Mar 22 〜 Mar 28 2021

"Visiting to Japan in COVID Era"
パンデミック中に一時帰国をした私の本音、日米でこんなに違う水際対策


今週のアメリカで最も報道時間が割かれていたのはコロラド州デンバーのスーパーマーケットで警官を含む10人の犠牲者を出した銃乱射事件。 アメリカでは先週ジョージア州アトランタの3件のアジアン・マッサージ・パーラーで6人のアジア人女性を含む8人が殺害される事件が起こったばかりで、 再び銃規制を求める声が高まっていたのが今週。
アメリカでマス・シューティング(集団銃撃事件)が最初に問題になったのは1999年に起こったコロンバイン高校の事件。以来22年間に114件のマス・シューティングが起こり 1300人が犠牲になっているものの、ナショナル・ライフル・アソシエーションのロビーングや国民の武装権利を謳う合衆国憲法第2条を振りかざす南部保守派の共和党勢力に阻まれて一向に先に進まないのが銃規制。 そもそもアメリカは世界人口の4%であるのに対して、世界に出回る市民所有の銃の40%を所有している銃社会。 2021年の人口3億3142万人に対して、市民所有の銃の数が3億9300で、国民より銃の数が多いという異常な社会。もちろんその銃の中には 殺傷力が極めて高い戦闘用の自動小銃等が多数含まれているのは言うまでもないこと。
NYのように銃規制が厳しい州では 銃購入に際してのバックグラウンド・チェックが厳しく、精神に問題がある人物から銃を没収出来るレッドフラッグ法が制定されているけれど、 多くの州では銃の展示即売会でIDさえ見せずに銃が購入できる上に、オープンキャリーも許されているのが現在。 加えて多くの州で「身に危険を感じた」というだけで発砲しても正当防衛が認められる“Stand Your Ground”法が存在しているのがアメリカ。
ワクチンが普及し、パンデミックからようやく出口が見えてきたアメリカであるものの、「どんなに気を付けてパンデミックをサバイブしても、銃によってこんなに簡単に殺されてしまうなんて…」と 嘆く声が聞かれていたのが今週なのだった。



思いのほか厄介だった唾液検査 


そのワクチン投与が順調に進むアメリカでは、バイデン政権が発足100日目までに1億人への投与の目標を今週の記者会見でその2倍である2億人に増やしたところ。 現在NYでは50歳以上の市民がワクチン投与の対象となっているけれど、他の州ではそうした制限を排除して 市民全員を対象とするところが増えてきているのだった。 これを受けてラトガー大学は全米に先駆けてインパーソン・クラスを受ける学生全員に対してワクチンを義務化。オンライン授業を受ける学生はその対象外となっているのだった。
ワクチン普及を受けて逆に昨今減ってきているのがウィルスの感染テストを受ける人々で、1月のピーク時には1日200万件を記録したテスト数は現在35%の減少が伝えられるのだった。 私はパンデミックがスタートしてからというもの全くテストを受けなかったけれど、 前回のフェイバリットのコーナーに書いた通り、過去約1ヵ月間に渡って日本に一時帰国をしていたので、そのために受けたのが合計3回のPCRテスト。 その内訳は往復の飛行機乗る72時間以内に行うテストがアメリカと日本で1回ずつ、日本に到着した直後に入国手続きの際に行うテスト。NYに戻った時のアメリカ入国に際してはテストは無いのだった。
アメリカのテストは鼻孔にスワッブを入れるもので、かなり奥まで入れるので人によっては若干不快感を伴うもの。日本でのテストは2回とも唾液による検査。 どちらが簡単であったかと言えば、予想に反して鼻孔にスワッブを入れるテスト。 日本の空港でのテストが私にとっての初の唾液テストになったけれど、このテストを受ける30分前は飲食が禁じられていて、小指ほどの太さのシリンダーの規定のメモリまで泡を含まない唾液を入れるのは 意外に時間が掛かる上に 急かされる思いを味わうと決して簡単ではないこと。特に日本に着いた直後の私は喉が渇いていたこともあり、自分でも驚くほど唾液が出なくて、出てくるのは泡ばかり。 NYに戻る飛行機に乗る前の2度目のテストの時には水分を補給して臨んだけれど、やはりテストに十分な唾液を出すのには少々苦労したので、 瞬間的に不快感を味わう鼻孔のテストの方が遥かに簡単と思ったのだった。
NYのテスト、及び入国手続きのために空港で行ったテストは無料であったけれど、飛行機に乗る前に日本で受けたテストは自宅にテストキットを取り寄せて行うもので、送料など全てを含めて約1万8000円。 日本の空港で話した外国人女性によれば、彼女は過去1ヵ月以上日本に滞在して数回のテストを受けたので、そのせいで出費が嵩んだとボヤいていて、日本の医療費がアメリカに比べて 各段に安いことを思うと、テストが有料なのは少々意外に思えたのだった。



