"Alef Model A"
世界初のエレクトリック・フライング・カー、アレフ
連邦航空局から飛行試験許可を獲得、発売は2025年!?
Published on 7/21/2023

7月初旬に連邦航空局から飛行試験許可を獲得したことが報じられたのが、
エレクトリック・フライング・カー、アレフ・モデルA。
空飛ぶ自動車は、古くは1960年代のアニメ、ジェットソンズにも登場し、数多くのSF映画にも登場してきたので、コンセプトとしては全く新しくないもの。
しかし現時点でエレクトリック・カーでさえ普及に支障が多いとあって、空飛ぶエレクトリック・カーなどは実用モデルが登場することさえ
未だ先のこと思われていたのが実際のところ。
そんな中で、発表されたのがシリコンバレーの中心部、サンタクララに拠点を置くスタートアップ、"Alef Aeronautics / アレフ・エアロノーティクス"が手掛けた垂直離着陸機能を備えたEV、アレフ・モデルA。
アレフ・モデルAは、飛行と走行をこなすハイブリッド・コンセプト。
構想に7年を投じたそのデザインは、一見普通の自動車とまったく変わらないもの。
これまでフライング・カーと言えば、ついていて当たり前だったのが翼やプロペラで、それが無いアレフ・モデルAは、
斬新かつ画期的なデザインとそれを可能性にするコンセプトで、シリコンヴァレーで最も有力なベンチャー・キャピタリストをバックに付けることに成功しているのだった。

翼が無いデザイン、車全体が翼?


アレフを率いるCEO ジム・ドゥホブニーは、これまで一度も自動車を製造したことがない人物。
彼はコンピューター・サイエンティスト、ソフトウェア・デザイナー、SF愛好家であり、
以前は ”Intellectual Casino/インテレクチャル・カジノ” と呼ばれるオンライン・ゲーム・サイトを運営していたアントレプレナー。
それだけに彼は、これまでフライング・カーのデザインの定番であった ”翼付きの車体”のアイデアから離れて、自動車の姿のまま空を飛ぶフライング・カーをデザイン。
その革命的なコンセプトが、シリコンヴァレーで最もサクセスフルなヴェンチャー・キャピタリスト、ティム・ドレイパーの目に留まり、まずは初期投資として300万ドルを獲得。
ちなみにティム・ドレイパー率いるドレイパー・アソシエイツ・ファンド V はテスラとスペースXの初期投資でも知られる存在。
当然のことながら、アレフのビジネスはイーロン・マスクの目に留まり、スペースXもアレフの投資に参加。
そんなビッグネームのバッカーの資金援助によって生まれたアレフ・モデルAは地面から浮き上がると、コックピットが回転し、カーボンファイバー製のボディが横向きになり、
そこに配列されたプロペラの駆動によって移動が可能になるというもの。ジム・ドゥホブニーはこれを 「クルマ全体が翼」と表現しているけれど、
それと同時にアレフは地上走行の際には 通常の自動車同様にタイヤで走るので、飛行と走行の双方を実現するハイブリッド・コンセプト。
競合他社によるフライング・カーのモデルの殆どは、地上走行が不可能な巨大なドローンとして開発されているだけに、
完全に一線を画す存在になっているのだった。

翼が無いデザイン、車全体が翼?

実際にアレフは、構想の段階から 既存の都市インフラに適合することを最優先に考え、空を飛ぶだけでなく、駐車や様々な場所や建物へのアクセスの利便性を考慮し、
街路走行と垂直離陸機能を備えたフライング・カーの開発を目指していたとのこと。
ジム・ドゥホブニーが「これにより環境に優しく、より迅速な移動や通勤を実現し、個人や企業の時間を節約することができる。
アレフ・モデルAは飛行機の見地からは小さな進化に過ぎないが、自動車としては大きな一歩を踏み出したと言える」と語る通り、
アレフの最大の魅力であり、利点は空飛ぶ車のためのインフラ整備が必要ないこと。
現在の街の構造で、そのまま実用化が可能になることは普及のスピードアップにも繋がると見られるのだった。
フライング・カーは前例のないプロダクトとは言え、航空運輸局側は既にドローンに対応するための規制を厳しく設けており、
認定によって許可される試験飛行&走行は場所と目的がかなり制限されるとのこと。
ちなみに航空運輸局から特別飛行許可を取得したのはアレフが最初のケースであるものの、オンリー・ワンではなく、
程無く ”空飛ぶタクシー会社” として既に株式を公開している ジョビー・アビエーションも同様の許可を取得。
同社株価はこのニュースを受けて44%も急騰したことが伝えられるのだった。

やがてはトヨタ・カローラのお値段に!?

アレフ・モデルAの気になるお値段は30万ドルで、生産と初期納入は2025年の予定。
ちなみに30万ドルというお値段は、キャデラックのEVのフラッグシップ・モデルで2024年に出荷がスタートする予定の”セレスティック”と同じ。
購入者は僅か150ドルのデポジットの支払いで、ウェイティング・リストに名前を載せることが出来、1,500ドルを支払えば、
発売時の優先アクセス権が得られるとのこと。
既に2022年の10〜12月の3カ月間に約440人がデポジットを支払っていると伝えられるのだった。
アレフは2人まで乗車が可能で、走行距離は200マイル/322q、飛行距離は100マイル/161q。
そして2030年までにはその距離を2倍、すなわち走行距離400マイル/644q、飛行距離200マイル/322qに伸ばした アドバンス・モデル、”Z セダン”が登場予定とのことで、
驚くべきはその見積り価格。
何と3万5000ドルでの発売を計画しており、これは言うまでも無く大衆車のお値段。
ドゥホヴニー氏によれば、「フライング・カーはトヨタ・カローラほど複雑な構造ではない」のだそうで、それだけにアレフの目標は「トヨタ・カローラ並みのお値段で提供すること」。
もしそれが実現すれば、交通、通勤、移動といった概念が革命的に変化することが見込まれるのだった。


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