Oct. 25 〜 Oct. 31, 2021

"Vax Deadline, Japan's Royal Naptual, Meme Fever, etc."
映画「Rust」刑事訴追!?,日本皇室結婚報道, $8000が400日で$58億になった投資,Etc.


今週アメリカで注目が集まっていたのが、NY市の警察、消防、清掃局のワクチン接種義務の締め切りが10月29日、金曜に迫っていたこと。 NY市警察は締め切り時点で16%、消防は28%、清掃局は24%の職員がワクチン未接種で、金曜までに最低1回のワクチンを接種しなければ、 来週月曜からは無給の停職処分。もちろんワクチンを接種すればすぐに職場復帰は出来るものの、 それぞれの組合が主張しているのは「自分達は アンチ・ワクチン派ではなく、その義務化に反対している」という言い分。 これは全米各地でワクチン義務化に反対する多くの人々の主張と同様であるけれど、生活を支える手段を失ってまで ワクチンを接種しない人々については、「主張しているうちに、利害の尺度を失うほど意地になっているケースも多い」というのが心理学者の分析。
既に清掃局はワクチン義務化に抗議をして ゴミの集配のペースを落としており、今週NYの街角、特にミッドタウンに幾つも見られたのがゴミ袋の山。 月曜からは消防署の一部が稼働しなくなると言われており、ワクチン未接種の職員が何処まで市政府と意地を張り合うかが見守られているけれど、 締め切り前の48時間には約2000人が新たにワクチンを接種したことも伝えられていたのだった。



映画「Rust」の射殺事故で過失致死が問われるか?


今週のアメリカで引き続き大報道になっていたのが アレック・ボールドウィンが主演、プロデュサーを務めるウェスタン映画「Rust/ラスト」のプロップガンを使ったリハーサルで、 シネマトグラファー(写真上右)が射殺され、監督が怪我を負った事件。
捜査が進むに連れて明らかになったのが、この映画がバジェット不足で かなりいい加減なプロダクションであったことで、 アーモアー(armorer / 武器担当者)は 11歳の子役にセイフティ・チェックを怠ったまま銃を渡したこともある 経験不足のハナ・グティエレス・リード(写真上左、24歳)。 彼女はセットで「アーモアーを担当する自信が無い」と語っていたとも伝えられ、事件前にも2件のプロップガンのトラブルを起こしているのだった。 今週木曜に弁護士を通じて声明を発表した彼女は 「2つのポジションで雇われていたので、銃の管理に集中できなかった」と説明。 自分に非は無いとしているけれど、セットの関係者は彼女が2つの仕事を同時にこなしていたことは無いと証言。
グティエレス・リード同様に責任を問われているのは、アレック・ボールドウィンに「実弾は入っていない」と言って銃を手渡したアシスタント・ディレクター、デイヴ・ホールズ(写真上中央、下枠)で、 彼は以前の仕事でもプロップガンの安全確認を怠ってトラブルを起こしていたのに加えて、今週には以前の撮影セットでのセクハラ疑惑も浮上していたのだった。

今週の捜査でさらに明らかになったのが、事件が起こる直前に現場のセットで起こっていた クルーによるウォークオフのボイコットが、 事前に報じられたプロップガンが原因の2件のトラブル、及び安全性に抗議するものではなく、 安い給与と劣悪な待遇に抗議するものだったことで、低予算の映画セットにありがちなクルーの不満が高まっていたとのこと。 そんなクルー達が休憩時間に興じていたのが実弾を使用したターゲット・シューティングで、セットに用意されていた多数の実弾の主な用途になっていたのがこの暇つぶしのアクティビティ。 しかも銃の管理がずさんであったことから、主演男優が撮影に使用する銃まで クルーのターゲット・シューティングに使用されており、 シネマトグラファーが射殺された実弾は、その時に銃に込められたと見られるのだった。
アレック・ボールドウィンに非があるとすれば、例え実弾が入っていないと言われていたとしても リハーサルで銃口をシネマトグラファーに向けたことで、 そうした基本的な銃の扱い全般を俳優に指導するのもアーモアーの仕事。 現地のニューメキシコ警察では、関係者に過失致死罪を問う可能性を示唆しているものの、捜査中を理由に今週は一切のコメントを控えていたのだった。