テスト時間&入国準備のトラップ


アメリカのテストは無料なのは良かったけれど、旅行のフライト時間への配慮が無かったのが問題点。私は午後12時55分のフライトのために3日前の午後1時のテストを予約。 1時の予約者は12時半に病院に出向くのがルールで、それに従ったところ その日はテストサイトが空いていたことから 私がテストを受けたのは午後12時52分。すなわち飛行機が発つ72時間3分前。 当然それが陰性証明に記載されることから、空港の航空会社のカウンターで言われたのが 「もしテストがあと数分早かった場合は搭乗を拒否されていた」ということ。 日本を出発する前に受けたテストは、前述のように自宅にキットを取り寄せるもので 予め時間予約をしたオンライン診療中に唾液の採取を行ったけれど、 この時は診療担当者がフライトの72時間以内のテストであることをきちんと確認してくれたのだった。

アメリカも日本もテスト結果が出るのは出発の前日、特に日本の検査はゆうパックで接取した唾液を送付するので、 きちんと届くとは思っていても何となく落ち着かないもの。どちらのケースも自分がウィルスに感染していないかよりも、きちんと出発前にテスト結果が受け取れるかの方がストレスになったのだった。 テストの陰性証明(写真上左)以外にも、日本に入国する際には厚生労働省のウェブサイトを通じてQRコードを取得して、それを持参する必要があり、 アメリカ入国に際しても同様のプロセスがあるけれど、アメリカの場合は入国する州によって異なるのが提出書類。 なので航空会社のウェブサイト等で それを調べて用意する必要があり、NYで必要となるのは 自分の健康状態に関する宣誓書と スマートフォンのGPS情報へのアクセスの許可や、陽性者が出た場合のコンタクト・トレーシングへの協力を含むNYステート・トラベラー・ヘルス・フォーム。後者はスクリーンショット(写真上右)を撮影してスマートフォンか プリントアウトを日本の空港での搭乗手続きの際と JFK到着後、空港出口で待ち受けているステート・ガードに見せなければならないシステム。
この手続きは体調を含むタイムセンシティブな情報が含まれている割には 出発前の何時間前にするべきというようなインストラクションが無いので、 前日に行うことにしたけれど、運悪くたまたまその日にNY州のサイトで起こっていたのが Step1からStep8までのオンライン・フォームに どうしてもStep5からしかアクセスが出来ないという不具合。 結局出発当日の朝には問題が解決して無事にスクリーンショットが用意できたものの、私は滞在最終日の1時間以上をその不具合と格闘して無駄にする結果になったのだった。



