Jan. 8〜 Jan. 15 2023

Booming AI, Workers' View, Etc.
2023年は投資からアプリまでAIの年!、変わる職場評価、Etc.


今週は木曜にCPIこと2022年12月の消費者物価指数が発表され、その結果 物価上昇率は前年比で6.5%。11月の7.1%よりも大きく下がったことが好感された一方で、 カリフォルニア州では大雨と洪水の猛烈な被害が引き続き拡大。ちなみに2022年のカリフォルニアの自然災害ダメージ総額は1600億ドルとのこと。 週末にはアラバマを中心とした6州に1日に36の竜巻が発生。真冬の竜巻は極めて異例で、こちらも大被害をもたらしているのだった。
加えて今週大きな報道になっていたのは、バイデン大統領が副大統領時代に持ち出したと思しき機密書類が ワシントンDCでバイデン氏がかつて借りていたオフィス、及びデラウェア州の自宅で見つかったニュース。 週末の段階でその数は20以上で、トランプ元大統領がマー・ラゴの自宅に無断で持ち出した書類の数、300に比べれば遥かに数が少ないこと、バイデン氏はそれらを自ら返却し、捜査に協力しているとして ホワイトハウス側が強調していたのが 歴代2人の大統領の書類持ち出しの事件の意味合いが異なる点。しかし司法省は 特別検察官を任命して捜査を開始。トランプ氏は書類持ち出しで訴追される見込みであるものの、バイデン氏の訴追は「現時点では 無いだろう」というのがの専門家の見解。 しかしこの事態は 2024年大統領選挙への再選出馬表明のタイミングを見計らっていたバイデン氏にとってはダメージで、 与党民主党内からも不信の声が聞かれているのだった。
金融業界では、遂に水曜に行われたのがゴールドマン・サックスの従業員6.5%に当たる3200人、ブラックロックの従業員3%に当たる500人のレイオフ。 これは昨年中から通達されていた解雇で、IT業界に比べると遥かに少ない数。 とは言え、水曜のゴールマンのオフィスは5〜10分置きにレイオフされた社員の噂が流れる戦々恐々とした状態。 どちらの企業でもスタッフがその前夜から社内メールのアクセスをチェックしては、自分が未だクビにされていないかを確認していたことが伝えられていたのだった。
ゴールドマンに関しては、事前に「パフォーマンスが悪いスタッフをカットする」と発表していただけに、 「今回レイオフされると、周囲に能力が無いと判断される」との指摘も聞かれる中、 他の金融企業でも ”ウォールストリート・ワイプアウト(ウォール街の拭き取り掃除)”とメディアが呼ぶ大型レイオフが今後見込まれるのだった。



2023年は投資からアプリまでAIの年!


年明け早々、サンフランシスコ・オフィスのレント、13万ドル6260ドルを滞納して訴えられたことが報じられたツイッターであるけれど、 今週報じられたのが 世界各国の10以上のオフィスをレント未払いによって 閉鎖し、コスト削減とオペレーション縮小を同時に行った様子。
その一方で、2022年に1000億ドルの個人資産を失ったイーロン・マスクは "The Largest loss of personal fortune in history"、すなわち失われた個人資産額の史上最高記録が 今週ギネス・ブックに認定されていたけれど、毎週のように世の中を騒がせるイーロン・マスクの今週のハイライトになっていたのは、 彼が共同設立者になっているAIテクノロジー会社、 Open AI / オープン AI のニュース。 というのもオープン AI が2022年12月2週目に公開した AIテクノロジーを用いたチャットボット、”チャットGPT”のアプリが現在アメリカでメガ・ブレークしているため。
チャットGPTはチャットボットとは言え、エッセイや記事の執筆、メールのレスポンス、文章校正も可能で、既にテックサヴィな大学生は論文の執筆に使用しているとのこと。 それが可能になるのは膨大な量のネット上の資料や文献データの集積から情報が編集され、自然言語処理機能による多様な文体を模倣したテキストを生成する能力を備えているため。 文章だけでなく、HTMLによるウェブサイトの構築からブロックチェーン・コードまで書いてしまう チャットGPTであるけれど、 その普及は やがてアイフォンのSiriや、グーグル検索の存在と必要性を脅かすとまで言われるのだった。

