Dec. Week 1, 2020
”The Queen's Gambit & Chess.com"
ザ・クイーンズ・ギャンビット&チェス・ドットコム


パンデミックが何カ月も続いて、その間ネットフリックスがメジャーなエンターテイメントになってきた人の中には「もうネットフリックはウンザリ」という声が聞かれるけれど、 そんな人でもビンジ・ウォッチングしてしまったと語っているのが「ザ・クイーンズ・ギャンビット」。 私も全7エピソードを一気に観てしまったけれど、このストーリーは1950~60年代を舞台に、孤児院の管理人からチェスを学んだ天才的チェス・プレーヤー、 エリザベス・ハーモンがドラッグやアルコールの中毒と闘いながら、やがて若き女性チャンピオンになるプロセスを描いたもの。
10月23日に公開された「ザ・クイーンズ・ギャンビット」は、辛口評価で知られるロッテン・トマトで100%の満点スコアを獲得した極めて珍しいネットフリックス・オリジナル・シリーズ。 公開から1か月で6200万人のビューワーを獲得し、今もトップ10ランキングのNo.5に位置して視聴者数を増やし続けており、 ネットフリックも驚くメガ・ヒットになっているのだった。




「ザ・クイーンズ・ギャンビット」の原作は1983年に出版されたウォルター・テヴィスの同名の小説で、タイトルの「ザ・クイーンズ・ギャンビット」とは チェスのオープニング・ハンドの名称。主役のべス・ハーモンを演じるのは、このシリーズ出演まで さほど知名度が無かったアニヤ・テイラー・ジョイで、 これは彼女の当たり役。
チェスのような保守的な世界は、こうしたエンターテイメントを通じて脚光を浴びると そのオーセンティシティやリアリティに逐一文句をつけるのが常であるけれど、 「ザ・クイーンズ・ギャンビット」については チェス界が驚くほど評価していて、 「コンペティティブ・チェスが人々にセクシーに受け入れられるようになった」と歓迎しているのが実情。
また「ザ・クイーンズ・ギャンビット」では べス・ハーモンが徐々にローカル・トーナメントで勝ち上がり、賞金を獲得するに連れてグレードアップしていくファッションも話題になっており、 チェスが1960年代のレトロ・カルチャーを背景にグラマラスな知能ゲームとして描かれているのだった。




「ザ・クイーンズ・ギャンビット」を見終えた人々の典型的なリアクションは「久々にチェスをやってみたくなった」というもので、 そんな人々がこぞってアクセスしているのが、チェス・ドットコム。私もそのうちの1人で、忘れていたルールや駒の動かし方を学んで、 約20年ぶりにチェスをオンラインでプレーしたけれど、このサイトは日本語を含む複数の言語バージョンがあり、誰にでも簡単にチェスが学べるだけでなく、 レベルに応じて何時でもAIとゲームが出来るので 非常にチェスが身近になるサイト。 フリー・トライアルは7日間だけれど、その後も最も安いプログラムが1か月2ドル程度。それさえ支払えば何時でもオンラインでゲームをしたり、レッスンを受けたりが出来るのだった。
チェス・ドットコムでは「ザ・クイーンズ・ギャンビット」を観てサイトにやって来る人が非常に多いことを受けて、べス・ハーモンのヴァーチャル・キャラクターとの ゲームも出来るようになっていて、べスがチェスを始めた8歳からチャンピオンになる22歳まで、7ヴァージョンのレベルとの対決が可能。 私は8歳のべスとプレーをしてドローになってしまったけれど、チェスや将棋、囲碁は 自分の人間性や弱点を まざまざと見せつけられるゲーム。 プレーをする度に反省することが多く、謙虚にならざるを得ないので、 1日1ゲームのペースで自分の本質と向き合うのが今の私の日課になっているのだった。




ニューヨークでは、ハーレムのハイスクールのアフリカ系アメリカ人の学生達に課外プログラムとしてチェスを教えるうちに、 やがて彼らのチームが全米チャンピオンに輝き、チームメンバーの大学進学率が100%という快挙が見られていたけれど、 成長期にチェスを学ぶのは知力の発達だけでなく、精神的な強さや不動心を養うためにも極めて効果的と言われるもの。
「ザ・クイーンズ・ギャンビット」はフィクションであるものの、卓越したプレーヤーほど 負けた時の態度が穏やかで敬意に満ちているのは実際のチェスの世界を忠実に再現したもの。 スポーツの世界でも、試合に負けて 見苦しい態度を取ることを「2度負ける」と表現するけれど、 本当の人間性が露呈するのは勝った時よりも、むしろ敗れた時。 人間なのだから 時に負けるのは当たり前。でも2度負ける敗者にだけはなりたくないというのは チェスだけでなく、世の中の様々な実例からも身に染みて感じることなのだった。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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