Apr. Week 3, 2025
Fear of Menopause
更年期障害不安で、ファッションのモチベーションが低下しました


いつもサイトを楽しく読ませて頂いています。
CUBE New Yorkさんを最初に読み始めたのは30代前半でした。 当時はもっと海外旅行にも行っていて、ブランド物も買っていて、人生を楽しんでいた感じでした。 そして少し前に45歳を迎え、気付いたら四捨五入で50歳という年齢になってしまいました。
私には姉が2人いますが、どちらも更年期障害の暑さやイライラで 近年あまりメークやファッションに気を遣わなくなる様子を寂しく思っていました。 先日、姉たちと食事をしていた時に、下の姉が突然黙り込んだかと思ったら、顔から大粒の汗が何滴も噴き出してきて、 首や服の内側にも汗が流れる様子が伺えて、初めて更年期のホットフラッシュの怖さを目の当たりにしました。 以来、更年期障害が恐ろしく思えるようになり、姉たちに「身体を締め付けるような服を着ると 更年期が悪化する」、「風通しが良い天然素材でレイヤーにしなければ」などと言われるうちに、ファッションのモチベーションまで低下してしまいました。
秋山さんは、失礼ながら私より年上だと思っていますが、こんな時期があったでしょうか。 その場合、どうやってメークやファッションの意欲を維持されたでしょうか。 またアメリカで有効とされている更年期対策などありますでしょうか。多くの女性にとって大切な問題だと思いますので、 お答え難いかもしれませんが 教えて頂けると嬉しいです。
よろしくお願いします。

  ー M ー


私の更年期経験


更年期とは閉経前後10年間を指し、その時期に起こる体調やホルモン・バランスの変化、具体的には卵巣機能低下による女性ホルモン、エストロゲンの減少がもたらす様々な症状を 更年期障害と呼んでいます。代表的な症状には ほてり、発汗、イライラ、不安、頭のモヤモヤ、不眠、肩こり、腰痛、便秘、めまい、耳鳴りなどがありますが、 特に閉経後は骨粗しょう症やサルコペニア(筋肉減少、筋力や身体機能の低下)、心血管疾患のリスクが高まると言われます。
Mさんの御指摘通り、私はMさんよりもずっと歳上ですが、幸いメノポーズ(更年期)と思しき症状は殆ど経験せずに過ごすことが出来ました。
人によっては閉経時に更年期障害が酷くなるケースもあるようですが、私の場合、それは無く、閉経はふと気付いたら3カ月くらい生理が無い状態で、そのまま特別な感情や意識を持たないまま閉経を迎えました。 以前は生理が無くなると 自分が女性でなくなるような不安を抱いたこともありましたが、閉経後はスポーツや旅行で気を遣う必要が無くなり、人生が極めて快適になりました。 ふと考えると小学校中学年で初潮を迎えた私は、その後45年間、重たい生理で苦しみ続けてきましたので、閉経は逆に女性としての肉体的負担から解放されたというポジティブな経験でした。
今振り返ってラッキーだったと思えるのは、40代にしてテニスを復活させて、体力と持久力を養うためにランニングを始めたことでした。 そのお陰で、更年期障害悪化の要因となる体重増加、筋力低下が防げたのは大きなプラスでした。 私に限らず、更年期を迎える女性は エクササイズを習慣にしているのと、していないのでは本当に大きな違いが出ます。
さらに私は生まれつき体温が高く、子供の頃から時折寝汗をかいていたので、睡眠中のホットフラッシュは確かに経験しましたが、 特にそれをエイジングや更年期とは結び付けることはありませんでした。 不安やイライラについては、自営業者には付き物ですし、NYのようにストレスフルな街に長く住んでいると、「人間が不安やイライラを感じるのは むしろ当たり前」という考えになってきますので、 精神面でも更年期を意識しない お膳立てが整っていたのかもしれません。
でも俗に言う「こむら返り」で脚が吊るケースが増えたのと、頻繁ではないとは言え、腹筋が吊る経験を何度かしました。これは何が起こっているかを理解するまでは内臓のダメージのように感じられる上に、 身体が動かせないほどの痛みで、この症状が出てからというもの、塩分、水分、電解質について独学で調べてはいろいろ試すと同時に、 老化が半永久的な脱水症状、酸化、炎症であるという確信を深めた次第です。

私自身はエイジングというものは、死ぬまで関わり続ける課題であり、症状だと考えていて、メノポーズはその過程の1つという認識で捉えています。 人間である限り年齢を重ねるのは宿命ですが、今では30代後半で閉経を迎える女性も増えていますし、 40代前半にして骨粗しょう症やサルコペニアが進行している女性は沢山います。エイジングやメノポーズは、生まれた年月日よりも 健康状態や、肉体的強度を含むバイオロジカル・エイジに従って進行しますので、個人差があるのはもちろん、 ライフスタイル、食生活、精神状態、経済状態、生活環境、DNA等、様々な要素が複雑に絡んでいると考えています。

