータリング、 昼はランチ、午後はコーヒー&スナック、夕方以降は社内イベントのケータリングや アフター5のハッピー・アワー等、企業やオフィスワーカーの飲食バジェットがそのまま収入源になっているので、 オフィスで働く人々が減れば、それに伴って売り上げを失うのは当然のこと。 もちろん公共交通機関も利用者が激減するけれど、オフィスワーカー側は年間平均で22日前後を費やしている通勤時間が節約され、 アメリカでは通勤交通費が自己負担なので年間25〜40万円の交通費が節約出来るとのこと。 それに加えてオフィス・クローズ、そのドライクリーニング代、コーヒーやランチ等の外食費、ヘアカットやネール等のパーソナルケアの頻度の減少で 都市部のオフィスワーカーは 最低でも年間100万円をWFHによって節約できる見積。 でもそれらの企業と個人の節約分が飲食業、小売り業、サービス業等の売り上げから消えた場合、経済規模のスケールダウンは避けられないと言えるのだった。

今週には米連邦準備理事会のジェローム・パウエル議長が、それまでの見解を覆して「アメリカ経済がVシェイプのリカバリーをすることは難しい」とコメントしているけれど、 ツイッターが今週 WFHと共に社員に通達したのがカンファレンス、ホリデイ・パーティーを含むインパーソン・コーポレート・イベントの年内中止。 フェイスブックについてはインパーソン・イベントを2021年6月まで中止してしており、 そのフェイスブックと言えばサンフランシスコのベイアリアに1万2000人の従業員を抱え、毎年ホリデイ・シーズンには2日間を掛けた大規模なコーポレート・パーティーを行うことで知られる存在。 ケータリング費用だけで2億円、会場のレンタル費とデコレーション他でそれ以上の費用を投じていると言われるのが同社のパーティーで、同様に 大企業がパーティーをキャンセルするだけでも今年のホリデイ・シーズンの経済的打撃はかなりのもの。
それを考慮すると アメリカ経済のVシェイプのリカバリーは難しいどころか不可能と言えるけれど、 WFHによって通勤の必要が無ければ都市部から 物価や税金、不動産が安いエリアに移住する人々が増えるのは当然のこと。 そうなった場合には逆に新しいライフスタイルにアジャストするために これまでとは異なる消費が生じ、 都市からの流出組を迎えるコミュニティにも新たな税収とニーズが同時に生じるのも事実。 それがアメリカ経済全体を潤すことは無くても、 地域によってはそんなリロケーションがもたらす消費とニーズによって経済回復がもたらされる可能性はあると思うのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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