Nov. Week 5, 2014
”Thanksgiving Croissant”
サンクスギヴィング・クロワッサン


私がこのコラムを書いている11月27日は、サンクスギヴィング・デイのホリデイ。
サンクスギヴィングは、アメリカ最大のホリデイで、家族や友人達が集ってターキー・ディナーを味わうのがこの日。 アメリカ国民の83%がこの日にターキーを食べると言われているけれど、 実は私にとってターキーは あまり好きとは言えない肉。 なので、例年サンクスギヴィングの日にしか食べないのがターキーなのだった。

サンクスギヴィング・ディナーのホストは、ゲストの分も含めて、大勢のためにターキーをローストするケースが多いけれど、 ターキーを買う際の目安は、生の状態で 1パウンド(約454グラム)x ディナーの人数分 の重さを購入するというもの。
1人で450グラムもターキーを食べないと考える人は多いけれど、ターキーは骨が大きい上に、 時間を掛けてローストするプロセスで 水分と脂が落ちて、焼き縮みするので、これがアメリカでは適切な目安と言われているのだった。
もちろん、サンクスギヴィングのディナーでは、他にも沢山のご馳走が出るので、この量でローストすると 余る場合が多いけれど、実はアメリカでは、あえてそのレフト・オーバーが出るようにターキーを焼いている家庭が多いもの。 そういう家庭は、往々にしてターキーのレフトオーバーを使った料理を好むファミリー・メンバーが居るもので、 そんなレフトオーバー・ターキーを使った代表的なメニューと言えば、残った骨と肉でたっぷり だしを取ったスープ。 そして、残った肉を挟んだサンドウィッチ。






スープは、一緒に煮込む野菜からも うま味が出て、身体が温まる上に非常に美味。 個人的にはバーレー(押麦)やパスタを入れたものを好んでいるのだった。
でも私がスープよりも好むのはサンドウィッチ。通常、ランチでターキー・サンドをオーダーすると、 ターキー・ハムにスイス・チーズ、アルグラ、 マヨネーズとマスタードを挟んだものが出てくる場合が多いけれど、 サンクスギヴィングのレフトオーバー・サンドウィッチに用いられるのは、通常グレービー・ソースと クランベリー・ソース。 これは、サンクスギヴィング・ディナーでターキーをサーヴィングする際に、必ず添えられるもの。 それにチーズを挟むケースもあるけれど、いずれにしてもローストしたターキーを グレービー・ソースで和えて、クランベリー・ソースと共に挟んでサンドウィッチにすると、 それはそれは美味なのだった。







そんな私が好むサンクスギヴィング・レフトオーバー・サンドウィッチが、クロワッサン・バージョンになっているのが、 モモフクのデザート・ショップ、ミルク・バーのサンクスギヴィング・クロワッサン。
クロナッツの登場以来、クロワッサンのフュージョンが沢山登場しているので、このクロワッサンも、 そんなブームに乗って登場 したものと思われがちであるけれど、 サンクスギヴィング・クロワッサンが登場したのは、クロナッツ誕生より2年早い2011年。 以来毎年、サンクスギヴィングの時期に期間限定でカムバックしているシーズナル・メニュー。 お値段は4ドル50セントになっているのだった。

私が毎年のようにソーシャル・メディアで話題になるこのクロワッサンを遂に味わったのが、今週のこと。
リッチなグレービー・ソースにまぶしたターキー・ミートとクランベリー・ソースが たっぷりと クロワッサンのドーに巻き込まれているので、まず手にとって感じるのがその重さ。 通常のクロワッサンを3つ買ってもこの重さにはならないという感じなのだった。

ドーには、タイムとセロリ・シードがミックスされていて、 それがターキーのフィリングにとてもマッチした味わい。 でも私は これをテイクアウトして、自宅で温め直して味わったせいか、ドーにはあまり空気が含まれて居なくて、 形はクロワッサンでも、食感はほど遠いテクスチャー。
ターキーのカルゾーネ(ピザ生地で具を包んだ半円のスタッフド・パイ)に近い印象だったけれど、 特に私が気に入ったのは、グレービーとクランベリー・ソースがたっぷり染みたクロワッサンの両端のカリカリの部分。 この部分だけのスナックがあったら、いくらでも食べているような気さえするのだった。





サンクスギヴィング・クロワッサンをクリエイトしたのは、モモフクのペストリー・シェフ、クリスティーナ・トシ。(写真上の女性) ドミニク・アンセルがクロナッツやクッキーショットなどの、風変わりなデザートをクリエイトし始める前は、 彼女が、ポテトチップやポップコーンを入れたクッキーや、中毒症状を起こすことから”クラック・パイ (写真上、下段右)”と ネーミングされたデザートなど、風変わりで、ミレニアル世代にアピールするような 新しいデザートをクリエイトしていたのだった。

私は本来、クロワッサンというものを非常に好んでいるので、クロナッツなど、クロワッサンのアレンジよりも 本当に美味しいシンプルなクロワッサンの方が好きだけれど、サンクスギヴィング・クロワッサンについては、 クロワッサンぽくないところがあえて気に入っている点。
そんな私が唯一好むクロワッサンのアレンジ・ヴァージョンは、既にこのコーナーやコラムで何度書いたか分からない シティ・ベーカリーの ”プレッツェル・クロワッサン(写真上、下段左)”。 なので私はシティ・ベーカリーでは、通常のクロワッサンをオーダーしたことが無いのだった。

Momofuku Milk Bar : http://milkbarstore.com/


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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