July Week 3, 2019
”The Most Famous Italian Sandwich Pop-up"
ニューヨーカーが2時間行列したBestイタリアン・サンドウィッチPop-up


7月13日までの1カ月間、マンハッタンのグリニッジ・ヴィレッジにオープンしていたのが、 イタリアで最も有名かつ美味なサンドウィッチ・ショップと言われる フィレンツェの All’Antico Vinaio / アランティコ・ヴィナイオのポップアップ。
このポップアップがオープンしていたのは5番街8丁目のピザ・レストラン、Otto / オットで、ここは セクハラでレストラン業界を追われたニューヨークのセレブ・シェフ、マリオ・バターリが手掛けた店。 ポップアップがオープンしている期間もオットのビジネスはほぼ平常通りで、 店内の手前にあるワインバーのセクションで 連日正午から売り切れまで営業していたのが アランティコ・ヴィナイオのポップアップ。 同店は旅行ガイドに必ず掲載されている有名店なのに加えて、グルメ評論家やフード・ブロガーの間でも高い評価を獲得しているとあって 鳴り物入りのニューヨーク・デビュー。
そのため初日から大行列で、時間に追われるニューヨーカーが サンドウィッチのために2時間以上行列する様子は 多くのメディアにフィーチャーされたのだった。
アランティコ・ヴィナイオが1日にサーヴィングしていたサンドウィッチは約400食で、連日午後3時前後には完売。サンドウィッチはメイド・トゥ・オーダーで プロシュートのスライスから、フラット・ブレッドの焼き上げまでを その場で行うため、 イタリアから連れて来た熟練したスタッフでも1食分を作るの約3〜5分を要すると言われているのだった。





私がアランティコ・ヴィナイオのポップアップについて知ったのは、2時間待ちの大行列のニュースを見たのがきっかけであったけれど、 メディアにフーチャーされていた写真は ”普通のサンドウィッチ”にしか見えなかったこともあり、さほど食指をそそられなかったのが正直なところ。 ところが日に日に行列が長くなっている様子や、朝の7時から行列が始まる噂、友人のオフィスで有志が並び屋を雇ってまで サンドウィッチを購入したエピソード等を聞かされるうちに どんどん高まってきたのが好奇心。 そこで正午前に 近隣でヨガクラスを終える友人と待ち合わせをして、2時間行列を覚悟で足を運んだのがアランティコ・ヴィナイオ。
私達が到着したのは12時10分で 既に40メートルほどの行列が出来ており、サンドウィッチを受け取るまでの所要時間はぴったり2時間。 オットの店内に入ってからの待ち時間が予想以上に長かったけれど、店内に入るとオーダーするサンドウィッチを選ぶのに忙しいのに加え、 オープン・キッチンの前に辿り着くと スタッフがモッツァレラやプロシュートの味見をさせてくれるなど、いろいろエンターテイメントを披露してくれるので、 終わってみればあっという間の2時間なのだった。

アランティコ・ヴィナイオのサンドウィッチの何がそんなに特別なのかと言えば、まずその独特のフラットブレッド。 メディアが”ベスト・サンドウィッチ・ブレッド”と絶賛するフラットブレッドは、 時間が経過しても表面はカリカリ。内側は具の水分でグチャグチャすることは無いものの、乾いている訳でもなく、 重たいサンドウィッチの具を支えるのに十分なボリュームがありながら、具の味わいを引き立てるバランスの良さ。 なので”ベスト・サンドウィッチ・ブレッド”の評価には妙に納得してしまったのだった。




ポップアップではフィレンツェ本店のメニューを再現した4種類のサンドウィッチに加えて、 NYのポップアップのみで味わえる”La Washington Square Park / ラ・ワシントン・スクエア・パーク”($15) という スペシャル・ヴァージョンを加えた5種類がメニューのラインナップ。 フィレンツェ本店のベストセラーは ”La Summer / ラ・サマー” ($14)で、 これはフラットブレッドの間に、トスカーナのプロシュート、バッファローミルクのモッツァレラ、トマト、バジル、バルザミコ等が挟まった典型的なイタリアン・サンドウィッチ。
私も友人も定番のラ・サマーをそれぞれオーダーして、それに加えて友人がカポコッロ(豚の首肉で作る生ハム)と ストラッチニオ、トリュフのクリーム、アルグラを挟んだ ”La Dante / ラ・ダンテ” ($15)、 私が”ラ・ワシントン・スクエア・パーク”をオーダー。 これはオットのハウスメイドのラルド(生のまま熟成させた豚の背脂の生ハム)と、一見かき揚げのように見えるズッキーニ・フラワーのフライ、 トリュフのクリーム、ゴルゴンゾーラ・チーズ、洋ナシが挟まったもの。

友人と私は共に2種類のサンドウィッチをその場で半分ずつを味わって、残りを家に持って帰ることにしたけれど、 ”シンプル・イズ・ベスト”という印象のラ・サマーに比べて、 ”ラ・ワシントン・スクエア・パーク” は一口食べる度にトリュフ風味をベースに様々な具のフレーバーが 時間差で楽しめる複雑な味わい。 友達の”ラ・ダンテ” も一口食べさせてもらったけれど、 これも違った意味でトリュフの味が効いた美味しさ。
これまでイタリアのハムというと、直ぐにプロシュートに走ってきたけれど、 今回カポコッロやラルドをサンドウィッチの具として味わって、 「こういうチョイスを、こういう風に味わう手段があるのか...」とイタリアの食文化の深さに 改めて感心してしまったのだった。




ポップアップに出掛けた人々の中から聞かれていた唯一の苦情は、やはり待ち時間が長いということ。 確かに私もこのサンドウィッチが10分程度の行列で買えたら嬉しかったと思うけれど、 私が出掛けたのは幸いカラッとした天気の良い日だったのに加えて、食べ物のために長時間行列をしたのは 何年ぶりかの経験。なので文句を言う人たちほどは時間は気にならなかったのだった。
持ち帰った残りのサンドウィッチは 早めに食べた方が良さそうな”ラ・サマー” をその日のうちに平らげたけれど、 やはりイタリアン・サンドウィッチはカロリーが高いと見えて、その時点でもうお腹が一杯。 そこでラ・ワシントン・スクエアの残りの半分は冷蔵庫で一晩寝かせて、 翌日に両面をカリカリにグリルしてから味わったけれど、 この時のゴルゴンゾーラ・チーズが溶けて、 ラルドがプルプルになった状態の方が美味しかった というのが私の偽らざる感想なのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。

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