Aug. Week 2, 2017
”Rolling Stones & Vintage Rock T-shirts”
ローリング・ストーンズ & ヴィンテージ・ロック Tシャツ


アメリカでミレニアル世代からベビー・ブーマー世代まで、年齢にかかわらず着用しているのがヴィンテージ・ロックTシャツ。
ブーマー世代は、着用しているロックバンドの音楽を聴いて育って、10代の頃からピンク・フロイドやローリング・ストーンズのTシャツを 着用し続けているけれど、ミレニアル世代の中には音楽を聴いたことが無いけれど、Tシャツのイメージがクールだからといって着用するケースも少なくないのが実情。
でもアメリカでTシャツが売れ続けているロックバンドの音楽は、今も頻繁に街中に流れていたり、CMに使用されていたりするので そこがロックという音楽を生み出した国のカルチャーの奥深さなのだった。

とは言ってもヴィンテージ・ロックTシャツがファッションとしてのステータスをここ数年で大きく確立してきたのは、 やはりセレブリティやモデル、ファッション業界の関係者達が それをスタイリッシュに着こなすようになったためで、 写真下は、左よりケンドール・ジェナが着用するACDC、ヘイリー・ボールドウィンが着用するイーグルスの代表作「ホテル・カリフォルニア」の アルバム・ジャケットのTシャツ、その隣はヴィクトリア・ベッカムでやはりACDCのTシャツを着用。右から2番目はオリヴィア・ワイルドで スーツの下にレッド・ツェッペリンのTシャツを着用。一番右は言わずと知れたヴィヨンセで、 ガンズ・アンド・ロージズのシークィンのTシャツを着用しているのだった。






ヴィンテージ・ロック・Tシャツの中で不動の売り上げNo.1となっているのは何といってもローリング・ストーンズ。
その唇から歯と舌が出たロゴ・マークはあまりに有名であるけれど、 もちろんこのロゴにはライセンス権があって、ストーンズのオフィシャル・ウェブサイトで販売されているもの以外は、 アパレル会社がライセンスの使用料を支払って生産しているもの。 この秋にはトミー・ヒルフィガーが、一番上の写真でジジ・ハディドが着用しているTシャツを クリエイトしているけれど、Tシャツに様々なバージョンが存在するのは 異なるメーカーがそれぞれにライセンスを取得して 独自のデザインを生産しているためなのだった。

セレブリティが最も好んで着用するのは、アメリカン・フラッグをフィーチャーしたもので、何故イギリスのバンドであるローリング・ストーンズの Tシャツにアメリカン・フラッグのイメージが使われるかと言えば、これがUSツアーの際のコンサート会場での販売用に 製作されたものであるため。 実際にビンテージ・ロック・Tシャツは70年代、80年代にロック・バンドが行ったツアーの オフィシャルTシャツを再生産するものが非常に多くなっているのだった。




さて、かく言う私がつい最近購入したのが写真上のローリング・ストーンズのTシャツ。
別にロックTシャツを着てミレニアル気分を味わいたかった訳では無く、 レギンスやデニムに合わせて着用するカジュアル・トップを探していたのに加えて、 このTシャツが2001年か2002年に私が購入したルシアン・ペラフィネのセーターを思い起こさせたのが購入に至った理由。
ルシアン・ペラフィネのセーターはカシミア製で、ストーンズのロゴのリップに似せたイメージをクリスタルで フロントにあしらっていたもの。当時日本円にして12万円というお値段で、 迷いに迷った挙句に購入したのだった。
でも一度購入すると 私のクローゼットで、あれほど活躍したセーターはないと言えるほどリピートして着用出来たのがそのセーター。 ジーンズに合わせてブランチや映画に出掛け、レザー・パンツやレザー・スカートに合わせてディナーからパーティーにまで出掛けていて、 何時も人から褒められ続けていたのだった。

このTシャツも既に何度も着用して 今はもっぱらレギンスに合わせているけれど、秋になったらルシアン・ペラフィネのセーター同様にレザーパンツやスカートとコーディネートする予定。 お値段はルシアン・ペラフィネのセーターの10分の1以下だったので、得をしたような気分なのだった。
先日これを着用してボクシングのクラスに出かけたところ、一緒にクラスを取った人に尋ねられたのが 「ストーンズ以外だったら、どのバンドのTシャツがクールだと思う?」という質問。 アメリカでのTシャツの売れ行きという見地からだと、日本ではあまり知名度の無いACDCが写真上でケンドール・ジェナやヴィクトリア・ベッカムも着用していた通り、 思いの他 良く売れていて、それ以外だとベビーブーマー世代に絶大な支持を誇るグレートフル・デッド、NYのパンクロックのレジェンド、ラモーンズ、 イギリスのヘヴィメタ・バンドのアイアン・メイデン、前述のレッド・ツェッペリンやガンズ・アンド・ロージズ等が 売り上げが高いとあって非常によく見かけるTシャツ。 同じ歴史に残るミュージシャンでも、不思議にボン・ジョビやU2、ポリス、プリンスといった顔ぶれは Tシャツではさほど人気がないのだった。
アルバム・ジャケットをTシャツにしたものでダントツ人気なのは ピンク・フロイドの代表作「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」のプリズムのイメージをプリントしたブラックTシャツで、 これは”不滅の定番ロックTシャツ”と言われるほど、世代に関係なく絶大な支持と売り上げを誇っているのだった。


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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