Apr. 17 〜 Apr. 23 2023

Gun Violence, Office, Corchella, Etc. "
今週のガン・ヴァイオレンス、新オフィス・コンセプト、コーチェラの真実、Etc.


今週のアメリカで最も報道時間が割かれていたのは、メディアが ”Wrong Place Shooting”と呼んだ、単に場所を間違えただけで起こった3件の発砲事件。
1件目は先週土曜日、午後10時過ぎに双子の弟達を知人宅に迎えに行った16歳のアフリカ系アメリカ人の少年が家を間違えて呼び鈴を鳴らしたことから そこに住む84歳の白人男性にいきなりガラスの扉越しに撃たれ、頭と肩に銃弾を浴び、近隣の住人の救けで病院に運び込まれた事件。 2件目は同じく先週土曜日の午後10時頃、NY州アップステートで、2台の車と1台のバイクで知人宅のパーティーに向かおうとしていた一行が、道に迷って違う家のドライブウェイに入ってしまい、 それに気づいた65歳の住人が車に向けて2発を発砲。助手席に座っていた20歳の女性がそのうちの1発で射殺された事件。
3件目の事件が起こったのはテキサス州で、ハイスクールでの練習を終えたチアリーダー2人が夜間にスーパーマーケットに立ち寄った後、駐車場に停まっていた車に戻ろうとして 間違った車に乗り込もうとしたことから 乗っていた25歳の男性と口論になり、男性が2人に発砲。1人は軽い怪我で済んだものの、もう1人は病院に運び込まれる重症を負っているのだった。
僅か3日間に起こった これら3件の事件は、いずれもアメリカに住んでいれば日常で頻繁に起こる間違い。 それに対して 3人の容疑者があまりに簡単に発砲に至ったのに加えて、状況確認さえせずに 簡単に腹を立てる人間が、 直ぐに発砲できる状態で銃を所持していることが人々を恐れさせていたのが今週。 特にNYアップステートでの事件は、郊外に行けば行くほどナビゲーションが難しいだけでなく、一部にはスマートフォンもGPSシステムも使えない地域がまだまだ存在することから、 ニューヨーカーの間では「この夏は郊外のバーベキュー・パーティーには絶対行かない!」といった声も聞かれていたのだった。



国民より銃の数が多いアメリカのガン・カルチャー


現在アメリカで35歳以下の若者の死因の第2位になったのが射殺。 上のグラフのように4月10日までの段階で 2023年に起こったマス・シューティング(4人以上が撃たれる発砲事件)の数は146件。言うまでも無く年間最多記録更新は間違いないペース。 しかも4月10日以降、21日までの11日間に更に21件のマス・シューティングが起こっているというのは更に恐ろしい事実。 特に先週土曜日に アラバマ州の16歳のバースデー・パーティーの会場で起こった事件は、メディアが「Sweet 16 Shooting」とネーミングする 4人が射殺され、32人が負傷する大惨事。逮捕された6人の容疑者の年齢は15歳〜20歳で、その中には前科が無く、大学進学を控えていた学生も含まれており、 まだまだ不審な点が多いのがこの事件なのだった。
2023年の発砲事件の総数は4月21日の時点で1万2815件で、そのうち7326件が自殺。護身用に購入した銃が自分や家族の自殺手段になるケースは多いけれど、 マス・シューティングの容疑者は、自らに銃口を向ける前に恨みを持つ人物など、出来るだけ多くの人々を巻き添いにしようする傾向が顕著。 アメリカにおける発砲事件や銃撃事件の数が他国とは比べ物にならないほど多い理由は、アメリカで過剰なほど多くの銃が流通しているためで、 アメリカでは国民100人に対して銃の数は120.5丁。アメリカに次いで銃の所有が多いフォークランド諸島では国民100人に対しての銃の数は62.1丁、3位のイエメンでは52.8丁であることを思うと、 アメリカは完全に銃過剰社会。
銃を所有する人々が急増したのは 世論の二極化が激しくなり、パンデミックに突入した2019年〜2021年で、この3年間で新たにガン・オーナーになったアメリカ人は750万人。 その750万人が購入した銃の数は1700万で、その前からガン・オーナーだった人々も含めるると、パンデミック中に購入された銃の数は6000万。 特にガン・オーナーの数が多く、発砲・銃撃事件、及びその死者、負傷者が多いのは圧倒的に南部の州。 南部の州はアメリカの中でも更にガン・フレンドリーで、合衆国憲法で保障されている武器による自衛権を拡大解釈して、「身の危険を感じたら発砲する権利があり、 たとえ殺害しても正当防衛で無罪放免」という認識が市民の間でも、司法と行政のシステムでもまかり通っているのは周知の事実。 加えて幼い頃からガン・カルチャ―で洗脳されているので 自分の銃を持つことは、自分のパソコンやスマートフォンを持つのと全く同じ感覚なのだった。
先週末にはアメリカで1871年に結成されたガン・オーナー団体で、銃規制を阻む強力なロビー活動を行っているNRA(ナショナル・ライフル・アソシエーション)のコンベンションが開催され、 例によってトランプ元大統領を含む共和党議員がスピーチを行っていたけれど、その会場で見られていたのが写真上左の6歳児を始めとする幼い子供達に 玩具のように 銃を触れさせる親達の姿。 リベラル派メディアがその様子を叩くと、「子供が銃で人殺しなどするはずがないのだから過敏になるな」という反発が保守派から聞かれていたけれど、実際には2023年3月にはヴァージニア州の 小学校で 6歳児が学校に銃を持ち込み、担任の女性教師に向けて至近距離から発砲する事件が起こっているのだった。
一方、4月15日にルイヴィルの銀行で起こった怨恨によるマス・シューティングで5人が殺害され、8人が負傷する惨事が起こったケンタッキー州では、 こんな事件が起こっても銃規制に動かない同州選出の下院議員、トーマス・マッシーの2021年のクリスマス・フォト(写真上右)がメディアで再浮上。 2021年当時も この写真をクリスマス・カードに印刷して送り付ける異常さがリベラル派の間では取り沙汰されていたけれど、 ようやく この意識の方がおかしいことを市民がオープンに批判するようになったのが先週のこと。
しかし国民を上回る銃の数、憲法で保障された武装権利や子供の頃から「銃がある生活が当たり前」と擦りこまれたメンタリティ等、 アメリカで銃規制を阻むのは 決してNRAから献金を受け取っている共和党議員だけではないのは紛れもない事実なのだった。