チャットGPTで未だ出来ないのは 気の利いたジョークを語ることで、デート・アプリのメッセージについても チャットGPTが執筆した内容では まだまだデート相手からのレスポンスが得られないとのこと。また現時点ではサーバーのキャパシティが人気に追いついておらず、 サービスにアクセスするユーザー数を制限していることから、頻繁にエラー・メッセージが出るのも問題点。
アプリ自体は無料であるものの、アンリミテッドの使用に際しては月間フィーを支払うことになっているのだった。 既にチャットGPTと同様のアプリも存在しており、中にはそちらの性能の方を評価する声も聞かれるけれど、チャットGPTのここへ来ての人気と注目度によって 突如一般人の生活に入り込んだ印象を高めたのがAIテクノロジー。 オープンAIはチャットGPTの好調な滑り出しを受けて、週明けには約300億ドルの企業価値が査定されており、 イーロン・マスクが個人資産を一気に取り戻すのは時間の問題。 グーグルはチャットGPTの大ブレークに危機感をつのらせているようだけれど、マイクロソフト社はチャットGPTを一向にユーザーが増えない同社のサーチエンジン、 Bingへのインテグレートを望んでアプローチを開始したばかり。
時を同じくして、今週価格が大きく回復し始めたクリプト市場でもAI関連のコインが爆上げ状態となっており、 DiFi、NFT、メタバースに続いて次のブル相場を引っ張ると目されるのがAI関連コイン。 チャットGPTのメガ・ブレークと 図ったようなタイミングでのAIコイン高騰で、 2023年は様々な分野でのAI導入とそのブームが見込まれるのだった。



行けば症状悪化、命のリスクが高まる米国医療現場


今週月曜からNYの2つの大手総合病院のナース7000人が給与引き上げ、及びスタッフ増員を求めて起こしていたのが3日間に渡るストライキ。
アメリカではナースや介護士の給与が激安なのは周知の事実。給与に関しては早い時点で向こう3年間に19%のアップということで交渉が成立していたけれど、 最後まで揉めに揉めていたのがスタッフ増員。2つの病院は市が定めるナースと患者の割合規定を満たしていないだけでなく、 双方とも500以上のポジションが空席になったまま。規定違反をしても営業停止にならないことが分かっているだけに、 経営側が徹底的に人件費をカットして、その分が経営陣の高額給与になっているのは 2000年以降のアメリカの病院経営においては当たり前の状況なのだった。
結局ストライキは必要に応じてフリーランスのナースを増やすこと、そしてオーバーワークになった場合に 病院側がナースにペナルティを支払うことで合意し、終結となったけれど、 医師やナースの仕事が激務になっているせいで どうしても増える傾向にあるのが医療ミス。 アメリカの病院はそもそも医療ミスが多く、ジャーナル・オブ・ペイシェント・セイフティによれば 医療ミスによる死者数は毎年40万人以上。 ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの最新の2018年データによれば、患者の23.6%に対して 症状が逆に悪化する医療行為が行われており、 そのうちの32.3%は極めてシリアスな医療ミス、22.7%が回避可能な初歩的なミスで、その殆どが薬の処方や手術に関するもの。 中には他人が受けるべき不必要な手術を受けさせられ、その回復を待ってから本来の手術を受ける羽目になったという とんでもないケースも発生しているのだった。
多くの患者やその家族は ミスが起こるまでは医療現場を盲目的に信頼しているけれど、 患者にセイフティ・プロトコールとして奨励されているのが 自分の症状と受ける治療、及び摂取する薬品の名前とその量を 自ら把握しておくこと、医師の説明を受ける際に必ず家族や友人に立ち会ってもらうこと。 今週のストライキ報道のおかげで 病院の人手不足がいかに深刻で、ナースや医師がミスを犯しても不思議ではない過酷な労働を強いられていることが 多くのニューヨーカー に認識されたのは、 むしろ歓迎すべきとさえ言われていたけれど、アメリカにおける高額医療費と医療ミスの多さは、その実態を知る人にとっては 健康維持の最大のモチベーションになっているのだった。



