May. Week 2, 2014
” Stepping Up for Art ”
” シャーロット・オリンピアのパンプスがキャンバス!
20人のアーティストが参加したチャリティ・プロジェクト ”




シューズの世界で近年、あっという間にスーパースター・デザイナーの仲間入りをしたのが、 シャーロット・オリンピア。その彼女のシグニチャー・スタイルになっているのが、 ”Dolly / ドリー”とネーミングされたプラットフォーム・パンプス。
これをキャンバス代わりに使って、アーティスト達が独自のクリエーションを繰り広げるという 試みがチャリティ目的で行われたのが ” Stepping Up for Art / ステッピング・アップ・フォー・アート”。 このチャリティは、公立学校にアートの教師の数を増やすことを目的にしたもので、 アートに触れることは、特に低所得家庭の子供の精神面やクリエイティビティに大きなインパクトをもたらすことは既に立証されていること。

このプロジェクトを進めたのは、アーティスト、マヤ・リンとギャラリー・オーナー、ダニエル・ウルフの娘で、 未だ高校生のインディア・ウルフ。 彼女は、バゼル・マイアミ・ビーチに出展されてた同様のシャーロット・オリンピアの プレゼンテーションを見て刺激を受け、アーティスト達を説得して今回のプロジェクトに至ったとのこと。

ここにご紹介する作品のうちの何足かは、シャーロット・オリンピアが商品として製作し、 年内に販売されることも伝えられているもの。 20人のアーティストの作品は、シューズとして履けるものから、オブジェになったもの。 またはシューズを画像にフィーチャーしたアートワークなど様々。
これらのアーティストの作品に加えて、マンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、クイーンズ、スタッテン・アイランドの 5つのボローの公立学校のアート・プロジェクトを含めた25点、全てが 展示されていたのが、5月2日〜4日までの、アッパー・イーストサイドのガゴシアン・ギャラリー。
昨今、アートとファッションのコラボレーションが増えているだけに、このプロジェクトを見ていると アーティスト側もかなりファッション企画に慣れてきているという印象。


こうしたエキジビジョンは「百聞は一見にしかず」なので、 ここでは全作品をご紹介することにしました。
ちなみに私が履いてみたいと思ったのはマヤ・リンとマリリン・ミンターの作品。 でも、最も高額なお値段になるのは最初に紹介するジェフ・クーンズのシューズです。


Jeff Koons / ジェフ・クーンズ



今や生存するアーティストの中で、オークションにおける最高落札額の記録を持つジェフ・クーンズ。 今回の展示でも、下で紹介するクリストと、ジェフ・クーンズだけがガラス箱に入れた展示。 お馴染みのバルーン・モチーフのお陰で、一目で彼の作品と分かる仕上がり。


Kenny Scharf / ケニー・シャーフ



シューズとスクールをくっつけた、”Schoooz / スクーズ”というネーミングのケニー・シャーフのシューズ。 2013年にはキールズのスキンケアのスペシャル・パッケージも担当した同アーティストの、 お馴染みの色使いやモチーフを使ったデザイン。


Maya Lin / マヤ・リン



リサイクルド・ガラスを氷のようにあしらった "Glass Slipper / グラス・スリッパー" と名づけられた作品。 マヤ・リンはこのプロジェクトのキュレーターのインディナ・ウルフの母親でもあります。


Tom Sachs / トム・サックス



シューズをバーナーで焼いてスカルプチャーに仕上たようなトム・サックスの作品。




Ed Ruscha / エド・ロシャ



”Go So : So Go / ゴー・ソー:ソー・ゴー”というタイトルが、 ゴールドのプラットフォームにフィーチャーされたシューズ。




Clisto / クリスト



クリストは、ニューヨーカーの間では2005年にセントラル・パークで行われた”Gates / ゲーツ”が 今も記憶に新しいアーティスト。 見たとおりの "Wrapped Woman Shoes"、すなわち”包まれた女性の靴”とネーミングされたクリストの作品は、 ジェフ・クーンズの作品同様、彼の作風を知る人なら一目で分かる仕上がり。


Francesco Clemente / フランチェスコ・クレメンテ



イタリアの著名画家である、フランチェスコ・クレメンテ。何故か蝶とトカゲをフィーチャーした作品。




Charline Von Heyl / シャーリーン・フォン・ヘイル



アブストラクトなペイントは、今シーズンのトレンドとマッチして、ファッショナブルな印象。






Richard Prince / リチャード・プリンス



フレームのペイントにシューズをレースアップにしながらくくりつけた作品。 紐をフレームに留めているのは、ホチキス。


Philip Taaffe / フィリップ・ターフェ



真っ赤にペイントされた作品のネーミングは、”Venus Pumps / ヴィーナス・パンプス”。 クリスチャン・ルブタンのように靴底もレッドにペイントされています。


Marilyn Minter / マリリン・ミンター



”M&M Shoes / M&M シューズ”と名付けられたとおり、M&Mチョコレートを水玉模様のようにあしらったシューズ。 M&Mは、アーティストの頭文字でもあるというユーモア。


Sarah Sze / サラー・スゼ



右左で、異なるデコレーションを施した作品。向かって左側がカットアウト。右側はそのカットアウトされたシューズの 破片をオーナメントにして飾ったもの。


David Levinthal / デイヴィッド・レヴィンタール



シューズの中でポーズをしたミニチュア・ドールをフィーチャーしたフォト。




Elliott Puckette / エリオット・パッケット



一筆書きの模様がエレガントにフィーチャーされたシューズ。




Hugo Guinnes / ヒューゴ・ギネス



ヒールの高さにメモリを付けるなど、ポップに仕上たスタイル。




Cindy Sherman / シンディ・シャーマン



それぞれのシューズに、顔をフィーチャー。鼻や髪の毛が3Dになっている作品。






Laurie_Simmons / ローリー・シモンズ



”アンタイトルド・フォー・シャーロット・オリンピア・プロジェクト”と名付けられた5つのイメージから構成される作品。




Maira Kalman / マイラ・カルマン



”Two Wrapped Shoes / トゥー・ラップト・シューズ” というタイトルの作品。 ヒールを取り除いて、バレエ・シューズのようなシェイプにして、ラッピングをして、紐を掛けた仕上がり。


George Condo / ジョージ・コンド



人の顔を含む、様々なスケッチがアブストラクトのように描かれた作品。




Martin Mull / マーティン・ミュル



”Nude Descends Staircase / ヌード・ディセンズ・ステアーケース”と名付けられたシューズは、 つま先のトウ・パッチを女性の乳首に見立てたもの。


PS 139 Brooklyn / PS 139 ブルックリン



PSとはパブリック・スクールの略。2足のシューズで犬のスカルプチャーをクリエイト。




PS 75 Manhattan / PS 75 マンハッタン



” フィアース&フレンドリー・キャット” というタイトル通り、 シューズを黒と白の猫に見立てて、異なるキャラクターで描いたもの。




PS 45 Queens / PS 45 クイーンズ



蜘蛛の巣まみれになったシューズ・ボックスをクリエイティブに描いた作品。




PS 16 Staten Island / PS 16 スタッテン・アイランド



シューズ・ボックスと一緒にプレゼンテーションされた作品。カラー・コントラストが美しい仕上がり。




PS 196 Bronx / PS 196 ブロンクス



カラフルなペイントが全面にほどこされたシューズ。立体的なアップリケもあしらわれています。






執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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