ファッションは精神面の健康とイメージ作りのために不可欠です

アメリカでは、現在NYを含むブルース・ステーツを中心に、女性が職場を通じて更年期障害の手頃な価格の治療やサポートが受けられる法案が提案されています。 大企業の中には、既にメノポーズのための有給休暇やサポート・システムを導入しているところはありますが、女性達はあえてそれを利用しないケースが多く、 理由はメノポーズに「年寄り」、「劣化」というイメージが強く、そのための休日やサポート得ることに抵抗や負い目を感じたり、プライドが邪魔をしてしまうようです。
女性達がそのように負い目を感じるせいか、更年期障害はアメリカ社会でもある種のタブー・サブジェクトで、女性の誰もが何等かの形で経験するにも関わらず、 殆ど研究や治療が行われずきた分野でした。殆どの医師は更年期障害の教育を受けておらず、症状の軽視や、誤診は全く珍しくありません。 さらには深刻な更年期障害を持つ女性が 更年期障害専門医のケアや治療を受けた場合でも、保険でカバーされないケースさえあります。
しかしここへきて、ハリー・ベリー、ナオミ・ワッツといった更年期を迎えたセレブリティが、更年期への関心と理解を深める活動に加わり、 ようやく公の場で更年期に関する議論が行われるようになってきたのがつい最近のことです。 でも医療がメノポーズ対策で出遅れているのに対して、サプリメントの世界は、早くからメノポーズを女性のマーケット・ニーズとして着眼してきたとあって、 多くの専門家はサプリメント会社の取り組みを評価していて、CUBE New Yorkでご紹介している商品はその評価対象にリストされている次第です。

その一方で私自身はメノポーズを深く捉え過ぎずに 無事乗り切ったこともあり、 Mさんのように未だ起こっていないうちから心配したり、恐れたりは止めるべきだと思います。 生理のPMSにしても、後進国の女性はその存在を知る前は殆どが「PMSを経験していない」とアンケート調査に答えます。 しかし その存在を教えて不安を煽り、治療薬のプロモーションを行うと、途端に多くの女性がPMSの症状を認識するようになりました。
花粉症にしても、花粉の季節に何度かクシャミをした途端に、周囲から花粉症対策を薦められ、それ以降、本格的な花粉アレルギーになったというエピソードがあります。 逆に私は、花粉の季節にクシャミをしても「自分は絶対に花粉症じゃないし、花粉症にはならない」という確固たる信念によって、 少なくとも現時点までは、花粉症と無縁で過ごしてきました。ですので更年期に限らず、様々な症状に正しい知識を持つことは大切と思う反面、 そのせいで「病は気から」になってしまっては本末転倒だとも考えています。
そうならないためには、自分の気持ちを強く持つこと、自分の心や精神に栄養を与えてあげることが大切で、 その重要な役割を担うのがファッションです。人間は着る物によって精神面で大きく影響を受けます。 私自身、ヨガを始めるにも、テニスを始めるにも、先ずは新品のウェアを買ってやる気を盛り上げましたが、 軍隊でもスポーツ・チームでもユニフォーム・デザインによって、大きく士気が高まります。年齢を重ねてもピンクやグリーンといった キレイな色を取り入れる女性の方が、グレーやベージュばかりを着用する女性よりも、キレイで快活な印象に見えるだけでなく、 それが実際の人間性やライフスタイルにも反映されるケースが殆どです。
ですからMさんには気持ちが高揚する、心地好いファッションを着用して頂きたいと思います。 新しい服をわざわざ買わなくても、これまでと異なるコーディネートをしたり、スカーフやアクセサリー、ベルトをプラスするだけで、気分が変わります。 大切なのは自分に自信が持てる服装をしていることです。 人間はある程度年齢を重ねると、女性でも、男性でも、周囲はルックスよりも服装やセンスから人格や能力のイメージを抱き、評価や判断を下すようになります。 ですから年齢を重ねれば、重ねるほど、自分のイメージを左右する服装や持ち物が重要になるのです。 年齢を重ねた人が良い物を長く使う様子は、物の本質やクォリティ、機能を熟知した賢い選択に見受けられますし、毎回同じような服装をしていても、 それが似合っていて、体型の欠点等を上手くカバーしたバランスが良いスタイルだと、 周囲はそれがシグニチャー・スタイルだと捉えて、ファッションへの賢い取り組みをしていると解釈するものなのです。

さらに私の見解としては、40歳を過ぎたら、老後の健康を見据えた食生活を心掛けるべきです。 40歳で持病が無い健康体であれば、その段階から健康的な食生活をすることで、更年期障害の軽減はもちろん、アルツハイマー型認知症やさまざまなガン、心臓病、突然死のリスクを 防ぐことができます。 スティーブ・ジョブスを始めとする多くの著名人が “Eat your food as your medicine. Otherwise, you have to eat medicine as your food.” (食事は薬のように食べなさい。さもなければ、薬を食事として食べることになります。)という語録を語っていますが、 年齢に共に消化吸収を含む代謝力全般が衰えますので、カロリーに対して極力栄養価が高い食事を心掛け、足りない栄養素をサプリメントで補うことは 健康的なエイジングに不可欠と言えます。
日本ではイソップ物語の「アリとキリギリス」のストーリーを、経済的な備えになぞらえて解釈する傾向が顕著ですが、 アメリカのように医療費が高額で、健康保険のカバー率が低い国に暮らしていると、どんなに財産を蓄えても健康を害したら、治療でそれが消えるだけでなく、 人生が楽しめないことを実感します。日本も徐々にその状況に向かいますので 「アリとキリギリス」のストーリーを 「日頃の摂生が老後の安定と健康をもたらす」と解釈して、食生活、精神面のケア、エクササイズを日常で習慣付けるべきだと考える次第です。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。 Eコマース、ウェブサイト運営と共に、個人と企業に対する カルチャー&イメージ・コンサルテーション、ビジネス・インキュベーションを行う。
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