よほど旅行好きでない限りは…


このように往復の飛行機に乗る前のテスト、書類の準備のストレスがかなりの負担になるのがパンデミック中の海外旅行。 これがウクライナやフィリピン等からの日本への旅行者になると、フライト前と入国時のテストが陰性であっても、日本政府が指定した滞在先に3日間足止めになり、4日後に受けたテストが陰性であった場合に、 ようやくそこを出て自分が選んだ場所での自主隔離が許されるという厳しさ。
実際に日米を比べると、圧倒的にチェックが厳しかったのが日本の航空会社カウンターを含む日本サイド。 私の場合、出発の段階でJFKの航空会社カウンターで「テストの時間が早すぎる」と一釘刺されてしまったけれど、 日本は空港に到着後、タラップを降りてバスに乗せられ、建物に到着すると乗継の乗客と入国手続きをする乗客に分かれて行列し、 そこから書類チェックの場所、唾液検査を待つエリア、唾液検査所までを同じ空港のビル内とは言え かなりの距離を歩かされて、その間にも「これと、これの用紙を用意して、この紙を上にしてお待ちください」 というようなインストラクションを受けるので何となく物々しい雰囲気。 そして唾液検査が終了してからは待つこと約45分間。その結果を待ちながら「こんなに飛行機の乗客が少なくても、こんなに入国手続きに時間と手間が掛かっていたら 東京オリンピックなんて絶対に無理」と思ったのを覚えているけれど、無事に陰性証明を受け取って空港を出て時計を見ると 着陸してシートベルトを外してから2時間半が経過していたのだった。

逆にNYのJFKでの入国は信じられないほど簡単&スムーズなプロセス。 そもそも到着してイミグレーションのカウンターに1人も並んでいない状況に遭遇したのは初めてのこと。 さらに驚いたのはJFKではコロナウィルスの陰性証明を誰もチェックしなかったことで、陰性証明をチェックして 前述の体調に関する宣誓証明の用紙を受け取ったのは 成田空港の航空会社のカウンター。JFKではNYステート・トラベラー・ヘルス・フォームのスクリーン・ショットのみが空港出口でチェックされただけ。 もしフォームの記入がオンラインでできなかった場合には、その場で用紙を書き込むだけでも大丈夫なのだった。
JFKは空港内だけでなく、タクシー乗り場からマンハッタンまでのトラフィックもガラガラで、 着陸してシートベルトを外した1時間後にはアッパー・イーストサイドの自宅に到着したのは記録破りどころか 通常では有り得ない速さ。 NYに到着してからの自主隔離は日本より短い10日間。でも到着4日以降に受けたテストが陰性であった場合には その段階で自主隔離の必要がなくなるのがNY。 テストが無料なNYでは当然それを受けた方が簡単な訳だけれど、そのテスト結果にしても州政府に報告する必要などなく、万一に備えて隔離期間中は結果を保存するだけなのだった。
前回のフェイバリットのコーナーで、日本に到着後14日間の自主隔離の際には、ホテルのフロントでの検温とその記入及び、厚生労働省から 毎朝11時に送付されてくるアンケートに午後の2時までに答えるのが毎日の義務になっていたけれど NYではそうした規制も一切なし。 NYの保険省から連絡があるとすれば、同じ飛行機の乗客から感染者が出た場合のコンタクト・トレーシングの連絡のみとのこと。

このようにコロナウィルスに対する水際対策には日米でかなりの温度差がある訳だけれど、 事前に航空会社が書類をチェックして条件を満たした乗客のみが搭乗していることを思うと、 入国検査でもう一度同じ書類チェックをする 日本のやり方は二度手間かつ時間の無駄という印象が否めないのが正直なところ。 加えて自主隔離中の毎日の検温にしても、ある日 35度1分とあまりに低いので測り直したところ 36度3分になった日があったので、自己申告の厚生労働省のアンケートも含めて これらがどれだけ水際対策になっているかは疑わしいと思えるのだった。
いずれにしても、こうした検査や手続き、準備が旅のストレスになるのは言うまでもないこと。 NYでは今週ワクチン・パスポートの導入が発表されたけれど、旅先でそれが通用しなければ旅行の負担は同じ。 今回の私の日本への一時帰国は必要に迫られたもので 出掛けて良かったとは思っているけれど、 それでも時間を有効に使ってストレスフリーな楽しい旅をするという見地からは、 パンデミックが終焉するまで、もしくは往復でワクチン・パスポートが有効になるまでは 旅行は控えた方が賢明というのが経験者としての偽らざるアドバイスなのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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