Sep Week 4, 2016
” Plastic BK Bag ”
プラスティック BK バッグ


2002年にCube New Yorkの大ヒット商品になっていたのが ”ジェリー・ケリー”というバッグ。
これはエルメスのケリー・バッグとバーキンを半透明のラバーのようなPVC素材で製作したもの。 エルメスのケリー・バッグとバーキン・バッグのデザイン特許がレザーにしか適用されていなかったために、 エルメスが抗議をした後も出回ったのがこの商品で、 カリフォルニアのバッグ・メーカーは ”ジェリー・ケリー”で 商標まで獲得してしまったほど。
ジェリー・ケリーは重たいのが玉に瑕であったけれど、遊び心が感じられる上に目立つので、 オリジナルのエルメスを持ち歩いている人からも 何処で買ったかを訪ねられる事が多かったバッグ。 なので時々 このジェリー・ケリーを思い出しては、また何処かのブランドがPVCのバーキンを作らないかと思って久しい状態なのだった。





そんな中3週間ほど前に、BKから登場したのがここにご紹介するプラスティックBK。
遠目から見るとエナメルのようなPVC素材のバーキン・スタイルのバッグは長さが30pで、ハンドルの長さやバッグの高さ、幅を含む 全てのサイズがエルメスのバーキンと同じもの。 2002年に販売されていたジェリー・ケリーはBKの製品ではなかったけれど、 同じPVCを用いたバッグということで ジェリー・ケリーと比較すると、 プラスティックBKの方が 14年の月日を経た後に 製作されたバッグとあって、遥かにきちんとした作り。
ジェリー・ケリーは安価に生産することが目的だったので、バッグのベルトのサイドがホチキス留めになっているなど、 ビックリするような手抜きディテールが見られたけれど、プラスティックBKは素材がPVCなだけで、 バーキンと同じような縫い合わせが行われていて、強いて言うならばインナー・ポケットが無いだけ。
既に購入した友人の中には、FedExのぺーパーバッグでポケットを作って 両面テープでバッグの内側に張り付けて、 サイドポケットにするというクリエイティブな人がいたけれど、私は化粧ポーチをパーテーション替わりにするので十分なのだった。





私が迷いに迷ったのはカラーで、これからの季節はブラックを着ることが多いので コントラスト・カラーを選ぼうと思っていたけれど、 最後まで迷ったのはレッドにするか、ホワイトにするか。 でもレッドは別の形のバッグを持っているのに加えて、プラスティック・バーキンはオモチャ感覚の遊び心で持つバッグなので、 あえて目立つホワイトを選んだのだった。
プラスティックBKを持っていると、かつてのジェリー・ケリー同様に 街中でいろいろな人に何処で買ったかを尋ねられるけれど、 使い勝手という点では、とにかく重たかったジェリー・ケリーに比べると格段上。 バッグ・チャームを付けるとさらにキュートで、 既に2つ目を買うことも考えているけれど、その時は迷った挙句諦めたレッドではなくて、 多分ダーク・グリーンを選んで派手なバッグ・チャームを付けて持ち歩くと思うのだった。


ところで、オリジナルのエルメス・バーキンと言えば、かつては 35pが圧倒的に支持されてきたけれど、 昨今、欧米では35pを持ち歩くのは 長年バーキンを愛用してきたような年配層の人々。 替わって一番人気になっているのが30pで、あまりバーキンに興味を示さない若い世代の間では25pが かろうじて支持されているサイズ。 したがって「持っているバーキンのサイズで年齢が分かる」と言われるほどで、35cmは50代アップ、30cmは30代&40代、25cmは20代 ということになっているけれど、私自身は25cmを愛用しているので、これは宛てにならないと思うのだった。
中古品の市場でも目下、最もニーズが高いのが30pで、プレステージの高いオークションの世界でも 最高価格の記録を持っているのが30pのバーキン。 そのバーキンはクロコダイル素材でダイヤモンドをあしらったホワイト・ゴールドの金具で、今年5月に香港のクリスティーズのオークションで 3000万円で落札されているのだった。

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。



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