Nov Week 1, 2020
”Gen Z Movement, Poll Hero"
公正な大統領選挙をサポートする
ジェンZ ムーブメント、ポールヒーロー



いよいよ11月3日の大統領選挙日を迎えたけれど、アメリカの誰もが語っているのが トランプ大統領が2016年に当選して以来、 ずっと選挙が続いているかのような遊説ラリーを過去4年に渡って続けてきたこともあって、 今回の選挙活動期間が物凄く長く感じられたということ。
そんな今回の選挙は、ミレニアル世代に続く1997年以降に生まれたジェネレーションZが初めて投票する大統領選挙。 何度か以前のコラムにも書いてきた通り、この世代は 生まれた時からインターネットが存在するデジタル・ネイティブで、 火災の避難訓練よりも頻繁に銃乱射事件の避難訓練を強いられてきた世代。 非常にポリティカルで正義感が強いとあって、 投票権を得る遥か前から政治や政治家への不満を訴え、 ソーシャル・メディアを通じてアクティビティやムーブメントをアレンジしてきたジェネレーションなのだった。




ジェネレーションZにとって最も大切と言われるのは環境問題。そして銃規制、加えてブラック・ライブス・マターのムーブメントに代表されるソーシャル・ジャスティス、及び 移民問題を含む人種差別問題。 選挙が近付いてから重要性を増していたのが「民主主義を守る」というアジェンダ。
というのも今回の選挙ほど 勝敗の行方以前に投票システムの問題が大きく取り沙汰されたことは無かったためで、 それほどまでにマイノリティ人種や労働者層、特に貧困層に対して合法的に行われてきたのが英語でVoter Suppression / ヴォーター・サプレッションと表現される投票者抑圧、 早い話が投票妨害。そもそもアメリカの選挙が火曜日に行われること自体が 労働者階級の投票を難しくするヴォーター・サプレッションと言われるけれど、 一部の州で採用されているのが IDを2種類提示しないと投票ができない法律で、健康保険もパスポートも持たない貧困層にとっては2種類のIDを用意するのは決して簡単ではないこと。
でも歴史的にヴォーター・サプレッションの最も有効な手段となってきたのは 貧困層やマイノリティが多いエリアの投票所の数を減らし、各投票所の Poll Worker / ポール・ワーカー(投票所スタッフ)の人数を減らすこと。 それによってこれまでの選挙で起こってきたのがマイノリティ人種や貧困層が多く暮らすエリアの投票所の長蛇の行列。 その長時間の行列に嫌気が差して諦める有権者が多かっただけでなく、投票所閉鎖時間までに投票が終えられずに 長時間の行列が無駄に終わった有権者は決して少なくなかったのだった。 そのため今回の選挙で人々に呼び掛けられていたのがポール・ワーカーのボランティア。




これまでのアメリカではどうやったらポール・ワーカーになれるか、資格制限があるかなど、殆どの人々がポール・ウォーカーについて全く知識が無く、 毎回の選挙でこの役割を担ってきたのは もっぱら長年ボランティアを続けてきた高齢者。 でも今回の選挙ではCOVID-19の感染リスクで そんな高齢者ボランティアの激減が見込まれていたことから、 ジェネレーションZの間でのグラスルーツ・ムーブメントとして そのボランティアを呼び掛けたのがプリンストン大学在学中のカイ・ツルマキ。 彼がスタートしたPollhero.com/ポールヒーロー・ドットコムは、 ポールワーカーの必要性をアピールすると共に、ボランティアをするために必要なの情報を掲載した画期的なウェブサイト。
そもそもポール・ワーカーというのはただ投票所に出向けばボランティアが出来る訳ではなく、事前のトレーニングが必要。 しかしトレーニングさえ受ければ、選挙権取得前の16歳でもなることが出来るとのことで、 まずプリンストン大学内で学生が どんどん受け始めたのが事前のトレーニング。 やがてそのムーブメントが全米に広がり、選挙直前の週末の段階では 3万5000人のジェネレーションZのボランティアを生み出す成果をもたらしているのだった。




何故ポール・ワーカーのボランティアになったかの理由についてメディアに尋ねられた彼らの答えは、 「民主主義のプロセスの一部に貢献したい」、「投票抑圧を減らして、公正な選挙が行われるべき」という国民の鏡のようなもの。 それ以外には「結果がどうあれ、自分が住むエリアで選挙がどう行われているかを自分の目で見てみたい」という声もあったけれど、 モラルや常識が通じなくなってきている今のアメリカで 私が希望を抱いているのがジェネレーションZのまともさと正義感。
誰もが国の未来を託したくなるような新しいリーダーが 1日も早くこの世代から登場してくれることを願うばかりなのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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