社員が出勤したがるオフィスの出現!? ライフスタイルに対応するオフィス&コミュニティ・コンプレックス


NYで今週大報道になっていたのが、ウォール・ストリートにほど近いパーキング・ビルディングが崩壊した事故。 このビルは1920年代に建設され、現在の作りになったのは1950年代。以前は3階建てのパーキング・ビルとして使用されていたものの、 やがて屋上にも駐車スペースが設けられるようになったとのこと。しかし2003年に報告された3件の建築基準違反が放置されたままの状態で、 事故が起こった時には、ビル内に駐車されていた90台の車両のうちの50台が その基準を満たさないビルの屋上に停められていたとのこと。
すなわちこの事故は起こるべくして起こった人災と言えるけれど、これによって益々テナント離れが進むと見られるのがNY市内の老朽化したビルディング。 パンデミックで自宅勤務がニュー・ノーマルになって以来、テナントが埋まらないオフィス物件が増えたことから、新しいオフィス・ビルでもレントを下げなければならないのが現在。 新しいビルであれば、住宅ビルへのコンバートに市と州からの税金援助が得られるものの、古い物件だとそうはいかないことから、今後ダウンタウン、ミッドタウンを中心に進むのが老朽化したビルを取り壊しての再開発なのだった。
その一方で、今週にはJ.P.モルガンがマネージャー・クラスに対して 週5日のオフィス勤務を命じたことが報じられており、出勤を促すために強制参加の抜き打ちミーティングを行うとのこと。 J.P.モルガンのみならず、社員をオフィスに呼び戻すために、解雇をちらつかせて脅しをかける企業はIT、金融業界を中心に少なくないのが現状であるけれど、 そんな中、メディアで報じられたのが 再開発によって社員が出勤したくなるオフィス・コンプレックスが郊外に誕生しているニュース。
例えば写真上はNYのお隣、ニュージャージー州でデベロップされたオフィス・コンプレックスで、バルコニーからウォーターフロントのビューが楽しめて、治安を考慮したランドスケープがされた巨大施設は、 かつて 電信電話会社の本社と開発研究部門であった建物。 そこをオフィスだけでなく 病院、育児施設、ショッピング・モール、レストラン、スポーツ施設等、生活ニーズが1か所で満たされるオフィス・コミュニティ・コンプレックスとして改築したところ、 あっという間にテナントが埋まっただけでなく、その企業の社員が出勤を厭わない環境が実現したことが伝えられるのだった。 このオフィス・コンプレックスであれば、子供を育児施設に預け、衣類をドライ・クリーニングに持っていき、歯科治療を済ませて、日用品や食材を購入するといった用事が、 全てワンストップのストレス・フリーで行えるので、その都度自家用車で移動し、その都度パーキングに車を停めて、その広いパーキングを歩く手間や労力、時間やガソリン代が節約できるのは大きな魅力。 また仕事にしても、オフィスの方が集中出来る分、短時間で効率が上がり、コミュニケーションも取り易いことを改めて見直す声が聞かれているとのこと。
同施設のデベロッパーはこの成功例を既にイリノイ、フロリダに拡大中で、その中には学校や住居まで含まれるコンプレックスもあるとのこと。 さらに同業者も類似したオフィス&コミュニティ・コンプレックスの開発に取り組んでおり、新しい”ウォーク&ライフ・バランス”の提案が今後の商業物件開発の鍵になっていくとのこと。
近い将来、こうしたオフィス・コンプレックスが増えて来た場合には、今までとは違った通勤生活が自宅勤務よりも好まれるようになると見込まれるのだった。