アップル、メタはもう論外!?、 米国理想の職場ランキングと、キャリアに無益な12のカレッジ・デグリー


過去数年で徐々に変わってきたのが働く側の会社の評価。 数年前には”IT業界 理想の職場” としてもてはやされたセールスフォースは、今やCEO、マーク・ベニオフのトーン・デフ(世情や周囲の意見に耳を貸さない鈍感さ)ぶりが 従業員から指摘され、有能なエグゼクティブ がどんどん離れ、社内の雰囲気も業績も悪化を辿っている状況。
そんな働く側の視点による良好な職場環境のランキングを毎年12月に発表しているのが、職場の口コミ評価サイトのグラスドア。 ランキングは1000人以上の従業員を抱える企業を対象に 現役&元社員の意見を総合的に評価したもので、今回その100位内にも入らなかったのが かつての花形企業、アップルとフェイスブック。好況時には給与、労働時間、待遇等が評価の大半を占めるものの、 今回は時代を反映して 仕事の安定性や自宅勤務可能であるかも かなり大きな評価要因になっていたとのこと。そのトップ10は以下の通り。

  1. Gainsight / ゲインサイト (テクノロジー)
  2. Box / ボックス (テクノロジー)
  3. Bain & Company / ベイン & カンパニー コンサルティング(コンサルティング)
  4. McKinsey & Company / マッキンゼー & カンパニー (コンサルティング)
  5. NVIDIA / エヌビディア (テクノロジー)
  6. MathWorks / マスワークス (テクノロジー)
  7. Boston Consulting Group / ボストン・コンサルティング・グループ (コンサルティング)
  8. Google / グーグル (テクノロジー)
  9. ServiceNow / サーヴィス・ナウ (テクノロジー)
  10. In-N-Out Burger / イン’N アウト・バーガー (レストラン、フード・サービス)

トップ10中 6社がテクノロジー関連であるけれど、トップ100の中でも40社を占めていたのがIT関連。 金融はバークシャー・ハサウェイの17位が最高位で、あまり働き易い業界とは見なされていない印象。
この結果から確実に言えるのは、良好なキャリア・ライフを送りながら 人生を有利に進めるには、大学進学の際に テクノロジー関連企業に就職し易い学部を選ぶ方が 高額授業料を学費ローンを組んでまで支払う価値があるということ。 逆に「わざわざ大学に進学しても そのカレッジ・デグリー(大学卒業資格)が 殆ど役に立たない」とキャリア・コンサルタントが指摘するのが以下の12の学部。
Acting or theater arts (演技・シアター・アーツ)、 Film (映画)、Anthropology (人類学) 、 Civilization studies (社会発達研究) 、 Philosophy (哲学)、 Psychology (心理学)、  Communications (コミュニケーションズ)、 English (英語)、 History (歴史)、 Interior design (インテリア・デザイン)、 Marketing (マーケティング)、  Photography (写真)。
理由は「収入にならない」、「成功までの道のりが険し過ぎる」、「仕事の絶対数が少な過ぎる」ためで、 マーケティングについては「時代に応じて目まぐるしく変わるので、大学で学んでも役に立たない」、インテリア・デザインは「センスは学習では身に付かない」、 写真は「カメラ技術が向上しているので、4年掛けて学ぶものではない」といった厳しい指摘が聞かれるのだった。
キャリア・コンサルタント達は、上記12学部の卒業生の職探しアドバイスに「最も苦労を強いられる」と証言しているけれど、 アメリカにおける大学生活は同じ学部内で将来のキャリアに有益な交友関係を築くことも大きな目的の1つ。 そのため キャリアに役立たずの学部で得た交友関係が、友情は別として、将来仕事面では殆ど役立に立たないことも デメリットと見なされるのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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