アレック・ボールドウィンは、トランプ政権時代に「サタデー・ナイト・ライブ」のコメディ・スケッチでトランプ氏を演じていた有名なアンチ・トランプ派。 そのため今週はトランプ支持派が彼を殺人者扱いする様子が見られており、 中でもトランプ・ジュニアは 「Guns don't kill people, Alec Baldwin kills people」とプリントしたTシャツの販売を 自らのウェブサイトでスタート。しかし人の死を理由にお金儲けをする様子には さすがにトランプ支持者からも批判が集まっていたのだった。



日本の皇室ドラマ、アメリカでの報道とリアクション


今週、アメリカでも小規模に報じられたのが秋篠宮眞子さまと小室圭氏の婚姻のニュース。 その報道は事実を淡々と羅列するものが殆どで、一般のアメリカ人から見れば話題性が乏しいニュース。 それもあってリアクションは少なく、その内容もドライで、アメリカは英国王室以外に興味が無いことを感じさせていたのだった。
そもそも1回の記事の情報量では 日本国民が2人の結婚に反対する理由が、小室氏の借金やポニーテールが原因と思えることもあって、 その少ないリアクションに見られたのが「サムライってポニーテールじゃなかったっけ?」、「お互い30歳なのだから、自分が好きな相手と結婚させてあげるべき」と、 ルールやしきたりが厳しい皇室から2人が解放されるべきという意見。 また「王室メンバーがコモナーになる際に 受け取る援助金がたった120万ドル?」、「お相手の借金って、アメリカの大学の授業料の1年分以下でしょ?」と 長く続いた日本のデフレを強く感じさせる意見もあり、それ以前に「何故仏教徒である日本のロイヤル・ファミリー・メンバーがキリスト教大学に通っていたのか?」という アメリカ人の目から見れば不可解な疑問も聞かれていた一方で、 「国民が結婚に反対しているから あんな小さなテーブルと椅子しかあてがわないの?」と2人の記者会見のスナップへのリアクションも見られていたけれど、 メディアからのバッシングでプリンセス眞子がPTSDを患ったという部分については、メンタル・イルネスに同情的な人から 個人の粗探しをするメディアを責める声が聞かれていたのだった。

日本の事情に疎い私も、日本の友人から2人の婚姻に反対する意見は かなり聞いていたので、 普通のアメリカ人が今週の記事を読む以上の予備知識はあったけれど、私が個人的に気になったのは 国民による抗議活動が行われていたことは記事になっていたものの、その意図や目的に関する説明が殆どなかったこと。 そうなっても仕方がないのは抗議活動のターゲットが定まっていないためで、抗議者のプラカードを見ていても 宮内庁を責める声、日本のマスコミを責める声、 皇室存続の危機を訴えるもの、コモナーになった2人に今後も国民の税金が支払われることを危惧するメッセージなど様々であり、バラバラでもあって、 日本の抗議活動におけるメッセージ性や機動力の無さを実感してしまったのだった。
アメリカにおける抗議活動は決してグラスルーツ・ムーブメントではなく、ブラック・ライブス・マターからワクチン反対に至るまで、利害関係が一致する個人や団体から支援金と給与を受け取ったプロが中軸となって スローガンの打ち立てから、ソーシャル・メディア・ポスト、 デモ活動までをアレンジしている訳で、こんな分野においても「プロというのは伊達に存在する訳ではない」と実感してしまったのだった。