世界最大のミュージック・フェスティバル、コーチェラのインスタ・グラマーのリアリティ


4月14日〜16日、4月21日〜24日の2週連続の週末に行われたのが、毎年恒例の世界最大のミュージック・フェスティバル、コーチェラ。
多数のスポンサーが絡み、セレブリティがビジネスとプライベートを兼ねて多数姿を見せることでも知られるこのイベントは、今年もバッド・バニーやKポップのブラック・ピンク、ブリンク182等 錚々たるパフォーマーが登場。1992年にスタートしたコーチェラは、今では平均25万人の観客を集め、2016年以降は1億ドル以上の収益を上げるメガ・イベント。
当然のことながら、この時期になるとインスタグラムに急増するのがコーチェラ関連のポストで、敷地内に設けられた巨大な観覧車や、巨大なオブジェをバックに、 肌を露出したコーチェラ・ファッションを身に着けたインフルエンサー達がグラマラスな写真を公開するのは毎年のこと。 しかし今年に限っては、メディアで報じられていたのが そんなグラマラスなイベントの厳しくも悲惨なリアリティ。
25万人が押し寄せるイベントとあって、コーチェラの ライドやロッカールーム行列はディズニー・ランドどころの騒ぎではない状況。 その行列を気温32度以上の日陰の無い炎天下で耐えなければならないのがその実態。 コーチェラ・ミュージック・フェスティバルは カリフォルニア州コロラド砂漠の中のコーチェラ・ヴァレーで開催されるとあって、 周囲は見事なほど樹木や日陰が無いエリア。そのためVIPチケットに大金を支払える人でなければ、並んでいるだけで時間と体力を使い果たしてしまうイベント。
消耗するのはフェスティバル・ゴーワーだけでなく、地面の芝生も然り。1週目が終わった時点でグリーンから茶色に変色するのが敷地内の芝生。 多くのインスタグラマーはそれを理解しているだけに、地面が写るショットを撮影するのはもっぱら1週目の最初の2日間、それも午前中。 というのも日中はその暑さで誰もが根負けしてしまう一方で、夜になる頃には地面の上に散乱するのがプラスティック・ボトルを含む大量のゴミ。 ゴミの散乱は 広い敷地内の人が集まるエリアに集中しているとは言え、ゴミも落ちていないような場所は写真撮影をする価値が無いのは容易に想像がつくところ。
肝心のパフォーマンスは、日中の方が遥かにステージ前にアクセスし易い状況。それはパフォーマー知名度が低いからというよりも、 ステージ付近に日陰が無いので、炎天下で熱中症になるのを恐れるため。 しかし夜になるとファーコートを着用する人々を見かけるほど気温が下がるのはコーチェラの砂漠特有の気候の成せる業。 そんな過酷な環境を乗り越えて写真撮影を行うインスタグラマー達の涙ぐましい努力のお陰で、 コーチェラは実際よりずっとグラマラスなイベントとしてソーシャル・メディア上でプロモートされ、年々規模が拡大。スポンサーシップもどんどん高額になっているのは周知の事実。
コーチェラのようなイベントは、1度出掛けて「もう沢山」と感じる人と、どんなに酷い目にあってもまた出掛ける人に別れるという点では クルーズ船のヴァケーションと同じとも言われるもの。 コーチェラはミュージック・フェスティバル・ブームを生み出した存在なだけに、 「他のミュージック・フェスティバルが下火になったとしも、コーチェラだけは生き残る」という声が圧倒的なのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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