8000ドルが57億ドル? あり得ないリターンを生み出すSHIB、追いかけるイカゲーム・コイン


今週会った友達に尋ねられたのが「シバイヌ 持っている?」という質問。 彼女は金融業界で働いていて 私達の間では頻繁にクリプトカレンシーが話題になるので、彼女が犬の話をしているとは思わなかったけれど、 クリプトカレンシーに疎い人でも今週どこかで読んだり、聞いたりしたのが過去6ヵ月に3000%以上アップしたMemeコイン、SHIB こと シバイヌ・コイン。 SHIBについては、5月3週目のこのコラムで既に詳しく説明したので、ここではどんなコインであるかは割愛させて頂くけれど、 既に5月の段階で 過去1ヵ月間に3万2513%アップしたことが話題になっていたのだった。
昨年末からゲーム・ストップ、AMCといった従来のクズ株が ロビンフッダーやReddit上のWallStreetBetsによってMemeストックとしてもてはやされ、 業績とは無関係に爆上げする状況が続いているのは周知の事実。 そのMemeストックとクリプトカレンシーの存在は、COVID-19以上に金融業界の40代後半、50代のアーリー・リタイアメントの要因になっており、 それほど従来の常識が通じなくなり、トラディショナルな金融の経験や知識があればあるほど理解出来ないのが現在の株式&クリプト市場。 中にはSHIBと並ぶMemeコインの代表格、ドージコインに半信半疑で投資をして、数ヵ月でマルチミリオンを稼ぎ出したことからアーリー・リタイアした ゴールドマン・サックスの社員のエピソードもあるけれど、今週にはSHIBとドージ・コインのマーケット・キャップの合計が、S&P 500のうちの下から388社の企業価値の合計を上回るに至っているのだった。 そんな現在のMemeストック、Memeコインの爆上げ現象の背景にあるのが、若い世代が労働をせず、投資による一獲千金を目指している状況。

5月以降、暫し動きが無かったSHIBの爆上げがスタートしたのは10月に入ってからで、今週人々を驚かせたのが右上のツイート。 クリプトカレンシーはオープンソースなので、誰が持っているかは分からなくても、ウォレット(アカウント)情報は入手できるようになっていて、 ツイートによれば、2020年8月に あるウォレットがSHIBに投資した8000ドルが 僅か400日ほどで57億ドルになっているとのこと。 ツイートにもあるように、これは文句なしに史上最大のリターンをもたらしたトレードと言えるのだった。
しかしながらSHIBのマーケット・キャップは約400億ドル。問題のウォレットはSHIBの8分の1以上を所有しているホエールで、ここまでシェアが多い場合、売却して利益を得るのは至難の業。 メディアでMemeストックや、Memeコインが大きな話題になる時は、既に多額の投資をしているホエールが FOMO(Fear of Missing Out/取り残される強迫観念)に駆り立てられて これらを買いに走る一般庶民をカモにして売り逃げるケースが多いとも言われるのだった。
それとは別に10月20日には ネットフリックスのメガヒット「スクイッド・ゲーム/イカ・ゲーム」のカレンシーの販売がスタートし、あっという間に2300%の上昇を見せたのがその価格。 これは同名のオンライン・ゲームのカレンシーで、プレーヤーがゲームに参加するために必要なのがカレンシーの購入。 そして実際のゲームのプレイを通じて、更にカレンシーを稼ぎ続けるというシステムで、ネットフリックスの番組内ではプライズ・マネーに上限があったけれど、オンライン・ゲームではその上限はナシというのが そのふれこみ。しかし後日明らかになったのが、このコインがネットフリックスのシリーズの製作者とは全く無関係の団体によって勝手にコピーライト違反で製作されたものであったこと。 そのためコイン取引所の中に取引停止を打ち出す動きが急速に広がり、コインを購入して値上がりを期待していた人々が 今度はそれを高値で売り逃げる以前に、全く売却が出来ない状況を迎えようとしているのだった。

今週には ツイッター、スクエアの創設者、ジャック・ドーシーが「アメリカからハイパー・インフレーションが始まる」と警告しており、 現在の物流チェーンの崩れが原因のインフレ加速懸念が高まる中、 ETFの取引が始まったビットコインが今月、再び最高値を更新。 そのため 持っていても価値が減るだけのキャッシュをクリプトカレンシーに投資すべきかが論議を呼んでいるけれど、 1つ確実に言えるのは、クリプトカレンシーは未だ新しい投資対象で、全体のマーケット・キャップも2.6兆ドル程度。 それに対して株式のトータル・マーケット・キャップは200〜220兆ドル。ここまで市場が大きくなってしまうと、その規模が2倍の400〜440兆ドルに達するのは険しい道のり。
しかし2.6兆ドルの市場規模がその2倍に達するのは さほど時間は要さないもの。 実際に1年前のクリプトカレンシーのトータル・マーケット・キャップは4000億ドル程度で、過去1年間で5倍になった計算。 また金融業界も 一般投資家も デジタル・アセットに抵抗が無い世代にマジョリティがシフトしているだけに、 クリプトカレンシーは 既に市場が成熟し尽くした株式や全く価格が動かないゴールドに比べると 有望な投資対象と言えるのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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